太正?大正だろ?   作:シャト6

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第二十一話

久々に“賽の花屋”の仕事が舞い込んできた。本来なら休業中なんだが、何度も頻繁に連絡がきたので、依頼を引き受けた。依頼主は、まさかの神崎重工からだ。すみれの奴の実家とは驚いたな。ま、依頼内容は単純で、神崎重工に別の重工からのスパイがいるかもしれないから、それが誰でどんな奴に話してるか調べてほしいそうだ。で、調べると簡単に尻尾を掴んだ。で、報告して俺の仕事は終了。今現在は、地下のモニターから帝都の街を見ている。

 

「たまには、帝都全域に仕掛けたカメラの様子も見ておかないとな」

 

モニターに映ってる数台のカメラの映像を見ながら、そう呟く俺。これで起動してないのがあれば、交換しなきゃなんねぇしな。

 

「ん?あれは…おい、拡大してくれ」

 

「了解です。メインモニターに映します」

 

俺は1つのカメラの映像を見て、そのカメラの映像を拡大するように指示する。因みに指示した相手だが、ポニーテールの女だ。ま、女といっても俺が作ったんだがな。戦闘力は低いが、その分通信やハッキング等の技術はピカイチだ。キーボード等の入力を素早くするために、手首から先が多肢に分かれてる。やっぱ、指多い方が早いだろ?普段は普通の手での対応で充分だがな。因みに作ったガイノイド…まぁアンドロイドだが、種類は4つ。種類といっても、見た目が違うってのが殆どだ。1体はさっき言った茶色のポニーテール。次が黒髪のロング。で、眼鏡かけたのと短髪で大人なタイプだ。意味?あのアニメとかで出てきたのがこの4種類しか知らないからだよ!!…ゴホン。言っておくけど、最初のポニーテール以外は、まだ起動テストをしてないから、現時点で使えるのがポニテの奴なんだよ。さて、メインモニターに目を向けると、そこには花組の連中が映っていた。

 

「珍しいな。大人数で出掛けるとは」

 

オペレーター「はい。劇場は本日休演日ですので」

 

「なるほど。たまの休日だし、女連中で出掛けようってなったわけか。ま、楽しそうだしいいんじゃねぇか?」

 

モニターに映ってる顔は、とても楽しそうだった。マリアの奴も、いい顔で笑うようになったじゃねぇかよ。

 

「ま、特に問題なさそうだし、そのまま映すだけ映しといてくれ。他はそのままカメラの動作チェックだ」

 

オペレーター『了解です』

 

さくら達の映像を左隅に映しながら、残りの動画のチェックを行っていく。そして、ようやく全てのカメラの動作チェックが終了した。

 

オペレーター「全てのカメラ動作のチェック、終了しました」

 

オペレーター「全て正常に稼働中です」

 

「ご苦労さん。なら、後は数人を残して休憩を回してやってくれ」

 

そう言い残すと、俺はそのまま店の方に戻っていく。店に到着すると、開店準備を始め看板を営業中にする。因みに店の方は1人で切り盛りしている。そこまで広くないから、オペレーター連中を使うまでもない。それに、仮にオペレーターを使ったら、おっさんやさくら達に説明すんのが面倒だしな。

 

「さて、今日ものんびり頑張るか」

 

ま、普段はそこまで客は来ねぇがな。

 

 

 

 

カランカラン

 

 

 

 

 

「いらっしゃい」

 

扉に付けてるベルが鳴ったから、そっちを見る。すると、大神やおっさんを除いた帝劇の女連中がやって来た。

 

さくら「森川さん、こんばんは」

 

「こんばんはさくらさん。皆さんお揃いで」

 

マリア「すみません。突然大人数で押し掛けてしまって」

 

いきなり来た事に、マリアが代表して謝る。

 

「大丈夫ですよマリアさん。さぁ皆さん、適当にかけてください」

 

俺がそう言うと、さくら達はカウンターとテーブル席に分かれた。俺はそのまま看板を閉店に変える。流石に、劇場の女優だしな。

 

「皆さん今日は一緒に出掛けていたんですか?」

 

俺は見てたから知ってるが、一応知らないフリをしとかねぇとな。

 

あやめ「私やかすみ達は、ついさっき合流したのよ。他の皆は、仲良く買い物してたみたいよ」

 

「そうでしたか。今日は米田さんや大神さんは、ご一緒じゃないんですか?」

 

2人の事を聞くと、カンナが代わりに答えてくれた。

 

カンナ「ああ。支配人と隊長は、男同士で出掛けてったみたいでな」

 

紅蘭「せやから、ウチらはウチらで外食しよかって話になったんや」

 

かすみ「そうなんです。たまには、女性達だけで外食もいいと思いまして」

 

「そうでしたか。でしたら、何故ウチのお店に?出掛けられていたのでしたら、そちらの方でと思うんですが?」

 

ワザワザ出掛けたんなら、お前らの家の近所のウチで飯食わなくてもいいだろうに。

 

すみれ「最初はそれも考えましたけれど、やはり森川さんのお料理の方が、断然美味ですので」

 

アイリス「暫く大輔お兄ちゃんのご飯食べれなかったもん」

 

由里「そうですよ!森川さんのお店は、其処らのお店より安いですし美味しいんですよ」

 

椿「はい。それに劇場の近くなら、少し遅くなっても安心ですし」

 

なるほど。そう言ってくれると、料理人冥利に尽きるな。

 

「それは嬉しいことを言ってくれますね。お世辞でも嬉しいですよ」

 

さくら「お世辞なんかじゃありませんよ。ねぇ皆さん」

 

マリア「そうね。さくらの言う通りですよ。私達は、森川さんの料理を食べに来たんですから」

 

「ありがとうございます」

 

ヤベ…ジーンときた。

 

「では、ご注文をお伺いしましょう。今日はメニューにない物でもお作りしますよ。皆さんの故郷の料理等でも」

 

カンナ「あたいの故郷は沖縄だけど…久々のゴーヤチャンプルとソーキソバが食いてぇな♪」

 

紅蘭「ウチは北京やさかい、それでお願いしますわ」

 

さくら「私は…」

 

「さくらさんの故郷は仙台でしたね?でしたら、仙台づけ丼とはっと汁等はどうですか?」

 

さくら「うわ~!はっと汁なんて久し振りです!」

 

「他の皆さんも、そんな感じでお作りしましょうか?」

 

『お願いします』

 

「ですが、もしこれが食べたいというのがあれば、遠慮なく言ってくださいね」

 

よっしゃ!久々の各国の料理だ!腕がなるな~♪さて、まずはさくらのだな。俺は素早くさくらの故郷料理を作っていく。同時進行で、他の下拵えも忘れないがな。そして数十分後…

 

「お待たせしました。まずは、さくらさんのはっと汁と仙台づけ丼です」

 

さくら「うわ~!美味しそう~」

 

「マリアさんには、まずは定番のボルシチにピロシキ、そしてカトリェータにサラート・オリヴィエにデザートのシャルロートカです」

 

マリア「まさか、ここで本格的な料理が食べれるなんて」

 

「すみれさんは神奈川なので、けんちん汁と小田原とろ金目鯛の三宝丼です」

 

すみれ「懐かしいですわ。よくお祖父様とお婆様が一緒だった時に食べに連れていって下さいました」

 

「カンナさんには、要望通りのソーキソバとゴーヤチャンプル、そしてミミガーにアグー豚を使った丼です」

 

カンナ「おおおおっ!うんまそ~!!」

 

「アイリスはこれでいいんだね?」

 

アイリス「うん♪」

 

頷くアイリスの前に置いたのは、オムライスだ。最初はアイリスの故郷の料理を作るつもりだったが、本人からオムライスがいいと言われた。ま、少しホッとしたがな。アイリスの故郷は酒を使った料理が多いからな。あんまりすすめれないんだよ。

 

「紅蘭は、北京料理のマーラー刀削麺に油条と杏仁豆腐です」

 

紅蘭「流石森川はんや!見事に再現してくれてますな」

 

次々と料理を出していく。だが、東京出身の連中は困ったな。ま、あやめとかもそこは分かってるみたいで、前もって別のを注文してくれたけどな。かすみと由里の2人は、茨城と静岡の出身なので、それぞれの故郷料理を出した。因みに椿の奴は、あやめと同じ東京なので店のメニューを注文してくれた。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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