今回の主人公雫ちゃんが私の好きな性格なので筆、いや、打ち込む手が進んで、早くも4話目ですよ。
意外と伸びもよく、驚いておりまする今作、誠に、まぁっことにありがとうございます。
ではでは、ご閲覧くださいませ~
‐side 雫
空って・・・どんなんだろう。
不思議なことに、私は空を見たことがない。いや、青い空を見たことがない。
夢ではよく見る。けれど、それは全て、曇っていて、ジメジメしている。
私の数少ない欲望の一つが、晴天の空を見てみたいとは、笑える話だ。
私が見れるか分からない晴天の空を夢見ていると、隣に青色の菱形のクリスタルが現れた。
これは、私に代わって〈
『侵入者発見。どうしますか?』
それは、毎回、答えが分かっていながらも私に尋ねる。
「お任せするよ」
そう言うと、そのクリスタルは姿を消した。きっと、侵入者対策を練っているんだろう。
私にはデジタルというものがよく分からないけれど、彼女が言うにはこの城全てが機械で出来ていて、カラクリ人形やレーザー砲とか、兵器が沢山収納されていて、ボタンとかでそれを出し入れ出来るんだって。
ややこしくてしょうがないよ。
侵入者が死ぬか生きるか、命を握るのは、人間でも、ましてや私のような精霊でもない。だからと言って天使でもない。ただの一つのプログラムだ。
‐side 士道
「準備OK?」
琴里が尋ねる。OKと言えば転送装置が起動して、あの城の門まで飛ばされる。
皆が一度大きく深呼吸をして、
「「「「あぁ!!」」」」
力強く返事する。
精霊は限定霊装を、そして真那は〈ヴァルナガンド〉を装備している。
「じゃぁ、健闘を祈るわ」
その言葉に返事する間もなく、俺達は転送された。
体が慣れていないのか、奇妙な浮遊感を感じながらも、地に足をつける。とは言うが、後ろを見たらそこは断崖絶壁だ。雲とまではいかないが、高層ビルよりも高いだろう。
「おぉ・・・!」
俺が後ろを振り返ってタマヒュンしてると、十香が感心の声を上げる。いや、俺に対してじゃない。
前方を見れば、2階建ての家ぐらいの大きさの門が進入を拒むようにして建っているのだ。その大きさから、俺達じゃぁどうしようもないことはすぐに分かる。
「流石にこれは・・・」
真那もお手上げらしい。見て見れば、十香を除いて全員飛び越えて入ろうとしているようだ。
「十香、上から・・・」
俺が十香の肩に手を置こうとした時、十香は軽く振りかぶって、力を入れるそぶりも見せず、その身の丈はある大剣、〈
「なんということでしょう」
先程まで鉄壁の壁だと思っていた門が見事に真っ二つに割れて、内側へ倒れたではありませんか。
匠要らずの強引なリフォームだが、俺らにとっちゃ在り難い。
「ぬ? どうしたのだ?」
無垢な瞳をして振り向かれちゃ勝てない。
「よ、よくやったぞ」
本当はなるべく壊したくなかったんだが、ここは褒めておくことに越したことはない。
呆れながらも十香の頭をワシャワシャと撫でる。
まるで猫のように嬉しそうな顔をした十香と、嫉妬する精霊集の視線を感じながらも、門の中に入る。
恐らく大理石だろう道の左右には芝生が生い茂っており、若い樹もある。季節外れの花々が道を彩っている。これだけ見ると、本当に何の変哲もない城のようである。
「なぁ、折紙、甲冑ってのは?」
「それは城内に入ってから。ここでは何もない」
なるほど? 休憩スポットって訳だ。
精霊を全員連れていることからの余裕か、俺は意外にも平然としてられた。
そして、先程の門よりも小さな、しかし確かにでかい扉を開け、その問題の城内に入る。
黒と白の大理石の床にレッドカーペットが敷かれ、左右に無数の甲冑が飾れている。入り口だから、これ以上の装飾はなく、アニメのワンシーンか、それか映画の舞台のようだ。全体的に暗く、灯りは天井にある一つのシャンデリアのみなようだ。
と、不気味な雰囲気を感じながらレッドカーペットを歩いていると、目の前に青色の菱形のクリスタルが現れた。色こそ違うが、恐らくあの塔の上にあったのと同じものだろう。
『ここで引き下がることをお勧めします。ここだとまだ引き返すのも容易です。さらに言ってしまえば、ここから先、私も手を抜くことが出来なくなりますので・・・。一度来た方なら分かるかと』
丁寧な口調で言う。
あのいつも表情一つ変えない折紙が、少し険しそうに顔をゆがめる。
「手加減無しであれ・・・」
前入った時のことを思い出したのだろう。すぐさま王冠を模った〈
「やべーみてーですな」
真那もその光の剣を構える。
『・・・引き返さないんですか。では、最終通告です。ここから先、私は全力を持って貴方がたを排除します。それは剣山かもしれませんし、熱かもしれません。それこそ想像することも出来ないような酷な方法で殺す可能性もあります。 ですが、死体はすぐに回収します。遺族の方々には『行方不明』と告げられることでしょう。それでも、進みますか?』
「もちろんだ!」
俺は、一時の迷いもなく言った。
ここまでして侵入者を拒むこの城を作り上げた精霊も気になるし、その精霊に平和な外の世界を見せてやりたい。他にも色々理由はあるが、ここでおずおずと引き下がるわけにはいかない。
『そうですか・・・では・・・〈
菱形のクリスタルが眩い光を放つ。ようやく暗い廊下にも慣れてきた目が強い刺激から守るために目蓋を閉じる。
『士道! 後ろ!』
光が収まったのを感じて、目を開けようとした時、琴里が叫ぶ。
ほぼ反射的に後ろを振り返ると、先程まで動く気配もなかった甲冑が武骨な音を立てながら大きく剣を振りかぶっていた。
ふひぃ・・・ひぃひぃふぅ・・・
寒いのに指動かすんじゃなかった。節々が痛いです。かと言って手袋すると誤字多くなるから使いたくない。
え? なに? 暖房器具使えって?
妹に没収されたよコンチクショー!
今は毛布を肩にかけて温めてますが、まだ指は上手く動かないよ。
んじゃぁ、よいお年をー(多分これ最後。これ前も言った気がするが、気にしたら負けだと思ってる。)