さて、残るはさくら、すみれ、マリアの三人か。すると、マリアが自分の部屋から顔を出した。
マリア「あっ…」
大輔「よう」
マリア「森川さん…」
大輔「少し話さないか?」
マリア「…はい。どうぞ中へ」
俺はマリアの案内で部屋の中に入る。
大輔「この部屋に入ったのは二回目だな」
マリア「そうですね。あの時はねずみ小僧の騒動で、森川さんが私の代わりに待ち伏せしましたね」
ねずみ小僧か。懐かしいな。
大輔「それでマリア。あやめの事だが…」
マリア「森川さん…私とあやめさんは、華撃団結成時から一緒だったのはご存知ですよね?」
大輔「ああ。俺が深く関わったのは最近だが、この帝劇が出来た当時から知ってたからなお前等の事は」
マリア「花組の中で…私が一番あやめさんとの付き合いは長かったんです。そして…私に命を与えてくれたのも、あやめさんなんです」
大輔「命をくれた…か」
マリア「ご存知かも知れませんが、華撃団に来る前…私はアメリカにいました。報酬の為に人を撃つ…そんな殺し屋稼業に身を落としていました。自分の命も…他人の命も…紙クズ同然な毎日…私は…死んでいたのです。そんな私を救ってくれたのが、あやめさんでした…私は…あやめさんに、帝都を守るという…生きる目的を貰いました。心を失っていた私に…生きる希望を…与えてくれたのです…」
大輔「…そうか」
確かに俺は、マリアを含めた花組の連中の過去を調べた事がある。だから、マリアがそんな稼業をしてたのも知っている。
マリア「こんな事を話せるのも、あやめさんだけだったのに…そのあやめさんも…」
大輔「……」
俺はマリアをそっと抱きしめた。
マリア「も、森川さん!?」
大輔「悪いな。俺は不器用だから、こんな風にしかお前に答えてやれねぇ。それに、俺はあやめを撃ったんだからな」
マリア「……」
大輔「嫌だったら振り解いてくれて構わない」
マリア「…そんな言い方…ズルいですよ。そんな風に言われたら、断れません…」
そう言いながら、マリアは俺の体に腕を巻き付けた。
マリア「頭では…理解してるんです。森川さんがあやめを撃った事も、それがあやめさんの意思だって事も」
大輔「…すまん」
マリア「いえ…ですが、もう少しこのままにさせて下さい」
大輔「ああ」
そして暫くマリアは俺とマリアは抱き合った。
マリア「…ありがとうございます」
そしてマリアは俺から離れる。
マリア「忘れていました…人には…温かさがある事を。ですが、これ以上森川さんに甘えるといけません。自分自身で結論が出るまで、一人にさせて下さい」
大輔「…分かった」
マリア「私も休むことにします。今日は…色々と疲れましたから」
大輔「ああ。それじゃあな」
そして俺は部屋から出ていった。サロン方面に歩いていると、すみれがサロンにいた。
大輔「よう…」
すみれ「あ、森川さん…」
大輔「すみれ一人か?」
すみれ「わたくしが何をしていようと、森川さんには…関係ありませんでしょう。それとも…何をするにしても、森川さんの了承が必要ですの?」
大輔「確かにそうだな…悪かったな」
俺はすみれに謝り、サロンを後にする。
すみれ「あ…お待ちになって」
するとすみれは俺を呼び止めた。
大輔「…なんだ?」
すみれ「いえ…少し神経質になっていたようですわ。申し訳ありません。失礼な事を言ってしまい…」
大輔「……」
すみれ「何も言って下さらないのですね…でも…それが森川さんの優しさなのかもしれませんわね…」
大輔「……」
すみれ「けれど…けれど…今のわたくしには、その優しさは…毒です。だから…わたくし自身の手で、決着をつけるのです!」
大輔「…そうか」
すみれ「確かに森川さんはあやめさんを撃ちましたわ。ですが、それは本人が望んだ事…そして、その思いに反する形で…あやめさんは生きておられます。ですので、あの人は…このわたくしが殺して差し上げます。それが…あやめさんに対しての、最後の恩返しですから…」
大輔「すみれ…お前…」
すみれ「…それでは、失礼いたします」
そう言い残して、すみれは部屋に戻っていった。
大輔「すみれの奴…無茶し過ぎだ」
ま、俺もその原因の一つだけどな。
大輔「ハハッ…こりゃあやめの奴が無事だった時が怖いな…」
だが、それですむなら安いもんだ。
大輔「さて、最後はさくらの奴だが…テラスか?」
さくらの気配を探るとテラスにいる。テラスに行くと、街を眺めているさくらがいた、
さくら「森川さん…」
大輔「こんな場所にいたのか、さくら…」
さくら「はい」
大輔「んな格好じゃ風邪引くぞ」
さくら「いえ、冬の寒さは好きです。身が引き締まる思いですから」
大輔「……」
さくら「実は、あたし…あやめさんに、憧れていました。いつか…ああいう人になれたら…そう…思っていました。なのに…戦わないといけないなんて…こんなの酷すぎますよ!」
確かに、こいつ等にとっては最悪だな。分かれたとはいえ、元はあやめだ。抵抗があるのも頷ける。無事と分かってる俺でさえな…だがなさくら…
大輔「さくら…お前はあやめと戦いにいくのか?」
さくら「えっ?」
大輔「違うだろ?お前等はあやめを助けに行くんだろうが!」
さくら「でも…」
大輔「さくら…お前が信じてるあやめは、そんな弱い奴だったのか?」
さくら「いえ…強さと優しさ…それと、深い思いやりを持った素敵な人でした…」
大輔「なら…それを信じないでどうする。あやめはお前達の元に必ずや戻ってくる」
あやめの奴は、何があっても俺が持ってる力全てを使ってでも助けるんだからな。
さくら「…はい。あやめさんを信じたあたしを信じてみます…ありがとうございました。あたし、もう少しで、自分に負けるところでした。森川さん…あやめさんに会いに行きましょう。そして…必ず助け出すんです」
大輔「ああ」
そして俺は戻ろうとする。
さくら「も、森川さん…」
すると背後からさくらが抱きついてきた。
大輔「さ、さくら!?」
さすがの俺も、急に抱きつかれて焦る。
さくら「あたし、頑張ります。だけど…それは、森川さんがいてくれるから…森川さんの匂い…ぬくもり…こうしていると、凄く安心できるんです…今だけでいいんです。森川さんの事…独り占めさせて下さい…」
大輔「…今の俺にそんな資格」
さくら「いえ。森川さんがあやめさんを撃ったとしても、あたしがあやめさんの立場だったら、やっぱり最後は森川さんの手で…」
大輔「…そうか。…ありがとな」
さくら「いえ…森川さん……大好きです」
そして暫くお互いそのままの体制で過ごした。
さくら「…それじゃ、あたしも、もう行きますね」
大輔「ああ」
そしてさくらも戻っていった。
大輔「さてと…フゥー」
俺はタバコを一本取り出して吸う。ホントは早く戻りたいが、まだ何が起こるか分からないし、このまま帝劇に待機だな。
大輔「あやめ…必ず助けるからな」
叉丹「ふはははは…我が野望の城が黄泉帰る。…殺女よ」
殺女「はい」
叉丹「聖魔城の復活にはまだ、いくばくかの時が必要だ。その間、こ娘共の注意を引け」
殺女「はっ!」
叉丹「その力、見せてもらう」
蝶「お待ちください!この殺女は、先日まで眠っていたも同然の者。失敗せぬとも限りません。その任務、是非ともこの蝶に!」
叉丹「ふん…よかろう。好きにしろ…」
蝶「ありがたき幸せ…」
殺女「ふふふふ…」
蝶「何を笑う!?」
殺女「ふふ、いいえ…あなたのお手並拝見といきましょう…」
蝶「叉丹様と共に野望を果たすのはこの、アタシ…貴様の好きにはさせない!」
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方