結局、あれ以降光武に誰かが乗り込んだ確認は取れなかった。
「となると、ますます直仁の言った事が現実味を帯びてきたな」
もう暫くは時間がかかりそうだな。
「取り敢えず、今日は店を休みにして帝劇に向かうか」
俺は資料を隠し金庫に入れ、戸締りをして帝劇に向かった。
「さて、あいつの入隊状況はどうかな?」
俺はブラブラと帝劇を歩く。すると、中庭で直仁が鍛練している。俺はバレない様にこっそりと見る。すると、直仁は木刀を構え素振りを始めた。しかし、少し見てると俺は驚く。
(あの型…さくらの太刀筋に似てるな。まだ荒削りだがな)
そう。直仁の太刀筋はさくらの太刀筋とほぼ同じだ。すると今度は拳を突き出す。
(今度はカンナの型か。もしやあいつ、見ただけである程度の型とか覚えてるんじゃねぇか?)
俺は気になり直仁に話しかける。
「こんにちは直仁君」
直仁「貴方は…森川さん。こんにちは」
「すみません。集中している時に話し掛けてしまって」
直仁「いえ、大丈夫ですよ」
「そうですか。少し気になったんですが、直仁君は刀や格闘に心得が?」
直仁「違いますよ。確かに運動とかは得意な方ですが、刀の使い方等は、花組の皆さんに教えてもらったのを自分なりに改良したものです」
やっぱり…こいつ相手の型や技を見て再現出来てやがる。それははっきり言って俺でもギリギリできるかだ。
「それは凄いですね。相手の型や技を見て自分の物にできるなんて」
直仁「努力の賜物ですよ。その分、鍛練を怠ると使えなくなりますから」
なるほど。見て取得する事はできるが、鍛練を怠ると弱体化するって訳か。
「そうですか。これからも頑張って下さい。今度是非ウチの店に食べ来て下さい。サービスしますから」
直仁「はい!その時はお願いします!」
そして俺は、再び鍛錬に入る直仁を置いて、支配人室に向かった。到着し中に入ると、おっさんにあやめ、さくら、マリア、大神がいた。
米田「森川か。どうしたんだ?」
「いや、直仁の様子を見に来てな」
米田「ほう…で、お前さんから見てどうなんだ?」
「どうも何も、随分と恐ろしい奴を見つけたなあやめ」
あやめ「恐ろしい?」
「だってそうだろ。相手の型や技を見ただけでほぼ自分の物にできるなんて、恐ろしい以外なにがあるんだよ」
米田「確かにそうだな。丁度大神達からも同じ報告をもらったところだ」
やっぱりこいつらもそう思ってたか。
「お前らもか」
マリア「はい」
さくら「直仁さん、私の剣筋を見ただけで荒削りですができていました」
大神「自分の時もそうですし、他の隊員達も同じ事を言ってました」
米田「こりゃ、とんでもねぇ奴を引き入れられたかもな」
「ああ。だが、そこから更に化けるかは本人次第だがな」
米田「まぁな」
さくら「直仁さんなら大丈夫ですよ」
マリア「そうね。彼はこれからもっと成長できると思うわ」
大神「それは俺も同意見だな」
あやめ「ふふふ…」
「これからが見物だな。1ヶ月という短い期間でどんだけ化けるか…」
そう言いながらも、俺もなんだかんだであいつには期待してしまってるんだがな。その日の夜、俺は珍しく夜にも帝劇にいる。まぁ、今日は店が休みだからな。すると、サロンでおっさんを含めた全員が揃っていた。
「皆さんお揃いですね」
米田「森川か」
さくら「実は今、直仁さんに昔の花組の話を支配人にしてもらってたんです」
「昔の花組ですか」
さくらや大神達が来る前の話とかか。懐かしいな。
米田「森川、お前はほぼ花組結成時から知ってるんだ。話してやれよ。俺はそろそろ帰るからよ」
おっさんはそう言い残して帰って行った。
「自分が話していいんですか?」
あやめ「別にいいわよ。確かに、貴方は帝国華撃団結成時からの付き合いですしね」
直仁「そうなんですか!?」
直仁は驚いた顔をしている。
マリア「そうでしたね。確かに森川さんとは、花組結成の時からお世話になっていますし」
すみれ「お~ほほほほほ!直仁さん、森川さんから私の武勇伝をお聞きくださいな」
カンナ「何が武勇伝だよ」
「分かりました」
そして俺は椅子に座る。
「それで、何を聞きたいんですか?」
あやめ「あれはどうかしら?大神君が花組の隊長になるきっかけの」
「あぁ。あれですか」
そんな話をすると、さくらにすみれ、アイリス、マリアは嫌な顔をする。
さくら「その話は止めて下さい!あやめさん!森川さん!」
すみれ「そうですわ!」
あやめ「フフッ。けど、大神君も気になるわよね?」
大神「え?ええ、まぁ」
大神がそう言い、さくら達は観念したのか黙ってしまう。
あやめ「じゃあ話してあげて」
「分かりました。あれは確か、今の光武が来て何度目かの出撃の時でしたね…」
そして俺は、大神が花組の隊長になるきっかけの戦いの事を話し始めた。
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方