デート・ア・ライブ 雫キャッスル   作:事の葉

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ハロハロ事の葉でございます♪

さて、皆さんは『普通に』と言われると、普通が急に分からなくなるということを体験したことはありませんか? いつもは無意識にやっている歩行や会話等を意識して動かすと、いきなりぎこちなくなってしまう。
無意識は恐ろしいですね。

ではでは、ご閲覧くださいませ~♪


しりとり

‐side 雫

 

『雫様』

 

 私に代わって天使を操ってくれている自立思考プログラムが姿を出す。

 私の半分程しかない菱形の半透明の青いクリスタルのようなものが、この巨大な天使〈機界城(シャムシエル)〉と繋がっているというから驚きだ。

 

「なに?」

『何故3階の試練をあれほどに単純にしたのですか?』

「・・・さぁ。私が作ったのは確かだけれど、よく覚えてないから」

 

 この城の防衛プログラム〈黄金帝(エル・ドラド)〉を作ったのも、攻撃プログラム〈晦冥界(シェオール)〉を作ったのも、そして、今侵入者が悪戦苦闘してる〈試練(バベル)〉を築き上げたのも、私だ。

 〈ファントム〉と名乗る精霊にこの力を与えられる前の記憶はないけれど、私はこの天使と、貧弱な霊装を貰った日、すぐに防衛と攻撃を作ったそうだ。その次にこの自立思考プログラム、そして最近になってバベルを築いた・・・らしい。正直、私にその時の記憶はない。ただ、漠然と私が人間を排除するために作ったとしか覚えていない。

 

「私はお人形さん。だから、意志はない」

『・・・次の階でラストです。予定では、2、3人は脱落するかと』

「・・・そう、なんだ」

『髪でも梳いてますか?』

 

 それに私は小さく頷くと、自立思考プログラムは壁から幾つかの機械の触手を取り出し、人間がやるような丁度いい力加減で私の身長よりも長い髪を梳いていく。

 侵入者が誰であれ、ある程度綺麗にしておかないとダメだという、変な私の決まりがそうした。

 

 

‐side 士道

 

 先程の試練から直進して、4つ目の試練。階段を上っていないから4階の試練、とは言えない。

 やけに軽い扉を開ける。シャンデリアが仄かに照らす部屋には9つの椅子が円形の巨大なテーブルを囲うようにして置かれていた。それ以外に目立ったものは無く、天井の四隅にスピーカーがついているだけだ。

 

「五河士道様・・・?」

 

 椅子には紙に達筆な字でそう書かれている。周りを見ると、各々名前が書かれているようだった。

 皆椅子に座り、襲い来る試練に備える。

 

『ここまで来たこと、おめでとうございます。私達はどうやら貴方がたを見縊っていたようでした。灼熱も極寒もございません。針の山等を警戒しているのであれば、私を作った精霊はそのような残虐な者ではありません。ここでは、肩の力を抜き、簡単なお遊びをしていただきます』

 

 四隅に置かれたスピーカーから機械の声が聞こえる。人間のように抑揚はあるが、明らかに人間のそれとは違う。今ネットで有名な歌姫にそっくりだ。

 

「ここに来てお遊びでいやがりますか?」

 

 俺の隣にいた真那が尋ねる。

 

『えぇ。お遊びと言っても、そこまで難しくはありません。しりとりをするのです。ただのしりとりでは私達が飽きてしまいます』

「ちょっと待て。私『達』ってことは、他にいるのか?」

『えぇ。私を作った精霊が一人。さて、話を元に戻しましょう。私が言いたいのは、単語ではなく、言葉で会話を続けて欲しいのです。士道様、少しいいでしょうか?』

「え? あ、はい」

 

 いきなり指名され、少し変な声を上げる。

 

『何でもいいです。最初の言葉を決めてください』

「じゃぁ・・・こ」

『こういったふうに、話を続けていただきます。 士道様が「こ」と言われましたので、私は『このいったふうに』で始まりました。つまり、単語ではいけません。簡単に説明しますと、会話を成立させながらしりとりをしてください、ということです。では、最初のもじは『め』で。はじめ』

 

 言うと、ブツン、という音が部屋に響く。

 この状況、折紙や俺みたいに普通(?)に学園生活を送っていれば、会話の種を見付けることが出来るが、七罪や四糸乃はただでさえ話す機会がない。しかも、しりとりで、というルールを付けられて会話するとなると、普通の話し方でさえも忘れてしまいかねない。

 普通に○○してください。と言われ、普通が分からなくなるのと同様。普通の会話をしてくれと願われただけでも多少口調が変わってしまうのに、それに『しりとり』まで付けてきた。

 ここで一番不安なのは俺から見て正面の左側に座っている夕弦だ。夕弦の口調からして、なかなかに難しいだろう。

 

「・・・滅茶苦茶なルールね」

 

 最初に口を開いたのは七罪だ。

 

 

 ここだけで、何人脱落するんだ・・・?




このゲームは、実際にやってみても楽しいかもしれません。私も昔知り合い何人かとこういったことをチャットでしましたが、繋げていくために最後の一文字も考えないといけないとなると、相当苦戦しましたよ。

 リアルでお知り合いがいるなら、貴方も明日、やってみては? 最初に落ちた人は何かを奢るみたいなものを付けて・・・

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