太正?大正だろ?   作:シャト6

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第八十五話

大神「かくして、帝都に平和が戻ってきた…帝都も復興を始め、大帝国劇場も、以前の姿を取り戻した…森川さんの店は、未だに修理中みたいだけど…本人も嘆いていたよ。『サタンの野郎…一発殴っとけばよかった!』と。あれ以来、大きな事件もなく帝国華撃団は開店休業…帝都復興を記念しての、帝国歌劇団・花組の特別公演は満員御礼。連日、長蛇の列で、追加公演のチケットも、即日完売してしまった。売店や事務の仕事もてんてこ舞いで、大帝国劇場は大忙し。天下太平、事もなし…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米田「…ま、そういうことでよ。お前達にも、ちょっと休暇をと思ってな」

 

夜にサロンに集められた俺達。俺の今現在、店を復旧中なんで大帝国劇場に世話になってる。

 

すみれ「まぁ…気を使っていただかなくてもよろしいですのに」

 

カンナ「素直に喜べねぇのか?言ってる事と、顔が別々じゃねぇか」

 

マリア「ふふふ…いいじゃないの。特別公演も一段落したし、皆も疲れてるでしょう?」

 

米田「ま、俺からのプレゼントってことでさ。受け取ってくれよ」

 

さくら「はい!ありがたくいただきます!!」

 

アイリス「アイリス、パパとママに会いに行く〜!」

 

紅蘭「ほな、ウチは作りたかった発明品を完成させてしまおっかな!」

 

皆それぞれやりたいことがあるみたいだな。

 

米田「ハハハハハ…よしよし。それじゃ、もうひとつプレゼントがあるんだ。大神!ちょっと前に出ろ」

 

大神「はい?なんですか?」

 

おっさんに呼ばれて、大神は俺達の前に出る。

 

米田「帝国海軍少尉、大神一郎!貴殿に南米演習の教官任務を申し渡す!!」

 

大神「いいっ!?お、俺が教官ですか!?」

 

米田「ああ、俺が推薦しといたんだ。御前はそれだけの事をやってのけたんだぞ。花組を一つにまとめあげて、この帝都の平和を守った。中々出来るもんじゃねぇよ」

 

大神「い、いや…その…」

 

照れてんじゃねぇよコイツw

 

大輔「けど、確かにお前はそれだけの事をしたんだ。胸張ってけ!」

 

大神「森川さん…」

 

さくら「大神さん、おめでとうございます!」

 

カンナ「だな。隊長の働きが認めてもらえたんだ。あたいも鼻高々だぜ!」

 

すみれ「なんでカンナさんが、鼻高々なんですの?」

 

大輔「ま、そこは当人同士の話だ」

 

米田「それじゃあ、俺の話はここまでだ。休みは明日からだ。ゆっくり楽しんできな」

 

さくら「はい!分かりました」

 

マリア「それでは、皆解散よ。今日はもう遅いわ。さぁ、部屋に戻りましょう」

 

アイリス「は〜い!おやすみなさ〜い!!」

 

そして全員がそれぞれの部屋に戻っていった。誰もいなくなったサロンで、俺の端末が鳴った。

 

大輔「俺だ」

 

オペレーター『マスター。先程藤枝あやめが目を覚ましました』

 

大輔「なんだと!?本当か!」

 

オペレーター『はい』

 

大輔「分かった。今すぐ戻る」

 

おれは端末を切り、急いで自分の店の地下に向かった。到着して医務室に入ると、あやめは起き上がっていた。

 

大輔「……」

 

あやめ「…大輔さん」

 

大輔「やっと起きたか。このねぼすけが」

 

俺はベッドの端に座り、あやめを抱き締めた。

 

大輔「無事でよかった…」

 

あやめ「…私も、また大輔さんや皆と会えて…本当に嬉しいです」

 

大輔「ああ…俺もだ」

 

そして、あやめの体に異常がないか徹底的に調べた。

 

大輔「…よし。身体には影響はなしだ。ただ、俺が撃った胸部分には、傷跡が残るが…」

 

あやめ「大丈夫よ。これは…私の戒めとして刻んでおくわ」

 

大輔「そうか…取り敢えず、一応動けるが無理はするなよ」

 

あやめ「ええ、そうね。でも、米田長官や大神君、花組の皆には会いたいわ」

 

大輔「心配すんな。明日俺と付き添いになるが、おっさん達の所に行くつもりだ。だから、今日はもう休んでおけ」

 

あやめ「ええそうするわ。それじゃあ、おやすみなさい」

 

大輔「ああ。おやすみ」

 

俺は医務室を出て、地下に新たに作った仮眠室で今日は休むことにした。そして翌日、俺とあやめは大帝国劇場に来ていた。

 

大輔「まずはおっさんのところだな」

 

あやめ「そうね」

 

支配人室の前に行くと、中から話し声が聞こえてきた。

 

大神『…テスト、テスト。ただいま記録テープの実験中。ただいま記録テープの実験中』

 

あやめ『じゃあ、私ね…えぇと、大神くんは今日もマジメデス。もう少し砕けた感じの方が好きかな』

 

大神『あ、あやめさん…』

 

あやめ『ふふふ…大神くん。こういう時くらい、ふざけてもいいのよ。うぅん…なんだか最近、変な夢ばかり見るわね…でも…夢とも違うような…あれも…私?』

 

大輔「…あれか、殺女の夢か」

 

あやめ「ええ。あの時はあの夢ばかり見てたわ…」

 

大輔「…そうだったか」

 

俺はあやめの肩を抱き寄せた。

 

あやめ『死にたくなんかない…だって、まだやり残した事がまだ、たくさんあるもの…あの人だって…まだ見つけられてないのに。それに、森川さんに返事を聞かせてもらってない。私、どうしたらいいの…そういうこと。夢じゃないのね…あの二人は…きっと私…』

 

大神『これは…あやめさんの独り言か…』

 

あやめ『…米田司令。司令なら、きっとこのテープを見つけてくれていますよね』

 

米田『……』

 

あやめ『多分…私はもう、司令達とは一緒には…いられなくなってるのでしょう。ですが…悲しまないで下さい。私は自分で決めたんです…全てを許す事を。米田司令…いえ、米田隊長…今までありがとうございました。どうか、隊長は…生きて下さい。私の分も…生きて下さい。たった一つの私のわがまま…聞いて…もらえますよね。それでは…これで。さようなら…米田隊長』

 

米田『……』

 

大神『支配人…』

 

大輔「…おい、遺言を遺すなとは言わないが…思いっきり入り難い空気になったぞ」

 

あやめ「それは…」

 

まぁ確かに、あの時はもう死を覚悟するしかなかったのは分かるけど…

 

大輔「こりゃ、米田のおっさんに一発殴られる覚悟しとくか」

 

あやめ「フフフ…私も一緒に怒られるわ」

 

大輔「なら行くぞ」

 

あやめ「ええ」

 

俺は支配人室のドアをノックした。

 

米田『…誰だ』

 

大輔「おっさん、俺だ。入るぞ」

 

俺はドアを開けた。

 

大輔「…大神もいたのか」

 

大神「森川さん」

 

大輔「二人して、なに辛気臭い顔してんだよ」

 

大神「…これですよ」

 

大神は記録テープを俺に見せた。

 

大輔「…記録テープか。あやめの遺言でも入ってたか?」

 

米田「ああ…その通りだ。なんだよ、生きろ…かよ。あやめくん、ヘヘっ…わがままだよなぁ…ははは…そんなわがまま、聞けるかよぉ…」

 

大神「支配人…」

 

大輔「…だとよあやめ。おっさんはお前のわがまま、聞けねぇってよ」

 

大神「えっ?」

 

米田「なんだと?」

 

ドアを思いっきり開けると、俺の横にいたあやめが姿を見せた。

 

大神「あ、あやめ…さん…」

 

米田「本当に…あやめくん…なのか…」

 

あやめ「はい…米田隊長。ご迷惑をおかけしました」

 

米田「……バカ…やろう…生きてるなら…そう言えってんだ…」

 

大輔「…悪かったな」

 

大神「で、でも…なんであやめさんはあの時…」

 

大輔「大神。お前忘れてないか?あの時俺の分身が、あやめを抱えて去っていったのを」

 

大神「…あっ!」

 

どうやら思い出したみたいだな。

 

大輔「今だから言うが、あの時あやめに撃ち込んだ弾丸は、あやめ本人と、その中にいた殺女とミカエルを分ける働きがある代物だったんだ」

 

大神「そうだったんですか…」

 

米田「なら、なんであやめくんが無事だと俺達に言わなかった」

 

大輔「使った弾丸は特殊でも、心臓に撃ち込んだんだ。すぐに治療処置を行ったが、助かるかは五分五分だった。だから、あやめが完全に目を覚ましてから、あんた等に伝えるつもりだったんだよ」

 

大神「そうだったんですか」

 

大輔「最も、昨日の夜に目を覚ましたんだがな」

 

するとあやめは、おっさんの前に立った。

 

あやめ「米田隊長…」

 

米田「……」

 

あやめ「この度は、私のせいでご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

 

米田「……」

 

頭を下げるあやめに、おっさんは何も言わない。

 

米田「…俺はな、あやめくん。お前さんが生きててくれて…本当に嬉しいと思う。ホントは…文句の一つでも言いてぇが…」

 

おっさんは涙を浮かべながら言う。

 

米田「そんなのは…全部忘れた。生きててくれて…ありがとうな」

 

あやめ「米田…隊長…」

 

米田「…大神!あやめくんの復帰祝だ!寿司とか酒を出前しろ!金に糸目はつけねぇ!全部俺の奢りだ!」

 

大神「…はい!」

 

そして、花組の連中とも再会し、みんな泣きながら、あやめの復帰を祝ったのだった。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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