Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜(番外編)   作:黒曜【蒼煌華】

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更新遅れて申し訳御座いません…。
体調が優れない日、小説以外に手を回さなければならない日等が続いてしまい、結果このような情けない事態になってしまいました。
これからは一話を細かく刻んで投稿して行きたいと思っております。
毎週水曜日更新、余裕があれば週に二回更新等は変わらない方向性でやらせて頂く所存で御座います。

もし水曜日更新が無い場合は活動報告に書かせて頂きます故。
ですが、万が一等が起きない場合は毎週一回更新は確実です。
今回は本当に申し訳御座いませんでした。


番外編: 元日(前編)

ーーー翌日ーーー

 

「ふ…あぁぁ…」

 

ㅤ年が明けた日の朝。

ㅤ今日は何だか気持ちの晴れた寝起きだ。

ㅤ何時も感じていたあの気怠さも無く。

ㅤ一年の厄全てが体から剥がれ落ちた感じ、とでも言えば説明つくか?

ㅤ心身共に切り替わった気分だ。

ㅤとはいえ本当にそうなった訳では無いので注意と。

 

…さて、それよりも何時も通り部屋の換気をするべく窓を開けるか。

ㅤ寝起きでぼーっとする頭から身体に無理矢理指示を出して。

ㅤ外は寒いから、本来なら開けたくないのが本音だ。

ㅤ然しそれをしないと淀んだ空気が部屋に篭ってしまう。

ㅤなら開けるわ。

ㅤ取り敢えずは体を起こしてっと。

 

「ん?」

 

ㅤ何だろうか、左腕が動かない。

ㅤ金縛り?部分的な金縛りとか聞いた事無いぞ。

ㅤ然もなんだかもふもふしてーー

 

「…あ、そうだった」

 

ㅤ俺はふと、昨夜の出来事を思い出して布団の上部分を剥ぐ。

ㅤすると左側…其処には可愛い女の子が「くー…すー…」と寝息を立てながら熟睡していた。

ㅤ自分の左腕が動かない理由は、この少女が俺の左腕を抱き締めながら寝ているから。

ㅤぎゅっと抱き締めて離さない。

ㅤ何とも言えんな。

 

ㅤだが、このままでは俺が動けない。

ㅤ何とも言えんな。

 

ㅤまあ、一回起きて貰えば良いだけの事。

ㅤ俺はあづみさんの肩に右手を掛けた。

 

「…うみゅ…だいすけ…くん……」

 

ㅤそして左手で自身に右手を押さえつける。

ㅤ何とも、言えんな。

ㅤ更に両手を胸に当てて悶絶する。

ㅤ分かってはいたーーというかずっと思っていたが、この子の可愛さは異常だ。

ㅤその可憐さ故に道端で攫われないか心配になる。

ㅤだがまぁ、リゲルさんが何時も傍にいるから安心だろう。

ㅤ後一つ、ずっと思っていた事と言えば。

 

「…くー…」

 

ㅤ今は寝ているあづみさん。

ㅤ彼女と俺は昨日の夜、碌に着替えもしないで寝てしまった。

ㅤだからあづみさんは何時もの水色主体の大きなスカートにリボンが特徴的な衣服、俺は言わずもがな。

ㅤ二人共普段着で就寝してしまったのだ。

 

ㅤだが、今現在のあづみさん。

ㅤ普段着では無く、青いラインの入った真っ白でひらひらとしているネグリジェに着替えて隣で寝ている。

ㅤ然も彼女にしては珍しく、足を殆ど、加えて腹部を露出していた。

ㅤ下から覗けば見えてしまいそうな彼女の胸。

ㅤ更には、下着と見間違えてしまいそうになる…というか、見た目完全に下着……。

ㅤなに?ネグリジェってこんな服なの?

ㅤというかあづみさん、一度起きてネグリジェに着替えてから、また俺と一緒のベッドで寝始めたのか。

 

ㅤ一体、何時着替えたのやら。

…その着替えシーンを見たかったなぁ、とか言ったら変態扱いされるんだろうな。

ㅤじゃなくて。

 

ㅤずっとこうして、あづみさんが起床するまで待ってても良いのだが…そうもいかない。

ㅤ俺は彼女の胸元に拘束されている左腕をスルッと抜き取る。

 

「んっ…あっ」

 

ㅤ何やら寂し気な声が聞こえたが、気にしたら負けだ。

ㅤ彼女の反応に気を取られていては何時まで経っても事が進まなーー

 

「…んん〜……」

 

…どうした、あづみさん。

ㅤ其処には何もありませんよ。

ㅤ何故そんな、何かを求める様に手を動かしているんですか?

 

「…だいすけくん…」

 

…あぁ、無理、耐えられない。

ㅤこんな美少女に求められたら誰だって我慢出来ないでしょ。

ㅤ寝ているのにも関わらず手で探り始めるなんて…。

 

ㅤ俺はあづみさんの可愛さに屈し、一度抜いた腕をもう一度傍まで持っていく。

ㅤ換気は後でで良いや。

ㅤ内心そう思った。

 

ㅤ彼女は俺の腕を見つけると、即座にギュウっと抱き締める。

ㅤその姿は完全に見た目年齢同等の幼い少女だ。

 

ㅤとはいえ、あづみさんは14歳。

ㅤ俺と彼女は年齢が一つしか違わない。

ㅤなのにこうも甘えて貰えるなんて…嬉しい事この上ない。

ㅤこれは年齢では無く、信頼度の証だろう。

ㅤ其れ程までにあづみさんから信頼されてると考えて間違い無い。

…よな?

 

ㅤ兎に角、彼女が起きるまでの辛抱だ。

ㅤ幸い片腕はフリーだから、何か片手だけで出来る事をして暇潰し。

ㅤこれまで、そしてこれからもお世話になるであろうブラックボックスの整理とか。

ㅤ片腕…そうだな、それ以外思いつかなーー

 

「…だいす…き…」

 

ㅤあづみさんはそう言いながら、俺の腕をより一層強く抱き締める。

ㅤ凄くにこにこしながら。

 

ㅤその瞬間、俺は片手で出来る事を閃いた。

…いや、閃きという程でも無いけどさ。

ㅤ俺はフリー右手君を、あづみさんの頭の上に優しく乗せる。

ㅤそしてそのまま右へ左へとゆっくり動かしていく。

ㅤ彼女の頭を撫でる度、さらさらとした髪の毛の触り心地を体感出来る。

 

ㅤそれにあづみさんは元からウェーブ掛かった髪の毛。

ㅤ触っている内に手全体に絡んでくる。

ㅤ然し上にスッと上げるだけで指と指の間からするりと抜けていく。

 

ㅤ女性の髪の毛って皆こうなのか?

ㅤリゲルさんの髪の毛も触らせて貰った事があるが、あづみさんと同じ感想しか出て来ない。

ㅤ唯、リゲルさんの場合は髪の毛がストレートな御蔭もあって余計そう感じたのかも知れないけど。

 

「…うぅん…ふぁ…」

「あっ、あづみさん…」

「大祐くん…おはよ〜…」

「…ごめん、起こしちゃったかな」

 

ㅤ俺があづみさんの頭を撫でていると、彼女は虚ろ虚ろとした瞳で意識を起こした。

ㅤそして此方を向き、何だか気の抜ける感じの声で朝の挨拶をくれる。

ㅤ対して俺は、自分の所為で起こしてしまったのでは無いかと心配になって謝る。

 

「…?どうして謝るの?」

「いや…俺があづみさんの頭を撫でていたから起きちゃったのかなと…」

「ううん、そんな事無いよっ。寧ろ気持ち良かったなぁ…」

 

ㅤ何かを思い出す様に目を瞑り、心配ないよという風に態度を表すあづみさん。

ㅤ彼女が気にしていなければ何でも良い。

ㅤなんて思っていると、あづみさんは瞑っていた目を開いて、此方をチラチラと目配りをする。

ㅤ同時に体も揺らして…なんかもじもじしてないか?

ㅤなんか…恥ずかしがってる…?

 

ㅤまぁ。

ㅤ誰だって。

ㅤ異性に頭撫でられたら恥ずかしいよな。

ㅤ因みに俺は異性だろうが同性だろうが頭を触られるのを異様に嫌う。

ㅤ理由、知らない。

ㅤ知ってたら苦労しない。

ㅤ心では何と無く嫌いだなと思いながらも、体は拒絶反応を示す。

 

ㅤだからルクスリアさんは天敵だ。

ㅤ俺が頭を撫でられるの嫌っている事を知っているのかいないのか、偶に手を伸ばしてくる。

ㅤあぁ、クリスマスイブの時のカウントは無しで。

ㅤあれは不可抗力だ。

 

ーーて、俺の話は良いんだよ。

ㅤ今は彼女が恥ずかしがっている理由を聞かねば。

 

「………」

「………」

「…ええと、あづみさん?どうかした?」

「……うんとね…その…また、撫でて欲しいなぁ…なんて」

 

ㅤあ、成る程。

ㅤならば。

 

「御構い無しに」

「あ、ありがと…えへへ…///」

 

ㅤ俺は彼女が望んだ事は何でも実行する。

ㅤ右手を徐にあづみさんの頭の上へ、そっと置き。

ㅤ軽く左右へ動かす。

 

ㅤすると、彼女はニコニコとしながら気持ち良さげにしていた。

ㅤ何だか小動物を撫でている気分になる。

ㅤ何時迄もこうしていたい。

 

「……あ」

 

ㅤふと思い出す。

ㅤ換気という名の2文字を。

 

「大祐くん?」

「ごめんねあづみさん。少し布団に潜っていて」

 

ㅤ俺はあづみさんにそう促し、ベッドから下りて、自身の部屋の窓を思いっきり開ける。

ㅤ外は一面、真っ白い気色に包まれていた。

ㅤ降る雪が青の世界を白に変えていく。

ㅤ心成しか綺麗に見えた俺だった。

 

ㅤというかーー

 

「くしゅんっ」

 

ㅤあづみさんの嚔が可愛い。

ㅤじゃなくて。

ㅤ流石に雪の日に窓全開は寒い。

ㅤ加えて此処は割りかし高い標高に位置する場所。

ㅤ余計に温度が下がっている。

 

「寒いな…冬真っ盛りだからだろうけど」

「大祐くんはこっちに来ないの?」

 

ㅤあづみさんは此方を心配そうに見つめている。

 

「…入っても良いんですか?」

「えっと…二人の方が…暖まる、から」

 

ㅤ顔を真っ赤にさせながら、途切れ途切れの言葉を繋げて会話にしているあづみさん。

ㅤやはりゼロ距離という物は誰でも恥ずかしいよな。

ㅤ彼女が俺を気遣ってくれての事なのか、将又一緒に居たいだけなのか。

 

「………///」

 

ㅤ布団で目の下辺りまでを隠して、じっと此方を見つめて視線を外さない。

ㅤこの光景、凄い可愛い。

ㅤもうこれは俺に選択肢等無いでしょ。

 

「…彼方に炬燵が有るけど…それでも?」

「う、うん…」

「了解。お邪魔するね」

 

ㅤ炬燵の存在すら拒否した彼女の望みに従い、窓からベッドへ近付いて行く。

ㅤそしてあづみさんが潜っている布団を一度渡して貰い、羽織る様に布団をひろげてから彼女を包む様に後ろから覆い被さる。

ㅤその後足を胡座の状態にさせ、あづみさんに上へ座って頂き。

ㅤ彼女の体全体を布団で包めば完成。

 

ㅤうん、異常に恥ずい。

ㅤ暖かいのには間違い無いが。

ㅤこの気不味さを掻き消そうと何か話題を考えていると、先に喋り始めたのはあづみさんだった。

 

「…大祐くん、あのね」

「ん?どうかしたかい?」

「ずっと思ってたの。大祐くん、私やリゲルの願いを聞き入れ過ぎなんじゃないのかなって。それじゃ大祐くんが疲れちゃうんじゃないかって」

「…いいや」

 

ㅤ俺は彼女の腹部に両手を重ねて当てる。

ㅤあづみさんの柔らかくて触り心地の良い肌に、直で。

 

「ひゃうっ」

「あっ、ごめん…大丈夫…?」

「だ、大丈夫。ちょっとびっくりしちゃっただけ」

「…このまま話を続けても?」

「えっとね、寧ろこのままが良いな…」

 

ㅤあづみさんもあづみさんで、人の事言えない位に献身的だ。

ㅤもしかしたら「このままが良いな」という言葉、俺を気遣って言ってくれたのかもしれないし。

ㅤまぁ…気にしても仕方ないよな。

 

ㅤ彼女の許可も頂き、この状態で話を進める。

 

「何時も言ってると思うけどね、俺は二人の望みを叶えてあげたいんだ。それが俺の幸せであり、生きている意味でもある。この気持ちはずっと変わらない。死ぬまでーーいや、死んでからも」

 

ㅤ死んだら先ず存在自体が危うくなるけどな。

ㅤなんて心で突っ込みを入れておきながらも、これは本心から思う気持ち。

ㅤ言葉にして述べた通り、一生変わる事は無い。

ㅤ二人の幸せが俺の望みでもあるのだから。

 

「…私だって、同じだもん…」

「あづみさん?」

「…あっ、ううん!何でも無いよ?」

「?」

 

ㅤあづみさんが何か呟いたが、残念ながら言葉を聞き取れなかった。

ㅤ彼女は偶に、こうして小さく呟く事があるだけど…今まで耳に入って来た事は一度も無い。

ㅤそろそろ歳かなぁ…嫌だなぁ…。

 

「…でも」

「でも?」

「大祐くんが生きて傍に居てくれるだけで、私とリゲルは幸せなんだよ?」

「それ、本当ですか?」

「本当よ」

 

ㅤ何やら今日初めて、然し乍ら聞き慣れた感じの声に慌ててあづみさんの腹部から手を離す。

 

(むぅ〜…離さないもんっ)

 

「おぁっ!?」

 

ㅤなんか凄い力で両手を掴まれてる。

ㅤ離せない、でも…暫くあづみさんに掴まれたままでも良いかな。

ㅤって、一番手っ取り早い方法があった。

 

「ひぁっ!?」

 

ㅤ俺は自身の手をワシャワシャと動かして、彼女の露わになっている腹部を擽ぐる。

ㅤこうすれば直ぐに拘束を解けるだろう。

 

「大祐くんっこれっいやぁ…」

「え?何の話です?」

「あ、あづみ、大丈夫?」

 

ㅤ布団の中でもぞもぞと動くあづみさんを、リゲルさんが不思議そうに見ている。

ㅤそんな中でも俺は擽ぐりを止めない。

ㅤまだ拘束されているから。

 

「これ以上はっ…壊れひゃう…」

「じゃあこの手をーー」

「いやぁっ」

「二人で何して…まさか!大人の階段を!?」

 

ㅤ布団から顔だけを出して怪しげな動きをする俺とあづみさん。

ㅤそれが余程気に掛かったのか、リゲルさんが思いっきり布団を剥いだ。

ㅤその衝撃であづみさんが下にスルッと落ちてしまい。

ㅤ胡座の状態をキープしていた俺がそれを食い止めてギリギリ落ちずに済んだものの。

ㅤあづみさんの着ているネグリジェの中に手が入りそうになっているのが現状。

 

「大祐!?何しようとーー」

「違いますからね!?断じてあづみさんの胸部を触ろうとだなんて…!」

「………」

「…あづみ…さん?」

 

ㅤ唐突に、急に、黙り込むあづみさん。

ㅤ一度自分の胸元を見つめ。

ㅤそして頰を真っ赤に染めながら此方を振り向き。

 

「…大祐くんになら…触られても…良い」

 

ㅤ衝撃の一言。

ㅤアニメとかで良くある、唇だけズームインして放たれそうな一言。

ㅤ無理、耐えられない。

 

「あづみ!?」

「…耐えろ、俺」

「大祐!手が動いてる!駄目ぇ!」

 

ㅤ今度は何事かと思いきや、リゲルさんが隣へダイブ。

ㅤそして俺の手を鷲掴みにして。

 

「さ、触るなら…その…私ので我慢しなさいっ!」

「リゲルさんまで!?」

「べ、別に大祐に触られたい訳じゃないわ!あづみが襲われない為に言ってるんだから!」

「あぁもう!襲いませんから!」

 

ㅤなんかもう…朝から波乱の幕開けとなってしまった。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「…と、いう訳です」

「成る程…私の勘違いだったわね。ごめんなさい…」

 

ㅤソファーに座りながら落胆するリゲルさん。

 

「いえ、側から見ればあれ、結構危ない映像でしたもんね」

 

ㅤあづみさんの表情も、何だかとろ〜りとしてたし。

ㅤ凄く…こう…心の底から襲いたくなった。

 

「あづみさんも何故あんな事を…」

「そうよ!幾らあづみでも年齢的にあれはーー」

「ご、ごめんなさい…気付いたら、その…つい、自然に…」

 

(可愛えぇ!!)

(困ってるあづみ…可愛い)

 

ㅤ至極言い辛そうに喋るあづみさん。

ㅤ次第にその声は小さくなっていき、遂には縮こまってしまった。

ㅤ俺は、そんなあづみさんの肩をポンポンと叩く。

ㅤすると地味に半泣きになりながら此方を向いてくれた。

 

「…あづみさん、先の発言。冗談でも嬉しかったよ」

「…えっとね…あれ…本気だったの」

 

ㅤ俺から視線を外して恥ずかしがる彼女に、俺はぐいっと顔を近付ける。

 

「だとしたら凄く嬉しい。ありがとね」

「〜〜〜///」

「…少し羨ましい…」

 

ㅤリゲルさんがじっと此方を凝視しながら、寂しそうにしている。

ㅤだとすれば。

ㅤ後でリゲルさんだけを部屋に呼んで色々と話し合ったりしようかな。

ㅤ二人っきりで。

 

「取り敢えずリゲルさん。貴女も衝撃発言してましたからね」

「えっ…な、何の事かしら?」

「そうだね。あのままだったら、大祐くんとリゲルがーー」

「あ、あづみ、それ以上は…」

 

ㅤベッドからソファーへ連れて来たのは良いが、赤裸々な話に変わりは無さそうだ。

ㅤこのまま話を続けられると俺の精神が死んでしまう。

ㅤ一旦別の話に切り替えて…。

 

ㅤそう思った俺は時計の時刻を確認する。

 

AM6:00

 

ㅤ6時ぴったりか…。

ㅤ今日って何か特別な行事とかってーー

 

「あ!」

「…びっくりしたわね」

「どうしたの?大祐くん」

「けましておめでとう御座います。今年も宜しくお願い致します」

「急に礼儀正しい挨拶ーーそうだ……今日は元日だったね」

「私とした事が…すっかり忘れていたわ」

 

ㅤどうやら三人共、元日という概念が頭から消え去っていたようだ。

ㅤ一年を越して、又新しい一年を始める一歩の日。

ㅤそんな特別な日を思い出しすらしなかったとは。

 

「大祐くん、リゲル、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

「あづみ、大祐、明けましておめでとう。今年も宜しくお願いするわね」

 

ㅤ後はベガさんだけなんだけど今は外出中で家に居ないらしい。

ㅤ昨日から忙しそうにしているのを見ると、何か秘密の行事に出ているとか…。

…秘密の行事って何だ?

 

ㅤまぁまぁ、ベガさんには会った時に挨拶するとして。

ㅤ全員新年の恒例挨拶が終わった所で、時間も時間だし。

 

「新年と言えば神社ですよね。準備して行きません?」

「御参りね。私は賛成よ」

「うんっ!私も行きたい!」

 

ㅤ満場一致。

 

ㅤこうして俺、あづみさん、リゲルさんで神社に行く事となった。

ㅤ平和で楽しい時間が、始まりを告げる。

…波乱になる予感が当たりませんように。

 

ーーー




小説を止める気は一切御座いません。

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