THE ULTRAM@STER ORB   作:焼き鮭

72 / 80
Fate of the Galaxy

 

 洋館から外へと脱出した春香たちは、先に逃げたはずのジャグラーたちの姿を探して辺りを見回す。

 

「ジャグラーたちはどこ行ったの!?」

「もういないっ!」

「逃げ足の速い連中ね、全く!」

 

 真と伊織が吐き捨てた。そこに、後ろからムルナウの手下たちが押し寄せてくる。

 

「イィーッ!」

「うわぁ追いかけてきましたぁ!」

 

 悲鳴を上げるやよい。ガイとダイチが迎え撃とうと構えるが、

 

「やぁぁぁっ!」

 

 宇宙人たちに横からスバルが突撃を掛け、クカラッチ星人とガルメス人を同時に殴り飛ばした。宇宙人たちの進行が止められる。

 

「スバル!」

「ダイチ! エックスも、無事だったんだね!」

「そっちこそ!」

 

 ダイチとスバルは短く言葉を交わすと、スバルは宇宙人たちに立ちはだかったまま呼びかけた。

 

「ここはあたしが食い止める! そっちは、デアボリックの方をお願い!」

「分かった! みんな行こう!」

 

 ダイチたちはクルリと反転して洋館から離れていく。スバルはリボルバーナックルから衝撃波を飛ばして、突っ込んできたセミ女を弾き返した。

 

「イィーッ!」

「オオオオオッ!」

 

 昏倒したセミ女に代わって、新たなる宇宙人、ボーダ星人が突進してきた。そちらにも衝撃波を食らわせるスバルだったが、ボーダ星人はそのまま突っ切ってスバルに肉薄。

 

「っ!」

 

 相手の巨体のぶちかましをすんでのところでかわすスバル。しかしそこにスーツを破って鋭利な鉤爪を伸ばしたヒュプナスが飛びかかってくる。

 

「シャアアッ!」

「はっ!」

 

 鉤爪で斬りかかるヒュプナスだがスバルはナックルでガードし、後ろに跳んで二人の宇宙人から一旦距離を取った。

 ムルナウの手下の中でも殺傷能力が高い宇宙人のタッグが殺意を剥き出しにしてくる。だがスバルは決してひるむことはない。

 

「ここは絶対通さないよっ!」

 

 宣言してローラーをうならせ、自分から宇宙人たちへと突撃していった!

 

 

 

 トータス号の元へと急いでいく春香たちだったが、トータス号の前では彼女たちを待っている者の姿があった。

 

「皆さーん! こっちでーすっ!」

「よかった、みんな無事だったんですね!」

 

 未来、翼、静香の三人だ。律子が面食らう。

 

「あなたたち、どうしてここに!? 危ないじゃないの!」

「ごめんなさい……でも先輩方が心配でならなかったんです」

「すっごい心配ですよ! なかなか戻ってこないし、怪獣が大暴れし出すし!」

 

 と弁明する静香と未来。

 

「だからって……」

「話は後だ。すぐにここから離れるぞ!」

 

 言いかけた律子だがガイに諭され、一同がトータス号に乗り込むと律子が急発進させた。

 しかしその背景で、洋館が浮かび上がって追跡してくる! 洋館の下部にはシャンデリアのような推進装置が備わっていた。

 

「宇宙船だったんだ!」

「律っちゃん、もっとスピード出してー!」

「もう全速力よ!」

 

 焦る亜美と真美に律子が言い返した。助手席に乗り込んだダイチがエックスに呼びかける。

 

「エックス、ナビしてくれ!

『300メートル先を左折。後2キロで、目的地周辺です』

「どこ行くんですか!?」

 

 翼が問いかけると、ダイチは行く先から目を離さずに答えた。

 

「怪獣を止めに行く!」

「えぇぇっ!?」

 

 未来たち三人は仰天したが、その一方でガイは春香たちを叱りつけた。

 

「何で来たんだお前たち! 来るなと言っただろ!」

「むー、何さその言い方! 自分たちが助けなかったら危なかったじゃん!」

「ぢゅいぢゅいッ!」

 

 響とハム蔵がむくれて反論した。美希や千早、あずさがガイに告げる。

 

「ハニーの命は、もうミキたちみんなの命も同じなの!」

「あんまりお役には立てないかもしれませんが、それでもあなたの力になりたいんです」

「プロデューサーさんが私たちを大事に思ってくれるように、私たちにもあなたはかけがえのない人なんです」

 

 最後に、春香が言い切った。

 

「私たち、生まれた時と場所は違っても、向かう先は同じです。私たちはみんな、大勢で一人、一人で大勢です!」

 

 春香たちに同調するように、ダイチもガイに呼びかけた。

 

「俺にも、大勢仲間がいます。苦しい時にも、その人たちの笑顔が、何より力になるんです」

 

 彼らの言葉で、ガイは胸を打たれたようであった。その様子にほっこりと笑う春香たち。

 

『私からもひと言いいか?』

 

 エックスも発言する。

 

『間もなく、目的地周辺です』

 

 どんがらがっしゃーん!

 と、全員が器用に車内でこけた。

 

「なんてことしてる暇はないわ! 怪獣が見えてきたわよ!」

 

 律子の言う通り、フロントガラス越しに、街をみるみる内に宝石に変えていくデアボリックの姿が皆の目に飛び込んできた!

 

「グギャアァァァ――――! ウオオォ――――ン!」

 

 トータス号から降りると、未来たちはその光景に息を呑む。

 

「ま、街が大変なことになってるっ!」

「どんどん宝石になってく……!」

「でもちょっと綺麗かも……」

 

 翼のつぶやきを、春香が強く否定した。

 

「あんなの、見せかけの美しさだよ! 本当の美しさは、内面から生まれてくる輝きなんだから……! そうですよね、プロデューサーさん?」

「もちろんだ。行くぞッ!」

 

 答えたガイは、春香と美希を連れてデアボリックの方へと走っていく。ダイチも三人に並んでいった。

 

「えぇぇっ!? ちょっ、どこ行くんですかぁー!?」

「私たちはこちらへ!」

 

 仰天した未来たちを引っ張って、貴音たちはデアボリックの進行方向から離れていった。

 そしてデアボリックの正面に回ったガイたちは、そこでそれぞれオーブリングとエクスデバイザーを構えた。

 

[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]

「エックスーッ!!」

 

 ダイチがスパークドールズをリードし、ウルトラマンエックスへとユナイト!

 

「イィィィーッ! サ―――ッ!」

 

 春香と美希はリングにウルトラフュージョンカードを通す。

 

「ウルトラマンさんっ!」

[ウルトラマン!]『ヘアッ!』

「ティガっ!」

[ウルトラマンティガ!]『ヂャッ!』

「光の力、お借りしますッ!」

[フュージョンアップ!]

 

 ガイがオーブリングを掲げ、春香と美希とフュージョンアップ!

 

『シェアッ!』『タァーッ!』

[ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!!]

 

 変身を遂げた二大ウルトラマンが、蹂躙されていく街のただ中に堂々と着地した!

 

[エックス、ユナイテッド]

『俺たちはオーブ! 闇を照らして、悪を撃つ!!』

 

 その勇姿を、仲間のアイドルたちが見上げている。

 

「やったー! 久々のウルトラマンオーブだぁー!」

「ウルトラマンエックスも久しぶりだねー!」

「すっごーい! 生で見たの初めてー!」

 

 万歳する亜美と真美。未来たちも興奮を抑え切れなかった。

 律子は張り切ってカメラを回し始める。

 

「ばっちりカメラに収めるわよ! ウルトラマンの戦う姿、世界中の人に見てもらわなくっちゃ!」

 

 そして戦闘が開始される。その狼煙を上げたのはデアボリックだ。

 

「グギャアァァァ――――! ウオオォ――――ン!」

 

 両ウルトラマンに対して全砲門を突きつけ、一斉砲火を繰り出した! 無数の砲撃が嵐となってエックスとオーブに襲い掛かる。

 

「シェアッ!」

「デェヤッ!」

 

 おびただしい数の砲撃が飛んでくるが、オーブとエックスは怖気づくことなく前進。バリアで防ぎ、砲弾を叩き落として道を切り開き突き進んでいく。

 

「ヘェェアッ!」

「テアァァァッ!」

 

 二人で光弾をデアボリックの膝に撃って隙を作ると、オーブがエックスを回してデアボリックへ投げ飛ばす。エックスのフライングクロスチョップが決まり、デアボリックの巨体が後ずさった。

 

「グギャアァァァ――――!」

「デヤッ!」

「セイヤァッ!」

 

 エックスに左腕の機関銃を向けるデアボリックだが、それをオーブが蹴り飛ばした。エックスはすかさず後ろ蹴りをデアボリックに浴びせる。

 

「グギャアァァァ――――! ウオオォ――――ン!」

 

 二人に挟まれるデアボリックは肩部の砲身から砲弾を乱射して抵抗するも、オーブたちは巧みなコンビネーションでくぐり抜ける。オーブに集中して砲撃して寄せつけまいとするデアボリックだが、その背後からエックスが掴みかかって動きを制限した。

 

「すごいですぅ! 二人とも息ぴったり!」

「流石ウルトラマンだね!」

 

 エックスとオーブの奮闘ぶりに雪歩、真たちは盛り上がって応援していた。

 

「ウオオォ――――ン!」

 

 デアボリックは機関銃を乱射しながら滅茶苦茶に振り回すが、ウルトラマンは決してひるまない。オーブが気を引きつけている間に、エックスが地を蹴った。

 

「イィィィーッ! シェアァッ!」

 

 鋭い飛び蹴りが炸裂し、よたよたとよろめくデアボリック。

 

『「今なのっ!」』

『「うんっ!」』

 

 この好機にオーブとエックスが必殺光線の構えを取った。同時攻撃で一気に叩く姿勢だ!

 

「『ザナディウム光せ……!!」』

「「『スペリオン光せ……!!!」」』

 

 だが発射直前に、左方から飛んできた銃撃によって阻止されてしまった。

 

「グワアァァッ!?」

「えっ!?」

 

 目を見張るアイドルたち。今のはデアボリックの攻撃ではない。弾丸の飛んできた方向へ振り向くと、

 

『二対一なんてずるいよぉ! 僕も楽しませてくれよッ!』

 

 巨大化したガピヤ星人サデスが腕を開いて叫んだ。乱入者だ!

 

『「何なんだこいつ!?」』

『油断するなよ、ダイチ!』

 

 サデスの異様な言動に直接戦っていないダイチが怪しみ、エックスが警戒を促した。

 体勢を立て直したエックスとオーブはサデスへと反撃。

 

「『Xスラッシュ!!」』

「「『スペリオン光輪!!!」」』

 

 だがサデスは剣で簡単に打ち払った。

 

『何だよ駄目だよそんなんじゃ。気持ち伝わってこないよ!』

「グギャアァァァ――――!」

 

 デアボリックの方も機関銃を構え直して発砲してきた。咄嗟に回避したオーブたちだが、戦いが長引いたことでカラータイマーが鳴り始めてしまった。

 

『「もう時間がない!」』

『「私たちに任せて下さい!」』

『「なのっ!」』

 

 焦るダイチに春香と美希が申し出て、オーブリングと二枚のカードを握った。

 

『「ゾフィーっ!」』

[ゾフィー!]『ヘアァッ!』

『「ベリアルさんっ!」』

[ウルトラマンベリアル!]『ヘェアッ!』

『光と闇の力、お借りしますッ!』

[フュージョンアップ!]

 

 光と闇の力の融合によって、オーブの姿が切り替わる!

 

[ウルトラマンオーブ! サンダーブレスター!!]

『闇を抱いて、光となる!!』

 

 サンダーブレスターとなったオーブは手の平でサデスの銃撃を弾きながら距離を詰め、強烈な平手打ちではね飛ばした。

 

『うっはぁッ!? 何だいそのすんごいのは! 僕、ファンになっちゃいそうだよー!』

『「いい心がけね! これはサービスよっ!」』

 

 黒春香がニヤリと笑うと、オーブがサデスを蹴り飛ばした。

 

『ありがとうございますッ!』

 

 オーブに殴り返していくサデスだが、オーブの筋肉の鎧にはね返されてよろめいた。オーブは強固な肉体から生じるパワーでサデスを圧倒していく。

 その間、エックスはデアボリックの相手をする。

 

『「こっちもモンスジャケットだ!」』

[デバイスベムスター、スタンバイ]『ギアァッ! ギギギィッ!』

 

 ダイチはデバイスベムスターのカードをデバイザーに挿入して、エックスの身体をモンスジャケットで覆った。

 

[ベムラーダ、セットアップ]

「ヘェアッ!」

 

 デアボリックの砲撃をエックスは槍の盾で防御し、その中にエネルギーを吸収していく。

 

『「スピーアスパウト!」』

「イィッ! シェアァッ!」

 

 吸収したエネルギーを凝縮して、穂先から光線としてデアボリックに撃ち返した!

 

「グギャアァァァ――――! ウオオォ――――ン!」

 

 フュージョンアップとモンスジャケットの力で押し返していくオーブたち。伊織たちも一時は不安を覚えたが、ぐっと手を握り直していた。

 

「この調子なら……!」

 

 しかしここで、オーブに殴りつけられたサデスがバタバタと足踏みをしながら叫んだ。

 

『いいねぇ熱くなってきたぁッ! こっちもレベルアップだぁーッ!』

『「何ですって!?」』

 

 サデスの言動に驚く春香。彼女に美希が呼びかける。

 

『「ねぇ、この場所って……!」』

 

 オーブたちは気がついた。戦っている内に移動してきた先を。まだ再建が完了しておらず、辺りに荒廃している箇所が多い土地。

 

「あっ! ここは……!」

 

 律子たちも悟った。三か月前、自分たちがマガタノオロチにとどめを刺した場所だということを!

 

『ふんッ!』

 

 そしてサデスは、まさにマガタノオロチが爆散した場所に剣を突き刺した。剣先が穿った穴から、八本の蛇の首のような形状の闇が地中から噴出する!

 

『ピュウオ――――――――――ッ!!』

『「あれは……マガタノオロチっ!」』

 

 衝撃を受ける春香たち。マガタノオロチは肉体が吹き飛んでも、その怨念は大地に染みついて残っていたのだ!

 オロチの怨念が空を渦巻く中、サデスが意気揚々と語った。

 

『僕の同胞が作った傑作の怪獣兵器! だけど限界を決めてちゃ成長はなーいッ! デアボリック、お前もそれで満足しないで新しい自分に覚醒めるんだよぉーッ!!』

「グギャアァァァ――――! ウオオォ――――ン!」

 

 デアボリックにオロチの怨念が乗り移っていき、そしておぞましき闇の力によってその肉体が変貌を遂げた!

 

「グギャアァァァ――――!! ピュウオ――――――――――ッ!!」

 

 顎が伸びてワニのように発達し、機械の鎧の間からどす黒い触手が生える。頭部からは不吉に赤いクリスタルの角が伸びて、肉体がひと回り膨れ上がる。

 戦場の上空を浮遊している円盤から、ムルナウが嬉々として叫んだ。

 

「成功よぉっ! デアボリックは更に強大になった! 超奇機械魔王獣、マガタノデアボリックの誕生よぉ――――っ!!」

 

 立っているだけで大気を震撼させるほどのパワーを発するマガタノデアボリックに、流石のエックスとオーブも無意識の内にたじろいだ。

 オーブが口走る。

 

『ムルナウたちが地球に来た真の目的は、これだったのかッ!』

「グギャアァァァ――――!! ピュウオ――――――――――ッ!!」

 

 マガタノデアボリックは全身の砲口から、迅雷を纏った砲撃を一斉に発射してオーブたちに撃ち込んできた!

 

「ウワアアアァァァァァァァ―――――――ッ!!」

 

 更に強力となった攻撃は、最早盾もモンスジャケットも防ぎ切れず、破られてしまった。エックスとオーブは二人とも吹っ飛ばされて倒れ込む。

 

「グギャアァァァ――――!!」

 

 デアボリックはその内のオーブを狙い、右腕のキャノンを向けた。

 

『「危ないッ!」』

 

 咄嗟にエックスが飛び起き、オーブをかばった。そしてキャノンから放たれた宝石化光線をまともに食らった!

 

『「「あぁっ!?」」』

「『うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」』

 

 エックスとダイチは、オーブの身代わりとなって宝石に変えられた……!

 

『「くっ……よくも……!」』

 

 怒りに震えた春香だったが、感情が乱れた隙を突かれ、サデスが横から飛びかかってきた!

 

『ギャラクティカサデスファクションッ!!』

「グワアアアァァァッ!?」

 

 全力の拳の一撃を食らったオーブが吹っ飛び、ビルに叩きつけられて倒れ伏した。

 

「きゃああああっ!?」

 

 凄まじい震動に見舞われてアイドルたちはバランスを崩した。そしてオーブは、エネルギーが限界となって消えていってしまう。

 

「オーブが……!」

「オーブぅぅぅ――――――――っ!!」

 

 慌ててオーブの消えた場所へと走っていくアイドルたち。そこでは、満身創痍のガイを春香と美希が支えていた。

 

「ぐうぅッ……! うぅッ……!」

「ハニー、大丈夫!?」

「プロデューサーさん、しっかり……!」

 

 だが二人も少なからずダメージを受けている。仲間たちは急いで二人に手を貸した。

 この様子を目の当たりにした未来たち三人は、愕然としている。

 

「オーブが消えた場所に、春香さんたちがいるってことは……」

「春香さんたち……いえ、ここにいる皆さんが、オーブだったんですか……!?」

「信じられない……!」

 

 一方、宝石の像にされたエックスの元には、円盤から同じように宝石にされているギンガとビクトリーが降ろされた。

 

『ワーオッ!』

「あーはっはっはっはっはっ! 遂に三つのウルトラマンジュエリーが集まったわ! 美しいぃっ!」

 

 そしてガイたちの方へ、マガタノデアボリックが接近してくる。とどめを刺そうというつもりか。

 

「グギャアァァァ――――!! ピュウオ――――――――――ッ!!」

 

 少しずつ大きくなってくる大怪獣の威容に、未来たちはすっかりと震え上がる。

 

「も、もう駄目ですぅぅぅっ!」

「皆さん、逃げましょうっ!」

 

 しかし――春香たちは全員、ガイの盾となるように彼の前に並び立った。

 

「そこの怪獣! プロデューサーさんに何かするつもりなのなら、私たちを倒してからにしなさいっ!」

「ミキたちはまだ戦えるの! 相手になってやるの!」

「私だって、戦えますぅ!」

「ボクだって!」

「わたくしとて!」

「あんたなんか、ちっとも怖くないわよっ!」

 

 美希、雪歩、真、貴音、伊織と次々に立ち上がるアイドルたち。

 

「駄目だッ! 早く逃げろぉーッ!」

 

 叫ぶガイに、アイドルたちは微笑みながら告げる。

 

「言ったじゃないですか、私たちはあなたの力になりたいんです」

「最後の最後まであきらめませんっ!」

「絶対に、あなたを見捨てて逃げるなんてことはしません」

「だって、自分たち、ウルトラマンオーブだもんね!」

 

 千早、やよい、あずさ、響が語り、ちっぽけな身体で堂々と怪獣に立ちはだかった。

 

「亜美たち、何があっても未来をあきらめないっ!」

 

 亜美が叫ぶと――宝石にされているギンガのカラータイマーに、淡い輝きが生じた。

 

「前を向き続けて、どこにだって行けるっ!」

 

 真美の叫びで、ビクトリーのカラータイマーにも同じように輝きが生まれる。

 

「限界なんて超えてみせるわ! それが私たち……765プロなんだからっ!」

 

 律子の宣言で、エックスのカラータイマーも光を発する。

 その三人の光に反応するように、ガイのカードホルダーからエックス、ギンガ、ビクトリーのカードが宙へ飛び上がった。

 

「これは……!」

 

 驚くガイたち。更にこの三枚に続き、全部のカードがホルダーから飛び上がってアイドルたちの頭上に浮遊した。

 未来たちが目を見張って見守る中、春香がつぶやく。

 

「ウルトラマンさんたちが……また、私たちに力を貸してくれる……!」

「ああ……! 俺たちは、まだ終わりじゃない……!」

 

 ガイの傷ついた身体にも力がみなぎり、円を描くように並んだアイドルたちの中心に立ち上がった。

 

「みんな一緒に、もっと高みへ行くぞッ! 765プロぉぉッ!!」

「「「「「「「ファイトぉぉぉ――――っっ!!!」」」」」」」

 

 十三人が声をそろえて掲げた腕から、色とりどりの心の光が生じて、ガイのオーブリングへと一つに集まった!

 極彩色に輝いたオーブリングを、天高く掲げるガイ!

 

「諸先輩方ッ!」

『ヘアッ!』『ヘアァッ!』『デュワッ!』『ジェアッ!』『トワァーッ!』『トァーッ!』『イヤァッ!』『ヂャッ!』『デヤッ!』『デュワッ!』『デアッ!』『フワッ!』『シェアッ!』『シュアッ!』『セアッ!』『メッ!』『ヘェアッ!』『セェェェェアッ!』『ショオラッ!』『テヤッ!』『イィィィーッ! サ―――ッ!』

 

 リングの中心に、全部のカードが飛び込んでまばゆい光となった!

 

[オールスターフュージョン!!]

「オーブスラッシャースター!」

 

 そして光は、各二色ずつの流線型の芒を持った六芒星型の武器に変わった。それを握り締めるガイ。

 

「皆さんの光の力、お借りしますッ!! オーブ・オールスター!!!」

 

 ガイと765プロオールスターズ全員で、フュージョンアップ! 誰も見たことのないウルトラマンオーブへと変身し、輝く銀河の中央から飛び出していった!

 

「わぁぁぁーっ!!!」

 

 驚きが頂点に達した未来たちの前に、威風堂々と着地したオーブ。

 銀と赤のボディをベースに、O型のカラータイマーを囲む緑のX型と黄色のV型の装飾、頭部の黄色の楔型の冠、胸部の青とピンクのプロテクター、若草色のウルトラブレスター、白と黒のラインが走る上腕、オレンジ色のファイヤーシンボルが描かれた前腕、紫色のウルトラホーン、浅葱色と臙脂色のラインの脚を備えた姿。フュージョンアップしたアイドルたちのカラーと、各ウルトラ戦士の特徴を併せ持っている。

 

『俺たちはオーブ!』

 

 オーブが右肩のオーブスラッシャースターに手をかざす。

 

『ウルトラマンオーブ・オールスター!!』

 

 オーブ・オールスターはスラッシャースターを手に移しながら、名乗り口上を発した。

 

『皆の光と絆を結び、今ッ! 輝きの向こう側へ!!』

 

 猛り狂う奈落の咆哮に、極彩色の光が立ち向かう。

 今ここに、全銀河の運命を懸けた戦いが始まるのだ!

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。