帝都に平和な日々が訪れていた。劇場の方も連日満員御礼。で、その近くにある俺の店も久々に客足が止まらず、連日満席だ。ま、偶には悪くないな。そうそう、花組にカンナの奴が帰って来たらしい。って事は、無事に仇は打てたみたいだな。帰ったなら、俺の料理を食わせようと言ったんだが、昨日の夜出撃があったらしく、その時に大神が逃げ遅れた子供を庇って怪我をしたそうだ。そんな訳で、カンナの歓迎会は怪我が治った時に頼むとおっさんに言われた。しかし…
「おっさんの話じゃ、子供を庇った大神に対して、マリアの奴が怒ったらしいが」
おそらくだが、マリアは昔の隊長と大神がダブって見えたんだろな。じゃなきゃ、普段のあいつからそんな言葉が出るはずない。すると、おっさんから緊急通信が入る。
米田『大変だ森川!!』
「いきなり大声で叫ぶなよ…ったく。で、何が大変なんだ?あんたが教えたばかりの緊急通信用のコードで連絡するなんて」
米田『マリアの奴が、1人で敵の所に出撃しやがった!!』
「はぁ!!?」
その言葉に、俺は柄にもなく間抜けな声で叫んでしまう。
「ど、どういう事だ!?」
米田『さっき、大神の奴から聞いたんだが、黒之巣会の刹那っていう奴が、マリアの過去の事を話してな。それで一人で来いって言いやがったそうだ。全く、マリアも敵の安い挑発にのりやがって…』
「黒之巣会…刹那」
流石に1人ではマズいと思い、おっさんに言う。
「おっさん、俺も個人的に動いてマリアを探す。大神達も捜索はすると思うが、流石に敵が放っておかないだろ。だから、マリアの事は俺に任せてくれ」
米田『しかし、お前は光武には乗れないんだぞ!!』
「心配すんな!じゃあな」
米田『おい!森川!!』
おっさんとの通信を切り、俺は急いでマリアを探す。
「確か敵は築地で戦ったって言ってたな。なら、とにかく築地に向かうか」
俺は屋根伝いに移動していく。築地に到着すると、脇侍が何体もいた。
「ビンゴだな。後は、マリアの奴がどこにいるかだが…」
やみくもに探しても意味がない。なら…
「スパイ衛星セット~!」
秘密道具の出番だ!!俺は衛星を飛ばし、全ての倉庫を確認していく。
「ここは…違う!こっちは…外れだ!クソッ!!」
イライラしながら次々と画面を切り替える。そしてようやくマリアを見つけた。
「あの倉庫か!!」
俺は急いでその倉庫に向かう。大神達は脇侍と戦っている為、まだ時間がかかりそうだ。
「ここか~~!!!!」
俺は倉庫の扉を蹴破る。
「な、なんだ!?」
その台詞を聞くと、あの台詞を言いたくなるが我慢だ。
「悪いな。ウチの常連客を返してもらおうか?」
刹那「常連客だと」
「ああ。彼女は大切な人でね。テメェなんかが連れていい相手じゃねぇんだよ」
刹那「ふざけるな!!」
お~お~、怒っちゃって刹那君。
マリア「森川さん…何故あなたが」
「詳しい話は後だ。まず、そこのチビを片付けないとな」
刹那「チ、チビだと!?貴様…」
あら?もしかして…
「身長小さいの気にしてたのか?心配すんな。お前はまだガキだろ?」
刹那「一度ならず二度も僕の事をからかうとは…どうやら本気で殺されたいらしいね!!!!」
怒った刹那は、長い爪で俺を攻撃して来る。俺はそれを避ける。
「おいおい、身長の事くらいでそこまで怒るなよ」
刹那「うるさい!!」
再び攻撃して来る刹那。同じ様に避けるが、着てた服が少し破ける。
「へ~、この服は特注なんだが、それを破くとはな」
刹那「どうだ!僕を馬鹿にするからだ!!」
そんな話をしてると、大神が入ってきた。
大神「マリア!!」
マリア「少尉!?貴方まで…」
刹那「来たか」
「よう大神、遅かったな」
俺に声をかけられ、大神は驚いていた。
大神「貴方は…森川さん!?何故こんな所に!!?」
「何故って…マリアを助けに来たんだよ」
大神「ええっ!?」
「そんなに驚くか?まぁいい…大神、マリアは任せた!!おいチビ!外で決着つけようぜ」
刹那「また僕を馬鹿にして!!!!いいだろう!!蒼角の威力教えてある!!!!!」
やれやれ、完全に頭に血が上ってるな。こんな言葉に簡単に応じるとはな。俺達は外に出、刹那は機体に乗り込んだ。
「さて…やろうか!!」
刹那『その余裕…どこまで持つかな』
すると刹那は、俺の周りを素早く移動する。
「ほう、かなり早いな」
刹那『当然だ!今頃になって後悔したかい?』
「言ってろ」
俺は攻撃を避けながら、マリアが捕まっていた倉庫を見る。すると、大神と一緒出てきたのを確認した。なら、後はコイツを倒すだけだな。
「投影・開始!」
俺はある剣を投影する。あいつの背後は海。ならあの剣が使える。少し黒の巣会の連中には警戒してもらわないとな。投影した剣に自分の気を流し込む。すると、辺りに小さく輝く光が沢山浮かび上がる。
大神「この光は?」
マリア「森川さんから」
さくら「綺麗…」
すみれ「幻想的ですわ」
紅蘭「ほんまや」
カンナ「初めて見たぜ」
刹那「な、なんなんだこの光は!?」
さくら達はそう言うが、刹那だけは俺の気に何かを感じたみたいだな。
「さて…蒼き刹那。残念だがお前はここで終わりだ!」
刹那「ふざけるな~!!」
俺は剣を構えて呪文の唱える。
「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるがいい!
剣から放たれた光が刹那を飲み込んだ。
刹那「黒之巣会に…栄光あれ~!!」
そして刹那は倒れた。
「……」
俺はエクスカリバーを消し、爆発した場所を黙って見ている。
マリア「あの…森川さん」
すると、マリアが声をかけてきた。
マリア「私なんかの為に…ありがとうございます」
「…気にするな」
俺は、言葉遣いをどうするか考えたが、バレてるし普段通りに話す事にした。
マリア「それが…森川さんの普段の話し方なんですね」
「ああ、呆れたか?」
マリア「いえ」
「ならいいさ」
俺は煙草に火を点け一服する。
さくら「マリアさん、森川さん」
マリア「さくら」
「さくらさん」
俺は言葉遣いを戻す。
さくら「森川さん、言葉遣いは普段通りにして下さい。その事を知ってるのは私とマリアさんだけですし」
「…聞いてたか」
さくら「すみません」
「……」
さくら「あの…森川さん」
「はぁ…分かった。お前らの前ではこの話し方で話す。だが、おっさんとあやめ以外の連中には言うなよ」
さくら「は、はい!」
何でそんなに嬉しそうなのかな?
マリア「あの、森川さん。おっさんとは、もしかして…」
「ああ、米田のおっさんの事だぞ。因みに、本人の許可は貰ってるから」
マリア「でしたら問題ありません」
そんな話をしてると、大神達がやって来た。
大神「マリア!さくらくん、森川さん!!」
さくら「大神さん!」
マリア「…隊長」
「お疲れ様です皆さん」
俺達はそれぞれ戦いの事を労う。
大神「そんな。森川さんこそありがとうございました」
カンナ「凄かったな!まさかあんなに強いとは思わなかったぜ!」
紅蘭「ほんまや!」
すみれ「先程の技、とても美しかったですわ」
「ありがとうございます」
そんな話をしてると、マリアが大神に言う。
マリア「大神少尉!貴方は、私達帝劇・花組の隊長です!」
カンナ「頑張ろうぜ!皆!!」
『お~!!!』
花組の団結が上がり、これからの戦いを俺は密かに楽しみにしていたのだった。
カンナ「さて、折角勝ったんだ!あれやろうぜ!」
さくら「今回はマリアさんが音頭を取って下さい」
マリア「分かったわ」
紅蘭「ほら!森川はんも一緒に」
アイリス「そうだよ」
俺は2人に手を引かれ、さくらとマリアの間に入る。
マリア「それじゃあいくわよ!勝利のポーズ!」
『決め!!』
「……」
俺は突然の事に、呆気に取られていた。
「皆さん、もしかして毎回これをしてるのですか?」
さくら「そうですよ♪」
「大神さん…貴方も?」
大神「ええ。最初は俺も驚きましたけど、やっている内に段々クセになりまして。逆にやらないと戦いが終わった感じがしないんですよ」
「はぁ…」
戦いがある毎にって。マジかよ…
織姫とレニに対して
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大輔に織姫&レニ両方
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大輔に織姫。大神にレニ
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大輔にレニ。大神に織姫
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大神に織姫&レニ両方