太正?大正だろ?   作:シャト6

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第七十七話

さて、残るはさくら、すみれ、マリアの三人か。すると、マリアが自分の部屋から顔を出した。

 

マリア「あっ…」

 

大輔「よう」

 

マリア「森川さん…」

 

大輔「少し話さないか?」

 

マリア「…はい。どうぞ中へ」

 

俺はマリアの案内で部屋の中に入る。

 

大輔「この部屋に入ったのは二回目だな」

 

マリア「そうですね。あの時はねずみ小僧の騒動で、森川さんが私の代わりに待ち伏せしましたね」

 

ねずみ小僧か。懐かしいな。

 

大輔「それでマリア。あやめの事だが…」

 

マリア「森川さん…私とあやめさんは、華撃団結成時から一緒だったのはご存知ですよね?」

 

大輔「ああ。俺が深く関わったのは最近だが、この帝劇が出来た当時から知ってたからなお前等の事は」

 

マリア「花組の中で…私が一番あやめさんとの付き合いは長かったんです。そして…私に命を与えてくれたのも、あやめさんなんです」

 

大輔「命をくれた…か」

 

マリア「ご存知かも知れませんが、華撃団に来る前…私はアメリカにいました。報酬の為に人を撃つ…そんな殺し屋稼業に身を落としていました。自分の命も…他人の命も…紙クズ同然な毎日…私は…死んでいたのです。そんな私を救ってくれたのが、あやめさんでした…私は…あやめさんに、帝都を守るという…生きる目的を貰いました。心を失っていた私に…生きる希望を…与えてくれたのです…」

 

大輔「…そうか」

 

確かに俺は、マリアを含めた花組の連中の過去を調べた事がある。だから、マリアがそんな稼業をしてたのも知っている。

 

マリア「こんな事を話せるのも、あやめさんだけだったのに…そのあやめさんも…」

 

大輔「……」

 

俺はマリアをそっと抱きしめた。

 

マリア「も、森川さん!?」

 

大輔「悪いな。俺は不器用だから、こんな風にしかお前に答えてやれねぇ。それに、俺はあやめを撃ったんだからな」

 

マリア「……」

 

大輔「嫌だったら振り解いてくれて構わない」

 

マリア「…そんな言い方…ズルいですよ。そんな風に言われたら、断れません…」

 

そう言いながら、マリアは俺の体に腕を巻き付けた。

 

マリア「頭では…理解してるんです。森川さんがあやめを撃った事も、それがあやめさんの意思だって事も」

 

大輔「…すまん」

 

マリア「いえ…ですが、もう少しこのままにさせて下さい」

 

大輔「ああ」

 

そして暫くマリアは俺とマリアは抱き合った。

 

マリア「…ありがとうございます」

 

そしてマリアは俺から離れる。

 

マリア「忘れていました…人には…温かさがある事を。ですが、これ以上森川さんに甘えるといけません。自分自身で結論が出るまで、一人にさせて下さい」

 

大輔「…分かった」

 

マリア「私も休むことにします。今日は…色々と疲れましたから」

 

大輔「ああ。それじゃあな」

 

そして俺は部屋から出ていった。サロン方面に歩いていると、すみれがサロンにいた。

 

大輔「よう…」

 

すみれ「あ、森川さん…」

 

大輔「すみれ一人か?」

 

すみれ「わたくしが何をしていようと、森川さんには…関係ありませんでしょう。それとも…何をするにしても、森川さんの了承が必要ですの?」

 

大輔「確かにそうだな…悪かったな」

 

俺はすみれに謝り、サロンを後にする。

 

すみれ「あ…お待ちになって」

 

するとすみれは俺を呼び止めた。

 

大輔「…なんだ?」

 

すみれ「いえ…少し神経質になっていたようですわ。申し訳ありません。失礼な事を言ってしまい…」

 

大輔「……」

 

すみれ「何も言って下さらないのですね…でも…それが森川さんの優しさなのかもしれませんわね…」

 

大輔「……」

 

すみれ「けれど…けれど…今のわたくしには、その優しさは…毒です。だから…わたくし自身の手で、決着をつけるのです!」

 

大輔「…そうか」

 

すみれ「確かに森川さんはあやめさんを撃ちましたわ。ですが、それは本人が望んだ事…そして、その思いに反する形で…あやめさんは生きておられます。ですので、あの人は…このわたくしが殺して差し上げます。それが…あやめさんに対しての、最後の恩返しですから…」

 

大輔「すみれ…お前…」

 

すみれ「…それでは、失礼いたします」

 

そう言い残して、すみれは部屋に戻っていった。

 

大輔「すみれの奴…無茶し過ぎだ」

 

ま、俺もその原因の一つだけどな。

 

大輔「ハハッ…こりゃあやめの奴が無事だった時が怖いな…」

 

だが、それですむなら安いもんだ。

 

大輔「さて、最後はさくらの奴だが…テラスか?」

 

さくらの気配を探るとテラスにいる。テラスに行くと、街を眺めているさくらがいた、

 

さくら「森川さん…」

 

大輔「こんな場所にいたのか、さくら…」

 

さくら「はい」

 

大輔「んな格好じゃ風邪引くぞ」

 

さくら「いえ、冬の寒さは好きです。身が引き締まる思いですから」

 

大輔「……」

 

さくら「実は、あたし…あやめさんに、憧れていました。いつか…ああいう人になれたら…そう…思っていました。なのに…戦わないといけないなんて…こんなの酷すぎますよ!」

 

確かに、こいつ等にとっては最悪だな。分かれたとはいえ、元はあやめだ。抵抗があるのも頷ける。無事と分かってる俺でさえな…だがなさくら…

 

大輔「さくら…お前はあやめと戦いにいくのか?」

 

さくら「えっ?」

 

大輔「違うだろ?お前等はあやめを助けに行くんだろうが!」

 

さくら「でも…」

 

大輔「さくら…お前が信じてるあやめは、そんな弱い奴だったのか?」

 

さくら「いえ…強さと優しさ…それと、深い思いやりを持った素敵な人でした…」

 

大輔「なら…それを信じないでどうする。あやめはお前達の元に必ずや戻ってくる」

 

あやめの奴は、何があっても俺が持ってる力全てを使ってでも助けるんだからな。

 

さくら「…はい。あやめさんを信じたあたしを信じてみます…ありがとうございました。あたし、もう少しで、自分に負けるところでした。森川さん…あやめさんに会いに行きましょう。そして…必ず助け出すんです」

 

大輔「ああ」

 

そして俺は戻ろうとする。

 

さくら「も、森川さん…」

 

すると背後からさくらが抱きついてきた。

 

大輔「さ、さくら!?」

 

さすがの俺も、急に抱きつかれて焦る。

 

さくら「あたし、頑張ります。だけど…それは、森川さんがいてくれるから…森川さんの匂い…ぬくもり…こうしていると、凄く安心できるんです…今だけでいいんです。森川さんの事…独り占めさせて下さい…」

 

大輔「…今の俺にそんな資格」

 

さくら「いえ。森川さんがあやめさんを撃ったとしても、あたしがあやめさんの立場だったら、やっぱり最後は森川さんの手で…」

 

大輔「…そうか。…ありがとな」

 

さくら「いえ…森川さん……大好きです」

 

そして暫くお互いそのままの体制で過ごした。

 

さくら「…それじゃ、あたしも、もう行きますね」

 

大輔「ああ」

 

そしてさくらも戻っていった。

 

大輔「さてと…フゥー」

 

俺はタバコを一本取り出して吸う。ホントは早く戻りたいが、まだ何が起こるか分からないし、このまま帝劇に待機だな。

 

大輔「あやめ…必ず助けるからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叉丹「ふはははは…我が野望の城が黄泉帰る。…殺女よ」

 

殺女「はい」

 

叉丹「聖魔城の復活にはまだ、いくばくかの時が必要だ。その間、こ娘共の注意を引け」

 

殺女「はっ!」

 

叉丹「その力、見せてもらう」

 

蝶「お待ちください!この殺女は、先日まで眠っていたも同然の者。失敗せぬとも限りません。その任務、是非ともこの蝶に!」

 

叉丹「ふん…よかろう。好きにしろ…」

 

蝶「ありがたき幸せ…」

 

殺女「ふふふふ…」

 

蝶「何を笑う!?」

 

殺女「ふふ、いいえ…あなたのお手並拝見といきましょう…」

 

蝶「叉丹様と共に野望を果たすのはこの、アタシ…貴様の好きにはさせない!」

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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