太正?大正だろ?   作:シャト6

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第十二話

宴会が行われた翌日、俺はおっさんの招待で劇場に来ていた。昨日から紅蘭の奴が舞台に立ってるそうだ。で、昨日俺に

 

米田『明日紅蘭の奴の舞台を見に来い。今回は舞台袖から見させてやるよ』

 

って言ってきた。ま、折角紅蘭復帰の舞台だし見に行くか。店を閉め劇場に向かう。入り口は来賓客用からだ。入ると由里に挨拶し、そのまま舞台袖に向かう。到着すると、舞台袖には大神にすみれ、アイリス、紅蘭がいた。

 

紅蘭「森川はん」

 

「こんにちは」

 

すみれ「珍しいですわね。こちらにいらっしゃるなんて」

 

「ええ、今回は米田さんに舞台袖から見てみないかと言われたので」

 

大神「そうだったんですか。今丁度クライマックスに入ったばかりですよ」

 

大神に言われ、すみれたちと一緒に袖から劇を見る。

 

さくら「オンドレ様!私と…お逃げ下さいませ」

 

マリア「使命も部下も捨てて、貴方と共に逃げ出す私など…最早私ではない。そんな私を貴方は愛せるのか?」

 

さくら「オンドレ様~!!」

 

さくらの奴、中々迫真の演技だな。普段の彼奴からは想像でいないのが事実だな。

 

紅蘭「大神はん、森川はん、見て見なはれ。さくらはん頑張っとるで」

 

「そうですね」

 

紅蘭「それにしても…マリアはん、はまり過ぎやで。こら、女の子は辛抱たまらんわ。失神するで」

 

すみれ「やれやれ、田舎くさい演技ですこと」

 

アイリス「すみれうるさい~」

 

ま、すみれもいつも通りだな。しかし、客席から見るのと袖から見るのとでは、また違った意味で凄い迫力だな。

 

すみれ「全く、何で私がこんな脇役をやらねばならないのかしら。主役のスポットライトは私にこそ相応しいのに。そう思いませんこと少尉?」

 

大神「は、はあ」

 

んな事言われても答えようがないだろうよ。コイツは舞台の事は素人同然なんだしよ。

 

紅蘭「しっ!いよいよ山場やで!」

 

さくら「オンドレ様~!」

 

紅蘭の言う山場。さくらがマリアに抱き着くために走り出す。しかし、ここで問題が起きた!走ってたさくらが足を挫き、そのまま片足ケンケンで俺達がいる方に向かってきたのだ。

 

さくら「あっ!とっ!たっ!たっ!とっ!」

 

『!!?』

 

こけそうになるさくらは、舞台の幕を掴みそのまま倒れた。その衝撃で、セットを支えてる縄が緩みセットが崩壊しかける事となる。

 

紅蘭「うひゃ~!!舞台がめちゃくちゃや」

 

すみれ「…もう堪忍袋の緒が切れましたわ!!」

 

アイリス「あ、すみれ!ダメだよ~!」

 

マリア「すみれ!まだ本番中よ!」

 

アイリスとマリアの制止を無視し、そのまま舞台に出ていくすみれ。こりゃ、嵐が吹き荒れるぞ。

 

すみれ「さくらさん!舞台をこんなにしてしまって、どうするおつもり!!」

 

さくら「す、すみません…」

 

すみれ「全く、よくコロコロと器用に転べますこと!これだから田舎者は…ドロくさい、トロくさい…おまけに田舎くさい。くさいくさいの三拍子ですわ!!」

 

さくら「…NGなら、すみれさんが一番多いですけど」

 

すみれにボロクソ言われ、さくらの奴もついに言い返したか。そりゃ、あんだけ言われりゃ誰だってああなるわな。

 

すみれ「な、なんですって!?」

 

すみれも更に怒り出す。

 

紅蘭「こらマズいわ…」

 

「ですね」

 

俺と紅蘭は、既に収拾がつかない舞台を見守る。

 

マリア「2人とも!お客さんの前よ!止めなさい!!」

 

マリアも等々2人に対して怒り出す。

 

紅蘭「アカン!大神はんここは止めに入らんと!!」

 

大神「…いや、今は本番中だ。ここはそっとしておこう」

 

「そうですね。まだ客席にはお客さんがいます。そこに私や大神さんが出て行っては、更に混乱を招きかねませんし」

 

紅蘭「なるほど。流石お2人さん、冷静沈着やな」

 

しかし、これ以上ヤバくなったら関係なく乱入するしかないけどな。

 

大神「う~ん…しかしこの喧嘩、簡単にはおさまりそうにないぞ」

 

すると、舞台からミシミシと音が聞こえた。まさか…

 

紅蘭「今の音は…アカン!また舞台が崩れそうや!!」

 

大神「な、何だって!?」

 

アイリス「お兄ちゃん!さくら達が危ないよ!!」

 

「大神さん!すみれさんをお願いします!!私はさくらさんとマリアさんを!!」

 

大神「分かりました!!」

 

すぐさま俺と大神は、まだ舞台に立ってた三人を抱きかかえる。

 

さくら「きゃっ!」

 

マリア「も、森川さん!?」

 

そして次の瞬間、舞台セットは完全に崩壊したのであった。

 

大神「うわあああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

さくら「きゃあああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

すみれ「あれえええええええええ!!!!!!!!!!」

 

マリア「舞台が…なんてことなの…」

 

こうして、俺が見に来た舞台公演はとんでもない出来事で幕を閉じたのであった。そしてその夜…

 

大神「やれやれ…とんだ公演になってしまったな」

 

マリア「…怪我人が出なかっただけよかったですよ」

 

「そうですね。助けた3人にも怪我がなくて安心しました」

 

崩壊した舞台を見ながらそれぞれがそう話す。何故俺がいるかというと、事故現場の立ち会人でもあるから、大神とマリアと一緒に報告したんだよ。

 

紅蘭「でもなぁ…見てみいこの舞台」

 

ま、言葉通りの崩壊だな。

 

すみれ「さくらさん!貴方セットを壊してしまって一体どうするおつもり!!」

 

さくら「…すみません」

 

未だにすみれの怒りはおさまらず、さくらに怒鳴っている。

 

すみれ「すみませんじゃ済みません事よ!明日だって公演があるんです!今夜中に直してちょうだい!!」

 

さくら「そんな…」

 

おいおいすみれ、いくらなんでもこれを今夜中にって。プロでも厳しいのに、素人のさくらにそんな無茶を言ってやるなよ。

 

大神「おいおい…さくらくん1人を責める事ないだろ?」

 

俺が言おうとした台詞を大神が言う。

 

すみれ「あら…それなら少尉が代わりにセットの修理をして下さるのかしら?」

 

やれやれ。

 

大神「…分かった。やってやるよ。俺にも責任があることだし」

 

「でしたら大神さん、微力ながら私もお手伝いしますよ」

 

流石にこれを大神1人にやらせるのもな。本当なら、秘密道具を使えば一瞬で修理できるんだが…こいつらの前で使う訳にも行かないし。

 

大神「そんな…森川さんは関係ないですよ」

 

「いいんですよ。流石にこの量を1人でさせるのはね。それに、こういうのは男の仕事ですしね」

 

大神「…そうですね」

 

「皆さんはもう休んで下さい」

 

さすがに、明日も公演がある女優に徹夜させる訳にもいかないしな。そして俺と大神以外の連中は全員部屋に戻ったのであった。さて…やるか!

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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