おっさんとの約束の時間になり、俺は店を閉めて劇場に向かった。勿論、今回の依頼内容を調べた資料を持って。
米田「待ってたぞ、森川」
「悪い、待たせたみたいだな。これが、より詳しく調べた資料だ」
俺はおっさんに資料を渡す。
「それと、分かってると思うが俺の事は言うなよ」
米田「分かってら。んじゃ、皆サロンで待ってるから行くか」
おっさんに言われ、二階にあるサロンに向かった。つくと、既にさくら達花組に大神、あやめ、三人娘の連中が揃っていた。
米田「お前ら悪いな。待たせてよ」
さくら「大丈夫ですよ支配人」
大神「ですが、全員を呼び出して何かあったんですか?森川さんもいますし」
かすみ「それに、花組の皆さん以外に私達まで」
米田「ああ、森川の場合は少し協力してもらってな」
そう言いながら、おっさんは俺が渡した資料から、1枚の写真を出し、テーブルに置く。
米田「集まってもらった理由だが、おめぇらに聞きてぇんだ。誰か、この男に見覚えはないか?」
テーブルに置かれた写真に指差し、集まった連中に聞く。
さくら「ん~…私はないですね」
紅蘭「ウチもやわ」
すみれ「私もありませんわ」
カンナ「知らねぇな」
大神「自分も覚えが…」
マリア「支配人、この男がどうかしたんですか?」
皆を代表してマリアが質問する。流石にそういうとこに気付くのは、クワッサリーと言われるだけはあるな。
米田「ああ。話す前にお前達に聞きたいんだが、最近変な奴や気配を感じなかったか?」
おっさんにそう言われた途端、全員が思い当たる顔になる。
米田「どうやら、全員に思い当たる節があるみてぇだな」
「そうみたいですね」
米田「この写ってる男だが…ここ最近お前達をつけ回してる奴だ」
『ええええ!!?』
その言葉を聞いた瞬間、全員が驚きの声を出す。まぁ、この時代にストーカーって言葉や概念がないからな。俺が生きてた時代なら、完全に“ストーカー規制法”に当てはまるがな。
マリア「そうでしたか」
さくら「なら、ここ最近感じた気配や視線は…」
米田「間違いなく、こいつのだろうな」
すみれ「気持ちが悪いですわ…」
すみれや数人は、気持ち悪さに体を震わせていた。
椿「…ああ!」
すると突然椿が大声を出す。その声に全員が驚いた。
由里「な、なんなのよ椿。いきなり大きな声出して」
椿「思い出したんですよ!由里さん、かすみさん、この人よく劇を見に来る常連さんですよ!」
由里「嘘!?」
椿の言葉に、由里とかすみは俺が持ってきた写真をよく見る。
かすみ「…本当ね。前の講演の時も毎日来られてたわ」
由里「確かに。それに、売店で皆さんのブロマイドを全部買われてたわ」
『ええっ!?』
その言葉に、花組の連中は驚く。
大神「売店でブロマイド…毎日来場…ああ!あの人か!!」
さくら「思い出したんですか?大神さん」
大神「ああさくら君。今はっきりと思い出したよ。確かにこの人は、前の公演昼の部、夜の部両方来ていたんだよ」
米田「大神、それだけ来てたならすぐ思い出しやがれ」
「仕方ありませんよ米田さん。大神さんは1人でチケットを切ってるんです。それに花組の劇は人気ですから、来場する人数も多いですので」
俺が1人でチケットを切ってる大神をフォローする。あの人数を1人で捌くのは流石にな。人数が多かったら、基本は由里やかすみもモギリをするが、たまに来賓客が来るときもあるらしく、その時は大神1人で捌いてるんだよ。俺はそれを知ってるからフォローしたんだよ。
米田「けど、これで犯人は分かった。だが、特に被害が出ていない以上、捕らえることもできんのも事実だ」
すみれ「何故ですの!!」
おっさんの言葉に、すみれが反発する。
「すみれさん、確かにこの人が犯人で間違いないと思います。ですが、未だ花組の人達に被害が出ている訳ではありません。問い詰めたところで、しらを切られるでしょう」
すみれ「……」
俺の言葉に、すみれは黙ってしまう。だがそれは仕方ないんだよ。万が一此方が手を出しても、向こうが認めない限り、警察が対処しても此方が不利になる。暫くは様子見と、なるべく1人で行動しないことだな。
米田「とにかく、なるべく1人で行動するなよ。基本は2人以上で行動しろ。いいな」
『了解です!』
こうして、話し合いは終わり各々自分の部屋に戻っていった。俺もおっさんに家に帰ると言い、戻っていった。取り合えず、暫くはあいつらの回りにスパイ衛星とかを飛ばしておくか。
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方