太正?大正だろ?   作:シャト6

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第五十四話

直仁の奴が花組に体験入隊してから2週間が過ぎた。最初の頃と比べ、だいぶ逞しくなっているのが分かる。一応俺も何度か帝劇に行き、体を作る飯も出している。

 

「さて、今日も飯を作りに行くか」

 

俺は帝劇に向かう。中に入ると今日は全員が舞台に集まっていた。大神や直仁は客席で練習を見ている。

 

「こんにちは」

 

大神「森川さん」

 

直仁「こんにちは」

 

「今日は通し稽古ですか」

 

大神「ええ。三日後には次回公演が始まりますからね」

 

そんな話をしてると…

 

「痛っ!!」

 

舞台で稽古をしてたさくらが倒れる。

 

大神「さくらくん!?」

 

「「さくらさん!?」」

 

俺や大神達は急いで舞台に上がる。回りの奴らもさくらの所に集まる。

 

さくら「イタタタ…」

 

「大丈夫ですか?」

 

さくら「は、はい…痛ッ!」

 

立ち上がろうとするさくらだが、再び座り込む。

 

「失礼しますよ」

 

俺はさくらの足を触る。こりゃ捻挫してるな。

 

「これは少し酷いですね。大神さん、すみませんが氷を持ってきてもらってもいいですか?」

 

大神「分かりました」

 

「後、直仁君。君は医務室から包帯を持って来て下さい」

 

直仁「はい!」

 

2人はそれぞれ俺が頼んだ物を取りに行った。そして大神と直仁から氷と包帯を受け取り、さくらの足を治療した。

 

「暫く冷やしていて下さい」

 

さくら「はい。ありがとうございます」

 

カンナ「けど、この様子じゃさくら舞台に立てないだろ?」

 

マリア「そうね。今回は少しの役とはいえ、抜けるといたいわね」

 

すみれ「全く…本当にドジですわね」

 

紅蘭「けどどないする?全員が揃う個所もあるから、ウチらが二役すんのは無理やで」

 

アイリス「そうだよね」

 

マリア達はそう言う。

 

大神「代役か…」

 

すると、全員が直仁の方を見る。

 

直仁「えっと…」

 

マリア「直仁、貴方さくらの代わりに舞台に出てくれないかしら」

 

直仁「ぼ、僕ですか!?」

 

直仁は驚いている。そらそうだろ。いきなりさくらの代役で舞台に立ってくれなんて言われりゃな。

 

カンナ「そうだな。直仁なら顔も女っぽいしいけんだろ」

 

直仁「ちょ、ちょっと待って下さいよ!自分に芝居なんて無理ですよ!!それなら、今まで見ている大神さんとかが…」

 

紅蘭「そら無理やわ直仁はん」

 

直仁「な、何故です!?」

 

マリア「今回さくらの役は娘役なのよ。流石に隊長に女装はちょっと…」

 

大神「あはは…」

 

「ま、私も同じなんで何も言えませんけど」

 

俺や大神だとな。秘密道具使えばいけるが…面倒だ。

 

すみれ「という訳で」

 

するとすみれはパンパンと手を叩く。すると黒子が数人現れ直仁は何処かに連れていかれた。数分後、直仁は女装をして戻って来た。来たんだが…

 

『……』

 

直仁「い、いじめだ」

 

いや悪い直仁…お前の気持ちも分かるが…

 

大神「す、凄いね直仁君」

 

「ええ…ここまで化けるとは思っていませんでした」

 

マリア「これは驚いたわね」

 

すみれ「ええ。流石のわたくしも驚きましたわ」

 

さくら「直仁さん!とっても素敵ですよ!」

 

アイリス「ちい兄ちゃんとっても可愛い!」

 

直仁「うぅ…全然嬉しくないですよぉ」

 

ヤバい…女装してるから普通に女にしか見えん分、そんな涙目で言われると…

 

大神「ぽ~…」

 

あ、既に大神が逝ったわ。

 

「オホン!取り合えず、見た目はこれで大丈夫そうですね」

 

マリア「そ、そうですね。後は当日までに台詞を覚えてもらうだけですね」

 

すみれ「ですので、ビシビシいきますので覚悟なさい」

 

直仁「お、お手柔らかに…」

 

こうして、さくらの代役として直仁は次回公演に立つ事が決定したのであった。因みに、おっさんとあやめが女装した直仁を見た瞬間、やっぱり驚いていた。おっさんはその後盛大に笑ってたがな。そして舞台当日を迎えた。動き等は直仁お得意の見とりでほぼ同じ様に動けたが、流石に台詞は三日間で覚えるのは大変だったみたいだ。

 

「いよいよですね。七緒さん」

 

直仁「止めて下さいよ。女装中の為とはいえ、まさか名前がつくなんて…」

 

直仁が女装してる時に、流石に紹介する時に名前が必要とおっさんがいい

 

米田『女装の時のお前さんは前梨七緒と名乗れ』

 

と言われたのだ。当然パンフレットにも写真と名前が載っているのは言うまでもない。ま、頑張れや。結果は、すみれ達の指導のおかげもあり、無事に舞台を終える事が出来た。お客さんからの鳴りやまない拍手に、直仁の奴も感動していたがな。ま、おっさんが味を占めて直仁をこれからも使わないとは限らないけどな。因みに、直仁の人気はかなりのもので、『次回公演にも出てほしい』や『ブロマイドを作って欲しい』といった手紙が殺到しており、その人気にさくらは頬を膨らませて拗ねていたとかいないとか大神が言っていた。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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