太正?大正だろ?   作:シャト6

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第六話

さくらの初公演も無事に終わり、ここ最近は平和な日々を過ごしている。ま、それも昨日までだけどな。

 

「しかし、昨日の闘い方は流石に…」

 

俺は昨日、帝国華撃団の闘いを見ていた。何故見ていたか…米田のおっさんに言われたんだよ。折角華撃団の事を教えたんだし、あいつらの闘い方を見てくれないかとな。確かに戦闘に関しちゃ色々と分かるが、その事はおっさん達は知らない。最も向こうは素人なりに何か意見が合ったら言ってくれって感じだったしな。しかし…

 

「あのピンクの光武は駄目だろ。帝都を護る側が器物破壊したらな」

 

そう、今回戦っていた光武は黒、紫、黄色だったのだがその後にピンクの光武が現れた。で、敵を倒したまでは良かったんだけど…その後ピンク光武が派手に動き街灯や建物を壊していた。更に俺はおっさんと一緒にその現場を見ていたのだ。

 

「んで今朝の新聞か」

 

今日の朝刊には、昨日の事が載っており、大きくこう書かれていた。【佃島相生橋大崩壊!】と。

 

「こりゃあ米田のおっさん、今頃頭抱えてるだろうな」

 

おっさんは、大帝国劇場の支配人であり帝国華撃団司令だ。確か今日は劇場が休みって言ってたから、おそらく上の連中に何か言われてんだろな。

 

「このパターンの連中は、大概碌でもない連中だろうな」

 

グラスを拭きながらそんな事を言う俺であった。すると店の扉が開いた。

 

「あの…こんにちは」

 

やって来たのはさくらだった。

 

「こんにちはさくらさん。珍しいですね、この時間に来られるのは」

 

さくら「はい!今日は皆さんお休みを頂いたので」

 

「休日ですか。いいですね」

 

ま、まだ帝都に来てそんなに経ってないしな。色々と見て回りたいんだろうよ。

 

「折角来たんですし、何か飲みますか?」

 

さくら「そうですね」

 

そう言いさくらはカウンターに座る。俺は以前さくらに出した日本茶を出す。

 

「どうぞ」

 

さくら「ありがとうございます」

 

日本茶をすすり、美味しそうに飲む。さて、お茶請けに何かあったかな?食材を見ると昨日使った小豆等があった。そういえば、昨日餅作ったもち米がまだ残ってたな。

 

「ふむ。さくらさん、時間は大丈夫ですか?」

 

さくら「はい。大丈夫ですけど」

 

「なら少し待ってて下さい」

 

早速俺は調理に取りかかる。もち米に小豆とくれば作るのはあれしかない。そして料理が完成しさくらに出す。

 

「はいどうぞ。余ったもち米と小豆でおはぎを作ってみました」

 

さくら「うわ~美味しそうですね」

 

そしてさくらは一口食べる。マズくはないと思うけど…

 

「どうですか?」

 

さくら「とっても美味しいです!こんなに美味しいおはぎ初めて食べました!!」

 

「そう言って頂いて作った甲斐があります」

 

美味しそうに再びおはぎを食べるさくら。店に来た時、少し悩んでる表情をしてたが、それもないし一安心だな。女は笑ってる方がいいんだよ。

 

さくら「ご馳走様でした」

 

あっという間におはぎを完食した。すげ~な。五つ作ったけど全部食いやがった。

 

「お粗末様でした。綺麗に食べて頂いて嬉しいです」

 

さくら「本当に美味しくて、私あっという間に全部食べちゃいました」

 

「ならよかった」

 

俺は空いた皿を洗う。さくらの方はお茶を飲み一息ついていた。

 

「色々あってお疲れじゃないですか?確か米田さんに聞きましたが、もう次回公演が決まったんでしょう?」

 

さくら「はいそうなんです。森川さんもう知ってるんですね」

 

「いえ、劇の内容までは知りませんよ。この間米田さんがそう言ってましたので、そろそろじゃないかと」

 

さくら「そうですか」

 

そこで話は終わり、暫くお互い何も話さずのんびりする。

 

さくら「私そろそろ帰りますね」

 

「そうですか。すみません何もお構いできなくて」

 

さくら「いえ、森川さんと楽しい時間を過ごせました。おはぎ美味しかったです」

 

そう言い残してさくらは帰っていった。さて、そろそろ俺も店の準備をするか。夜はいつも通りにチラホラと常連客が来、閉店時間を向かえた。

 

「ふぅ」

 

一服してると、電話がかかって来た。誰だこんな時間に?

 

「もしもし」

 

『森川か?米田だ』

 

「こんな時間におっさんから電話とは珍しいな。何かあったのか?」

 

米田『実はよ、今度花組に新しい隊長を入隊させるんだよ』

 

新しい隊長?確か今花組の隊長ってマリアだったよな?

 

「随分と急だな。現隊長はどうするんだよ」

 

米田『マリアには、副隊長になってもらうつもりだ。それに、今回の隊長は男なんだよ。だから、表の方はマリアが隊長だ。その方が、少しでもあいつの負担が減るだろうよ』

 

「確かにそうかもしれないけどよ。しかし思い切ったことするなあんたも。帝国華撃団は女だけだろ?その中に男の隊長とはな」

 

おっさんの思い切ったことに俺は脱帽だぜ。

 

米田『ああ。花組に新しい風を入れるには丁度いいと思ってな』

 

「どうせおっさんの事だ。上の連中になんか言われる前に対策したかったのもあんだろ?」

 

米田『へっ!おめぇさんには敵わねぇぜ』

 

思った通りだったか。

 

「で、そいつはどんな奴なんだ?」

 

米田『名前は大神一郎。士官学院を卒業したばかりの海軍少尉だ』

 

「卒業したばかりって、流石に無理ないか?」

 

いくらなんでも、士官学院を卒業したばかりの奴をあんな個性の強い連中の隊長は…

 

米田『お前さんが言いたい事も分かるぜ。けどな、あいつらにはいい刺激になると思うんだよ。俺の勘がそう言ってるんだ』

 

「結局はおっさんの勘かよ!!」

 

呆れた。ま、おっさんの勘はこういう時は馬鹿にできないからな。

 

米田『こっちに来て落ち着いたら、お前さんにも紹介するぜ』

 

「了解だ」

 

そして電話を切った。しかし、花組に新しい隊長か。ついこの間さくらの奴が来たばかりなのによ。

 

「ま、考えてもしょうがない。暇な時そいつの事を調べてみるか」

 

そう決めた俺は、風呂に入って眠るのであった。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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