「おー! よう来たな人間!」
徐々にだが視界が元に戻り始め未だに影の残る目を擦りながら声のした方を見ると、大阪の下町にいそうなシャツと半ズボンにサンダルを履きサングラスをかけたツルッパゲのおっさんがたっていた。
「誰がツルッパゲのおっさんや!」
なっ!? 声に出した覚えはないのだが……心でも読まれたのか?
「ワイは神やからな! 心を読むことぐらいは造作もないんやで! どうや、すごいやろ!」
神……?神様ってこんな親しみを感じるようなものだったっけ?
「まぁ、昔はちゃんと髪もフサフサで法衣も着て威厳たっぷりでやってたんやけどな! 今じゃそんなん流行らんし仕事も複数の世界を管理する管理官みたいな仕事をしとるんや」
神様なのに管理官って……何とも神様らしくないというか何となくだが中隊の上司たちを思い出す。
日本にいたときは陸幕や方面からの無茶ぶりに加えて連隊からのノルマまで来て鬼の形相でパソコンと書類と格闘する幹部に無茶なスケジュールを組まれて死屍累々となる陸曹以下の隊員達……。今思えば少し懐かしいとも思える。
「(すこし……懐かしいな)」
昔のことを思いだし懐かしい気持ちに浸っているとおっさんがどこから取り出したのかタバコに火をつけてぷかぷかとふかしながらニヤニヤした顔で頷いていた。
「お兄さんもそんな顔出来るんやな! 暗い顔よりはその方がずっとええで!」
その言葉につい穂は苦笑いをする。
「さてさて、話は大分それたけど話の本題に戻ろうか。お兄さん、今なんで戦場で死んだ自分がこんなところにいるんか気になるやろ?」
俺としてはさっきからずっと気になっていたことだ。
「それで神様が俺になんのようなんだ?」
「早い話がお兄さんはうちらに気まぐれで選ばれたんよ」
選ばれた? 一体何にだ?
「簡単に言えば普通の輪廻とは違う道……要は別の次元の世界に転生することが出来る権利が生まれたんや! どや、嬉しいやろ?」
正直そこまで嬉しくは無いんだが……。別に興味もないしな。
おっさんはくわえていたタバコを手に持ち、先っぽの灰を更に何処からか取り出した携帯灰皿に落として少し眉間にシワを寄せて思案顔になる。
「えろう執着の無いやつやな……うちらの気まぐれとはいえ初めて見たわあんさんみたいな人間」
死んだ以上色々と諦めもついてたし色んなものにも興味が湧かなくなってきたし勝手にすればいいんじゃないか?
「勝手にって……まぁ、エエけどさ。っと、そろそろ時間やな。転生先は此方で既に設定してあるから第二の人生を楽しんでくるんやで! ほななー」
おっさんはそう言うと霧のように薄くなり消えていった。そして俺も意識が遠退き再び暗闇の世界に落ちていった。
(´・ω・`)関西弁って文にするのって結構違和感があるわね。喋った時には違和感がないんだけどねぇ❗