Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜(番外編) 作:黒曜【蒼煌華】
丁度1ヶ月近くが経ちましたね。
待ってて下さった読者様方、誠に感謝致します。
今回は番外クリスマスイブ回という事で、本編でまだ登場していないキャラも出ます。
設定としては、主人公(九条大祐)とその親友(森山碧)がZ/X原作のいざこざ問題を解決し、平和になった世界。
ディンギル(神様)やウェイカー(竜)の敵対すら無くなっております。
一言で言うなら。
普通の人間とZ/Xが共存成功した世界ですね。
読んでいて分からない事、面白かった所等御座いましたら感想にお願い致します!
作者としてはどんな感想も大歓迎ですからね!
(因みにこの話は、後々本編に関わってきます)
「うーん…どうするか」
華美と呼ぶに相応しい程綺麗な白い結晶が降り積もるある日。
九条大祐は一人、様々な種類の店屋に足を運んでいた。
彼此四時間は立ちっぱなしの歩きっぱなし。
自らが探し求める物に出会うまで、その歩みは止まる事を知らない。
最初は洋服店から始まり、次にアクセサリー等を取り扱う小物専門店、そこでも探し物が見付からない、と…
更には本屋へ寄り、オススメの旅行先が紹介された雑誌を物色。
それでもピンと来ない九条大祐は、頭を抱えて悩んでいた。
彼が何故、こんなにも苦悩しているのか。
気になった方々も少なくは無いだろう。
抑、前提として九条大祐には二人の恋人が存在する。
別に浮気だとか、彼自身が女っ誑しという訳ではない。
相手二人の了承をしっかりと得ての関係だ。
間違っても昼ドラ、深夜ドラマの様な泥沼は無い。
至って普通の、純粋な恋愛だ。
例の相手二人が少々特殊である事も含め。
「いやぁ…やっぱり寒いな。早いとこ切り上げないと凍え死ぬ事間違いない」
その前提を踏まえ、彼が頭を抱える理由。
先程の彼女二人に上げるプレゼント選びをしていたのだ。
プレゼント?一体何の日?
まさか彼女二人が同日誕生日だったり?
いや、そうではない。
しんしんと沢山の雪が降る季節、冬。
そんな冬に起こるイベントと言えば、先ず最初に思い浮かべるであろう。
そう、今日はクリスマスイブ。
残念ながら当日ではないものの、明日にはクリスマスという特別な日を迎える。
故に九条大祐はプレゼント選びに苦悩を強いられていたのだ。
(女性が貰って嬉しい物かぁ…考えた事も無いな)
ㅤ指を口元に当て、下を向きながら兎に角歩く。
ㅤ一番手っ取り早いのは本人達に聞く事だが、彼は二人に内緒で外出している。
ㅤサプライズとしてプレゼントをあげたいからだ。
ㅤそれがバレては元も子もない。
ㅤ今日は二人も外出するという、タイミングが合わさった為に勢いで出てきたものの。
ㅤ手詰まってしまったのが現状。
(流石に何も渡さないってのは嫌だし、意地でも探すか)
ㅤクリスマスという特別な日に大切な人へのプレゼントは絶対。
ㅤ彼の中ではそれが最もとなっている。
ㅤだからこそ、ここまでプレゼントに執着しているのだ。
「さぁて…漂う詰みゲー臭。ここは誰か違う女性に聞いてーー」
ㅤ彼女達に聞けないのであれば、自分の知っている女性に相談すれば良い。
ㅤそう思った九条大祐は片っ端から女性の知り合いを思い出そうとする。
ㅤが、次の瞬間。
「大祐くん、み〜つ〜けたっ♪」
「おぁっ!?」
ㅤ急に後ろからど突かれた様な衝撃が体全体に走り、九条大祐は前に押し出される。
ㅤ更には首元に腕を絡ませられ、身動きが制限された。
ㅤ一瞬何が起こったのか分からなくなった九条大祐だが、直ぐに察しはついた。
ㅤ自身の首元に回されている華奢な腕。
ㅤ自身の背中に押し付けられる二つの大きな物体。
ㅤその気になれば男性を一発で落とせそうな艶やかな、そして少しの幼さが混じった声。
ㅤ明らかに自分の物では無い綺麗な紫色の髪の毛。
ㅤ加えて、自身を指して呼ぶ一人称。
ㅤ九条大祐は思い当たる人物が1人しかいない。
「…ルクスリアさん、何故普通に出てきてるんですか」
「面白そうだったから?」
ㅤそう、先程九条大祐に背後から襲い掛かって来たのは『七大罪色欲の魔人・ルクスリア』
ㅤ何時も自由奔放な彼女の名前だ。
「はぁ…ルクスリアさん、来るのは一向に構いませんよ?ですが、その服を何とかして下さい」
ㅤ今二人が話し合っているのは、大勢の人が行き交う大通り。
ㅤそんな場所で、ルクスリアは何時も通りの露出が高い衣服を身に付けていた。
ㅤ通り過ぎる男性は皆足を止めルクスリアに魅惑され。
ㅤ通り過ぎる女性は皆嫉妬という感情を顔に出し。
ㅤある意味九条大祐も注目の的になっていた。
ㅤ人気者として受ける視線は誰も嫌がりはしないだろう。
ㅤ事実、九条大祐もその一人だ。
ㅤだが、今浴びている視線はそういう類の物では無い。
ㅤ嫉妬や哀れみといった視線だ。
ㅤそれでいて、ルクスリアは相変わらずニコニコしている。
ㅤ対して九条大祐の表情は萎えていた。
ㅤ一刻も早くこの場から消えたいと思った彼だが、それよりも気に掛かっていた事があった。
「えーと、この服じゃ駄目だったかな…?」
「悪くはありませんよ。けどですね、此処は大勢の人が居るんです。派手過ぎじゃーー」
「私はこれが普通だけど」
「…何より、寒く無いんですか?そんなに色々露出してて」
ㅤ九条大祐はルクスリアの体を心配していた。
ㅤ幾らZ/Xとはいえ、体は人間。
ㅤ冷やしてしまっては風邪を引いてしまうと、気を使っているのだ。
ㅤその気持ちに気付いたルクスリアは、もっと強く彼の体に抱き付く。
ㅤ周囲の男性の嫉妬度が100上がった。
「大祐くんって、何かといって私を気遣ってくれるわよね。流石私の大祐くんっ♪」
「俺はルクスリアさんの物になった積りは無いですから!…ほら、早く洋服屋に行きますよ」
「えっ?」
ㅤルクスリアは自分が予想していた未来と違い、少し驚愕の音を漏らしてしまった。
ㅤ彼女の予想。
ㅤ彼に抱き付く→引き剥がされる→帰れと言われる→それでも強引に付いていく。
ㅤだった筈が、まさかの展開。
ㅤルクスリアは少しの時間思考がストップした。
ㅤ彼女は九条大祐の体に抱き付くのを止め、彼の後ろで呆然とする。
ㅤすると、ルクスリアの前に九条大祐の右手が差し伸べられた。
「その服じゃ幾ら何でも寒いでしょう。俺からお金出すんで、新しい服を買いに行きましょ?移動中は俺のコートを貸しますから」
「えっあっ…う、うん」
「サイズは大丈夫だと思いますが…デカ過ぎても文句はーー」
「言わないに決まってるじゃないっ、ありがとね♪」
ㅤそう言いながら、ルクスリアは手渡された彼の黒コートを羽織る。
ㅤ何時も素っ気無い反応を返す九条大祐に優しくされた彼女は、満面の笑みを浮かべた。
ㅤその笑顔を、不覚にも可愛いと思ってしまった九条大祐。
ㅤ彼はルクスリアから視線を逸らし、遠目に見える洋服屋を目指す。
「やっぱり大祐くんは優しいわね」
「…!」
ㅤ九条大祐は彼女の言葉に一瞬反応してしまったものの、無言の早歩きを始める。
「あっ、女の子を置いてっちゃ駄目なんだぞー」
ㅤ少しの幼さが混じった声でそう呼び掛けながら、九条大祐のゼロ距離まで近付く。
ㅤ丸で本物の彼女の様に、ルクスリアは彼の腕を離さずに付いて行った。
ㅤ道中何人もの男性に睨まれながらも九条大祐は気にせず目的の洋服屋に歩みを進める。
ㅤそんな彼とは正反対の如く、彼女はるんるん気分で楽しんでいた。
…言うて遠目に見えるだけ。
ㅤ徒歩5〜10分程で二人は洋服屋に到着。
ㅤ外装は、若い者達が入りそうなキャピキャピしてるものでは無く、何方かとか言えば清楚な見た目。
ㅤ建物自体は黒く、店の名前等の文字系統は白。
ㅤそこはかとなく高級感のある洋服屋だ。
ㅤドアは手動。
ㅤ九条大祐が手前に引き、ルクスリアを先に入店させる。
ㅤ常にレディーファーストの精神を持つ彼にとって、最早この行為自体が体に染み付いていた。
ㅤルクスリアは一言御礼を言いながら、洋服屋へと入って行く。
ㅤそれの後に続く様に九条大祐も入店。
ㅤ内部は外装と違い、仄かなオレンジ色の暖かな光で包まれていた。
ㅤ何とも目に優しく…そして売り物の衣服に映える。
ㅤ売られている服に奇抜な見た目の物は少なく、シンプルな仕上がりの物が置かれている。
「どれがルクスリアさんに似合うかな…」
「ここのお店の服、随分と露出を押さえてるわねぇ」
「普通ならこれ位ーーいや、ルクスリアさん基準じゃ押さえてる方か…」
「?」
ㅤ九条大祐はルクスリアに聞かれないよう、小声で声を漏らす。
ㅤ取り敢えず目の前に台に置いてある衣服を見つめ、ふと大事な事を思い出す。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「…こんな質問したくないんですが」
「私なら何時でもオッケーよっ♪」
「ルクスリアさんのスリーサイズ」
「んもぅっつれないわねぇ。…私のスリーサイズ…94-60-90ね。もしかして大祐くんは巨乳派?それなら、大祐くんと私がーー
「…何言おうとしてるんですか!?」
「ーーすれば、もっとおっきくなって、大祐くんを満足させてあげれるわよ♪」
ㅤルクスリアの放送禁止用語は九条大祐の大声で掻き消されたが、周囲の客の視線を一気に集める始末となってしまった。
ㅤ九条大祐は無言で頭を下げ、彼女の腕を引っ張って試着室まで連れて行く。
ㅤその間にルクスリアが甘い声を出し続けるも、彼は無視を貫いた。
ㅤルクスリアを連れ、彼女を試着室の中に押し込む。
ㅤ一緒に行動をしなければ静かにする筈だと思った九条大祐。
ㅤ考えられる方法は、これしか無かった。
ㅤ彼は苦虫を噛み潰した様な表情でルクスリアを見る。
ㅤ彼女はその視線に体をくねらせる、九条大祐は呆れて溜息を吐く。
ㅤ誰かにヘルプを出したくなった彼であった。
「良いですかルクスリアさん、俺が服を選びますから、貴女は此処に居て下さい。良いですか、絶対ですよ。分かりました?」
「…むぅ〜、つまらないわね。まあ、大祐くんが選んでくれるなら素直に待ってるとするわ」
ㅤそんなルクスリアの言葉に強い不信感を抱いた九条大祐は、彼女を睨む形で見つめる。
「なーに?丸で発情期の動物みたいな目をしてるわよ。大祐くんって試着室でヤっちゃうタイプ?」
「あああぁぁぁ!もう、ちょっと行ってきますから!」
「行ってらっしゃい、旦那様♪」
「…疲れた…精神的疲労で死ぬ…」
ㅤフラつく足取りでありながらも、約束は守る為に努力する。
ㅤ九条大祐はルクスリアに似合う衣服を探しに店内を歩き回る。
ㅤ彼の顔は若干老けていた。
ㅤ途中倒れ掛けた体を、服選びの相談を受けてくれていた男性の店員に助けて貰った。
(…あれ、当初の目的って…何だっけ)
ーーー
ㅤ凡そ20分程。
ㅤ試行錯誤の末、ルクスリアに着せる為の衣服を何着か見つける事に成功。
ㅤサイズの問題や見た目、何より彼女が気に入ってくれるか。
ㅤこの三点を重視して選んだ為に時間が少々掛かってしまった。
ㅤ九条大祐は選抜した衣服を片手に急いで試着室に戻る。
ㅤ其処には、待ち草臥れた様子のルクスリアが頬を膨らませて待っていた。
ㅤ試着室の外で。
「女の子を待たせちゃいけないって前にもーー」
「言われた覚えはありませんからね。…けどまぁ、待たせてしまい申し訳御座いません」
「でも、大祐くんが私にお似合いの服を探してきてくれたんだから。私が気に入ったら許してあげても良いよ?」
「…気に入らなかったら?」
ㅤルクスリアはその言葉を待っていたと言わんばかりに、舌で唇をペロリと舐める。
「気に入らなかったら…勿論、大祐くんを頂いちゃうから…♪」
「何故そうなるんですか!?」
「損害賠償?」
「意味違いますからね」
ㅤ衣服を買ってあげ、その衣服が彼女に似合うか悩んだ末に、損害賠償請求。
ㅤ冗談でも止めて欲しいと九条大祐は願った。
ㅤ兎に角、このままでは話が進まない。
ㅤ九条大祐は片手に持ち掛けている衣服をルクスリアに手渡す。
ㅤこれさえ済めば、後はルクスリア本人で何とかしてくれるだろう。
ㅤ彼の心に一瞬の安堵、そして油断が生まれた。
「それじゃあ、何かあったら俺を呼んで下さい。ルクスリアさんが出てくるまで此処にいますんで。あ、コート」
「勿論お返しするわ、ありがとねダーリン♪」
「…もう好きに呼んで下さい」
「ふふっ♪」
ㅤルクスリアは可愛らしい笑顔を彼にプレゼントし、試着室の中へ入って行く。
ㅤ女性の着替え=長いと認識している九条大祐は、近くの壁に背中を預ける形で靠れる。
(ダーリンて…相馬さんは何処へ)
ㅤ彼の中では思う所が多々あるのだろう。
ㅤ然しそんなどうでも良い事を脳内から振り払う様に、頭を左右にブンブンと動かす。
ㅤ取り敢えず何もせずにルクスリアを只管待つ。
ㅤ腕を組み、目を瞑って、その状態が10分程経過した時。
「大祐くん、ちょっと良いかしら…?」
ㅤ彼女が試着室から顔だけを出し小声で九条を呼ぶ。
ㅤ九条はルクスリアに呼ばれ、試着室へと近付いていき。
ㅤ要件だけを聞く為に耳を寄せる。
「この服の着方なんだけどね」
「…俺は試着室の悪魔にでも取り憑かれているのか」
ㅤ彼がこんな事を言うのには訳があった。
ㅤ以前、九条大祐は各務原あづみという少女の着替えを手伝ってあげた事があり。
ㅤその時以来、あまり女性の試着に付き合うのは遠慮していた。
ㅤ各務原あづみと彼はお互いを理解し合っていたから良かったものの。
ㅤルクスリアと九条大祐は其処まで親密な関係では無い。
ㅤでは何故、例の少女は大丈夫だったのか。
ㅤ単純に、その各務原あづみという少女は前述に記されている九条大祐との親密な関係を築いた女性だ。
ㅤそしてもう一人、九条大祐と相思相愛の仲の女性とは。
ㅤ各務原あづみを一番大切で自身の宝物とする、各務原あづみのパートナーであるZ/X「リゲル」。
ㅤこの二人が九条大祐と恋人同士なのだ。
ㅤだが、リゲルは最初の頃、各務原あづみを愛し過ぎているが故に自分自身が彼に好意を抱いていようが各務原あづみが九条大祐と繋がる事を応援していた。
ㅤ然し幾度と無く彼の魅力に惹かれたリゲルは九条大祐に対する思いが我慢の限界に達し。
ㅤ遂に彼へ、自分の気持ちを素直に伝えた。
ㅤその後は色々とあったが、三人承知の上で結ばれる結果に。
ㅤ二人の女性の真っ直ぐな気持ちが、こうしたハッピーエンドを迎えた。
ㅤ因みに最初は各務原あづみから自ら好意を伝えたらしい。
「…で、要件は」
「…やっぱりなんでもなーい」
「いや、必要なら何でもしますけど。性的行為以外なら」
「だって大祐くん、嫌々そうなんだもん。だからもうちょっと待っててくれるかしら?私だけで解決するから、ね?」
ㅤそう言って、ルクスリアは試着室の中へ戻っていった。
ㅤ九条は直様察する。
ㅤ彼女は自分を思いやり、一人で何とかすると言ってくれた事を。
ㅤそしてその彼女の表情は何処か寂し気な雰囲気を醸し出していた。
ㅤ少しの罪悪感に包まれつつも、言われた通りにルクスリアを待つ。
ㅤ下手な手出しは無用と考えたのだろう。
ㅤ今度は、ルクスリアを心配する様に試着室を見つめる。
ㅤ大体20分程経過した時。
ㅤ再度ルクスリアが試着室から出てきた。
ㅤ今回は顔だけでなく、しっかりと全身を。
「じゃーん♪似合ってるかしら?」
ㅤ彼女はそう言うと、その場でくるっと一回転をして見せた。
ㅤ対する九条大祐はルクスリアの姿に無言となる。
ㅤ彼は自ら彼女に似合う服を探していた。
ㅤだが、あまりにもルクスリアの容姿とマッチし、可愛さに絶句とい訳だ。
ㅤ思わず視線を逸らす九条大祐。
ㅤその反応を面白く感じたのか、ルクスリアが前屈みになってゼロ距離まで詰め寄る。
ㅤ彼女の顔は笑顔で一杯だった。
「あれ?何か言ってくれると思ったんだけどなぁ?」
(完全にルクスリアさんになめられてる…!)
「い…いや、純粋に可愛いと見て取れますよ」
「本当!?やった〜♪」
ㅤ九条は精一杯の受け答えをした。
ㅤ自分に嘘は吐かず、素直に感じた事を彼女に伝える。
ㅤするとルクスリアは彼に褒められたのがよっぽど嬉しかったのか、機嫌良さ気に九条の腕に抱き付く。
ㅤ急に何かと内心構えてしまった九条だが、次の彼女の発言で抵抗するのは止しとした。
「ありがとっ、大祐くん♪」
(ルクスリアさんにとっては、これが普通なんだろうな)
ㅤスキンシップを好むルクスリアに、馴れ合いを嫌う九条大祐。
ㅤ性格的にも性的な面でも正反対な二人の会話を遠目に見ている人達は、口を揃えてこう言う。
『付き合いの長い恋人同士か?』
ㅤだが。
『違うっ!』
『あったり〜♪』
『1ミリも合ってませんからね!?』
ㅤその質問に対しての答えは何時も変わらない。
ㅤ九条が否定しルクスリアが肯定。
ㅤ相変わらず正反対な二人だった。
(というか…ここまでとは想像していなかった)
ㅤ九条とルクスリアの茶番劇は置いておき。
ㅤ彼は目を逸らしつつも偶にルクスリアをチラ見する。
ㅤそして又逸らす。
ㅤ気付かれない内に。
ㅤ万が一気付かれてしまえば厄介事からは免れないからだ。
ㅤでは、九条が彼女に選んだ服とは。
ㅤルクスリアが凄く満足した服とは。
ㅤ髪飾りやアクセサリー等の小物は一切無く、彼女の角らしき何かが生えている位。
ㅤ上半身には肩出しの白いセーターを、下には黒いミニスカート。
ㅤそして九条大祐コーディネート恒例の黒いニーソを穿いている。
ㅤ言うてそれだけ。
ㅤだけなのだが、ルクスリアはそれさえも可愛く、そしてそこはかとなくエロく着こなして見せた。
「でも、これじゃ寒いままだよね?」
「なので、ルクスリアさんにはこの白いコートか薄く赤いカーディガン、若しくは俺と似たような黒いコートを御自身で選んでーー」
「じゃあ大祐くんと一緒のっ♪」
「…早いですね。それとも、一応全部買っときますか?」
「此れだけで私は充分よ?」
ㅤ黒いコートを両手に持ちながらルクスリアはニコニコと、今日一番の笑顔を見せる。
ㅤその純粋無垢な表情に、九条も思わず笑顔で返した。
ㅤが、一瞬で我に返り無表情へと顔を変貌させる。
ㅤ彼がほんの僅かに見せた笑顔をしっかりと記憶しておきながらも、ルクスリアは静かに黙っていた。
ㅤあまりしつこくちょっかいを出せば彼に嫌われる事位彼女も承知済みだからだ。
「んじゃ、会計済ませてーーあ、そうだ」
「どうかしたの?」
「いや、ちょいとルクスリアさんに相談事が。後で宜しいですか?」
「もっちろん☆お姉さんにまっかせなさーい」
「有難いですよ、ほんと」
ㅤそんな会話を交わしながら、彼女の服の会計を済ませるべくレジへ向かう。
…前に、ルクスリアが服を着替えるのを待つ。
ㅤ着衣したままでは買い上げる事が出来ないのは常識だ。
ㅤその後九条が勘定を進めている間ルクスリアは、彼に買って貰った衣服の入っている袋を大切そうに抱いて持っていた。
ㅤやはり何処か幼さを感じる彼女を見て、九条は微笑みを零す。
ㅤして、二人は買い物を終わらせて外に出てみると。
ㅤ右斜め前方に見える大きな交差点を、九条の知り合いが全力で走っていった。
(…え、へっきー?)
「…大祐くん?」
「あ…すみません、知り合いが居たもんですから」
「そうなの?でも、今は私とのデートに重点を置いて欲しいなっ」
ㅤ内心デートじゃないと突っ込んでおき、何方かと言えば親友の森山碧が全力疾走していた事が気になった九条だった。
ㅤだが、同時に鉢合わせをしたくないと思ったのも事実であった。
ーーー
ㅤ森山碧の案件を気に掛けつつ、九条はルクスリアと二人で飲食店へと足を運んでいた。
ㅤ九条がオススメの店があると言うと彼女は直ぐにでも行きたいと言い出して聞かなかった。
ㅤテンションが異常に高いルクスリアに嫌な予感を感じながらも、渋々例の飲食店へ行く事に。
ㅤこの飲食店はカレー等を主なメニューに、+αで様々な食材を扱う此処らでは人気の高い店だ。
ㅤ然しながら表通り等には店を構えずに、人気ながらも所在地は余り知られずひっそりと経営している、謂わば隠れた名店。
ㅤ九条とルクスリアは人気の無い裏通りを進み目的のこの店へ到着。
ㅤ既にその店の椅子に座りながら何を頼むか悩んでいた所なのだが。
「ルクスリアさんはお決まりで?」
「大祐くんと一緒のなら何でも」
「こういう時位は自分の好きな物を頼めば…まぁ、貴女が良いなら大丈夫ですけど」
「うん♪」
ㅤメニューを決め、呼び出しのベルで従業員を呼び付ける。
ㅤあまり関係無いが現在ルクスリアは何時もの服を着衣中。
ㅤ彼からプレゼントの服は折角買って貰ったのに汚したく無いとの事。
ㅤそんな彼女の反応についつい嬉しくなった九条だった。
ㅤそれはさて置き、従業員が二人の座る席に着き。
ㅤいざメニューの中から飲食物を頼もうとした、その時。
「いらっしゃいませ!ご注文は何にしはりますか?」
「えーと、…………ん?」
「ありゃ?」
ㅤ九条は注文を受けに来た店員の声を聞いて動きを止めた。
ㅤして、徐々に徐々に顔を視界に入れていく。
ㅤ相手方も九条の存在に気付いたのか、彼をじっくり見つめ続ける。
ㅤゆっくりと重なっていく目線が丁度一直線に繋がった時。
ㅤ目と目が合う。
「飛鳥君!?」
「大祐君!?」
ㅤ驚く。
「うぉっ」
ㅤ九条が手を滑らせる。
ガツッ!
「痛った!」
ㅤ結果、近くの窓淵へと頭をぶつけた。
「ちょっ、大丈夫かいな!」
ㅤ天王寺飛鳥は手に持っていた注文を記す為の表をテーブルに置き、手を差し伸ばした。
ㅤ若干の痛みが残る後頭部を摩りながらも、九条は飛鳥の手を取る。
ㅤしっかりと握られたのを確認した飛鳥は一気に引っ張り上げた。
ㅤそれと同時に体勢を整た九条はテーブルの上に項垂れる。
ㅤあまりの痛さに目からは涙が少量溢れていた。
ㅤ未だに後頭部を摩り続けている九条。
ㅤその光景に我慢が利かなくなったのか、ルクスリアが自身の掌を上から重ねる。
ㅤ無論、それで痛みが引く事等無いのだが、彼女は咄嗟に行動へと移してしまった。
ㅤ気持ち少しでも治まってくれれば良いなという感情で。
「うぅ…ありがと、ルクスリアさん…」
「どうせなら私の膝の上に乗せる?前みたいに膝枕をしてあげても良いのよ♪」
「いや、遠慮します。そのまま何されるか分かりませんから」
「む〜…偶にはしてくれても罰は当たらないと思うけどなぁ」
「ルクスリアはんがして欲しいだけやないかい。相変わらずラブラブやな!」
ㅤ天王寺飛鳥の言葉を耳に入れた瞬間、九条は徐ろにバトルドレス『サバーニャ』を装着し。
ㅤ飛鳥の額にGNピストルビットをゼロ距離で構えた。
「もういっぺん言って?」
「…ほんま、冗談やて」
「飛鳥の身に危険が…!其処の貴方!今直ぐにその銃をーー」
ㅤ威嚇の積りで行った行為が、奥の厨房から天王寺飛鳥のパートナーZ/X「フィエリテ」を呼ぶ事となってしまった。
ㅤ更にフィエリテはこの一部始終しか目に収めていない為に九条を敵対視し始める。
ㅤ彼女自身、相手が世界の一悶着を一つに纏めた人物と知った一瞬は動きを止めたが、それを悟られぬよう一伯置いて飛鳥へと駆け寄る。
ㅤフィエリテが、大好きな彼を敵対関係者として見なした事に気付いたルクスリアも立ち上がって九条の前に出る。
ㅤ今にも戦闘へ発展しそうな程に威圧の空気が漂っていた。
「…七大罪色欲の魔人「ルクスリア」。例え相手が誰であろうと飛鳥を狙うのであれば…!」
「あらあら、私を敵に見るのは好きにして構わないけど…大祐くんをその対象にするのだけは許せないわね」
「…ルクスリアはん、大祐君にぞっこんやないか」
「飛鳥君が言う…!?」
ㅤ女性側二名は争い始め、男性側二人は引き気味に距離を取る。
ㅤだが、店の店長が困っている事に目が行った天王寺飛鳥は引くに引けなくなってしまい。
ㅤ無言でフィエリテの腕を掴んで厨房の奥へと連れて行った。
「何をするんですか!飛鳥!」
「…このままじゃ僕の給料が激減してまうやないか。それだけは嫌や」
ㅤ独り言を呟く飛鳥に怒鳴り散らすフィエリテ。
ㅤそんな二人の背中を見ながら、九条とルクスリアは静まり却ってしまった。
ㅤ今日は他に人が居なかったのが不幸中の幸いだっただろう。
ㅤ人気といえど隠れた名店の宿命だ。
ㅤそれが功を奏したとも言えるのが現状、彼等の場。
ㅤルクスリアと九条はどうする事も出来ずに唯呆然と飛鳥の帰りを待つ事にした。
…凡そ五分程。
ㅤ互いの問答が済んだのかフラフラとしながら天王寺飛鳥が奥から姿を現した。
ㅤそれに続き、未だに頬を膨らませ腕を組み、決して九条と顔を合わせようとしないフィエリテが後ろを歩いていた。
ㅤその光景に九条は苦笑い、ルクスリアは気付かれないように笑いを堪える。
「…大祐君、ご注文はお決まりですか」
(飛鳥君の魂が抜けて、標準語になってる…!?)
「酷い有様ね」
「七大罪に言われたくありません」
ㅤ意気消沈した天王寺飛鳥を尻目に二人の険悪な雰囲気。
ㅤ味方の居ない九条はこの場から一刻も早く逃げ出したいと思うばかり。
ㅤそして幾ら話し合いをしたとは言えど、ルクスリアとフィエリテの仲が解消される事は無かった。
ㅤ無論、話し合いをしたのは天王寺飛鳥とフィエリテであり、ルクスリアは関与していない。
ㅤ当然距離が縮まる事も仲良くなる事も無い。
ㅤそうして女性側二人が言い合っている隙に、九条は天王寺飛鳥へと注文を済ませる。
ㅤ勢いで目に付いた品々を頼んでしまった所為で彼自身、何を注文したのか覚える暇すら無かった。
ㅤが、唯一つ。
(あれ?俺…頼み過ぎたんじゃ…)
ㅤ彼がその事実に気が付いた時には最早手遅れだった。
ㅤ急ぎ注文、後々後悔。
ㅤ早く頼んで早く食べ終わり、そうでもしないと早く帰れないという風に自分を急かし、あわや大惨事を招く結果になりうるとは。
ㅤ注文の品々が目の前に運ばれてきた瞬間、九条は笑いながら涙を流した。
(あはは、俺のばーか…食いきれねぇよ…)
「わあ、凄い量ね。あれ?でも大祐くんってこんなに食べれたっけ…?」
「無理ですよ…」
「じゃあ何でーーあ、私を喜ばせようとしてくれたのね?もうっ、私は大祐くんと一緒に居れるだけで悦び溢れるのに♪」
「…あ、はい?あー…じゃあもうそれで良いですよ…うん」
ㅤ九条は、ずらっと並んだ飲食物を少しずつ退かし、僅かに空いているテーブルの上に両腕を置き。
ㅤその両腕の上に自身の頭を乗せて落胆していた。
「大祐君が危ういやんか!!」
「良い加減萎えますよ…何処に俺の居場所がーー」
「…はっ!大祐くんの今の言葉、略すと苗◯になるわよ!」
「ルクスリアはん…それはあかんやろ…」
ㅤ天王寺飛鳥の発言に、ルクスリアはてへっと笑顔を見せる。
ㅤフィエリテは聞かなかった振りをしており、飛鳥は九条に憐憫の視線を送る。
ㅤ天王寺飛鳥のその気配を感じ取り、九条は顔を上げた。
ㅤだが、ルクスリアよりも目の前に沢山と置かれている料理に萎えて、再度顔を俯ける。
ㅤ生まれた時から…等とは言わないが、元々小食な九条。
ㅤされど彼は完璧主義者。
ㅤ幾ら自分の間違いで頼んでしまったとはいえ、全部食べきらないと気が済まないのが九条だ。
ㅤ事の元凶は考え無しに行動した彼の問題ーー
「…いや違うだろ。この現場がこんなにも混沌とした首魁はルクスリアさんじゃないのか?」
ㅤ頭を下げっぱなしに一人でぶつぶつと喋っている九条を、ルクスリアは心配そうに見つめていた。
ㅤ彼女は彼女なりに罪悪感を感じている様だ。
ㅤ主に、というか九条だけに対して。
ㅤ流石のルクスリアも、このままでは彼に嫌われるという危機感を察したのか。
ㅤ一向に独り言を止めない+顔を上げない九条に近付き、謝罪しようとしたその時。
ㅤ店の扉が開く音が周囲に響き渡り、全員がその扉に視線を釘付けとされた。
ㅤ唯一人、九条だけを抜いて。
ㅤ誰もが地味に入って来て欲しくないと願うも、段々と開かれる扉。
ㅤ其処から姿を現したのは。
「ろーぜ、ここどこ?」
「人があまり居ない、けれど人気なお店…とでも言えば理解出来るかしら?」
「ぅゅ…ろーぜ、ひといっぱい」
「まぁ、何れきさらにも分かーーえ?」
ㅤ現実とは非常だ。
ㅤ然し、それが時には救いの神にもなる。
ㅤ入店してきた百目鬼きさらとヴェスパローゼの声を耳にした瞬間、九条は即座に立ち上がった。
ㅤそう、俯いていた状態から即座に。
ㅤ最初は気付かなかったきさらやヴェスパローゼも、九条大祐の存在にぴたりと動きを止めた。
ㅤ取り敢えずお客様の来店という事で、天王寺飛鳥が「いらっしゃいませ」と言葉を投げ掛けようとした一瞬。
「だいすけっ!」
ㅤ百目鬼きさらは、九条大祐を視界に入れた瞬間に彼の元へと走って行く。
ㅤ勢い良く飛び込んで来たきさらの抱き着きを、九条は膝を着き両腕を広げて受け入れる。
ㅤが、きさらを受け止めたと同時に割と強めの衝撃で後ろに倒れ掛ける。
「おっと…偶然だね、きさらちゃん」
「うぃ!」
「きさらったら…他の誰にも目をくれずに真っ先に大祐の所へダイブするなんて」
「………しっかし、きさらちゃんで思い出したんだけど」
「?」
「そう言えば皆さん、どうして青の世界に居るんです?」
ㅤ此処で唐突なる質問。
ㅤそう、一応だが九条の家は青の世界に位置する場所に建っている。
ㅤ加えて各務原あづみやリゲルと同棲しており、中々に豪邸。
ㅤ彼の家内情報等は置いといて構わないのだが、という事は九条が青の世界にいるのは何ら可笑しく無い。
ㅤだが、一応ながらこの場にいる全員が違う世界という事に疑問を抱いた九条。
ㅤルクスリアは黒の世界。
ㅤ天王寺飛鳥&拗ねて何処かに行っているフィエリテは白の世界。
ㅤ百目鬼きさら&ヴェスパローゼは緑の世界。
ㅤ其々の世界のいざこざは九条や彼の親友が鎮めたが、やはりまだ各々の世界の概念は消えていない。
ㅤ世界を一つに纏めた張本人がこんなんでは未来が不安だ。
ㅤという声が無いとも言えないのが現状、彼の立場。
「まぁまぁ、そう言うのは無しで行こうや!」
「そうね、私もそれにさんせーい」
「ルクスリアさんは元から固定の世界が無かった様な…」
「大祐、今更そんな事を気にしても仕方無いわ。貴方が先陣切って全員を導かないでどうするのよ」
「きぃ、ずっとだいすけについてく!」
「ヴェスパローゼさんにきさらちゃん…」
ㅤ二人の意見に感極まる九条。
ㅤぶーぶーと、彼に受け入れられたきさらを羨ましがり、横から九条の肩に引っ付くルクスリア。
ㅤ彼女の体を引き剥がそうと試みる九条だが、どうやっても離してくれないルクスリアに諦め。
ㅤ至ってシンプルな結論、放置という対処を取らざるを得なかった。
ㅤそれに甘えてルクスリアはどんどん顔を近付かせていく。
ㅤ遂には手を出しかねた九条だったが、天王寺飛鳥とヴェスパローゼの「恥ずかしくないのか」という質問に身を引いたルクスリアを見て、自身の心と体を鎮めた。
ㅤそんな、九条にとって1日たりとも無聊な日々の無い空間に包まれていると、又もや扉が開き始める。
ㅤ今度は九条を含めた全員が同じ方向に視線を集めた。
ㅤすると思いっきり、バン!と開く扉。
ㅤ荒々しくダイナミック入店して来た人物を見て最初に反応したのは。
「はあ…はあっ…逃げ切ったか?」
「そーま…あたし、もう無理…」
「相馬君!?」
ㅤルクスリアがその人物に声を上げる。
ㅤそう、もう何度目かも分からないZ/X使い&Z/Xの入店。
ㅤ既にこの場がZ/Xに関する人物の集合場所みたいになってしまっている。
「なっ!ルクスリア!?…というか、何だこの賑やか振りは。随分と異色過ぎる面子だな」
「…んで、相馬君とフィーユさんは何から逃げてたの」
「せやな。凄い焦ってるやん」
「あのへんたいにつかまったらおしまいだぞ!みつかるまえににげなきゃ…!」
ㅤ生憎話が噛み合っていないようにも見える。
ㅤだが、九条は変態という言葉に少なからず疑問を覚えた。
ㅤそれは何故か。
ㅤ彼の身内に一人、思い当たる人物がいるからだ。
ㅤ九条はまさかと、嫌な予感を察する。
ㅤそれに気付いた時には既に体が動いていた。
ㅤ百目鬼きさらをお姫様抱っこし、ヴェスパローゼに耳打ち。
ㅤルクスリアや天王寺飛鳥、先程来店した剣淵相馬とフィーユには何も言わずに。
ㅤヴェスパローゼは九条の忠告を受けて直ぐに「有り難う」と伝え、幸甚の意を示す。
ㅤその後九条、百目鬼きさら、ヴェスパローゼは一緒に店を出る準備を始めた。
「すまん飛鳥君!勘定はテーブルの上に置いといたから!お釣りは要らないよ!あと、俺の頼んだ飲食物お好きにどうぞ!最後に良かったら明日のクリスマスパーティに招待するから!んじゃあ!!」
「えっちょ待っ…」
「大祐くーん、私も行くからね♪」
ㅤ準備と言っても、九条が自身の注文した品々の会計を済ませるだけ。
ㅤ金銭を店のテーブルの上にざらっと置き、三人は風の様に外へと出て行った。
ㅤそんな彼の行動に天王寺飛鳥等は只々困惑した。
ㅤ少しすると、扉が静かにパタンと閉まる音が店内に響き渡る。
「一体…何だったんや」
「あ、ああ」
ㅤその10数分程経った、わいわいと賑わいを見せるその店に例の変態が来た事は、九条は予想済み。
ㅤだが、フィーユとやらがもみくちゃにされた事実は明日のクリスマスパーティにて知る事となった。
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誤字脱字等御座いましたら、指摘して頂けると有難いです!
本日は後一回更新させて頂きますので!
お楽しみに!