太正?大正だろ?   作:シャト6

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成長するアイリスを書いたが、自分の絵の酷さに落胆した今日この頃。

誰か上手い人に書いてほしい(願望w)


第三十六話

支配人室に到着し中に入ると、おっさんの他にあやめと大神もいた。

 

あやめ「…米田司令、揃いました。お願いします」

 

米田「…まずはこれを見てくれ」

 

するとあやめがブラインドを閉じて部屋を暗くし、大神が映写機を動かした。真正面に映る映像を見ながら俺は適当な椅子に座る。映ったのは激しい戦闘が行われてる映像だった。

 

大神「これは?」

 

米田「欧州大戦の映像だ」

 

すると今度は、光武に似た機体に乗り込んでる子供達が映る。

 

「この子達は?」

 

米田「この量子甲冑に乗り込んでいる子供達は…星組。花組結成以前に作られた実験部隊だ」

 

大神「星組…この子供達が」

 

「……」

 

こんな子供を実験に使うとはな。軍の連中もおかしいだろうがよ。そして映像が進んでいくと、5機の量子甲冑が街を破壊した。

 

米田「たった5人で、街1つ消す程の霊力を見せたが、今はもう解散しちまった…あれは俺の考えていた華撃団とは違う。そしてな、紅蘭はこの映像を毎日のように見ていたんだ。泣きながら、見続けていたんだってよ」

 

「「……」」

 

おっさんの言葉に、俺と大神は黙る。そして映像も終わり部屋を明るくする。

 

あやめ「人型蒸気同士が壊しあう戦場…」

 

「紅蘭さんには辛かったでしょうね」

 

大神「どうして…紅蘭はこの映像を?」

 

米田「最高の量子甲冑を作る為だ…俺も紅蘭には辛い思いをさせちまったよ。自分の友達である機械が壊されて…人々に憎まれている姿を見せちまった」

 

おっさんも後悔してるな。けど、この映像を見て今の量子甲冑が完成したのも事実。複雑だな…

 

あやめ「機械が友達なんて、おかしなことかもしれない。でも…それは違うの。大切にしている気持ちを傷つけられるのは、とても悲しいことなのよ。自分の常識に囚われず、紅蘭のありのままの心を分かってあげて。貴方には、それができるはずなんだから。ね、大神くん」

 

大神「は…はい。俺、もう一度紅蘭と話をしてきます」

 

そして大神は支配人室を出て行った。

 

米田「大神か…いい奴じゃないか」

 

あやめ「あら、今頃お気づきになられたんですか?」

 

「随分と遅いな」

 

米田「ふふふ…あいつなら、皆を守ってくれるな。星組の二の舞は、もうごめんだ。それに、お前もいるしな…森川」

 

あやめ「ふふっ…そうですね」

 

「おいおい、あんまり期待すんなよ。…ん?」

 

俺は下から機械の足音が聞こえた。なんで足音が?下にあるのは光武だが…

 

「まさか!?」

 

俺は慌てて部屋を出て地下に向かった。

 

米田「おい森川!?」

 

おっさんの声も無視して。そして地下に行くと、紅蘭の光武がなかった。

 

大神「待ってくれ紅蘭!!俺に謝らせてくれ!!」

 

「あっちか!!」

 

俺は大神の声がした方向に走る。するとそこにいたのは紅蘭の光武と、その進路の前に立ちふさがる大神だった。

 

紅蘭『もうええんや、大神はん…昨日な、森川はんがずっと一緒にいてくれたんや。ほんでな、少し考えたんや。ウチはここにいてええんかなって…』

 

大神「違うんだ!俺の話を聞いてくれ!!俺は…紅蘭がそんなに光武を大切にしているなんて、気づいていなかったんだ。機械は…光武は紅蘭の大切な友達なのに…」

 

紅蘭『大神はん…』

 

大神「君の事を…機械の事を真剣に考えていなかったんだ…すまなかった、紅蘭…光武にも、すまなかったと思っている…」

 

すると紅蘭は光武の中から出てきた。

 

紅蘭「……」

 

大神「紅蘭…」

 

「そうですよ紅蘭さん」

 

俺は紅蘭と大神に接触する。

 

大神「森川さん」

 

紅蘭「森川はん…ウチ…ウチ…」

 

紅蘭は俺の方にやって来た。

 

紅蘭「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

そして泣いてしまった。俺と大神は、紅蘭が泣き止むまで黙っていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅蘭「…へへっ。思いっきり泣いたら、なんやスッキリしたわ。あんな森川はん、大神はん…ウチ、中国で暮らしてた頃…友達、おらへんかってん。毎日…誰とも遊ばんと…1人で時計や…機械ばっかりいじっとった。父様の形見の懐中時計…これだけが、ウチの友達やった。この子と話をするんだけが、ウチの支えやったんや…」

 

大神「紅蘭…」

 

「……」

 

大神「どうやって時計と話すんだい?機械は話なんか…」

 

おいおい大神。もう少し言葉を選べよ言葉をよ。

 

紅蘭「確かに、話なんかしてくれへん。でもな…分解して…組み立てなおす。そうしてると…色んな事を話してくれてる気がするんや。ほんで、あやめはんに会うて、神戸のパーシーはんって人に預けられたんや。夢みたいな毎日やったな…パーシーはんと一緒に、機械ばっかりいじっとった。ホンマに幸せやったんや…あんな事、言われるまでは…」

 

「あんな事?」

 

もしかして…

 

紅蘭「パーシーはんのオバハン…嫁さんやな。欧州大戦で息子はんが殺されたらしいんや」

 

大神「欧州大戦…」

 

紅蘭「その後…ウチ、見てもうたんや…星組の映像を…」

 

やっぱりか…

 

大神「…俺と森川さんも見た。さっき、米田司令から見せてもらった…」

 

紅蘭「確かに…あの映像をみたら、機械が人殺しに見えてもしゃあないと思った…でも…違うんや!機械が人を殺すんやない!!人が人を殺すんや!機械を使うてる人間が、悪いことをしてるんや!!」

 

「……」

 

紅蘭「人間は皆勝手や!!機械は壊してもすぐに直る…機械は文句を言わん…機械は人間やないから…悪い事は、みんな機械のせいにする!」

 

大神「紅蘭…」

 

確かに紅蘭の言う通りだ。機械に意思はない。だから、最終的に使う人間によって善し悪しが決まるのも事実だ。

 

紅蘭「なぁ大神はん、森川はん…ええ機械って、どんな機械か分かる?」

 

大神「いい機械?」

 

「なんでも言う事を聞く機械…ですか?」

 

紅蘭「そうや。ええ機械っちゅうのは、作られた目的をきちんと達成する機械の事や。【設計思想】って言うんやけどな。機械を設計する時、こういう風に動いてほしいって考えて作るもんなんよ。せやから【設計思想】通りに働いてくれる機械が、ええ機械っていうことなんや」

 

大神「へぇ…そうなんだ」

 

紅蘭「ウチが今までに会うた機械で、一番エエ子なんはな…この光武や。この子は…作った人の気持ちにきちんと応えとる。光武の設計図の裏にな、こんな言葉が書かれとった。『この霊子甲冑が、人々の希望になりますように』ってな。この設計図を描いた山崎はんって人の言葉やけど、凄く温かいって思った」

 

山崎…以前調べた元降魔部隊の山崎慎之介か。確かに、その人物の言う通り今光武は帝都に住む人の希望になってるしな。

 

紅蘭「せやのに…機械はこんなに頑張ってくれとるのに…皆は…」

 

「…ん?」

 

話してると、格納庫に人の気配を感じた。数的にこれはさくら達だな。やっぱあいつらも気になったか。

 

紅蘭「壊れたら直せばええとか…一回だけ使えればええとか…人間側の身勝手ばっかり…」

 

「紅蘭さん、その気持ち皆さんに伝えてみてはどうですか?」

 

大神「そうだよ紅蘭。君の気持ちを花組に…いや、世界中の人達に伝えよう!」

 

紅蘭「森川はん…大神はん…」

 

「ですよね、皆さん」

 

俺がそう言うと、花組の連中が出てきた。

 

紅蘭「皆…」

 

すみれ「そうですわ。きちんと話して下されば、私も分かりますわ。少尉と森川さんの言う通りですわ。紅蘭はいっつも我慢して、話してくれなかったでしょう。一言…言ってくだされば、わたくしだってきちんと機械とお付き合いいたしますわ」

 

大神「紅蘭…」

 

「紅蘭さん…」

 

紅蘭「大神はん…森川はん…ウチ…ウチ…」

 

「紅蘭さんの気持ち、皆さんに伝わっていますよ」

 

紅蘭「すみれはん…ウチ、皆に謝らなあかん。ウチ…皆に酷い事言うてもうた…」

 

すみれ「いいんですのよ紅蘭。それはお互い様ですわ。わたくし達も、紅蘭の気持ちを分かろうとしていませんでしたもの。これからは…たくさんお話いたしましょう。機械の事や…舞台の事…」

 

紅蘭「もちろんや!皆は…皆はウチの大切な友達やさかい」

 

雨降って地固まるって感じだな。

 

アイリス「わ~い!これで皆一緒だね!」

 

さくら「ふふふ…ねぇすみれさん。あれは渡さないんですか?」

 

すみれ「分かってますわよ…さくらさんは、黙ってらっしゃい。それで…わたくし紅蘭に渡したい物があるんですの。あ、あの…これ…初めて描いた物で上手くはありませんけど」

 

そう言うとすみれは1枚の紙を渡す。

 

紅蘭「ん…なんや?設計図みたいやけど」

 

すみれ「あの…千秋楽で使いたいセットでの設計図ですの。【西遊記】だけではなく、他の舞台でも使えるようにと考えてみたんですけど…」

 

へ~。あのすみれが自ら設計図をね…

 

紅蘭「こりゃええわ!確かに、どんな舞台でも使えるセットになっとる!!凄いですみれはん!ウチ、このセット作る!期待しててや!!」

 

カンナ「よっしゃ!これで今日の千秋楽も、凄い舞台になりそうだな!!」

 

そんないい雰囲気に水を差すブザーが鳴り響く。

 

あやめ『皆、集合して!黒之巣会が現れたわ!』

 

ったく…マジで空気読めよ黒之巣会…

 

マリア「皆行くわよ!」

 

紅蘭「了解や!」

 

「皆さん、頑張ってください!」

 

そして全員出撃していった。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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