翌日、俺は一旦家に戻り再び劇場に来ている。理由はいつも通り、舞台を見に来てるからだ。今回はカンナとすみれが主役の“愛はダイヤ”だ。夜の公演とだけあって、相変わらずの満員御礼だ。俺は出番が終わったさくら、アイリス、今回は出番のないマリアと楽屋にいる。
「相変わらずいい芝居するよなお前ら」
アイリス「えへへ~♪」
さくら「当然ですよ」
マリア「そうね」
すると楽屋に大神と黒子役の紅蘭が入ってきた。
大神「皆、皆宛に荷物だよ」
大きな荷物を抱えて来た大神。アイリスとさくらは、テーブルに置かれた贈り物を開ける。中身はこの劇場そっくりに作られた建物…プラモみたいなやつだ。前の世界で何て言ったっけ?
『うわ~♪』
紅蘭「いや~!こらよぅ出来てるわホンマ」
アイリス「これもファンからのプレゼント?」
大神「うん。マリア、君に手紙だよ」
マリア「私に…ですか?」
マリアは大神から受け取った手紙を読み始める。さくら達は劇場の模型を見てはしゃいでいる。
さくら「あら?」
するとさくらが模型に耳を近づける。
さくら「何か変な音聞こえません?」
アイリス「時計みたいな音?」
大神「そういえば」
紅蘭「ん~、これはアメリカのレロックス社製のセコンド音やな」
マリア「…!?皆伏せて!!」
「!?ボイスアーマー!!」
マリアがそう叫んだと同時に、模型が爆発する。俺は爆発する寸前に、全員にボイスアーマーを纏わせた。爆発し、辺りには爆風で吹き飛んだ荷物と火薬の臭いが充満する。
米田「どうした~!!なぁっ!?」
おっさんとあやめが楽屋に来た。2人も楽屋を見て驚く。
大神「大丈夫か皆!?」
さくら「はい…なんとか」
紅蘭「使われてた火薬の量が少なかったんや。こらきっと、脅しかなんかやで…」
米田「一体何が…」
マリア「…帝劇に、爆弾が仕掛けられています」
大神「なんだって!?」
マリア「爆弾の撤去をお願いします!!」
あやめ「マリア!!」
そう言うとマリアは、読んでた手紙を地面に叩き付け楽屋を飛び出していった。あやめが手紙を拾い読み上げる。
あやめ「『君の愛する大帝国劇場…仲間を失いたくなければ、築地の埋め立て地まで1人で来たまえ。起爆装置をお渡ししよう。マリア・タチバナ。バレンチーノフから愛を込めて』」
大神「バレンチーノフって?」
あやめ「ニューヨークのマフィアよ」
大神「マフィア!?マリアはそんな連中と付き合いがあったんですか?」
あやめ「昔の話よ…支配人!彼女はこの男に恨みを買っています」
米田「マリアを引っ張り出す為に、この帝劇を餌に使ったって訳か」
あやめ「彼女は1人で戦う気です」
米田「あのバカが!!」
全くだ。
米田「とにかく、ボヤボヤしてられねぇ!全員、直ちに爆弾の捜索に当たれ!」
『了解!』
そして俺達は、劇場に仕掛けられてる爆弾を探すのだった。しかし、ただでさえ無駄に広い帝劇だ。それに、マリアの事も気になる。
「仕方ない」
俺は通信を繋ぐ。
「俺だ…悪いが帝劇に爆弾が仕掛けられた。何人か連れておっさん達と協力して、爆弾を探し解除しろ。頼んだぞ」
通信を済ませると、俺はマリアが向かった築地の跡地に向かう。急いで向かうとマリアと男…多分あいつがバレンチーノフか。それにさくらもいるし、それになんだ?あの無駄にデカい機械はよ。
「暫く様子見るか」
するとマリアとさくらは、バレンチーノフを無視して機械に攻撃を始めた。
(あのデカ物に攻撃してるって事は、あれが起爆装置と連動してるみたいだな)
だが、流石はマリアとさくらだな。3か月とはいえ十分連携できてる。あっという間にデカ物は動きを止める。
マリア「早く!起爆装置を!!」
マリアにそう言われ、さくらはとどめをさそうとする。しかし、バレンチーノフに刀を撃ち抜かれ手から離れた。
バレンチーノフ「ははははははは…もう爆発を止める事はできん。勝負あったな!クワッサリー!!」
バレンチーノフは、持ってた機械を地面に落とす。
バレンチーノフ「あぁ…いい気分だ。今夜は皆の最後を祝して乾杯といくか」
マリア「クッ!!」
『悪いがそうはいかねぇな』
バレンチーノフ「!?誰だ!!」
バレンチーノフは後ろを振り返るが、声が聞こえた場所には誰もいなかった。
さくら「今の声って…」
「やれやれ。まさかマリアだけじゃなくさくら、お前まで来てるとは驚きだ」
「「森川さん!!?」」
マリア達の横に立つ俺を見て、2人は驚く。
マリア「いつの間に」
「今さっきだ」
さくら「そうだったんですか」
バレンチーノフ「誰だ貴様!」
「俺か?通りすがりの通行人だ」
バレンチーノフ「ふ、ふざけるな!!」パァン!
バレンチーノフは俺の答えにムカついて、俺に向かって発砲した。だが、銃弾ごときで俺を倒せると思うなよ?
「「森川さん!!!」」
「安心しろって」
そう言うと俺は、撃たれた銃弾を素手でキャッチした。
「「「…はっ?」」」
さくらとマリアだけじゃなく、バレンチーノフまで同じ声を出す。
「やれやれ…俺を殺すつもりなら、マリア以上の腕を身に着けるんだな」
「「「……」」」
いや、そんなに黙る事か?って黙るわな、普通に考えれば。俺はあいつの所で修業したから、普通の人間より動体視力とかがずば抜けてるの忘れがちなんだよな。
「さて、そんなのはいいとして…俺の大切な奴が世話になったみたいだな」
俺はマリアとさくらを可愛がってもらった礼をする事にする。
「「「!?」」」
さくらside
「さて、そんなのはいいとして…俺の大切な奴が世話になったみたいだな」
森川さんがそう言った瞬間、私達の周りの空気が変わったのを感じました。森川さんの方を見ると、普段通りですが、森川さんの背後に鎌を持った人が見えた気がした。
「「「!?」」」
「取り合えず、そこのデカ物を始末するとするか…」
そう言うと森川さんは、先程まで私達が戦っていた蒸気機械にゆっくりと近づいていく。
バレンチーノフ「ハ、ハハハハハ!何をするかと思えば、丸腰でどうするつもりだ?」
「どうするもねぇさ…圧力鍋!超高圧!!」
森川さんがそう言うと、蒸気機械は何かで押しつぶされた様にどんどん凹んでいく。
バレンチーノフ「なっ!?」
さくら「マリアさん」
マリア「なに?」
さくら「森川さんって…何者なんでしょうか?」
マリア「…私にも分からないわ」
そうですよね。でも、それでも森川さんが好きな事に変わりありません!頑張るのよ!さくら!!
やれやれ。またガラクタができちまったよ。
バレンチーノフ「貴様…ふざけるなぁ!!」
バレンチーノフは俺に向けて発砲した。だから、俺に真正面からは…
マリア「森川さん!!」
マリアが叫ぶと、マリアも発砲した。なるほど。乾杯するつもりか。なら手は出すことはないな。そしてマリアが放った銃弾は、見事にバレンチーノフが撃った銃弾に当たり、バレンチーノフとガラクタに命中した。
「助かったよマリア」
マリア「全く…いくら大丈夫とは言え心配しますよ」
さくら「そうですよ!」
さくらにも怒られた。マリアはバレンチーノフの元に歩いていく。そして銃に弾を一発込める。
バレンチーノフ「よ…よせ」
マリア「生か死か。運命に任せましょう」
さくら「マリアさん!」
「安心しろさくら」
さくら「えっ?」
バレンチーノフ「やめろおおおおおおおお!!!!!!!」
そして引き金を引いた。しかし弾は発砲されずバレンチーノフは気絶した。そして俺達の所に来ると、一発の銃弾をさくらに渡す。
さくら「弾…入ってなかったんですね」
マリア「運命は、自分で切り開くものでしょう?」
「ったく、最初から殺すつもりなかったくせによく言うぜ」
マリア「フフッ。森川さんにはバレてましたか」
「バレバレだ。さて、帝劇に戻って皆を安心させてやるか」
さくら「はい!!」
そして俺達は、気絶してるバレンチーノフをほっといて、帝劇に帰ったのであった。翌日、紅蘭やあやめ達から、オペレーター達の事を聞かれて少し面倒だった。
すみれ「全く!冗談じゃありませんわ!!」
「何かあったんですかすみれさん?」
すみれ「これをご覧あそばせ!」
すみれは持ってた雑誌を大神に渡す。
大神「何々?先日の花組公演は大盛況…いいじゃないか」
すみれ「いけないのは、その後なのですわ」
さくら「取り分け…終演後のお笑いコーナーが大好評。神崎すみれと桐島カンナの漫才に、花組の新たなる可能性…」
すみれ「私はスタァですのよ!目先の笑いは必要ありませんの!」
カンナ「いいじゃねぇか!ドッカンッカンウケたんだからよ」
すみれ「そ、それは…」
紅蘭「なんや。まんざらでもないみたいやな」
「みたいですね」
アイリス「漫才やるならコンビ名考えないとね」
大神「なんかないかな」
すみれ「美女と猛獣でわ?」
カンナ「なるほど!アタイが美女で」
すみれ「私が猛獣!って違うでしょうに!!」
紅蘭「また漫才になっとる」
『あははは!!』
すみれとカンナのコンビか。普段からの事をネタにすれば、ネタが尽きる事はないだろな。
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方