太正?大正だろ?   作:シャト6

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第三十四話

すみれとカンナが仲直り?してからというもの、西遊記は大盛況である。セットも派手になり更に客の盛り上がりがある。おっさんからもそんな話を聞いて嬉しそうだ。

 

「よし、明日の仕込みも終わったし、そろそろ店を閉めるか」

 

表の看板を閉めようとした時、電話がかかってきた。

 

「誰だこんな時間に」

 

俺は電話に出る。

 

「もしもし?」

 

『森川か?俺だ、米田だ』

 

電話の相手はおっさんからだった。

 

「こんな時間に電話なんて珍しいな」

 

米田『まぁな』

 

「んで、こんな夜遅くにどうしたんだ?」

 

米田『いやなに、今夜あたり大神の奴をいい店に連れてってやろうと思ってな。んで、お前さんも誘おうと思ってよ』

 

へ~いい店ね。この時代にもそんな店があるんだな。

 

米田『どうだ?お前も行かねぇか?もちろん俺のおごりだ』

 

「そうか。なら遠慮なく連れてってもらうかな」

 

米田『そうこなきゃな!じゃあ悪いが一度劇場に来てくれねぇか?まだ仕事が残ってるからよ』

 

「分かった」

 

そして電話を切る。

 

「ま、たまにはいいか」

 

俺は店の看板を閉店にし、鍵をかける。劇場に行くと来賓用の玄関はまだ開いていた。

 

あやめ「あら?森川さん」

 

中に入るとあやめと出会う。

 

「よぅ」

 

あやめ「こんな時間にどうかしたの?」

 

「ああ。少しおっさんに呼ばれてな」

 

あやめ「あらそうなの?支配人なら支配人室にいるわよ」

 

「分かった」

 

俺はあやめと別れ支配人室に向かう。

 

「おっさん、入るぞ」

 

中に入ると、大神とおっさんが書類の整理をしていた。

 

米田「おぉ来たか。悪いがもう少しだけ待っててくれ。今大神と二人でチャッチャと終わらせちまうからよ」

 

「ならその間劇場をブラつかせてもらうぞ」

 

米田「分かった」

 

そして支配人室を出ていく。歩いてると、マリアが地下に下りていくのが見えた。

 

「ようマリア」

 

マリア「森川さん」

 

「格納庫なんか覗いてどうしたんだ?」

 

マリア「はい…実は紅蘭の様子を見に来たんです」

 

「紅蘭の?」

 

マリア「そうです」

 

「なんでまた?」

 

格納庫に紅蘭がいるのはおかしくないが、わざわざ覗き見せんでも。

 

マリア「実は、今日皆と千秋楽について話し合ったんですが、一回だけの公演ですが、皆いい舞台にしようと紅蘭に新しいセットを頼んだんです。ですが、紅蘭はなんだかそれが嫌だったみたいで」

 

「なるほど。それで様子を見に来たって訳か」

 

マリア「はい…」

 

「まぁ、俺はその場にいた訳じゃないから何にも言えないが、一方的に紅蘭に押し付けるのもどうかと思うぞ。紅蘭自身も何か言いたかったはずだろうしな」

 

マリア「そうですよね」

 

「ま、今はそっとしておいてやるのが一番だろうよ」

 

マリア「分かりました」

 

そしてマリアは上に上がって行った。

 

「さて、俺もそろそろ上に…」

 

すると奥から何かの気配を感じる。

 

「この気配は…さくらのだな。だが、えらくダルそうな感じだが?」

 

俺はさくらがいるであろう風呂場に向かう。

 

「おいさくら、いるのか?」

 

ノックをするが反応がない。別にシャワーとかを浴びてる訳でもないみたいだしな。

 

「入るぞ」

 

そう言って中に入ると、畳の場所で倒れてるさくらを見つけた。

 

「おいおい!?大丈夫か!」

 

俺は倒れてるさくらに声をかける。

 

さくら「あ…もりかわさん…長湯したら、湯あたりしちゃいまして…」

 

何やってんだよ全く。

 

「長湯も程々にしろ、アホが」

 

さくら「はぁふぅぅ…ちょっとのぼせちゃって…おでこのあたりとか…さすってもらえますかぁ…お願いしますぅ…」

 

「やれやれ」

 

俺は取り合えず、さくらが言ったように自分の手をおでこに当てる。

 

さくら「はぁ…森川さんの手…冷たくて、気持ちいいですぅ…そのまま…おでこを触っててもらえますかぁ…」

 

「分かったよ」

 

暫くすれば治るだろうよ。俺は呆れながらさくらを見ると、なんとか着たであろう着物の胸元がはだけている。

 

さくら「ど…どこ見てるんですかぁ///ふぅ…森川さん…早く冷やしてくださぁい」

 

「わ、わりぃ」

 

俺は再びさくらのデコに手を当てる。ったく、風呂場だからとはいえ、こんな無防備なさくらに何考えてんだよ…

 

「後は首筋や足元も冷やすと効果があるぞ」

 

さくら「そうなんですかぁ…それじゃあ…両方お願いしますぅ」

 

俺はさくらを少し抱き起し、首筋と足に俺の手を当てる。

 

さくら「はぁ…本当ですねぇ…森川さんの手…冷たくて気持ちいい…もっと…さすってもらえますかぁ…」

 

そして暫く俺はさくらの看病をした。

 

さくら「はぁ…森川さん、大分楽になってきました…」

 

「そうか。これからは長湯に気を付けるんだな」

 

さくら「はい…ありがとうございました…森川さんに心配してもらえるなんて…たまには…お風呂でのぼせるのも…いいかもしれませんね」

 

「何言ってんだよったくよ。俺がお前の気配に気づかなかったらどうするつもりだったんだか」

 

俺はさくらから離れる。

 

「もう少し休んでおけ。それと、上にあがったら水分をキチンととっておけよ」

 

さくら「分かりました…ありがとうございます森川さん」

 

「じゃあな」

 

そして俺は風呂場を出た。さて、そろそろおっさん達の仕事も終わった頃だろ。上に行くと、支配人室からおっさんと大神が出てきた。

 

米田「待たせたな森川。それじゃあ行くぞ!」

 

おっさんに連れられ、俺達は夜の街に繰り出していった。割愛するが…おっさんいい店知ってんな…俺達は楽しい時間を過ごして劇場前に戻ってきた。

 

大神「支配人ってば、はしゃぎすぎですよ…もう俺、恥ずかしくって…」

 

「本当ですよ米田さん」

 

ったくこのおっさんは、年甲斐になくはしゃぎやがって。

 

米田「なんだよ、大神ぃ…森川ぁ…お前らだって、凄かったじゃねぇか」

 

大神「いやぁ、俺はまだまだ…なにをどうしたらいいのか分かりませんでしたし…」

 

米田「へへっ…ああいうのは慣れだからな。また今度三人で行こうじゃねぇか!」

 

そんな話をしてると、劇場の玄関前に複数の人影を見つけた。あ~。こりゃまずいな…

 

「お二人とも、それより前を見て下さい」

 

「「前?」」

 

俺に言われ前を見ると、あやめと花組が勢ぞろいだった。

 

あやめ「お帰りなさい、三人とも」

 

さくら「…森川さん?随分と楽しそうですねぇ」

 

大神「わわっ!あやめさん…皆…これは…その…ご、ごめんなさい。もうしません…」

 

大神は素直に謝る。ま、この状況で言い訳した方が余計怒りを買うしな。

 

さくら「まったくもぅ…二度とこんな事しないで下さいね!」

 

大神「反省します…」

 

さくら「森川さんもですよ!」

 

「すみません…」

 

俺は別に構わねぇだろうがよ。ここに住んでる訳じゃないんだしよ…だが、今の状況口が裂けても言えないわな。

 

米田「これぐらいの事で頭下げるなんて、情けねぇぞ、大神、森川…」

 

おっさん…よくこいつらの前で言えるな、その台詞…

 

マリア「支配人…何かおっしゃいましたか?」

 

米田「いっ、いや、何も…」

 

ほら見ろ、言わんこっちゃない。この状況で俺達が勝てる訳ねぇだろうが。

 

あやめ「お説教はこれくらいにして、皆、戻りなさい。…大神くんと森川さんも。これに懲りて、行動を慎むようにね」

 

大神「はい…気を付けます…」

 

米田「ち…こんなワナが待っていたとはな…」

 

おいおっさん…今の言葉はマズいって…

 

あやめ「…支配人!貴方はここに残ってください」

 

米田「げげっ!?」

 

言わんこっちゃない。懲りないおっさんだな。

 

大神「支配人…大丈夫かな?」

 

「どうでしょう?ですが、口は災いの元…ですね」

 

大神「…そうですね」

 

そして大神は見回りに行った。俺はというと…

 

さくら「さぁて森川さん、米田支配人達と何処に行ったんですか?」

 

すみれ「キチンと話していただきますわよ」

 

マリア「……」

 

アイリス「大輔お兄ちゃん、ちゃんと話してね♪」

 

あやめ「そうね。アイリスの言うとおりね」

 

俺は今現在、五人に囲まれている。カンナと紅蘭は、この空気に耐えられずすぐさま逃げて行った。

 

あやめ「そうね…誰かの部屋でゆっくりと話を聞きましょうか」

 

さくら「私の部屋でどうでしょう?隣の部屋はすみれさんですし」

 

すみれ「あら、だったら私の部屋でもいいはずですわ。両隣はさくらさんとマリアさんですし」

 

マリア「そうね。だったらすみれの部屋にしましょう」

 

アイリス「賛成!」

 

そして俺は、すみれの部屋に連行されていったのであった。なんで俺がこんな目に合うんだああああああああ!!!!!!!

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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