転生者が来るそうですよ?   作:black cat☆

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バタバタと袴の裾を揺らしながら俺は落ちている。なぜ袴?多分ゼウスが変えてくれたんだろう。袴は着慣れてるから良かったぜ。周りを見るとあの問題児の3人だろう。てかこのままだと死にはしないが湖に落ちるな。てかこいつらの名前なんだっけな…

 

そう場違いなことを考えてると、どうやらもう湖に落ちていた。水面から顔を出し、上がろうとすると、近くに三毛猫が溺れていたため、片手で三毛猫をもちながら上がる。

 

『じ、じぬがぼおぼた………!』

 

……俺三毛猫の聞こえないわ。あ、でも、特典で貰った能力で能力を作れば聞けるんじゃないのか?やって見るか!

 

「心を読む程度の能力」

 

念じながら唱えると、三毛猫の声が聞こえた。

 

『ありがとな、坊主』

 

「まさか坊主って言われるとは……まぁ無事でよかった」

 

「……三毛猫、大丈夫?」

 

するといつの間にか傍に少女が上がってきた。

 

「お、お前の猫か。凄い健康だな」

 

「ありがとう、三毛猫を助けてくれて」

 

「いいって」

 

『坊主ほんにありがとな!』

 

「おう」

 

なんか少女が驚いた顔しているな。何故だろう?まぁいいや。他の2人も上がってきてるし。てか罵詈雑言吐いてるな〜

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「………いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「どんな体だよ」

 

「そう。身勝手ね」

 

「ヤハハ!こんな身体をしているぜ!」

 

2人はどちらもフン、と互いに鼻を鳴らして服を絞る。息ぴったりだな。

 

「此処……どこだろう?」

 

「さぁな。まぁ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

 

「分からねぇな……」

 

二次創作を読んでたと言ってももううろ覚えだからな……はぁ。ちゃんと原作買って読んでおけば良かった。

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、ま“ オマエ”って呼び方を訂正して。―――私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、袴を着ている貴方とそこの猫を抱きかかえている貴女は?」

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「俺は宙埜零司だ。よろしく」

 

「そう。よろしく春日部さん、零司君。最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介ありがとよ。見たまんま野蛮で凶悪な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟してとけ、お嬢様」

 

心からケラケラと笑う逆廻十六夜。

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

我関せず無関心を装う春日部耀。

その3人を見て頭を抱えそうになる宙埜零司。

 

それを物陰から見ている者がいるのは多分3人とも気付いているだろうな。

 

(うわぁ………なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……一人を除いて……)

 

あ、そうか。さっき能力作ったから聞こえるんだ。てかさっきから春日部と久遠の声は聞こえるが、十六夜のは聞こえない。もしかして無効化されてる?うわ、喧嘩吹っ掛けられたらやばいな。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇのか?」

 

人間じゃないけどな。うさ耳あるし。

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「………この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

「まぁな」

 

(全くです)

 

そろそろ来ないとこいつらやばいんだがな…

 

「―――仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話聞くか?」

 

あ、ビクッてなった。そりゃ分からないと思ってるからな。

 

「なんだ、貴方も気付いてたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの猫を抱いてる奴と袴の奴も気付いていたんだろ?」

 

「あれでかくれたつもりなんだな。普通に分かる」

 

「風上に立てられたら嫌でもわかる」

 

「………へえ?面白いなお前ら」

 

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑ってない。そりゃ理不尽に空に放り出されたからな。俺はそこのうさ耳に同情の眼差しを向けよう。うん、そうしよう。てか3人とも目怖い。

 

「や、やだなあ御3人、袴の人はそんな同情の目で見ないでくださいませ。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「お前ら、話聞いてやれよ…」

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪最後の方ありがとうございます♪」

 

バンザーイの状態になってるが値踏みをしている視線だな。けど、後ろから春日部が近付いてるの気付いてないな。

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

力いっぱい引っ張っちゃってるよこの子。おっかねー。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる技」

 

「自由にも程があります!」

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

「………じゃあ私も」

 

「……止められないから、骨は拾ってやるよ」

 

「ちょ、ちょっと待ーーーー!!」

 

……この3人、息ピッタリだな。


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