ハーレルヤ♪ハーレルヤ♪ハレルヤ♪ハレルヤ♪晴れるー屋♪   作:有限世界

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2月に入ったなー、バレンタインネタをぼちぼちのんびりと作ろう。
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1日で(他の2月投稿ぶんより早く)完成した。文字数少ないけど。とりあえず暇な時間にチマチマ修正しながら投稿日を待つ。

とりあえず、どうしてこうなった?


番外編 ヴァレンタインを始めよう

 この世界にはヴァレンタインという風習はない。無いからこれから起こる喜劇(悲劇)は本来起こらないはずだった。

 リサは後悔している。何故ヴァレンタインという風習を教えたのかを。

 

 

 

 

 番外編 ヴァレンタインを始めよう

 

 

番外編  ヴァレンタインを始めよう

 

 

数日前

 

 

 

 

「私達が生まれた国には女性から好きな男とかお世話になった男とかにチョコレートを送る日があるのよ」

 晴れる屋の常連、リサ・ノースランドはカウンター席でモテない男には無縁の故郷の風習を話した。前の国籍は王国だが、その前は神様によって異世界からやって来た異世界人である。神に纏わるところを話したら色々面倒なので、王国で召喚された遠い国の人としか説明してないが。

「チョコレートとはまた加工難度の高いものを。俺でもよう作らんぞ」

 アッシュ・ダインスレイが呟く。この世界とリサが生まれ育った世界ではチョコレートが違うものを指す可能性もあるが、リサが生まれ世界でもカカオの実から加工するとなると一流菓子職人でさえ個人で作るレベルではない。

「流石に一から作らないわよ。チョコレートの板を湯煎して型に流すとか、そこから多少のアレンジを加える程度が一般的ね。中にはチョコレートケーキとか拘る人もいるけど」

「それなら普通の人でもいけるな」

 どうやら両世界でそれほどの違いはなかった模様。

「ところで、ものすごく不安なんだが、ミーヤは何処へ行った?」

 冷や汗を滴ながらアッシュが訊いた。

「流石にカカオの豆からチョコレートは作れないでしょ。

 というより、作ろうとしないわよね、普通なら」

「ああ、普通ならな。ゆで卵すら作れない人間を普通と言うのなら」

 何がヤバいかというと、毒物もウィルスも無いアッシュのゲロ不味料理とは違ってガチで毒を入れてくる可能性がある。逆に毒物もウィルスもなく食中毒以上のダメージを与える料理とはなんだろうと疑問はあるが。

「魔法による解毒は頼む」

「流石にそこまではいかないわよ。

 …いかないわよね。

 ……いかないといいな」

 言ってて不安になるリサだった。聞いてて不安になるから止めて欲しいとはアッシュも言えなかった。

「魔法が効けばいいな」

 そんな事はないと否定できないのが悲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、運命の日は訪れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訪れて欲しくなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当にどうして訪れたのですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

神に小一時間問い詰めたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アッシュさん!チョコレートを食べて下さい!」

 ヴァレンタインの日の閉店時、店の片付けをしていたアッシュの元へミーヤ・ピナカはプレゼントボックスを差し出した。アッシュは心配だから残っていたリサに眼で回復を頼むと伝えると、恐る恐る箱を開けた。

 それは一見なんの変哲もないチョコレートだった。なんか紫色に輝いて見えるのは気のせいだろう。アッシュやリサが見ていて逃げ出したくなるのもきっと気のせいだ。なお、他の客は普段はグダグタ残っている癖に、今日は我先にと逃げ出している。

 気のせいだと無理やり信じ、アッシュは覚悟を決めて口の中に見た目はチョコレートを口に入れた。

 瞬間世界は闇に包まれ、嘴が横に割れて背中から2対4枚の翼をはやし3対6本の腕のうち2本で合掌して残り4本で長柄の武器を持った(あか)く燃える巨大な邪神像が空からアッシュ目掛けてゆっくり確実に落ちてきた。邪神像はアッシュを潰してどんどん地面に埋まってゆく。半分ほど地面に埋まったところで突如邪神像は動きを止め、逆に浮かび上がってくる。そして、

「ふんがー!」

 地面の底からアッシュは邪神像を投げ飛ばした。

 ここで幻覚は終わり、汗を流しながら息を上げるアッシュが膝に手を付いたものの倒れずに耐えていた。そんな彼にリサは心から拍手を送っていた。

お前、味見、した、のか?

 息も絶え絶えながら無事生還を果たしたアッシュは指を喉に突っ込み内容物を吐き出して水で口の中を濯いだあと殺気を込めた声で質問した。

「ええ~っと、一番に食べて欲しいからしていません」

 誤魔化しは不可能と悟り、リサの背後で素直に答えるミーヤ。

 普段の無表情な顔を脱ぎ捨て邪神の顔が現れる。彼の師匠が手品と称したものと同じ様に。

 お前、殺す、邪魔、するな。

 アッシュの面はリサにそう宣告していた。背後のミーヤは助けて下さい見棄てないで下さいとリサに眼で訴えていた。

 アッシュの気持ちはわかるものの、流石にミーヤを死なせる訳にはいかない。なのでギリギリの妥協として彼女が出した解決方法は斜め上にぶっ飛んでいた。いや、目には目をと言うべきか。

「ホワイトデーっていう、チョコレートを貰った男の子がお礼としてお菓子をあげる日があるのだけど」

 このお礼を2人は復讐と解釈したのは語るまでもない。そしてその方法は言わずもがな。

 なお、一月後ミーヤは地面から邪神象が大地から複数飛び出した後自爆して飛び出た緑色の体液が大地を腐らす幻覚を味わうこととなる。

 

 

 

 

 どうでもいい話だが後世、スフィトリア共和国のヴァレンタインは女性が男性にクソ不味いお菓子をプレゼントする度胸試しの日になったとか。後にやってくるヴァレンタインにモテていると勘違いしたバカ浮かれた異世界人が悶絶しまくったのは語るまでもない。

 本当に、どうしてこうなったのだろう?なお、伝道師のリサは私関係ないよとひたすら他人のフリを決め込んでいた。

 

 




小説読めばわかると思いますが、作者はヴァレンタインなんか大っ嫌いです。みんな纏めて爆発しろ!そしてくたばれクリスマス!
クリスマスはどうやってリア充どもを不幸にするイベントにしよう?


真面目に解説するなら、せっかくの異世界だから『こっちの世界の風習を輸出しようとした結果どうしてこうなった』というのをやってみたかった。勿論、クリスマスも大惨事狙い(リア充爆破)で。





ストーリーに関連は無いものの、章タイトルの『こいつはヤバい』で問題ないかと。

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