THE ULTRAM@STER ORB   作:焼き鮭

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運命スターライン(B)

 

 全世界の人々を恐怖と絶望のどん底に陥れていたグランスフィアであったが、それがウルトラマンオーブによって撃破され、取り込まれた星も元通りになったことはすぐに報じられ、世界は一転して歓喜と希望に包まれた。

 

「やった! オーブは勝ったんだね、看護師さん!」

「ええ! 地球は救われたのよ!」

 

 ここ、双海姉妹の父親が勤める病院でもオーブの勝利は、テレビの緊急速報によって伝えられた。テレビに釘づけになっていた入院中の患者や医者、看護師らは、病院であることも忘れて皆大歓声を上げ、患者の少年も担当の看護師と喜びを分かち合った。

 だが、すぐに状況は変化することになる。

 

『いえ、お待ち下さい! ただいま新しい情報が入りました! ウルトラマンオーブによって破壊された暗黒惑星から正体不明の物体が地球の大気圏に突入したとのことです!』

「えッ!?」

 

 病院の待合室は一気に静まり返った。謎の惑星の危機から脱したというのに、まだ何かあるのかと彼らは静かにおののく。

 しかも次にニュースで発表された、飛行物体の落下予測地域を目の当たりにして、恐慌は瞬く間に拡大する。

 

「ま、まさか……ここに落ちてくるってのか!?」

 

 発表された地域には、この病院が入っているのだ。人々はすぐにパニックになって逃げ出そうとするが、何分重病患者も多い病院。すぐに全員の避難が出来るはずがない。

 その上飛行物体の落下は予想よりもずっと速く、ほとんどの人間が病院施設の外に出る間もなく――地上に落ちてきた闇の塊に呑み込まれることとなった。

 

「うわあああぁぁぁぁぁぁ――――――――――――!?」

 

 大勢の人間の悲鳴までも、闇の中に消えていった。

 そして、太陽が昇る――。

 

 

 

「何だありゃあ……」

 

 グランスフィアから飛び立った未確認飛行物体の落下地域はビートル隊によって完全封鎖され、指揮を執る渋川は、封鎖区域の中央にそびえ立つ『それ』をながめ、完全に呆然としていた。

 街の中央に、黒いドームとしか形容の出来ない形に『闇』が立ち込めているのだ。『闇』は太陽光でも払い除けられず、その下敷きになった区域がどうなってしまったのかは、外からでは全く分からない状態であった。

 

「一体ありゃ何で出来てんだ? おい、何か分かんねぇか?」

「駄目です……。考えられ得るあらゆる手段を用いて解析しましたが、全く正体が解明できません。あれは、我々の科学力を超越しています」

 

 渋川に聞かれた科学班が匙を投げるほど、闇の塊は人間の理解の範疇を超えた代物であった。

 

「何てこった……。全く正体の掴めないもんに、どんな手を打ちゃいいんだ?」

 

 渋川でさえどうすればよいのか見当もついていないところに、ガイが亜美、真美、春香、やよいを連れて現場に駆けつける。

 

「叔父さんっ!」

「ああ春香ちゃんたちか。あれ見てくれよ。またとんでもないことになっちまったよ」

 

 闇のドームを顎でしゃくる渋川。すると亜美と真美が青ざめた表情で言った。

 

「あれの下にあるの、亜美たちのパパの病院だよ!」

「何!? そうだったのか……」

「渋川のおっちゃん! パパたちがどうなったか分かんない!?」

 

 とすがる真美だったが、渋川は残念そうな顔で首を振った。

 

「悪りぃけど、中の状況は全く分かんねぇんだ。何使っても内部は見通せなくてな……」

「そうなんだ……」

「パパや病院の人たち、他の人たちも……みんな、大丈夫なのかな……」

 

 これほどの異常事態に、いつも明るい亜美真美も流石に落ち込んでいた。春香とやよいも戸惑ってしまうほどの異例なことだ。

 

「心配するなって! 今俺たちビートル隊が、どうにかする手段を全力で模索してるから……」

 

 見かねた渋川が励まそうとしたが、ちょうどその時に隊員の一人が泡を食って走ってきた。

 

「た、大変です!」

「何だ! まだ何かあるってのかおいッ!」

「は、はいッ! あの黒いドームですが……拡大していることが判明しました!」

「な、何ぃぃぃぃぃッ!?」

 

 渋川も、ガイたちも衝撃を受ける。

 

「拡大速度は徐々に上がっており、予測によれば三時間もあれば首都圏一帯が呑み込まれてしまう計算です……!」

「何てこった……! 早いとこ何とかしねぇとやばいじゃねぇかッ!」

 

 焦りながらも、そのための手段が思い浮かばずに苦悩する渋川。一方で、ガイたちはそっと彼の元から離れて、他人の目のない場所に隠れた。

 春香がガイに尋ねる。

 

「プロデューサーさん、あの闇のドームをどうにかすることは出来ませんか?」

「科学の力じゃ無理だな。あの闇を払うことが出来るのは、光の力だけだろう」

 

 ガイはきっぱりと答えた。それはつまり、引き続きウルトラマンオーブの力が必要だということだ。

 

「第二ラウンドってとこだな。もう一度フュージョンアップだ!」

「兄ちゃん!」

 

 オーブリングを取り出したガイに、亜美が申し出た。

 

「今度は亜美が行くよ!」

「真美にも、もう一度フュージョンアップさせて!」

「亜美、真美……!」

 

 ガイたちの視線を浴びながら、二人は熱弁する。

 

「パパたちのことは、どうしても亜美たちで助けたいの!」

「このままパパたちが闇の中に消えちゃうなんてことはさせらんないから! 兄ちゃん、お願いっ!」

「だが、流石に危険が大きすぎるぞ。あの中がどうなってるかも想像がつかないんだ」

 

 流石にためらうガイだが、二人の必死な願いを、春香とやよいも支持する。

 

「プロデューサーさん、二人を連れてってあげて下さい。きっと力になります!」

「プルデューサーたちの光があれば、暗闇になんか絶対負けないって信じてますからー!」

 

 春香たちの後押しもあって、ガイは考えた末に結論を出した。

 

「大事な人は、自分の手で救い出すもんだ。それじゃあ亜美、真美、行くぞ!」

「「うんっ!!」」

 

 亜美と真美が力強い、覚悟を固めた顔でうなずき、三人はフュージョンアップを行う。

 

「ギンガ兄ちゃん!」『ショオラッ!』

「エックス兄ちゃん!」『イィィィーッ! サ―――ッ!』

「痺れる奴、頼みますッ!」[ウルトラマンオーブ! ライトニングアタッカー!!]

 

 三人はウルトラマンオーブとなると、迷うことなく闇のドームに向かって一直線に飛んでいく。

 

「あッ! ウルトラマンオーブ!」

 

 自分たちを飛び越えていくオーブを見上げる渋川たちビートル隊。彼らの見ている前で、オーブは全身に電光を纏う。

 

「シェアァッ!」

 

 その状態からの突撃によって、オーブは闇のドームの壁を突き破って内部に突入を果たしていった。オーブの姿はすぐに闇の中に見えなくなる。

 

「オーブ、俺たちの代わりに民間人を救おうと……」

 

 渋川はオーブの進撃を見届けると、もう姿の見えなくなった彼に対してビシッと敬礼した。

 

「大勢の人たちの命をどうか頼んだぜ、オーブ!」

 

 

 

 闇のドームの内部へ侵入を果たしたオーブは、その中の異様な光景に目を見張った。

 

『「な、何これ!?」』

 

 ドームの中に広がる世界は、侵蝕された街――ではなく、どこまでも広がる平坦な荒野であった。亜美と真美は混乱する。

 

『「どうなってるのこれ!? 街はどこに行っちゃったのぉ!?」』

『どうやら闇の中は、一種の異空間になってるみたいだな……』

 

 オーブは適当な場所に着地して、周囲に目をこらす。すると荒野の中に、取り込まれたと思しき人々の姿を発見した。

 

『「あそこに人が! でも……」』

 

 しかし彼らは皆、表情が全くない顔つきで延々と立ち尽くしたままであったりその場に倒れていたりと、まるで生気がなかった。生きているのに死んでいるかのような不気味なありさまに、亜美たちは思わず寒気を感じた。

 

『「あ、あれはどういうこと……? あの人たち、どうしちゃったの……?」』

『……自由意思を奪われた人間の姿だ。今の彼らには生きようという意志がないから、あんな風に時間が止まっちまったみたいなことになってるんだ』

『「ひどい……あんなの……」』

『「パパもあんなことになってるの……?」』

 

 真美たちは人々が受けている所業にひどい嫌悪感を覚え、彼らを救わなくてはと決意した。

 

『「すぐに助けなくっちゃ!」』

『「こんなことしたの誰!? ぶっ飛ばしちゃうぞ!」』

 

 亜美の叫び声に応じるように、闇の中から巨大怪獣がオーブの前に姿を現す!

 

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 それはまるで、白骨の悪魔を思わせるようなあまりに異形で、おぞましい容貌であった。様々な怪獣を見てきた亜美たちですら、思わず恐怖心を抱くほどの不吉さを姿形だけから醸し出している。

 

『「な、何あいつ? すっごいコワモテ……!」』

 

 しかしオーブは、別のことに驚愕して言葉を失っていた。

 

『ド、ドクターサイキ!? そんな馬鹿な……!』

『「えっ? 兄ちゃん、知ってるの?」』

『「ドクターって……あれもしかして人間なの!?」』

 

 亜美と真美が問い返すと、オーブはあの怪獣が何者かを簡潔に説明した。

 

『俺の最初のミッションで戦った、怪獣と人間が融合して生まれた怪物だ。それが何で今になって、こんな場所に……!?』

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 オーブが考える暇もなく、悪魔のような怪獣サイクイーンは咆哮を発して襲い掛かってきた!

 

『くッ、今は考えてる暇はないか! 行くぞッ!』

『「「うんっ!」」』

 

 迫り来るサイクイーンを迎え撃つオーブ。両者のパンチがぶつかり合う。

 

「シェアッ!」

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 渾身の力を込めたオーブだが、彼の拳の方が弾かれて体勢を崩した。

 

「ウオッ!?」

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 そこにサイクイーンの猛打が叩き込まれる。嵐のような猛撃に吹っ飛ばされるオーブ。

 

「グアァァッ!」

『「「うわあぁぁぁっ!」」』

 

 何とか受け身を取って起き上がるも、サイクイーンは長い尾を持ち上げて翼状の角の間から先端をオーブに向けた。その尾にエネルギーが集中する。

 

『まずいッ!』

 

 咄嗟に防壁を張るオーブ。

 

「「『ハイパーバリアウォール!!!」」』

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 しかしサイクイーンの発射した破壊光線は、オーブのバリアを呆気なく貫通する!

 

「グワアアアァァァァァァッ!!」

 

 すさまじい威力の一撃にまたも吹き飛ばされるオーブ。だがサイクイーンは容赦がなく、オーブに詰め寄ってくると鋭い爪を振りかざして攻撃してくる。

 

「ウゥッ!」

 

 どうにか相手の爪を受け止めるオーブだったが、サイクイーンは肉体から赤黒い電撃を発してオーブを苦しめる。

 

「ウワアアアアアアアアッ!」

『「「あああああっ!!」」』

 

 サイクイーンの電撃の威力は、ライトニングアタッカーも上回っていた。相手の恐ろしいまでの攻撃能力に、オーブは防戦一方である。カラータイマーも鳴って危険を報じた。

 

『くそッ……あの時と同等の強さだ……!』

 

 思わず悪態を吐くオーブ。彼は圧倒的な力を背景に立ちはだかるサイクイーンと、この温かみのない暗黒の空間を見据えて独白する。

 

『次々現れる怪獣……地球から逃げてく宇宙人……それらは、地球の未来が今のこの状況のようなものだという暗示なのか? 地球の運命は暗黒だとでも言いたいのか?』

 

 このオーブのひと言を、亜美と真美が否定する。

 

『「そんなことないよ!」』

『「地球の未来は真っ暗なんかじゃない!」』

『亜美、真美……!』

 

 二人はオーブに、サイクイーン相手に、そして自分たちに向けて言い放った。

 

『「どんな時にだって光はある! 真っ暗闇をはね飛ばすものがある! 亜美たち、それを信じてがんばってるんだよ!」』

『「真美たちには、765プロって大切な仲間がいる! みんなと結び合う絆が、地球の光を照らしてくれる! そうだよね、兄ちゃん!」』

 

 聞かれたオーブが、確信を込めてうなずいた。

 

『ああ! どんな時にも、俺たちの絆が光を作り出す! 絆の光が、希望を生むッ!』

 

 そして亜美と真美の手元に現れたのはオーブリングと、メビウスとギンガのカードだった。

 

『希望の光で、この暗黒の世界を切り裂いてやろうぜ!!』

『「「ラジャー!!」」』

 

 リングとカードを手に取った亜美真美が、フュージョンアップを行う!

 

『「メビウス兄ちゃん!」』

[ウルトラマンメビウス!]『セアッ!』

 

 真美がメビウスのビジョンを呼び出し、亜美がギンガのカードをリングに通す。

 

『「ギンガ兄ちゃん!」』

[ウルトラマンギンガ!]『ショオラッ!』

 

 それからオーブが叫ぶ。

 

『希望の力、お借りしますッ!』

[フュージョンアップ!]

 

 亜美と真美はメビウス、ギンガのビジョンとともにオーブと融合した!

 

『タァッ!』『シュワッ!』

[ウルトラマンオーブ! メビュームエスペシャリー!!]

 

 メビウスの輪と交差した銀河の中から、赤と銀の身体に発達したクリスタルを持った姿となったオーブが飛び出していく!

 

(♪メビウス!)

 

『俺たちはオーブ! 眩い光で、未来を示す!!』

 

 オーブの全身から発している閃光が暗黒の世界を照らし、サイクイーンの目も一瞬くらませた。

 メビウスとギンガ、どこまでも未来への希望を信じ続け、その末に暗黒の未来の運命を打ち破った勇士の信念をその身に宿したメビュームエスペシャリーが、過去からよみがえった暗黒の亡霊に挑む!

 

「セェェアッ!」

 

 オーブが右腕を大きく薙ぐと、五本の光の短剣が出現して宙に浮かんだ。その短剣の刃が伸び、オーブの腕の動きに合わせてサイクイーンに斬撃を浴びせる!

 

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 サイクイーンは光剣を叩き割ろうと両腕を振り回すが、それぞれが自在に動き回ることで複雑な剣さばきを作り出す五振りの光剣には身体がついていかず、なす術なく斬られていく。

 

『「えぇーいっ! やぁっ!」』

『「そこだっ! とりゃあーっ!」』

 

 そしてこのメビュームエスペシャリーの固有能力の威力を最大限に引き出しているのは、亜美と真美の絶妙なコントロールだ。双子ならではの呼吸と心が完璧に合ったコンビネーションは、五本の剣を同時に操作するという神業を実現しているのだ。

 

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 サイクイーンは一転した劣勢に業を煮やしたように、再度尾を頭上へと持ち上げて破壊光線の構えを見せた。もう一発あの攻撃を食らうのはかなりまずい。

 しかしオーブは恐れず、己の両手に作り出した光剣を中心に、五振りの短剣を一つに束ねた。

 

「「『メビュースペシャリーブレード!!!」」』

 

 全ての光剣を一つとした莫大なエネルギーの刃が、サイクイーンの破壊光線と衝突!

 そうして、光線ごとサイクイーンを一刀両断した!

 

「ウオオオアアアア―――――!」

 

 尾をぶつりと切断されたサイクイーン。これで破壊光線は撃てなくなったが、サイクイーンはまだ倒れてはいない。

 そこで亜美と真美はとどめを刺すべく、オーブオリジンのカードを握り締めた!

 

『「「兄ちゃん、真の姿に!」」』

[覚醒せよ! オーブオリジン!!]

 

 オーブカリバーの力で、オーブをオリジンの姿へと変える!

 

『銀河の光が、我らを呼ぶ!!』

 

 すかさず亜美真美はオーブカリバーの力を解放。

 

[解き放て! オーブの力!!]

 

 オーブはカリバーで大きく光の円を描き、全ての力をオーブカリバーからサイクイーンへと叩き込んだ!

 

「「『オーブスプリームカリバー!!!」」』

 

 虹色の光の奔流がサイクイーンの肉体を貫く!

 

「ウオオオアアアア―――――……!」

 

 今度こそサイクイーンは全身分解されて光の中に消え、黒い煙となって消滅したのであった。

 同時に暗黒の空間が晴れていき、街は元通りに暖かい太陽光の下に晒された。

 

「う、うーん……?」

「ここは……私たちはどうなって……?」

 

 闇の中に囚われて自由意思を奪われていた人たちも目を覚まし、自我を取り戻した。それを確認したオーブはおもむろにうなずき、大空へと飛び立っていった。

 

「シュワッチ!」

 

 

 

 変身を解いたガイ、亜美、真美の三人が春香とやよいの元に戻ってきた。二人は歓喜してガイたちを迎える。

 

「プロデューサーさん! 亜美、真美、無事に闇を追っ払ったんだね!」

「うっうー! 怪我人もいないみたいで、ほんと良かったですぅ~!」

 

 二人の笑顔に当てられた亜美と真美はすぐに気分を良くした。

 

「いやぁそれほどでも~。亜美たち大活躍だったけどね!」

「はるるんもやよいっちも、ちゃんと見ててくれてた~?」

「もう。それは無理だって分かってて聞いてるでしょ」

 

 あははは、と冗談で笑い合う余裕も取り戻した春香たち。――しかしその一方で、ガイは妙に浮かない顔をしていた。

 

「兄ちゃん? 一体どうしたの? 勝ったのが嬉しくないの?」

 

 気づいた亜美たちが訝しむと、ガイはこんなことを告げる。

 

「さっきも言ったが、あの怪獣は普通の怪獣じゃない。どこかその辺から湧いて出てきたなんてことはあり得ない類の奴だ。それがあんな場所にいた……こいつはただごとじゃない」

「そうなんだ……」

「もう一つ。奴は何故か黒い煙のようになって跡形もなく消え去った。俺たちはこれと同じ現象を何度か目にしてる」

 

 ガイたちの脳裏によみがえったのは、ラゴラスエヴォ、ザ・ワン、改造ベムスター、ガクゾム、そして今回の怪獣たちの姿である。

 

「あいつらは自然に発生した怪獣じゃないんだと思う。恐らくは、姿の見えない何者かの差し金……」

「それってつまり、どっかに黒幕がいるってこと?」

「そういうことだろう。そいつが、地球を覆おうとしてる暗雲の正体なのかどうかは知らないが……」

 

 ガイは決心をつけた目で、空の彼方を見上げた。

 

「いつかは直接対決する時が来るかもしれない。その時こそ、謎が全て明らかになる時だ……!」

 

 

 

 ――ここは地球から遠く離れた、惑星ヨミ。

 この星に生けるものは何一つおらず、例外は異形の姿の青い巨人のみ。この巨人が口を開く。

 

『……やはり、今のままでは怪獣の蘇生は完全ではない』

 

 巨人は己の魔力によって、はるか遠くの地球の光景――自らが怪獣墓場から復活させた怪獣たちの様子を観察していた。この男こそが、サイクイーンら怪獣をよみがえらせていたものの正体なのである。

 

『ウルトラ戦士一人にすら勝てないようでは、全宇宙の制覇など出来ぬ!』

 

 怪巨人はそのように叫び、そして独白した。

 

『やはり、蘇生能力を完全にするためにはアレが必要だ……。今よりも能力に磨きを掛け、そして必ず手に入れてみせるぞ……』

 

 巨人は惑星ヨミの太陽を見上げて、固く拳を握った。

 

『百体の怪獣を操ることの出来る、ギガバトルナイザー! このレイバトスが手に入れ、全宇宙を征服してみせるぞぉッ!』

 

 この巨人が悪しきたくらみを持ってオーブと激突するのは、まだ先の話である――。

 

 

 

『765プロのウルトラヒーロー大研究!』

 

真美「兄ちゃんたち、はろはろ~! 真美だよ~。今回紹介するのはー、ウルトラマンダイナのミラクルタイプだぁっ!」

真美「ミラクルタイプはダイナ兄ちゃんのタイプチェンジの一つだよ。ミラクルは超能力を担当する形態で、念力や特殊能力に特化する代わりに肉体の強さが下がるのが特徴なんだ」

真美「色んな超能力が使えるっていう点から使い勝手がいいのは分かってもらえると思うけど、実際様々なことが出来るから、色々な場面で活躍をしたんだよ。必殺技のレボリウムウェーブなんか、マイクロブラックホールに相手を吸い込むなんてとんでもない技なのだー!」

真美「だけど強力な分、敵怪獣の強さを際立たせるための当て馬みたいな扱いをされることもあったよ。特に番組後半になってからは……。それでも強いってことは確かだから、最後まで活躍し続けてもいたんだ」

ガイ「そして今回のアイマス曲は『黎明スターライン』だ!」

ガイ「CD『MASTER SPECIAL』シリーズ初出の亜美真美の曲で、宇宙飛行をテーマにした他に類を見ない歌だ! 「黎明」を初めとした、歌ってる当人たちも意味が分かってない難しい単語がいくつも使われてるの特徴だ」

真美「これって歌うのもかなり難しいんだよねー」

真美「それじゃ、次回もよろよろー☆」

 




 天海春香です! 遂にジャグラスジャグラーが、プロデューサーさんに本当の最後の勝負を挑んできました……! プロデューサーさん、絶対に負けないで下さい! そして必ず、私たちの元へ帰ってきて下さい! 約束ですよ!
 次回『inferno edge』。光と闇の戦いに、終止符が打たれます……!

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