太正?大正だろ?   作:シャト6

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第十三話

現在俺と大神は、壊れたセットの修理を行っている。

 

大神「すみません森川さん。手伝って頂いて」

 

「気にしないで下さい。ですが、流石に手がかかりそうですね」

 

大神「そうですね」

 

崩壊してるセットを見てそう呟く俺と大神。こりゃ徹夜は覚悟しとかないとな…

 

大神「森川さん、俺は取り敢えず小道具から修理しようと思います」

 

「ではそちらはお任せします。私は周りを片付けながら使えない物が残っていないか確認しますので」

 

大神「お願いします」

 

大神は小道具の修理に取り掛かる。俺は片付けながら、明日以降も使えるものを探すため少し離れる。

 

「あの…」

 

すると、後ろから声をかけられる。振り返るとさくらが立っていた。

 

「さくらさん?どうしたんですか?」

 

さくら「…ごめんなさい森川さん。私のせいで大神さんや森川さんにご迷惑をかけてしまって」

 

ん~、確かにそうかもしれないが、こんな仕事をさくら…ましてや女にやらせるのは流石にな。

 

「気にしないで下さい」

 

さくら「でも」

 

「私は、さくらさんやマリアさん、他の方達に怪我がなかったのが一番なんです。それに、さくらさんは明日も舞台に立つんですよ。ファンの方達に、寝不足でフラフラな状態で演技するんですか?」

 

さくら「……」

 

「私も含め、ファンの方達はこの状況でも公演が決まれば必ず見に来ます。ですので、今さくらさんに出来る事をしっかりとやるべきです」

 

さくら「分かりました。森川さん、まだ大神さんとお仕事続けられますよね?」

 

「ええ」

 

さくら「でしたら、少し待ってください!」

 

そう言い残し、さくらは舞台から出て行った。何する気だ?

 

大神「イッテ!!」

 

舞台の方からそんな声が聞こえた。トンカチで指でも叩いたか?ひとまず見に行くか。で、見に行ったらそこにはあやめがいた。

 

「帰って来てたのか」

 

するとあやめは俺に気が付き、こっちにやって来た。

 

あやめ「お疲れ様」

 

「ああ。そっちも出張だったみたいだな」

 

あやめ「ええ。けど、まさか貴方まで手伝ってくれるなんて」

 

「流石にさくらの奴1人にやらせるのもな。すみれも無茶言うが、こういうのは専門家か男の仕事だ」

 

あやめ「うふふ」

 

何笑ってんだよ。すると、誰かの気配を感じた。

 

さくら「……」

 

いや…あの、さくらさん。何でそんなに俺の事を睨んでるんですか。

 

あやめ「あらさくら?」

 

さくら「…お帰りなさいあやめさん」

 

だから何でそんなに不機嫌なんだよ!

 

「ん?」

 

すると、さくらの手に弁当があった。

 

「もしかして、さくらさんが作ってくれたんですか?」

 

さくら「…はい」

 

なら悪いことしたな。

 

「ありがとうございます。丁度お腹が空いてたんです。よかったら一緒に食べませんか?」

 

そう言うと、先程まで不機嫌だった顔が笑顔になる。

 

さくら「は、はい!」

 

あやめ「ふふっ、よかったわねさくら。それじゃあ、私は支配人に報告に行くわ」

 

あやめは俺達を残しておっさんの所に行ってしまった。

 

さくら「あの…お口に合うか分かりませんが」

 

そう言いながら弁当箱を開ける。あんまり時間が経ってないくせに、きちんとした料理が詰められていた。

 

「美味しそうですね。ではいただきます」

 

俺はおにぎりを食べる。…うん、以前さくらが作った料理を食べた事があるけど、やっぱり家庭的な味だ。

 

「美味しいですよさくらさん」

 

そう言うと嬉しそうな表情をするさくら。

 

「しかし、まさかあやめさんに会うとは思いませんでしたよ。明日か明後日まで出張とは、米田さんから聞いてはいましたが」

 

さくら「遅くまで大変なんですね」

 

「そうですね。ご馳走さまでした」

 

弁当を平らげさくらに返す。

 

さくら「お粗末様でした」

 

「とても美味しかったですよ」

 

すると、深夜を知らせる鐘が鳴る。

 

「さくらさん、もう遅いですしそろそろ寝てください」

 

さくら「でも…」

 

「私は、徹夜してもいつでも寝れます。ですが、さくらさんは明日も公演を控えているんです。さぁ」

 

さくら「…分かりました。それじゃあ森川さん、お休みなさい」

 

「はい、お休みなさい。また明日」

 

そしてさくらは自分の部屋に帰っていった。

 

「さて、続きをやるか」

 

俺は止めてた作業を再び始めるのだった。んで翌朝、多少は修理できたが、やっぱ厳しいな。大神の奴も途中で部屋に戻したし、おっさんにも休むようの言われたから、劇場に泊まったんだよな。で、起きて作業を開始してると、さくら達が集まってきた。

 

さくら「おはようございます!」

 

マリア「おはようございます森川さん。朝早くからすみません」

 

「おはようございます皆さん。気にしないで下さい。まだ全部修理できていませんが」

 

紅蘭「そんなことあらへん。小道具や背景なんかは修理できてるやないですか」

 

何とか、昨日の内に大神と小道具と背景の修理は出来た。が、照明やその他諸々まだ沢山残っている。早速皆で修理の続きと思った時、劇場に警報音が響き渡る。

 

すみれ「来ましたわね!!」

 

マリア「皆、修理は中断よ!指令室に集合して!」

 

さくら「森川さんはここにいて下さい!!」

 

そして、俺を残して全員が行ってしまった。これはこれで都合がいい。

 

「誰もいないなら道具を使っても問題ないな」

 

ここで俺は、神様から貰った3つ目の特典である【秘密道具】を使うことにした。

 

「これを直すなら…これだな。復元光線~♪(大山のぶ代風)」

 

これは、壊れた物を元通りにする物だ。俺は早速これを壊れてるセットに光線を当てる。すると、当てられた場所が元通りになっていく。

 

「おいおい、なんだそれは」

 

振り返ると、そこにはおっさんが軍服を着て立っていた。

 

「何でおっさんがいるんだよ」

 

米田「お前が指令室に来ねぇからだろうが!で、今のはどうやったんだ?」

 

「これは俺が開発した物でな、壊れた物を元通りに復元できるんだよ。こうやってな」

 

手本を見せるように、壊れた物に次々と光線を当てていく。そしてあっという間に舞台は元通りになったのであった。

 

米田「……」

 

おっさんは驚きのあまり声が出ていない。

 

「おっさん、この事はあいつ等には黙っててくれ」

 

米田「なんでだ?」

 

「この道具は、元々使う予定じゃなかったんだよ。皆で修理する予定だったが、敵が出た上に終わってから舞台修理はしんどいだろ。だから今回は使ったんだよ」

 

米田「そうか。色々と面倒かけてすまねぇな」

 

「気にすんな。俺もあいつらの舞台は好きだしな」

 

俺はあいつらがやる舞台が好きなんだよ。だから、出来るだけあいつらの負担を減らしてやりたいんだよ。

 

米田「さて、舞台が直ったなら指令室に来てくれ」

 

「分かったよ」

 

おっさんの言われた通り、指令室に到着する。モニターを見ると、脇侍が残り一体だけとなっていた。

 

「残り一体なら、大丈夫そうだな」

 

米田「だな」

 

由里「米田司令!」

 

すると、由里が話しかけてくる。

 

由里「あの脇侍なんですが、天海と名乗る老人が突然出現させたんです」

 

米田「天海…だと?」

 

かすみ「はい。そして、あの脇侍なんですが少しおかしいんです」

 

「おかしい?」

 

椿「脇侍の妖力の反応はあるんですが、大神さん達の攻撃が全く効いていないんです」

 

米田「なんだと!?」

 

椿の報告に、おっさんは驚いていた。天海ってジジイが突然出現させた脇侍。そいつ相手にあいつらの攻撃が効かない。特にあの脇侍に何かしたわけではなさそうだが…

 

「……」

 

俺は黙ったまま、大神達が戦ってる脇侍を見る。すると、違和感に気が付いた。

 

「おっさん、あの脇侍幻影なんじゃないか?」

 

米田「幻影だと?」

 

「ああ。特にあの脇侍に何かしたって感じはしない。だが、霊力がある大神達の攻撃が全く効かない。一般の連中が攻撃したなら分かるが、そうじゃないならそれ以外考えられないと思うぞ?」

 

米田「確かに…周囲に他の敵がいないか確認しろ!」

 

『了解!』

 

さて、俺の予想が正しければ…

 

かすみ「司令!大神さん達の近くで別の反応を確認。おそらくこれがあの脇侍の本体かと」

 

米田「よし!翔鯨丸にいるあやめ君に連絡だ!」

 

「おっさん、俺も少し外すぞ」

 

米田「お、おい!」

 

そう言い残し、俺は劇場の屋根に上る。

 

「帝都タワーがあるのは…こっちか」

 

俺は方向を確認すると、呪文を唱える。

 

「I am the bone of my sword」

 

弓矢を作り、それを大神達がいる方向に構える。

 

「ふぅ…」

 

射るのは久しぶりだからな。さて、集中だ…

 

「…偽・螺旋剣(カラドボルグII)!!!!!!!」

 

俺は気を矢に込めて放った。矢は一直線に大神達がいる場所の脇侍本体に向かって飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さくらside

 

 

さくら「はああああああああああっ!!!!!!!!」

 

私は今、本体である脇侍に攻撃をしている。隊長である大神さんは、帝都タワーに向かってる脇侍を食い止めている。

 

すみれ「この…さっさと倒れなさいな!!」

 

マリア「落ち着きなさいすみれ!!」

 

紅蘭「せや!うち等が慌てたら、必死になって向こうを止めてる大神はんに悪いで!!」

 

紅蘭の言う事も分かる。でも、私達が早く倒さないと、大神さんの負担が増す事も事実。そんな事を思ってると、すみれさんの背後から何かが飛んできた。

 

さくら「すみれさん!避けて下さい!!!」

 

私の言葉に反応するすみれさん。だけど、既に遅く飛んできた物はそのまますみれさん目掛けてきた。当たると思った瞬間、それはすみれさんの脇を通り脇侍に命中した。次の瞬間、当たった何かが爆発した。

 

さくら「きゃあああああああああああ!!!!!!!」

 

すみれ「あれえええええええええええ!!!!!!!」

 

紅蘭「な、なんなんやあああああああああああ!!!!!!!!??????」

 

私達は爆風に飛ばされたが、幸いに光武も傷んでおらず私は無事だった。

 

マリア「皆!ケガはない!!」

 

すみれ「な、何とか無事ですわ」

 

紅蘭「うちもや」

 

どうやら、他の皆も無事だっみたい。よかった

 

マリア「だけど、一体何だったのかしら?」

 

さくら「さぁ?何かが脇侍に当たったのは分かったんですが」

 

紅蘭「帝劇に戻れば、おそらく何か分かると思うんやけど…」

 

マリア「そうね。戻って米田司令と確認しましょう」

 

一体何だったのかしら?まぁでも、無事に脇侍も倒せたし一件落着ですね♪

 

大神「お~い」

 

すみれ「あら?少尉が戻ってきましたわ」

 

紅蘭「うわっ!光武がボコボコやわ。帰ったら修理せな」

 

マリア「お願いね紅蘭」

 

さくら「さて皆さん、ここはやっぱりあれですよね!!」

 

紅蘭「あれやな!」

 

いつものお約束…

 

紅蘭「ほないくで~…勝利のポーズ」

 

『決め!!』

 

やっぱり、勝った後はこれがないとね♪

 

 

 

 

 

森川side

 

「…やっちまった」

 

俺は、偽・螺旋剣(カラドボルグII)を放ったのを後悔した。俺は偽・螺旋剣(カラドボルグII)を放つと同時に壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)を発動させている。今回はそのつもりはなかったんだが、いつもの癖で一緒にやってしまった。

 

「あいつら…生きてるよな」

 

敵を倒したのはいいが、不安になる俺であった。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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