記念すべき日にちょっと暗い話を投稿する馬鹿がいるってよ
それは私です。ごめんなさい。
今回も前書きと後書きでクイズとかなんかそういったものをやろうと思ったんですけどネタがないので、今回は多分やらんぬ。
では、ご閲覧くださいませ~
‐side 士道
「士道」
「ん?・・・・・・んなっ!?」
俺が振り返ると同時、後ろにスタンバイしてた折紙が、いきなり俺を押し倒す。
絨毯と言えどなかなかに痛いもので、少しの間視界がぼやける。
「どう?」
どうと言われましても・・・季節外れだねとしか言いようがねぇよ!!
折紙が着ているのは、訳一ヶ月後に子供の元へと訪れるサンタの服でもなければ、裸エプロンでもない。ましてやメイド服でもない。
「あの・・・なんで水着なんですかね?」
「好きかと思って」
折紙は紐ビキニでも一切の羞恥心を見せず、真顔で言ってくる。
それが恐ろしくてたまらないんです。
「スク水の方が良かった?」
何を思ったかそう尋ねてくる。
いや、どっちも好きだけどさ・・・
「あー・・・もう!」
俺は喜びと困惑で叫びながら、何とか折紙を突き飛ばす。その際何かを揉んだ気がするが気にしちゃいけないんです。
「逃げないで」
しかし、尻もちをつくでもなく、折紙はスタッ、と着地し、そのまま追いかけてくる。
もしかしたら狂三よりも怖いかもしれない・・・いや、これが愛情表現なら仕方ないんだけど・・・
「はぁ・・・どっ、と疲れた」
結局諦めたのはあれから1時間も家の中で鬼ごっこを続けた後だった。クローゼットに隠れたり、それはもうホラーゲームさながらだった。
折紙は水着の上にコートを羽織って隣に建っている精霊マンションに帰っていった。流石に着替えるんだろう。
「ん?」
ソファで朝食を作ることも忘れて休憩していると、机に置いてある携帯から着信音が鳴る。
一瞬折紙かと思ったが、そこには琴里と書いてあったから、ふぅ、と一度深呼吸をして電話にでる。
『朝っぱらから水着の女の子に追いかけられて幸せそうね』
ちょっとイライラしてるのか、嫌味を言ってくる。
「あぁ、とぉっても幸せだったよ」
息切れしながら返事する。まだ目蓋を閉じればあの白い水着が映える綺麗なスタイルと肌を持った折紙の姿が思い浮かぶのだ。
『はぁはぁ言ってるぅー、変態』
「ち、ちがっ・・・!」
『はいはい、知ってるわよ』
適当にあしらわれた感が否めないです。
『本題は別よ』
「精霊か?」
『恐らく、ね』
その返しに、ん? と首を傾げる。
精霊、まぁ、簡単に言えば世界を壊しかねない力を持った少女な訳だが、精霊たちは霊力を持っている。それを確認すれば精霊かどうかなんて簡単に分かるわけだ。
だから今まで確信に近い返ししかしてこなかった。まぁ、例外(静粛現象等)はあるが、それだったら電話してこない。
『霊力は感じられるの。ただ・・・精霊本体が見つからないのよ』
「どういうことだ?」
『精霊は現界してる。紛れもなくね・・・ただ、何処に現界してるかが分からないのよ』
そう言われたが、俺の疑問符は感嘆符に変わることはなかった。
『もっと言ってしまえば、天使は顕現してある。気付かないだけで今もある。だけれど、それの持ち主がいない』
「な・・・!? まだ空間震警報は鳴ってないぞ!」
『そこがおかしいのよ。普通であればもう避難していても可笑しくないってのに、誰一人として避難しない。それどころか、普通に生活を送ってるのよ。まるで天使が見えてないみたいにね』
向こうから、はぁ~ぁ、という溜息が聞こえる。
天使、それは精霊を精霊たる矛。だから、精霊が現界していないと、ありえない。
いや、俺も精霊に対して専門的な知識は皆無に等しいから分からないが、多分、ありえないだろう。
「・・・精霊を、見つければいいのか?」
『えぇ。詳細な場所がつかめないだけで、大まかな場所は分かってるから』
‐side 雫
夢を見ました。
とても綺麗な夢でした。
時間は夜でした。
私と、もう一人は屋上で夜空を見ていました。
満天ではありませんでした。都会の空でした。
月と、あと、ちょっとの星しかありませんでした。
だけど、綺麗でした。
不思議な現実でした。
私が何も命令を下さなくても、人は死んでいきます。私の手によって・・・
あぁ、だけれど、それが、私に合っているのかもしれません。
命令の一つも、お願いの一つも出来ない私は、天使という無機物にも、命令出来ないんです。
なんで私は、そんな人になってしまったんでしょうか。
こうなってしまったなら、私は「人間」ではなくなってしまう。いや、なってしまったんでしょうか。「人形」に。