太正?大正だろ?   作:シャト6

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第十五話

刹那との戦いが終わり、一段落した。したんだが…

 

「あの後の俺の飯を食った量が尋常じゃない」

 

あの時、俺は久々に莫大の気を消失した為、その反動で食欲が半端なかった。まさに腹ペコセイバーって気分だった。

 

「秘密道具の【グルメテーブルかけ】があって助かった。なかったら、店の食い物全部食いつくしてたな…絶対」

 

グルメテーブルかけを使ったから、食いまくった。で、俺の前にはチョモランマを彷彿とさせる皿の山ができあがっていたし。あの後、片づけが大変だった…

 

「…偶には気分転換がてら散歩でもするか」

 

そう決めた俺は、鍵をかけてブラブラする。

 

「いい天気だな」

 

空は晴天。雲一つない。まさに平和って感じだな。周りを見ても、皆楽しそうにしてるな。やっぱ平和が一番だな。

 

「ん?あれはさくらじゃないか」

 

のんびり歩いてると、前からさくらが荷物を抱えてやって来た。

 

さくら「あ、森川さん!」

 

「よう。買い物か?」

 

さくら「はい!」

 

「随分と買い込んだな。何か特別な事でもあるのか?」

 

物凄い量の食材を見て質問する。

 

さくら「いえ、そうじゃないんです。今日は休みなんで、カンナさんが皆で夕食を作ろうと言いまして」

 

「皆で夕食作りか。何を作るんだ?」

 

さくら「カレーです!」

 

カレーか。確かにいいかもしれないが、この時代にはまだルーなんて便利な物はなかったはずだ。各店も独自にカレー粉を混ぜてその店オリジナルを作ってる筈だ。

 

「カレーか。さくら作った事あるのか?」

 

さくら「ありません!」

 

んな自信満々に言われても。

 

(ま、確かにカレーに必要ない物まであるから、作った事はないんだろうな)

 

さくらが抱えてる荷物を見てそう思う。だって、大根や豆腐にカマボコとか入ってんだぞ。使おうと思えば使えるけどさ、流石に…

 

「なら、誰か作り方とか知ってる奴いるのか?」

 

さくら「多分今頃マリアさんとかが、作り方を調べてる筈です。味見はすみれさんにお願いしてます」

 

「なるほど。すみれならカレー食った事あるだろうしな」

 

しかし不安だな。本当にできるのか?アイリスもいるし、変なの食わせてやるなよ。

 

さくら「そうだ!森川さん、森川さんのお店でもカレー出してましたよね?」

 

「ああ。ウチの店でも出してるが?」

 

さくら「もし、お時間があれば私達にカレーの作り方教えてくれませんか」

 

作り方か…ま、以前料理を教えるって約束してたしいい機会か。

 

「分かった。なら俺は一度店に戻ってからそっちに向かう。だから、勝手に始めるなよ?」

 

さくら「ありがとうございます!」

 

そして、俺はさくらと一度別れて店に戻る。何故店に戻るかというと、俺が普段使ってるカレー粉を持っていくからだ。流石に、今から調合等してたら時間かかるしな。

 

「さて、カレー粉に他にも材料の準備は出来たし行くか」

 

俺は劇場に向かった。中に入り厨房に行くと、既に調理が始まっていた。

 

「やっていますね」

 

マリア「森川さん!?」

 

紅蘭「なんで森川はんがここに?」

 

「先程さくらさんと会いまして、お聞きしたら皆さんでカレーを作られるそうで」

 

さくら「それで、私が森川さんに作り方を教えて下さいとお願いしたんです」

 

マリア「そうだったの」

 

カンナ「助かるぜ!森川さんが作り方を教えてくれるなら、百人力だ!!」

 

歓迎されながら、俺は持ってきた材料を広げる。

 

「カレーに使う材料などを持ってきました」

 

すみれ「ですが森川さん、お肉の種類が多いのでは?」

 

「はい。鶏、豚、牛、ウチのカレーはその時の気分で変えているんですよ。そして、これはウチで調合したカレー粉です」

 

瓶に入ってるカレー粉を見せる。

 

さくら「それがカレー粉なんですか?」

 

「そうです。カレー粉は何十種類のスパイス等を組み合わせ調合し、各店オリジナルのカレーを作っているんですよ」

 

すみれ「確かに、お店ごとにカレーの味は違いますわ」

 

「他にも、果物や野菜等も使っているところもある筈ですよ。一言にカレーといっても、それだけ多くの種類があるんです」

 

『へ~』

 

何故かカレー粉の説明になっていた。

 

「それでは、各自で材料を切りましょうか」

 

『はい!』

 

それぞれが、先程まで自分がいた持ち場に戻る。

 

「すみれさんは、料理はなさらなんですか?」

 

他の人達は割烹着やエプロンをしてたが、すみれだけはなにもしていない。

 

すみれ「ええ、私の様な人が料理など」

 

「ですがすみれさん、料理が出来る女性は男性の憧れですよ」

 

その言葉に、すみれはピクッとなる。

 

「私みたいに料理が出来る人でも、気になる女性の料理は食べたいと思うんですよ」

 

その言葉に、さくらとマリアは耳をダンボにしていた。ま~幻覚だろうけど。

 

すみれ「ですが、私今まで生まれて一度も料理をしたことがないんですの」

 

「大丈夫ですよ。ここにプロがいるんです。教えますから、すみれさんも一緒作りましょう。皆で作った方が美味しいですよ」

 

すみれ「…分かりましたわ」

 

渋々すみれも料理に参加する事が決定した。そうだ!せっかくカレーを作るんだし、ご飯は…

 

「大神さん」

 

大神「はい」

 

「実は…」

 

俺はある事を大神に提案する。

 

大神「それはいいですね!皆も喜びますよ」

 

「でしたら、そちらはお願いしてもいいですか?良かったら、他の方達も誘って」

 

大神「分かりました。それじゃあそちらはお願いします」

 

そして大神は厨房から出て行った。さて、カレー作るか。俺は極力手を出さず、やり方を教える程度に済ませる。ま、すみれは別だがな。

 

「いいですよすみれさん。慌てないでゆっくりでいいですから」

 

すみれ「は、はい」

 

まだ多少は危なっかしいが、それでもゆっくりと野菜を切っていく。

 

「ん~、もう少し肩の力を抜いて下さい。そして、こういう感じで…」

 

俺はすみれの背後から手を出し、すみれの手と一緒に包丁を持ち扱い方を教える。

 

すみれ「///」

 

「と、こんな感じです。どうですか?」

 

すみれ「は、はい!こうですわね!!」

 

少し顔が赤いが大丈夫か?んで、さっきからずっと俺とすみれの事を見てるさくらさんとマリアさん、顔が怖いですし手が全然動いてないですよ…そしてようやくカレーが完成した。今回は、アイリスや辛いのが苦手な人用の甘口と、辛いのが大好きな人用の辛口の二種類作った。

 

「それでは皆さん、今から鍋をもって裏庭に行きますよ」

 

『??』

 

疑問に思いながら、俺とカンナで鍋を持ち中庭に向かう。到着すると、そこではおっさんや大神が米を炊いており、テーブルに皿を並べるあやめ達の姿があった。

 

「折角のカレーですし、外で食べようと提案したんですよ」

 

マリア「そうだったんですか」

 

そして鍋を大神が作ったかまどに置く。

 

「どうですか?」

 

大神「ええ、もうすぐ炊けますよ」

 

米田「ったく、急に俺達まで呼び出しやがって。手伝わなきゃ飯抜きはね~だろ」

 

「すみません。ですが、働かざる者食うべからずですよ、米田さん♪」

 

かすみ「ご飯が炊けましたよ~!」

 

よし、米も炊けたしカレーを食べるか。

 

「それでは食べましょうか。皆さんお皿にご飯を盛ったら、こちらに来て下さい。カレーは二種類あります。アイリスや辛いのが苦手な方は甘口を用意しました。激辛とか辛いのが平気な方は辛口もあります」

 

それぞれどちらがいいか聞き、よそってあげる。全員にわたり席に着く。

 

大神「それじゃあ…いただきます!」

 

『いただきます!』

 

一斉に食べ始める。

 

アイリス「美味しい!このカレー」

 

さくら「ホント!初めて食べたけど美味しいね」

 

椿「辛いのが苦手な私でも大丈夫です!」

 

由里「美味しいわ」

 

かすみ「まさか、ここでカレーが食べられるなんて」

 

あやめ「ウフフ、皆で作ったからより美味しいわね」

 

甘口を食べてる人はそう言う。

 

カンナ「うめ~!!でも辛ぇ~!!」

 

マリア「そうね。でも、これがカレーな気がするわ」

 

すみれ「確かにそうですわね。この辛さ、今は私には丁度いいですわ」

 

紅蘭「ウチはあっちにしとけばよかったかも…」

 

大神「この辛さは、海軍時代よりも辛いですね」

 

米田「情けねぇな大神」

 

「そう言いながら、米田さん汗凄いですよ」

 

辛口は大人組?が食べており、こちらも人気だった。

 

「…いいものですね」

 

米田「何がだ?」

 

「こうやって、皆で料理をしてそれを外で賑やかに食べるのがですよ」

 

米田「そうだな。この笑顔、守っていかねぇとな…大神」

 

大神「そうですね」

 

俺とおっさん、そして大神の三人は楽しそうに食事をする花組達を眺めていたのだった。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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