IS ~システムFate~   作:マルク マーク

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自分の作品を読み直して思った事
あれ?なんか足りない?
他の作品を読んで実習入れ忘れたと気づく。
そして、作者が考えた打開策は....鈴が来てから実習がある事にしました。なんて事やったら文字数10526....



IS実習!と鈴との約束

「今から実際にISの操作を見ながら授業を行う!」

 

午後に入ったこの時間は、実際に一夏達がISを動かすのを見ながら授業を行うらしい。

近くでISを見れるということで皆浮き足立っていた。

 

「ではお前達、ISを展開してみろ。」

「あ、はい!」

「了解しましたわ」

「はい」

 

織斑先生の号令で俺と一夏とセシリアがISを展開する。

セシリアは素早く展開出来ていたが、一夏は少し手間取っていたが何とか展開していた。

俺はだいたい1.4秒くらいだ。

 

「遅いぞ織斑、熟練したIS操縦者は展開に1秒とかからないぞ。」

 

一夏にそう言いながら、織斑先生は俺の方を向いてくる。

 

「御門は初心者にしては充分速いがそれでも1秒を切れるようになれ」

 

うん、厳しいな

 

 

「では飛行操作の説明から入る。3人ともアリーナの上まで飛んでみろ」

 

そう言われ俺達は一斉に飛び出す。

俺に続く形でセシリア、そして何やらふらつきながら飛ぶ一夏。

 

『何をしている織斑。スペック上の出力では、白式がトップだぞ。』

 

と、織斑先生に叱られている一夏を下から見下ろす。

ちなみに、学園に提出カルデアのスペックは実は本物ではない。カルデアにはリミッターがあり、それを解除するごとに本来の力になる。

まあ、簡単に言えば、普段のステータスはDほどで最大A++になれると言う感じだ。

 

しばらくして一夏が俺達と高さまでたどり着く。

 

「一夏、大丈夫か?」

「ああ…。でも分かんないんだよな、『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』って…どうやっても感覚が掴めない。」

「じゃあ試合中のあの動きは無意識でって感じか」

「ああ、そうなるな。アキラはどんなイメージをしてるんだ?」

「俺?俺は....」

 

なんて言えばいいんだろうか....

そもそも俺は空を飛ぶ事自体はこれが初めてではない。

天舟マアンナや金星神・火炎天主(サナト・クマラ)その気になれば痛哭の幻奏(フェイルノート)でも空を飛ぶ事が出来る。

だから、空を飛ぶ事は別に俺に取っては難しい事ではない。

だから説明出来ない。

 

「....すまない。言葉に出来ない感覚なんだ。」

「そうか」

 

俺と一夏が話していると、セシリアが会話に入ってくる。

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージ。

自分のやりやすい方法でやるのが一番ですわ。」

「そう言われてもなぁ。大体、空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。なんで浮いてるんだ、これ?」

「説明しても構いませんが、反重力力翼と流動波干渉の話をすることになりますよ?」

「…遠慮しとく。」

「あら、それは残念ですわ。」

「まあ一夏の場合はイメージとか理論とかじゃ分からないだろうから、実際に動かして慣れていくしかないか」

「なんかバカにされてる気もするが…、まあそうだな。

地道に慣らしていくしかないか」

 

「一夏さん、よろしければ指導してさしあげますわ。…その時は2人きりで」

 

と、セシリアは一夏へアプローチを仕掛けるが、ここで思わぬ伏兵が表れる。

 

『一夏!何をしている!さっさと降りてこい!』

 

一夏達の無線からこちらにまで聞こえる怒号が流れる。

声からしておそらく箒なのだろう。

下を見ると、山田先生から無線を取り上げているのがかろうじて見える。

…あっ、今千冬先生に叩かれた。

それにしても恋する乙女は恐ろしい。

こちらの状況など分かるはずもないだろうに、己の勘のみで良い雰囲気なのを察したのだろう。

横ではISの機能により地上の様子がはっきりとわかり感心している一夏と、その一夏に説明をしているセシリア。

どうやら、箒の行動は功を奏したらしい。

しばらくして千冬先生から連絡が入る。

 

『では急下降と完全停止をやってもらう。

目標は地表から10cmだ。』

「わかりました。では、わたくしから参らせていただきます。」

 

そう言ってセシリアは急下降に入った。

やがて地上近くで止まる。

歓声が上がっているので、成功したのだろう。

 

「じゃあ次は俺が行く」

「おう、いってらっしゃい」

 

 

そして俺も急下降を始める。

そして、地面に近づいたのを確認してから動きを止める。

 

「地面から14cmかもっと前進するように」

 

千冬先生から厳しいお言葉が飛ぶ。

むぅ、4cmか....

俺は少し考えたが一つ思い出す

そう言えば、一夏地面に穴あけてなかったっけ?

俺は右に1メートルほど移動する。

山田先生は不思議そうに俺を見るがすぐに理解することになる。

 

ズドォン!!!

 

先程、俺がいた場所に何かが落ちて地面に大きな窪みができた。

土煙が晴れてから、窪みを覗き込むと中央で一夏らしき人物が頭が埋まっている状態でいた。

 

「馬鹿者。誰が地面に激突しろといった。

グラウンドに穴をあけてどうする」

「いてて…、すみませんでした」

 

頭を掻きながら、一夏は立ち上がる。

傷が無いのをみるにまさにIS様様といったところか。

 

「何をしている一夏!情けないぞ!」

「大丈夫ですか、一夏さん!?」

 

穴の縁から仁王立ちで叱咤する箒と、その横を一夏へと駆け寄るセシリア。この差はいったい....

 

「…絶対防御があるから大丈夫に決まっているだろう」

「あら、もしもの場合というのがありましてよ?」

 

いつものように箒とセシリアが睨み合う。

 

「邪魔だ、馬鹿ども。やるなら端っこでやってろ」

 

しかしここで千冬先生の警告が飛ぶ。

おかげでデッドヒートにならずに済んだ。

 

 

その後、窪みから少し場所を移動して授業が再開される。

 

「次に武装の展開だ。織斑、お前からだ。それくらいは出来るだろう」

「は、はい」

 

そう言われ一夏は構えるようにして武器を展開する。

一夏の手には近接ブレードが握られる。

 

「まだ遅いな、0.5秒でだせるようになれ」

 

結構早いと思っていたが、千冬先生の評価は厳しかった。

弟には早く強くなってほしいということなのだろう。

 

「続いてオルコット、武装を展開しろ」

「はい」

 

そう言うと、セシリアは左腕を肩の高さまで持ち上げ真横に突き出す。

すると、光が溢れ一瞬であのビームライフルが展開された。

ライフルを見るに、セーフティも解除されてるようだ。

 

「ふむ、確かに武装の展開は早い。しかしオルコット、そんなポーズで横に向かって銃身を展開させて誰を狙うつもりだ」

 

そう、今の状態だと銃身は俺の方に向けられている。

ちなみに俺は銃が出た瞬間に両手を上げている。

しかも、顔を青くして少し震えると言う演技付きで。

 

「ア、アキラさん!?申し訳ありません!」

「正面で展開出来るようにしろ。いいな?」

「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめるのに必要な「直せ、いいな?」……はい」

 

有無を言わさぬ織斑先生の圧力と俺の演技を見たセシリアは従うしかなかった。

 

演技は銃身が自分に向かなくなった時点でやめた

 

「オルコット、近接武装を展開してみろ」

「えっ、は、はい」

 

自分はもう終わりだと思っていたらしいセシリアは不意打ちに戸惑うが、すぐにライフルをしまい近接武器の展開にかかる。

…が、何やら手こずっているようだ。

 

「…まだか?」

「も、もうすぐですわ!

…ああ、もう!インターセプター!!」

 

結局、武器の名前をコールすることでようやく展開に成功していた。

 

「何秒かかっている?お前は実戦でも敵に待ってもらうのか?」

「じ、実戦では近接の間合いに入らせません!ですから、問題ありませんわ!」

「ほう、織斑との試合であそこまで間合いに入られてまだそんな事が言えるのか」

「それは…その…」

「いいか、自分の得意な状況で戦いたいならどんな時でも何にでも対応できるようにならなければ話にならん。

まずは自身のできること苦手な事を把握し弱点を減らせ、自身の弱点をそのまま放置しておけば必ず試合ではそこを突かれるぞ。お前が今の状態で近距離戦闘をされたら確実にお前は対処できないだろう」

「…分かりましたわ」

 

ここまで正論をぶつけられたら納得せざるを得ないか。

と、セシリアは一夏を恨みがましい目で睨みつけている。

その目から、

『貴方のせいですわよ!』

と言っているのがわかる。

 

「最後に御門、武装を展開しろ」

「はい」

 

千冬先生がそういった瞬間、俺の手には約束された勝利の剣(エクスカリバー)が握られていた。

これには千冬先生もびっくりしたらしい。

普段、宝具なんて使わないから出したり消したりの練習は子供の頃からやってるからな

 

「…まあ、展開の早さは褒めておこう」

 

千冬先生が何も言わずに褒めた…だと…!?

 

 

 

その後、武装展開に関する説明が軽く行われ授業が終わり、皆バラバラに教室へ戻っていった。

……………そして。

 

「……………。」

「アキラ〜、手伝ってくれ〜」

 

目の前には、罰として自分があけた巨大な穴を埋めている一夏。

………どうしようか。

 

「…仕方ないな」

「おお〜!本当に助かる!」

 

 

手伝うことにした

 

 

 

_________________________________________________________

 

 

放課後

 

「よし、一夏!特訓するぞ!!」

 

昼間の反省は何処へ行ったのやら、打鉄を装備した箒が仁王立ちでそう言った。

…はぁ

 

「どうして篠ノ之さんが打鉄を装備して此処にいらっしゃいますの!?」

 

一夏のISの訓練をしに俺と一夏、そしてセシリアで第3アリーナへむかったところ、そこで待っていたのは訓練機である打鉄を身にまとった箒であった。

 

「…箒、それどうしんだ?一般生の訓練機の使用許可はまだの筈なんだが…」

「簡単な事だ。使用許可が下りた、それだけのことだ」

 

箒は澄ました顔で言った。

箒よ、一体どんな脅迫を…、って違うか、束の力か。

学園側からすれば妹である箒の願いを断れば、束からどのような制裁を受けるかたまったものではないだろう。

はたして箒はその事実を知っているのだろうか。

知りながら言っているのであれば、それは見過ごせるものではないが。まぁ、知らないだろう。.....多分

 

「それに、セシリアでは近接戦闘の訓練が出来ないからな。

私の力が必要だ」

「いや、近接戦闘ならアキラがい

「私の力が必要だ!!」

 

一夏の言葉も遮る箒。

 

「くっ、こんなあっさりと訓練機の使用許可が下りるだなんて…」

 

一方、悔しそうにするセシリア。

まあ、セシリアからすれば、他の女子の邪魔が入らない至福の時間を無くなってしまうからだろう。

いや、少しは許可が下りたことに疑問を持てよ。

お前エリートだろ?

 

「よし一夏、始めるとしよう。構えろ」

「お、おう」

 

そんなセシリアを放って、箒は一夏の訓練を始めようとする

 

「…はっ!?お待ちなさい!一夏さんのお相手をするのはこのわたくし、セシリア・オルコットでしてよ!」

 

と、我に返ったセシリアはブルー・ティアーズを身にまとい、箒の前に立ちふさがる

 

「ちょっと待て!その前に訓練の内容を決めて

「ええい、邪魔するなら斬る!」

「訓練機に遅れを取るほど、わたくしは優しくは無くってよ!」

 

俺が止めようとするが、お構い無しに彼女達は戦闘を始める。

 

「………アキラ、どうすればいいんだ…」

 

置いてけぼりの一夏が俺に助けを求めてきた。

 

「…とりあえず、俺が相手するよ。

前言ってたアレの練習を

「おい、一夏!」

「何を黙って見ていますの!」

 

と、戦闘を繰り広げながら2人が一夏に怒鳴る

 

「うぇ!?そんなこと言ったって…、どっちかに味方したらお前ら怒るだろ?」

「「当然だ(ですわ)!!!」」

 

そう言って、彼女達は一夏に向かってきた。

一夏は慌てて白式を展開し空へ逃げ、それを2人が追いかけ回し始める。

訓練は何処へいったのか。

 

「………………」

 

………………イラッ

 

 

「愛を知らない哀しき竜……ここに。星のように!」 

 

 

流石に頭にきたよ?

 

 

 

 

愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)! 」

 

亀のような竜タラスクが3人に向かって突撃する

 

「「う、うわああああああぁぁぁぁ!?」」

「き、きやああああああぁぁぁぁ!?」

 

それに気づいた3人は悲鳴をあげて逃げ出す。

しばらくやってろ。

 

 

 

タラスクとは学園に来てから余りあってないが結構仲良くなった。

そう言えばタラスクの爆発、あれやっぱり壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)だったらしい。

....マルタさん容赦ないな。

 

 

 

 

「で、では、今日はこの辺りで終わることにしましょう....」

「お、おう…」

「ふ、ふん、鍛えてないからそうなるのだ....」

「お疲れ一夏」

「アキラ…、はぁ、お前ま、はぁ、何したんだよ....」

 

疲労困憊で地面に横たわる一夏が俺にツッコミをいれる。

10分ほどタラスクと追いかけっこした後、タラスクには帰って貰った。そして、5分ほど説教した後、俺対一夏達3人という構図になり、全員かなり体力を消耗した。あまり鍛えてない一夏は立ち上がるのも困難そうであった。

 

「…では名残惜しいですが、わたくし達は先に戻らせてもらいますわ」

「一夏、先にシャワーを浴びさせてもらうぞ。…さっさと戻ってこいよ、さっさとな」

 

そう言って2人は足取り重く向こうのピットへ行った。

彼女達の元気がなかった理由は、この後一夏は鈴と会う約束をしているからだ。

彼女達からすれば、気が気でないだろう。(それもあるが約7割はアキラの訓練のせいである)

まぁ、たまには一夏をあの2人から解放してあげるのもいいだろう。

 

「じゃあ一夏、俺らもピットに行こうか。」

「ふぅ…、ああそうだな。」

 

ようやく落ち着いた一夏が立ち上がるのを待って、ピットへと向かう。

 

「鈴はもう来てるかもな」

「いやぁ、流石にまだ来てないだろ」

 

そんなことを言いながらピットに入ると、鈴はすでに来ておりベンチに座っていた。

 

「鈴!もう来てたのか」

「おつかれ。はい、タオル。

飲み物はスポーツドリンクでいいよね。

アキラの分もあるよ」

「おお!サンキュー!」

「わざわざ俺の分までありがと。」

 

俺達は鈴の横に座って、タオルとドリンクを受け取る。

汗だくの顔をタオルで拭き、ぬるくしているドリンクを飲む。

疲れた体に染み渡っていくのが分かる。

 

「あぁ〜、生き返る〜。」

「一夏、ほんと変わってないわね。相変わらずジジくさいよ。」

「う、うっせーな。」

 

一夏と鈴が横で会話している。

邪魔にならないよう、クールに去ることにしよう。

 

「あっ、いいわよアキラ。

気を使わなくても。

元はと言えば、アンタのおかげで一夏とゆっくり喋る時間が出来たんだから。」

 

少し、気配を薄くした後、そっと行こうとしたら鈴が気づく。まあ、すぐ隣りにあった気配が薄くなったら気づくか。

 

 

「そうだアキラ、前話した中学校時代の話の続きをしてやるよ」

「何それ、あたしの知らない所で勝手に変な話したんじゃないでしょうね?」

「そんなわけないだろ。鈴もいることだし、ちょっと思い出話がしたいなと思ったんだよ」

「そうか、じゃあ聞かせてもらうか」

 

そこからは一夏と鈴による思い出話に入った。

彼らはもう2人の男子を含めた4人でよく一緒にいたらしく、鈴から男子3人組の様々な伝説を聞かせてもらったりした。

2人とも懐かしみながら笑ったり、怒ったり、恥ずかしがったりしながらお互いのエピソードを語っていた。

…ここ最近なかった平和な時間が流れた…

 

………

……

 

「___はぁ、久しぶりにすごい笑ったわ。」

 

鈴は笑いすぎて出た涙を拭いている。

 

「ハハ、一夏は昔から変わってねぇな」

「そうなのよ、ホントに。どうすればいいのかしら」

「おいおい、何の話だよ。」

 

お前の唐変木さ加減の話だよ。

 

「そういえばさ、親父さん元気にしてるか?

まぁ、あの人は病気とは無縁だけどな」

「あ……。うん、元気__だと思う」

 

と、一夏の質問に鈴の表情が少し暗くなる。

 

 

「…さて、この続きは歩きながら話そうか。

そろそろ寮に戻って用意しないと、食堂も席が埋まるしな」

 

少し沈んだ空気になったのを切り替えるため、俺は立ち上がって提案する。

 

「そ、そうね」

「おう、そうだな」

 

そう言って、2人も立ち上がる。

よし、このまま平和な方向に……。

 

「早くシャワー浴びに行かないとな。箒ももうシャワー浴び終わってるだろうし」

「…………は?」

 

あっ、爆弾投下された。

ピシッと鈴が笑顔のまま固まる。

一夏ぇ....

 

「……ちょっと一夏。それってどういうこと?」

 

おおう、鈴の声が2トーン低い。

 

「ん?いや、いつもは俺が先に入ってるんだけど、今日は箒が先にシャワーにはいるって言って

「シャワー!?いつも!?い、一夏、アンタあの子とどういう関係なのよ!?」

「どうって、だから幼馴染

「幼馴染とシャワーに何の関連性があるのよ!?」

 

マズイことになった....

 

「ああ、俺今箒と同じ部屋なんだよ。」

「………は?」

 

鈴は呆気に取られた顔で俺の方を見る。

なぜ、俺なんだ…肯定の頷きをする。

 

「……いや、なんでよ!!?何で男子2人いるのに別々で、しかも女子と同じ部屋なワケ!?」

 

ああ、そうだよな。

俺もそう思う。

 

「いや、あまりに急な話だったから、部屋が用意できなかったんだと。だから今は普通にふたり部屋で

「そ、それってあの子と寝食を共にしてるってことじゃない!」

「ま、まあそうなるな。でもまぁ、幼馴染の箒で助かったよ。これが見ず知らずの相手だったら、緊張して眠れなかっただろうな。アキラは大丈夫なのか?」

「今更だな。俺は相手が同じ趣味だったから助かったよ」

 

簪の名前は出さない。確か一夏の事避けてたはずだし。

と言うか、俺の事より自分の事を気にしろ。

お前、今さらに爆弾発言したよ。

 

 

「………………………のね」

 

鈴が顔を伏せたまま何か呟いてる。

表情は分からないが、その様子からかなり怒っていることがわかる。

 

「……………たら……のね」

「うん?なんて?」

「幼馴染だったらいいのねって言ってるの!!」

「うぉ!!?」

 

ガバッと顔を上げ怒鳴る鈴に思わず一夏がたじろぐ。

 

「わかった。わかったわ。ええ、ええ、よくわかりましたとも」

「な、何がわかったんだ…?」

 

あぁ....嫌な予感しかしない…。

 

「一夏!幼馴染は2人いるってこと、覚えておきなさいよ!」

「えっ、お、おう…」

「じゃあ後でね!!」

 

そう言って鈴はピットを飛び出していってしまった。

残された俺と一夏が呆然と佇む。

 

「……アキラ、一体どうなってるんだ?」

「………はぁ」

 

一夏といるといつも厄介ごとに巻き込まれてしまう…

まあ、ストレスたまらない程度なら楽しいんだけどな

 

 

そう言えば、一夏も緊張するんだな。

 

_________________________________________________________

 

夕食の後、箒にも了承を得て一夏達の部屋で待機していみると、案の定鈴がやって来た。

 

「というわけだから、部屋替わって」

「ふざけるな!なぜ私がそのようなことをしなくてはならない!?」

 

鈴のいきなりの申し出に箒が怒る。

まぁ、せっかく一夏と同じ部屋なのに簡単に明け渡すはずないか。

 

「いやぁ、篠ノ之さんも男と同室なんて嫌でしょ?あたしは平気だから替わってあげようかなって思って」

「べ、別に嫌とは言ってない!それに、これは私と一夏の問題だ!部外者が首を突っ込む理由はない!」

「大丈夫。あたしも幼馴染だから」

「だからそういう問題ではない!!」

 

こんな会話をさっきからずっと繰り返している。

お互い譲る気は無さそうだ。

 

「鈴」

 

と、ここで一夏が声を上げる。

この状況を変えてくれる一言を頼む。

 

「何?」

「それ、荷物全部か?」

 

鈴が横に置いているボストンバッグに目を向ける一夏。

いや、今その質問必要なのか?

この状況においてお前が気になるのはボストンバッグなのか?

 

「そうよ。あたしはボストンバッグひとつあれば、どこでも行けるからね」

 

鈴も律儀に答えなくてもいいよ。

そんな事どうでもいいって切り捨ててよかったよ。

 

「とにかく、今日からあたしもここで暮らすから」

「ふざけるな!出て行け!ここは私の部屋だ!」

「一夏の部屋でもあるでしょ?じゃあ問題ないじゃん。ねぇ、一夏?」

 

そう言って鈴は同意を求めるように一夏に顔を向ける。

箒も自分への賛同を欲するように一夏を見る。

 

「えぇ、いや俺に振られても…」

 

と言って、一夏は部屋の奥にいた俺の方を見る。

いや、俺に振るなよ。

お前の問題だろ。

 

「あれ、アキラいたんだ。じゃあ、アンタからも何か言ってよ。」

 

と、今更俺の存在に気づいた鈴が同意を求めてくる。

 

「おい、アキラに同意を求めるのは卑怯だぞ!

アキラ!私の方につくんだ!」

 

箒が慌ててそう言う。

何やら俺は使えば必ず勝てる宝具みたいな感じになっている。

 

「ちょっと、あたしが先にアキラに聞いてんの。黙っててくれる?」

「なっ……!?ええい、こうなったら力ずくで!」

 

と、ついに怒りが頂点に達したらしい箒は立てかけていた竹刀に手を伸ばした。

 

「あ、馬鹿!」

 

一夏が止めるも、冷静さを失った箒は無防備な鈴に竹刀を振り下ろす。

 

「………ふっ!」

 

が、鈴は冷静に右腕だけにISを展開してその打撃を受け止めた。

 

「………!」

 

....もし、鈴が間に合わなかったらように準備したけど、必要なかったな。

 

「なっ………!」

「言っとくけど、あたしは代表候補生なんだからこれくらいは平気よ。でも今の、生身の人間なら本気で危ないよ?」

「う………」

 

正論を突かれ、箒はバツが悪そうに竹刀を下ろす。

 

「ま、いいけどね」

 

そう言いながら鈴はISの展開を解き、改めて俺の方を見る。

 

「さて、アキラ。アタシがここで暮らしても構わないよね?」

 

何故か一夏との相部屋の許可は俺が管理してるみたいになっている。

箒ももう味方してくれないだろうと俯いている。

いや、だから何で俺なの....まあ、いいか。いっその事このポジションで行こうかな?

取り敢えず....

 

「…別に部屋を替わるのに俺の許可はいらないだろ?

とるなら寮長から許可をもらわないと」

「っ!アキラ…」

 

いや、そんな捨てられた犬みたいな目で俺を見るな。

 

「ああ、それもそうね。だったら今すぐ許可取ってくるわ。寮長って誰?」

 

と、鈴は勝ったも同然という感じで僕に尋ねてきた。

 

「…織斑先生」

「………え?」

 

そう、一夏との相部屋の鍵を握っているのは俺ではない、

一夏の姉千冬さん(ラスボス)である。

 

「許可、取れるかな?」

「…………」

 

まず無理だろう。

私情で部屋を替えてほしいなどといえば、その日から物置で暮らすことになりそうだ。

 

「アキラ………っ!」

 

箒はみるみるパァッと明るくなっていく。

いや、普通のことを言っただけだし。

 

「……仕方ないわね。諦めざるを得ないようね」

「そうだそうだ、早く帰れ!」

 

箒が鈴を急かす。

いや、箒はもう少しすぐ冷静さを欠く事を反省しておけ。

 

「部屋は諦めるとして、……い、一夏?約束覚えてる?」

「うん、約束?」

 

といって、一夏が頭を捻っている。

鈴の様子から結構大事な約束っぽいぞ。

もし忘れたなんていえば…。

 

「えーと、あれか?鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を___」

「そ、そう!それ!」

 

おお、どうやら覚えているようだ。

しかも内容から察するにプロポーズのような約束をしたらしい。

なんだ一夏、やればできるじゃないか___

 

「おごってくれるってやつか?」

「「「………………はい?」」」

 

前言撤回。

やっぱコイツ駄目だわ。

 

「だから、鈴が料理出来るようになったら、俺にご馳走してくれるって約束だろ?」

 

どうしてそうなるんだ。

上達したら毎日、まできたら普通はわかるだろう。

…ああ、鈴の肩が震えてる。

 

「いやしかし、覚えててよか

 

パァンッ!!

 

 

とてつもなく良い音が一夏の頬から聞こえた。

鈴が一夏の頬を叩いたのだ。

何が起こったのか一夏は分かってないようだったが、ゆっくりと顔を元の向きに戻し、目にうっすらと涙を浮かべた鈴の姿を捉える。

 

「え、えーと……

「最っっっ低!!!女の子との約束をちゃんと覚えていないなんて!犬に噛まれて死ね!」

 

そう怒鳴って、鈴は置いていたバッグをひったくるように持って、ドアを蹴破らんばかりの勢いで出て行ってしまった。

 

「……まずい。怒らせちまった」

 

ああ、さすがにそれぐらいはわかるのか。

しかし、一夏は何故鈴が怒っていたのか分かってないようだった。

 

「……一夏」

「お、おう、なんだ箒?」

「馬に蹴られて死ね。」

「………」

 

一夏は犬に噛まれた後に馬に蹴られて死ななければならないようだ。

………始まりの蹂躙制覇(ブケファラス)でも貸すか?

「とりあえず一夏は今日は反省しておけ。何が悪かったかその奇跡の頭で考えてな」

「奇跡の頭って……、おう、わかった……」

「アキラはどうするの。」

「とりあえず鈴の様子を見てくる」

「頼んだ。お前が行くのが得策だろう。流石に私もあれは同情する」

「じゃあ、おやすみ」

 

そう言って、僕は一夏達の部屋を後にする。

………全く、俺はドラえもんでもギルえもんでもないのに

道具はあるけどな

_________________________________________________________

 

鈴は寮の端にある談笑スペースのソファに膝を抱えて座っていた。

 

「………はぁ、なんかドキドキしてたあたしが馬鹿みたい」

 

鈴はどうやら落ち着いてきているらしい。

 

「…あれは、流石に俺も呆れたよ。」

「でしょ!?ホントにアイツ病気なんじゃないかしら!」

「まあ、少し変化球すぎじゃないか?酢豚に変えるところとか」

「うっ……、でも普通はわかるでしょ!?何で料理の腕が上がったのに、奢らないといけないのよ!」

「確かにな。一夏の脳内ってどうなってるんだろうか」

 

まだ一ヶ月ほどしか経ってなし原作知識も曖昧だが、そう言える。

 

「はぁ……、何か変に疲れたわ。ありがとね、わざわざ来てくれて」

「心配だったからな。箒も同情するって」

「そう…、今回だけは受け取っておくわ」

 

そう言って鈴は微笑む。

すでにかなり立ち直ってきているようだ。

 

「で、明日からどうする?一夏には反省させて自分で考えさせるようにはしておいたけど....」

「そう。だったらアイツから謝罪の言葉がくるまで、アタシからは何も言わないわ!」

 

鈴は再び怒りが湧いてきたようだ。

 

「今回はホンットに頭にきたわ!女の子が勇気を出して告白したってのに!アイツが謝ってくるまで絶対に口聞かないんだから!」

 

そう言って鈴はボストンバッグに八つ当たりを始める。

一夏、頑張れよ。

 

「それにしても一夏の唐変木っぷりは本当に凄いな。」

「そう!そうなのよ!昔からそうだったのよアイツは!あの時なんかアイツ___」

 

この後、消灯時間がくるまで僕は鈴の愚痴に付き合わされた

 

 




新宿鯖1人も来ない....まあ、初めてのカレスコが出たからいいですけど…

あっ、後 SAOの映画見ました。あれ見るとSAOのSS書きたくなりますね。

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