Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜(番外編) 作:黒曜【蒼煌華】
ㅤさて、準備が出来たのは良いものの。
ㅤ俺ときさらちゃんは互いに、タオル一枚巻いただけ。
ㅤひょんな事でずり落ちない事を願おう。
ㅤ因みに、あづみさんやリゲルさんは未だに就寝中だ。
ㅤそれならいっそ、誰にもバレずにこのまま終わってくれ。
ㅤヴェスパローゼさんは音信不通だしな…態とというのはバレバレだけれど。
ㅤふと、手を握られる感触が伝わってくる。
「だいすけっ」
ㅤ目線を下にやると、きさらちゃんが此方を見つめていた。
ㅤチョコレートでべたべたになっているきさらちゃんが。
ㅤこれは…改めて見ると凄まじい光景だな。
「きさらちゃん…、そうだね…先ずはシャワーでチョコレートを軽く流そうか」
「うぃ」
「問題はチョコレートを完全に落とす方法だけど…其処ら辺は詳しく無いからな。何にせよ、助っ人は必須か…」
「ろーぜ?」
「ヴェスパローゼさんが主犯の様な物だからね…違う方にお願いするしか無いかな」
ㅤ彼女とそんな会話を交わしつつ、シャワーの蛇口を捻る。
ㅤすると、温水が勢い良くシャワーヘッドから噴出された。
ㅤ噴出口を下に向けておいたから良かったものの、反動でシャワーホース其の物が全体的に震える。
ㅤ最悪顔面に水圧アタックをかまされる所だった。
ㅤ次からは気を付けねば…。
ㅤと、大分温度が調節出来た所で、風呂場用に作られた柔らかなクッションの上へと、きさらちゃんに座って貰う。
ㅤ勿論タオルは巻いたまま。
ㅤ何方かと言えばクッションの方が気になる?
ㅤそうだな…材質は………………忘れた。
ㅤ今はそれどこれでは無い。
ㅤ最早クッションの設定がガバガバだ。
ㅤこちとら焦っているのですよ、えぇ…!
ㅤ何故が故、バレンタインデーに、7歳という幼い少女と風呂場に居るんだか…。
ㅤだが、まあ…あまり深く気にしても仕方が無い、か。
ㅤこうなってしまった以上は何とかするしか無いだろう。
「…きさらちゃん、お湯、当てるね」
「ぅゅ…」
「ふふっ、大丈夫だよ。怖くないから」
ㅤ水圧を低めに、出来るだけ熱過ぎず冷た過ぎず。
ㅤ彼女の体に対しての適温を調整し、シャワーから流れ出る温水を、ゆっくりときさらちゃんの体に当てていく。
ㅤあまりに急だと、きさらちゃんがびっくりしてしまうからな。
「…どう、かな。この温度で大丈夫そう?」
「…ぅ……うぃっ」
「無理しないでね、言われた通りに調節するから」
「だいじょぶ、だいすけ……やさしぃ」
「ありがと、きさらちゃん」
ㅤ何だか…微笑ましいな。
ㅤ本当、きさらちゃんに対して異質な感情を持たない自分に感謝だ。
ㅤ急に話が変わるが…俺はこう言った幼い少女を性的な目で見るのは、熟大嫌いでな。
ㅤ少しばかり言葉遣いが悪くなるが…胸糞悪くなる。
ㅤそう言う趣味を持つのは勝手だが、実際、行動に移すという奴は少なからず居るからな。
ㅤ因みにだ。
ㅤ俺の中での基準、それはあづみさんまでの年代に言える事。
ㅤ要するに14歳。
ㅤ未だ14歳以下の少女に、手を出すやら自らの欲をぶつけるやら…意味は同じか。
ㅤ何れにせよ、そういった幼い少女が穢される姿は見ても聞いても気分が悪いな。
ㅤ心理学的には13歳以下がどうとか言われているが…如何せん、14歳の少女達が周りに多くてな。
ㅤ後は先程話していた『穢される姿を〜』という話…それが2次元であろうが一緒だ。
ㅤいやまぁ…2次元だからこそ、自分の欲をぶつけられるのだろうが。
ㅤじゃあ俺自身、そういった物を視界に入れなければ良いという話だが…あぁ、知っているさね。
ㅤ簡潔に終わらせよう。
ㅤ世の中物騒だからな。
ㅤ何としても俺が守らねば、という話だ。
ㅤ大分狂ったな…。
ㅤうむ、そんな自己主観的な話は置いといて。
「…あづみさんもきさらちゃんも、まだ幼い。だからこそ、守ってあげなければ。彼女達に手出しした輩は…生かしておかない」
「…だいすけ、しゃわ…たおゆ」
「ん?」
「とえた」
「…っ!?」
ㅤ考え込み、その最中。
ㅤきさらちゃんから名前を呼ばれたと思いきや。
ㅤ少しの間、温水を当てていた為かタオルの巻きが緩くなり。
ㅤきさらちゃんのタオルがずり落ちてしまっていた。
ㅤてっきり、タオルが肌にくっ付いてくれるかと…甘い考えが招いた悲惨な結果。
ㅤ俺は慌てて目線を横に向け、きさらちゃんに一言伝える。
「き、きさらちゃん…タオル、巻けるかな…?」
「ちぉこ、おちてきた」
「…っ!きさらちゃん、良い、此方に体を向けちゃ駄目だからね…!?急いでチョコレートを落としてあげるから…!」
「うぃっ」
ㅤもう何が何だか良く分からない。
ㅤ慌てふためく自分に『落ち着け』と言い聞かせるものの、頭では色々と考えてしまい。
ㅤ取り敢えずきさらちゃんの方を向き。
「えっとね…タオルの端、此処ね。これを脇で挟んで貰えるかな…?」
ㅤそう言って見ると、きさらちゃんは無言で頷き、両脇でキュッとタオルを挟み込む。
ㅤ最初からこうしておけば焦る必要は無かった…というのは知っている。
ㅤ兎に角、きさらちゃんの裸体を見ない様に全力を尽くしているからこそ、こうしてあたふたしてしまう。
ㅤまだまだ冷静さが足りないな…そう、痛い程実感した。
ㅤそんな事を思いながら、きさらちゃんの髪の毛に付いたチョコレートを、温水で流していく。
ㅤだが…チョコレートがそんな簡単に落ちる筈が無い。
ㅤ分かってはいたが、まさか洗剤を使う訳が無いだろう。
ㅤきさらちゃんの綺麗な髪の毛を、傷ませる訳にはいかないからね。
ㅤだとするとどうするか。
ㅤ先ずは応急処置程度に、以前の俺が使用していたシャンプーを使うしかないか…。
ㅤ今は髪の毛を切ってしまったから、あまり気にしていないが…一応ながら気に掛けてはいた。
ㅤヘアーがロングしていた時の話。
ㅤ傷むとパサパサになって、変に跳ねてしまうからな。
ㅤそんな時に使っていた、このシャンプー。
ㅤまぁ便利な事で。
ㅤって、商品説明みたいな話は捨て置いて。
ㅤ例のシャンプーを泡立たせ、きさらちゃんの髪の毛へと絡ませていく。
ㅤ長い髪を洗うのはお手の物さ。
ㅤ然し…実際に女性の髪の毛を洗うのは初めてで。
ㅤ扱いが中々、難しい。
ㅤ特にきさらちゃんの髪の毛は畝り、要はウェーブが掛かっているからこそ、更に難易度が上がっている。
ㅤ出来る限り優しく、チョコレートはしっかりと落とす様に、彼女の髪を洗っていく。
「…きさらちゃん、痛くない…?」
「ふゅ………きもち、ぃい……」
「なら良かった…。泡が目に入らない様に注意してるけど、万が一の時は教えてくれると嬉しいな」
「んっ」
ㅤ少しばかり体を揺らし、反応を示してくれるきさらちゃん。
ㅤ可愛い。
ㅤそして、らんらんと鼻歌を歌うきさらちゃん。
ㅤとてつも無く可愛い。
ㅤ彼女の鼻歌には、何時も癒される。
ㅤそんな癒しのひと時に、ふと。
「………………だいすけ、だぇかきたっ」
「えっ、と…誰だろうか。今は申し訳無いが出られないーー」
「へあ……はぃてきた」
「っ…!?まさか…!!」
ㅤアクシデントが発生した。
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