あれからなんとかさくら達の説教から解放された俺は、今地下に向かっている。ま、解放といってもまた脇侍が出現したからなんだけどな。で、深夜に出現したが無事に撃退し、戻ってきたさくら達を迎える為に地下に向かった。到着すると、緑色の光武の前でさくら達が集まっていた。
大神「…どうしたんだ?紅蘭がどうかしたのかい?」
さくら「分からないんです…光武の中から出てきてくれなくて…」
「一体何があったんでしょうか?」
大神「光武の中から出てこない?それで…皆は何をしてるんだい?」
大神の疑問も最もだな。カンナの手には肉まん、アイリスはウサギのぬいぐるみ、すみれは工具、マリアはそれを見て呆れている。
カンナ「ほらほら、紅蘭!肉まんだぞ!!うまいぞ~!出て来いよ!」
紅蘭「……」
すみれ「紅蘭が肉まんなんかで喜ぶ訳ないでしょう。カンナさんじゃあるまいし」
だよな。悪いが俺もすみれの意見に賛成だわ。カンナの奴だったら出てきそうだな。
カンナ「なんだと~っ!じゃ、てめぇならどうすんだよ!」
するとすみれは、持っていた工具をカンナに見せる。
すみれ「お~っほっほっほっほっ!紅蘭にはこれが一番ですわ。ほら、紅蘭。貴方が欲しがっていた、本場アメリカ製の工具ですわよ」
紅蘭「……」
しかしすみれの言葉でも反応しない。
アイリス「アイリスもぬいぐるみ持ってきたんだよ~!ほらほら、かわい~よ~っ!!」
さくら「で、こうやって皆で説得してるらしいんですけど…」
大神「説得?」
あ、これやっぱ説得だったのか。説明されなきゃ分からんな。
大神「もっと真面目にやれよ。皆がやってる事は、説得になってないじゃないか」
「そうですね。これは説得ではなく、ただ物で釣ってるだけですよ皆さん」
マリア「隊長と森川さんの言う通りよ。こんな事で紅蘭が出てくると思っているの?」
さくら「そうですよ…悪ふざけはよくないと思います」
すみれ「何をおっしゃるさくらさん。…悪ふざけとは心外ですわ。皆で楽しくやっていれば、お祭り好きの紅蘭のこと、誘われて出てくるはず。つまり…『
天岩戸作戦って…
さくら「そ、そうだったんですか!?すみません、そこまで考えが至らず…」
おいおいさくら、そんな作戦真に受けるなよ。
マリア「さくら…何納得してるの。上手くいくわけないでしょ」
マリアに全面的に同意だ。
マリア「紅蘭もいい加減にしなさい。今回の戦いの失敗は、貴方だけの責任じゃないんだから。隊長の怪我もたいしたことなかったし、誰も貴方を責めたりしないわ」
いや、それもあるが大半の理由はあの時マリアに聞いた事だろな。
紅蘭『…もうええやろ。ほっといてんか…皆は機械の事…この子らの事、分かりたないんやろ…』
「やっぱりそうでしたか」
大神「紅蘭…俺も機械の事好きになるから。な、紅蘭。機嫌直してくれよ」
大神、今紅蘭にその言葉は不味いと思うぞ。
紅蘭『ウチが聞きたいんは、上辺だけの言葉なんかやない!』
ほら見ろ、言わんこっちゃない。
紅蘭『そんな考えやから!千秋楽でしか使わんセットを作ってくれなんて言うんや!!機械なんて、壊れても直せばええやなんて言えるんや!!』
すみれ「も、もしかして…わたくしが…」
紅蘭『すみれはんだけやない…皆、同じ事言うた!大キライや!!人間なんかより、機械の方がエエ!!』
なるほど。それで紅蘭の様子がおかしかったって訳か。確かに、紅蘭は花組の中では特に機械の事を気にかけている。機械を自分の子供の様に思ってる。俺自身もそこまでは思えないが、長年使ってる機械とかは愛着が湧くからな。紅蘭の気持ちも分からなくもない。
紅蘭『この子らは、ウチを必要としてくれる!必要としてくれてるんや…』
大神「紅蘭…」
「……」
紅蘭『うぅ…皆大キライや…』
「…大神さん、皆さん、今は紅蘭を1人にしてあげた方がいいかと思います」
マリア「そう…ですね」
大神「分かりました。皆、ひとまず上に行こう」
そして大神達は上に行った。ま、俺は格納庫に残ってるがな。
「さて…」
俺は紅蘭が入ってる光武を見る。
「紅蘭さん…いや、紅蘭」
紅蘭『…森川はん?』
「確かに大神達は、機械…光武とかをお前より大切には思ってない。俺自身も同じだ」
紅蘭『……』
「だがな、俺も少しはお前の言う事も分かってるつもりだ。紅蘭ほど機械に思い入れはないが、自分が長年使ってた機械ってのは、なんだかんだで愛着が沸くもんだ。この懐中時計とかな」
俺はこの時代に来て初めて買った懐中時計を取り出す。
「すみれとかが言った言葉は、確かに紅蘭にとっては辛い言葉だ。俺はお前のその性格は否定しない。だが、お前の思いをあいつらにぶつけるのも違うんじゃないか?」
紅蘭『!?』
「脇侍や光武だってそうだ。確かにお前が
紅蘭『それは…』
「分かってる。お前もそれくらいの事はな」
紅蘭『……』
「とにかく、まずは顔を見せろ。別に上には戻らなくてもいい。俺がお前の話を聞いてやるよ」
すると光武が開き、中から紅蘭が降りてきた。
「さて、取り合えず適当な場所に座って話すか」
近場にあった毛布を手に取り、紅蘭の手を引き一緒に包まる。
紅蘭「も、森川はん///!?」
「風邪ひくだろ」
俺は問答無用で紅蘭を包む。
紅蘭「…ありがとうな」
そして紅蘭は、泣き疲れたのかそのまま眠った。俺は寝る訳にはいかないしな。それから数時間後、格納庫にあやめがやって来た。
あやめ「森川さん…」
「ん…あやめか」
俺もいつの間にか寝てたみたいだな。
あやめ「紅蘭は?」
「まだ寝てるよ。こいつも色々と溜め込んでたみたいだな」
あやめ「そうね。心が一人ぼっちの時って、誰かに側にいてほしいものなの…ありがとう、森川さん。紅蘭の事思ってくれて…」
「気にすんな。俺自身も、紅蘭の気持ちが少し分かっただけだよ」
あやめ「そう…それでね森川さん。紅蘭の事で…見てもらいたい物があるの」
「見てもらいたい物?」
あやめ「ええ。30分後に支配人室来てほしいの」
「分かった」
あやめ「それじゃあ、後で」
そしてあやめは出て行った。そして少しいて紅蘭は目を覚まし、再び光武の中に戻って行った。
「仕方ないか。取り合えず支配人室に行くか」
俺は紅蘭を残し上に上がって行った。
紅蘭「光武…ウチ、もう疲れた…森川はん以外…ウチの事も、お前達の事も…分かってくれへんのやな」
紅蘭は、森川が出て行ったのを確認してそう呟くのだった。
「さて、時間までまだ少しあるな」
言われた時間までまだある。少し劇場をぶらつくか。適当に歩いてると、玄関から声が聞こえた。見ると箒を持ったさくらと由里、そして大神がいた。
由里「…分かろうとしたの?紅蘭の事、分かってあげようと思ったの」
さくら「…したと思う。だって…紅蘭はあたしの大切な友達だし…」
由里「今のさくらさんと同じ様に、紅蘭は…機械の事も大切な友達と思ってたのよ」
「そうですね」
俺は話に加わる為、さくら達の会話に混ざる。
さくら「森川さん」
「紅蘭さんは、光武を友達…いえ、自分の子供の様に思ってます。その気持ちを少しは分かってあげて下さい」
大神「……」
さくら「…ごめんなさい」
由里「あたしや森川さんに謝ってもしょうがないでしょ。紅蘭に謝らないと…」
「そうですね。キチンと気持ちを込めて謝れば、きっと紅蘭さんも許してくれますよ」
由里「それと大神さん…紅蘭の事責めたりしたら、許さないからね。あの子は…強いんじゃない。いつも我慢してるよの。皆の為にって…」
大神「…分かってる。紅蘭は…優しい子だからね」
そして由里は戻って行った。さくらも気にしながら中に戻って行った。
「大神さん、よかったら紅蘭に話しかけてあげて下さい。由里さんも言いましたが、紅蘭さんは我慢して溜め込むタイプなので」
大神「そうですね」
「では自分もあやめさんに呼ばれていますので」
そして俺は支配人室へと向かったのだった。
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方