スーツに仮面って最高よね。
ちなみに、これを書いているのは3時ですので、深夜テンション(私の場合超暗くなります)で書いています。雫ちゃんの不安や恐怖を共有出来れば幸いです。
ではでは、ご閲覧くださいませ~
‐side 雫
今から恐ろしくてたまらない。
士道さんの気分を害してしまったのだろうか? 私が人形だから? ちゃんと返事した。
プログラムが何か言っているけれど、私の頭の中には入らない。
――――は私が――だと――しいって・・・あれ?
その人は、誰?
私が・・・何なの?
その人は、私がどうすると、正解なんだっけ。
嗚呼、怖い。ぐらぐら頭が揺らぐ。その場に座り込んだところで何も変わらない。ガチガチなる歯。鳥肌が止まらない。照準が定まらない視界は吐き気さえ催してきた。
お姉さんは、この時どうするんですか?
貴方もそうなのでしょう。お姉さん、お姉さん。貴方だって人形だった。私と一緒だった。結婚の時反抗した。あの時の勇気を私にください。お姉さん。貴方は私の英雄です。最後まで両親に逆らった、英雄です。
・・・そうだ。私が――だと――しいのは両親だ。
大理石の床を這いずり本棚へ辿りつくと、震える手で一冊のアルバムを手に取った。私がまだ、普通だった時。正常な人形だった時。ぱらぱらめくるけれど、家族の顔が映っているのは何処にもない。全部黒いクレヨンでグチャグチャにされている。
これも、
これも、
これも、
これも・・・
一枚とて、両親の顔が映っている写真はなかった。絶望に泣きだしそうになるけれど、人形に涙腺はない。流してはいけない。
あの時、両親はどんな顔をしていたんだろう。冷静になろうとすればするほど狂い始める。
『雫様』
「・・・・・・なに?」
『失礼ですが、顔を塗りつぶしたのは雫様です』
「なんで!? 私はそんなことする筈が・・・する、筈が・・・?」
覚えていない。当時の私の周り。両親は痩せ形。お姉さんはモデルだった。
綺麗な顔をしていた。
醜い顔をしていた。
笑顔を振りまいていた。
裏で金を振りまいていた。
怒る時は怒ってくれた。
鞭を使って何度も何度も、私を叱った。
私が人形になると両親は・・・喜んだ。
流石だ。素晴らしい。と、褒めてくれた。
『雫様。落ちついて。五河士道様は気にしておられません』
「そんなこと言えない! あの人だって・・・私を嫌ってる。大嫌いなんだ。明日、殺される。人間になったから・・・」
『雫様! 大丈夫です。私が保証します』
その言葉で、何とか落ちつけた。
そうだ。このプログラムは、私のお姉さんを模して作ったんだった。
「・・・ゴメン。取りみだした」
『明日まで身体を休めましょう』
「うん・・・」
私は部屋の隅に置かれている大きなベッドに身を預けた。ゆっくりと沈むベッドが心地いい。うとうととする暇もなく私は眠りについた。
‐side 士道
その日の夜。
「どういう、ことだ?」
俺は部屋にやってきた琴里の説明に耳を疑った。
「言った通りよ。デートを誘った瞬間、全ての感情が平均値を大きく下回った。まるで人形になったみたいに感情が全くなくなったのよ。ただ、貴方が帰ってからが異常なのよ」
そう言って、一枚の紙を手渡した。それは、精霊の感情をグラフ化したものである。
「なんだよ。これ・・・」
全て平均値を大きく下回る中、恐怖だけがグラフを突きぬけていた。異常値というのは簡単に分かる。
俺と別れた直後からこの状態を常にキープしていた。針のように突き出た恐怖値。俺は恐怖を与えた記憶はない。というか、これだと明日来てくれるか分からない。
「多分、雫は来るわよ」
「なんでそう言い切れるんだ?」
「考えてもみなさい。誘われた時に恐怖や嫌悪を抱いている様子はなかった。負の感情さえストップしていたからね。もし、行きたくないけれど断れない、なら嫌悪を抱いている筈よ」
言われてみると。
つまり、俺がデートに誘っている最中、何かが雫の心に突き刺さり、トラウマか何かを呼び起こしてしまったのだろうか?
「今の段階で判断するのはアウトよ。情報量が少なすぎる。とりあえず、明日は何とかしてよね。士道」
「あぁ・・・何とか封印して見せる」
‐side 病気の女の子
――ねぇ、先生。私、あとちょっとで死ぬらしいね
――僕が治してあげるから問題はないよ
――ジョークにしては笑えないね。自分の死期くらい自分で分かるもの。
――外れることだってあるさ。不治の病と言われていた病がいきなり治るなんてよくある
話だよ?
――そういうものなのかな。ねぇ、先生。星が綺麗ね。
――まったくだ。
――流星群って、ここまで儚いものなのね。
――確かにな
――じゃぁ、先生。また来世、私を治してね。
――先生も、また来世があったら君を治療したいものだよ。
先生がその後生きているのか死んでいるのか、それは死人には分からない。
すらすらペン(指?)が進んだのはなかなかに珍しいです。いつも、色々うーんと悩んでいるのですが、今回ほぼ無意識です。思いついた言葉をただたんに書いていきました。
こういうものを書くのは昔から好きなんです。
では、また来週かな? 気長にお待ちくださいなー。