友人とお化け屋敷行ったのが一番のミスでした・・・
皆さま、程ほどに暴れ過ぎない方が身のためですよ。
ではでは、ご閲覧くださいませ~♪
‐side 士道
『星空に浮かぶ夢』という絵本には一人の青年と、少女が登場した。クレヨンで描かれた幼稚な絵に加え、漢字は一つも登場していない。
内容としては、不治の病を抱えた少女は応援してくれる先生が大好きだった。先生を誘って、流星群を見に行った。それを見て、その後先生にもたれかかりながら、死んでしまった。たったそれだけである。ページ数も少ないし、内容は正直言うと飽きる程ベターなものだ。
「・・・ありがとう、ございます」
どこか感動したような声で雫は立ちあがった後言った。どういたしまして、と言いながら俺も立ち上がる。周りを見ると、十香もどうやら感動しているようだ。
『いやぁ、楽しそうでしたね。雫様』
クックック、と楽しそうに笑うのは雫の天使〈
「うぅ・・・・・・」
顔を真っ赤にさせる動作はやっぱり最高だ。
雫は士道と同じくらい身長がある。なのにここまで可愛いとは、ギャップ萌えだろうか?
「そ、そうだ。耶倶矢を解放しないと・・・」
話を反らす為に頭を巡らせていると、ようやくそれを思い出す。
『あぁ、それならご安心を。既に制覇している時点で〈
ほっ、と皆が胸を撫でおろす。
「なぁ、プログラム」
『はい、なんでしょう?』
俺はプログラムを手招きし、触手で壁を作った後、菱形のクリスタルに近づいて小声で伝えた。
「ちょっと皆をこの部屋から、なるべく安全な方法で出してくれないか? 流石に聞かれるのはちょっと」
『・・・・・・あぁ、あぁ、そういうことなら。お任せを』
クリスタルが悪戯っぽくクスクスと笑う。やはり、こっちの方が表情が豊かだ。
『皆さま、これから雫様が士道様以外には聞かれたくない秘密を言うので、少し席をはずしてはくださらないでしょうか? そう時間は要しません』
まさか被害者になるとは思わなかった雫が驚きで目を見開く。最初の、あの虚ろな目は何処へやら。今の雫は見事に人間だ。俺から見たら・・・だが。
‐side 雫
プログラムは時々悪戯が過ぎることがある。そして、それは喜びの裏返しだということも、私は知っている。
プログラムは記念日を作るのが好きだ。プログラムが生まれて何周年とか、城を建てて何周年、とか、しまいには何ヶ月、とかも言いだしてくる。そういった日に限って、いつもの冷徹な口調から、急に人間くさくなる。これは私が設定したものじゃない、筈。
無駄に広い部屋に士道さんと私、二人きり。もちろん、私に秘密なんてない。作ること自体できない空間だから。
「なぁ、雫。デート、してくれないか?」
私にデートというものについての知識はあった。本に時々その言葉が出るから、何となく、ああ、私とは無縁なんだな。って思いながら。だけれど、そのデートに誘われた。けれど、私は冷静だった。
噴火する程の熱は急速に冷え、先程まで見開いていた目からは表情も消える。私は分かっていた。人のお願いを聞いた瞬間に私は人間から人形に戻ることを。
「はい」
「・・・どうしたんだ?」
士道さんが尋ねてくる。
何か、問題でもあったんだろうか? お願いは聞くべきもの。それに感情の介入は許されない。断ったら、酷い仕打ちが帰ってくる。それだけは嫌だから、だから、お願いは聞く。
「いや、なんでも」
「そ、そうか? 嫌なら・・・」
『・・・士道様。お許しを』
言葉を咎めるようにプログラムが怒りを堪えた声で言う。私はそれを唯見てるだけ。
「・・・行って、くれるのか?」
「はい」
「・・・そうか。分かった。じゃぁ、明日、近くにある来禅高校で待ち合わせしよう。分かるか?」
「・・・はい」
分からなかったけれど、後でプログラムに聞けばいいだけのこと。失礼のないように、最大限、相手に合わせる。
「そうか・・・じゃぁ、また明日」
「また明日」
私と士道さんが手を振る。士道さんの頭に疑問符が浮かび上がっていた。何か、楚々があっただろうか? ならば・・・明日会うのが怖い。
こういう感覚ってありません?
私にはお願いと命令の違いが分からないんですが。お願いは無理と言ったら嫌われる。だから無茶してまでお願いは聞かないといけない。ここまで来ると命令ですよね。
まぁ、今の私にお願いするような友達なんていないからいいんですけどね!
・・・・・・うぅ
GW中に多分また書きますね。別のデアラの子の設定も今ゆっくりとペンを走らせています。何時になるか分かりませんが、どうぞよろしくです。