すみれとカンナが仲直り?してからというもの、西遊記は大盛況である。セットも派手になり更に客の盛り上がりがある。おっさんからもそんな話を聞いて嬉しそうだ。
「よし、明日の仕込みも終わったし、そろそろ店を閉めるか」
表の看板を閉めようとした時、電話がかかってきた。
「誰だこんな時間に」
俺は電話に出る。
「もしもし?」
『森川か?俺だ、米田だ』
電話の相手はおっさんからだった。
「こんな時間に電話なんて珍しいな」
米田『まぁな』
「んで、こんな夜遅くにどうしたんだ?」
米田『いやなに、今夜あたり大神の奴をいい店に連れてってやろうと思ってな。んで、お前さんも誘おうと思ってよ』
へ~いい店ね。この時代にもそんな店があるんだな。
米田『どうだ?お前も行かねぇか?もちろん俺のおごりだ』
「そうか。なら遠慮なく連れてってもらうかな」
米田『そうこなきゃな!じゃあ悪いが一度劇場に来てくれねぇか?まだ仕事が残ってるからよ』
「分かった」
そして電話を切る。
「ま、たまにはいいか」
俺は店の看板を閉店にし、鍵をかける。劇場に行くと来賓用の玄関はまだ開いていた。
あやめ「あら?森川さん」
中に入るとあやめと出会う。
「よぅ」
あやめ「こんな時間にどうかしたの?」
「ああ。少しおっさんに呼ばれてな」
あやめ「あらそうなの?支配人なら支配人室にいるわよ」
「分かった」
俺はあやめと別れ支配人室に向かう。
「おっさん、入るぞ」
中に入ると、大神とおっさんが書類の整理をしていた。
米田「おぉ来たか。悪いがもう少しだけ待っててくれ。今大神と二人でチャッチャと終わらせちまうからよ」
「ならその間劇場をブラつかせてもらうぞ」
米田「分かった」
そして支配人室を出ていく。歩いてると、マリアが地下に下りていくのが見えた。
「ようマリア」
マリア「森川さん」
「格納庫なんか覗いてどうしたんだ?」
マリア「はい…実は紅蘭の様子を見に来たんです」
「紅蘭の?」
マリア「そうです」
「なんでまた?」
格納庫に紅蘭がいるのはおかしくないが、わざわざ覗き見せんでも。
マリア「実は、今日皆と千秋楽について話し合ったんですが、一回だけの公演ですが、皆いい舞台にしようと紅蘭に新しいセットを頼んだんです。ですが、紅蘭はなんだかそれが嫌だったみたいで」
「なるほど。それで様子を見に来たって訳か」
マリア「はい…」
「まぁ、俺はその場にいた訳じゃないから何にも言えないが、一方的に紅蘭に押し付けるのもどうかと思うぞ。紅蘭自身も何か言いたかったはずだろうしな」
マリア「そうですよね」
「ま、今はそっとしておいてやるのが一番だろうよ」
マリア「分かりました」
そしてマリアは上に上がって行った。
「さて、俺もそろそろ上に…」
すると奥から何かの気配を感じる。
「この気配は…さくらのだな。だが、えらくダルそうな感じだが?」
俺はさくらがいるであろう風呂場に向かう。
「おいさくら、いるのか?」
ノックをするが反応がない。別にシャワーとかを浴びてる訳でもないみたいだしな。
「入るぞ」
そう言って中に入ると、畳の場所で倒れてるさくらを見つけた。
「おいおい!?大丈夫か!」
俺は倒れてるさくらに声をかける。
さくら「あ…もりかわさん…長湯したら、湯あたりしちゃいまして…」
何やってんだよ全く。
「長湯も程々にしろ、アホが」
さくら「はぁふぅぅ…ちょっとのぼせちゃって…おでこのあたりとか…さすってもらえますかぁ…お願いしますぅ…」
「やれやれ」
俺は取り合えず、さくらが言ったように自分の手をおでこに当てる。
さくら「はぁ…森川さんの手…冷たくて、気持ちいいですぅ…そのまま…おでこを触っててもらえますかぁ…」
「分かったよ」
暫くすれば治るだろうよ。俺は呆れながらさくらを見ると、なんとか着たであろう着物の胸元がはだけている。
さくら「ど…どこ見てるんですかぁ///ふぅ…森川さん…早く冷やしてくださぁい」
「わ、わりぃ」
俺は再びさくらのデコに手を当てる。ったく、風呂場だからとはいえ、こんな無防備なさくらに何考えてんだよ…
「後は首筋や足元も冷やすと効果があるぞ」
さくら「そうなんですかぁ…それじゃあ…両方お願いしますぅ」
俺はさくらを少し抱き起し、首筋と足に俺の手を当てる。
さくら「はぁ…本当ですねぇ…森川さんの手…冷たくて気持ちいい…もっと…さすってもらえますかぁ…」
そして暫く俺はさくらの看病をした。
さくら「はぁ…森川さん、大分楽になってきました…」
「そうか。これからは長湯に気を付けるんだな」
さくら「はい…ありがとうございました…森川さんに心配してもらえるなんて…たまには…お風呂でのぼせるのも…いいかもしれませんね」
「何言ってんだよったくよ。俺がお前の気配に気づかなかったらどうするつもりだったんだか」
俺はさくらから離れる。
「もう少し休んでおけ。それと、上にあがったら水分をキチンととっておけよ」
さくら「分かりました…ありがとうございます森川さん」
「じゃあな」
そして俺は風呂場を出た。さて、そろそろおっさん達の仕事も終わった頃だろ。上に行くと、支配人室からおっさんと大神が出てきた。
米田「待たせたな森川。それじゃあ行くぞ!」
おっさんに連れられ、俺達は夜の街に繰り出していった。割愛するが…おっさんいい店知ってんな…俺達は楽しい時間を過ごして劇場前に戻ってきた。
大神「支配人ってば、はしゃぎすぎですよ…もう俺、恥ずかしくって…」
「本当ですよ米田さん」
ったくこのおっさんは、年甲斐になくはしゃぎやがって。
米田「なんだよ、大神ぃ…森川ぁ…お前らだって、凄かったじゃねぇか」
大神「いやぁ、俺はまだまだ…なにをどうしたらいいのか分かりませんでしたし…」
米田「へへっ…ああいうのは慣れだからな。また今度三人で行こうじゃねぇか!」
そんな話をしてると、劇場の玄関前に複数の人影を見つけた。あ~。こりゃまずいな…
「お二人とも、それより前を見て下さい」
「「前?」」
俺に言われ前を見ると、あやめと花組が勢ぞろいだった。
あやめ「お帰りなさい、三人とも」
さくら「…森川さん?随分と楽しそうですねぇ」
大神「わわっ!あやめさん…皆…これは…その…ご、ごめんなさい。もうしません…」
大神は素直に謝る。ま、この状況で言い訳した方が余計怒りを買うしな。
さくら「まったくもぅ…二度とこんな事しないで下さいね!」
大神「反省します…」
さくら「森川さんもですよ!」
「すみません…」
俺は別に構わねぇだろうがよ。ここに住んでる訳じゃないんだしよ…だが、今の状況口が裂けても言えないわな。
米田「これぐらいの事で頭下げるなんて、情けねぇぞ、大神、森川…」
おっさん…よくこいつらの前で言えるな、その台詞…
マリア「支配人…何かおっしゃいましたか?」
米田「いっ、いや、何も…」
ほら見ろ、言わんこっちゃない。この状況で俺達が勝てる訳ねぇだろうが。
あやめ「お説教はこれくらいにして、皆、戻りなさい。…大神くんと森川さんも。これに懲りて、行動を慎むようにね」
大神「はい…気を付けます…」
米田「ち…こんなワナが待っていたとはな…」
おいおっさん…今の言葉はマズいって…
あやめ「…支配人!貴方はここに残ってください」
米田「げげっ!?」
言わんこっちゃない。懲りないおっさんだな。
大神「支配人…大丈夫かな?」
「どうでしょう?ですが、口は災いの元…ですね」
大神「…そうですね」
そして大神は見回りに行った。俺はというと…
さくら「さぁて森川さん、米田支配人達と何処に行ったんですか?」
すみれ「キチンと話していただきますわよ」
マリア「……」
アイリス「大輔お兄ちゃん、ちゃんと話してね♪」
あやめ「そうね。アイリスの言うとおりね」
俺は今現在、五人に囲まれている。カンナと紅蘭は、この空気に耐えられずすぐさま逃げて行った。
あやめ「そうね…誰かの部屋でゆっくりと話を聞きましょうか」
さくら「私の部屋でどうでしょう?隣の部屋はすみれさんですし」
すみれ「あら、だったら私の部屋でもいいはずですわ。両隣はさくらさんとマリアさんですし」
マリア「そうね。だったらすみれの部屋にしましょう」
アイリス「賛成!」
そして俺は、すみれの部屋に連行されていったのであった。なんで俺がこんな目に合うんだああああああああ!!!!!!!
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方