THE ULTRAM@STER ORB   作:焼き鮭

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運命スターライン(A)

 

「あれ、何かしら? 流れ星?」

「すぐに避難しましょう!」

「惑星O-50の、『戦士の頂』からの指令だ……」

『この夕焼けが、闇に呑まれてしまうのか……』

「逃げられちまったか……」

『あの子たちも、宇宙に活躍の場を移してればよかったのにねぇ』

「しかし、魔王獣は全て倒したというのに最近怪獣の出現が多いな……」

「……私たち、いつかバラバラになる日が来るのかな……」

 

 

 

『運命スターライン』

 

 

 

『繰り返す! ここは地球の大気圏内である! 直ちに退去せよ! 応じなければ攻撃を加える!』

 

 日本領空にて、二機のゼットビートルが宇宙から飛来してきた二体の未確認飛行物体を追跡し、警告を飛ばしていた。しかし相手からの応答はない。

 飛行物体は細胞がそのまま大きくなったかのような生々しい質感の楕円形の物体である。ビートルから飛行物体の分析を行った隊員が本部に報告する。

 

『飛行物体そのものから生体反応あり! 金属反応はなし! 宇宙生物のようです!』

『対象からの応答は依然ありません!』

『やむを得ん。攻撃!』

『了解!』

 

 命令が下り、ビートルからミサイルが発射された。まっすぐ飛んだミサイルは飛行物体に命中し、飛行物体は二体とも黒煙を噴きながら墜落していく。

 

『やったか!?』

 

 そのまま無人の山間部に撃墜された飛行物体だが……するとたちまち変形していき、地面の岩石と融合していく。

 そして飛行物体――宇宙球体スフィアは、二体の怪獣へと変貌した!

 

「グワアァァァ! ピィ――――!」

「グオオオオオオウ!」

 

 両者とも融合した岩石によって肉体を形成した怪獣。一体は全身が鋭角的であり、もう一体は岩石とともに取り込んだマグマが表面に露出して赤く煮えたぎっている。スフィア融合獣のネオダランビアとグラレーンだ!

 

『何ッ!? 怪獣になった!』

 

 ネオダランビアは鼻先から光線を発射し、二機のビートルはそれにかすめる。

 

『うわあぁぁッ!』

 

 損傷を負ったビートルは航空能力に異常を来たし、みるみる落下していく。

 

「グオオオオオオウ!」

 

 そこをグラレーンが吐き出す火炎が狙う! ビートルはかわすことが出来ない!

 

『うわぁぁぁ―――――ッ!』

 

 もう駄目だとビートルのパイロットたちは目をつむったが、その時にひと筋の光が猛然と降ってきて、火炎放射をさえぎってゼットビートルを救った。

 

『あ、あれはッ!』

 

 無事に不時着するビートル。パイロットたちが見上げたのは、銀と赤と青の雄大な背面であった。

 ウルトラマンオーブだ!

 

『俺たちはオーブ! 光の輝きと共に!!』

 

 ゼットビートルの危機を救ったオーブ・ゼペリオンソルジェントは、そのままネオダランビアとグラレーンに対して構えて抗戦の意志を見せる。

 

『「行くよ、真美!」』

『「オッケーやよいっち! どっからでもかかってこーい!」』

 

 その内部ではやよいと真美が声を張って戦意をかき立てていた。

 

「グワアァァァ! ピィ――――!」

「グオオオオオオウ!」

 

 目の前に降臨したオーブに、ネオダランビアとグラレーンは同時に飛び掛かっていく。しかしオーブは身体を青く光らせての高速移動で二体の間を抜け、相手の突進をかわした。

 

「デアッ!」

 

 慌てて振り返ったネオダランビアの腹部に後ろ蹴りを入れて突き飛ばし、身体を今後は赤く光らせてグラレーンの身体を掴むと、剛力で抱え上げて遠くに投げ飛ばした! ゼペリオンソルジェントのマルチアクションによってオーブは数の差を物ともしない奮戦ぶりを見せている。

 

「ジェアッ!」

 

 グラレーンを引き離したオーブはネオダランビアの方へチョップを振り下ろす。が、ネオダランビアはバリヤーを張ってチョップを跳ね返した。

 

「ウッ!?」

「グワアァァァ! ピィ――――!」

 

 オーブがよろめいた隙を突き、ネオダランビアは右腕を長く伸ばしてオーブの腰に巻きつかせて、電流攻撃を食らわせる!

 

「ウワアァァッ!」

『「うあうあー! びりびりするよー!」』

『「うー! だけどこんなの……」』

 

 電流は真美とやよいも苦しめるが、やよいたちはそれを耐えて、

 

『「「何ともないよっ!」」』

 

 ネオダランビアへ反撃する!

 

「「『マルチフラッシュスライサー!!!」」』

 

 両腕を振って光刃を飛ばし、ネオダランビアの右腕を切断したばかりかバリヤーをも同時に粉砕した!

 

「グワアァァァ! ピィ――――!」

 

 強烈な一撃をもらって一瞬動きが止まるネオダランビア。そのチャンスを逃さず、オーブは腕をL字に構える。

 

「「『ゼペリジェント光線!!!」」』

 

 必殺光線が叩き込まれ、ネオダランビアは全身を爆破されて黒い煙となって霧散していった。

 

「グオオオオオオウ!」

 

 そこにグラレーンが走って戻ってきた。振り返ったオーブは再び相手の身体を押さえ込もうと掴みかかるものの、

 

「グオオオオオオウ!」

 

 グラレーンは全身を赤く赤熱させて、オーブの手の平を焼いた。

 

「ウッ!?」

『「今度は熱っつ!?」』

 

 思わず手を放すオーブ。グラレーンはそこに高熱火炎を浴びせかける。

 

「ウワァァッ!」

 

 オーブが丸焼けにされてしまう! と思われたが、

 

『「ガイアさん!」』『デュワッ!』

『「ビクトリー兄ちゃん!」』『テヤッ!』

『大地の力、お借りしますッ!』[ウルトラマンオーブ! フォトンビクトリウム!!]

 

 オーブはフォトンビクトリウムにフュージョンアップすると、その剛腕でグラレーンの火炎攻撃を真っ向から受け止めた。

 

「グオオオオオオウ!」

『闇を砕いて、光を照らす!!』

 

 そのままずんずんと炎を押し返しながらグラレーンに接近していき、重い拳を顔面に食らわせる。

 

「セェヤッ!」

「グオオオオオオウ!」

 

 ショックでグラレーンの火炎が途切れ、オーブは一発に留まらず何発も鉄拳をお見舞いした。

 

「デヤッ! オリャアッ!」

 

 発達した剛腕はグラレーンの熱も物ともせず、その身体を粉砕していく。

 

「「『フォトリウムナックル!!!」」』

「グオオオオオオウ!!」

 

 最後はエネルギーを乗せた最大の一撃が決まり、グラレーンを粉砕。その肉体は黒い煙に弾けた。

 

「シェアッ!」

 

 スフィア融合獣二体を撃退したオーブは大空へ飛び上がり、空の彼方へと去っていくのであった。

 

 

 

 戦闘終了後、不時着したビートルのパイロットたちの救助のためにビートル隊員たちを連れて駆けつけた渋川は、現場である三人を発見した。

 

「おーい、プロデューサー君たち!」

「渋川さん、お疲れさまです」

「渋川のおっちゃんだー」

「お疲れさまですぅー!」

 

 ガイと真美、やよいである。やよいはバッと大きく頭を下げた。

 

「お疲れさん。君たち相変わらず耳が早いねぇ。怪獣とオーブのことを聞きつけて来たんだろ?」

「ええ、まぁそんなところで」

「けど、一体どうやってこんな辺鄙なとこまで駆けつけてきたんだ? 車は見当たらねぇけど」

 

 という渋川のツッコミに、ガイたちはギクリと身体を震わせた。

 

「ま、まぁ細かいことはいいじゃんおっちゃん! それより不時着した人たちは大丈夫だったの?」

「ああ、そっちは幸い怪我もなかったんだがよ」

 

 真美が顔を引きつりながらも話をすり替えると、渋川は険しい表情で空を見上げた。

 

「けど今回はまたけったいな奴が飛んできたもんだよ。怪獣になる飛行物体とかさ。ここんところ、空からおっかねぇ怪獣が降ってくることが多くなったよな」

「そうですね、確かに……」

 

 何かを思案する顔でうなずくガイ。それに気づかずに渋川は続けた。

 

「最近の地球はどうなっちまってんだろうなぁ。世間はすっかり陰鬱なムードだよ。世界の終わりが近いんだなんてこと唱える奴も出てくるし、子供たちの間じゃ空を見上げるのを怖がるケースが増えてるそうだぜ。宇宙から怪獣が飛んでくるって言ってな」

 

 渋川の世間話に、やよいは、そして真美は大きく顔をしかめた。

 

 

 

 その日の夜、事務所に残っていた亜美と真美は、ガイも交えて屋上で夜空を見上げていた。

 その中で真美がガイに呼びかける。

 

「ねぇ兄ちゃん、渋川のおっちゃんが言ってたことなんだけどさ……」

「何だ?」

「子供たちの間で、空を見上げるのを怖がるのが多くなってるっての。どう思う?」

 

 聞かれたガイは眉間に皺を寄せた。

 

「いいことじゃあないな。何かを恐れてたら、人は大きく飛躍することは出来ない」

「だよねぇ……。何とかならないかな」

「亜美も、世の中のみんなが暗ーくなってるのは気分が良くないよ」

 

 と意見する亜美たち。世間は相次ぐ怪獣災害によって、日が経つに連れて重い空気が広がっていっているのだ。

 そんな状況に関して、亜美がガイに言う。

 

「亜美さ、いつかは765プロが宇宙に飛び出して、誰もやったことのない宇宙ライブをするってのが夢なんだ」

「真美も! 宇宙から地球を見渡して歌うなんて気持ちよさそうだよね!」

「何だお前たち。そんなこと考えてたのか」

「うん。宇宙デビューの話は断ったけど、行くのなら自分たちの力でって決めてたからなんだよ」

 

 夢を語りながら夜空を見上げる亜美たちだったが、すぐにため息を吐いた。

 

「でも、世の中のみんなが空を怖がってちゃ、それも出来ないよ」

「だから真美たち、みんなにこう思ってもらいたいんだ。空は、宇宙は怖いとこなんかじゃないって」

「そうだな……」

 

 ガイも夜空を見上げながら、ぼんやりとつぶやいた。

 

「俺も同じ意見だ。宇宙はとても広大で、俺にとってもまだまだ未知とロマンで満ちた場所だ。そこを恐れてちゃ、地球人は未来に大きく羽ばたけないかもしれない」

 

 そんなことを話し合っていたら、屋上に小鳥が駆け込んできた。ひどく焦った様子で。

 

「プロデューサーさん! 大変です!!」

「どうしたんですか小鳥さん?」

 

 彼女のただごとではない様子に、ガイたちは一瞬面食らった。

 

「何と説明したらいいものか……。と、とにかく、ついてきて下さい! 大変なことが起こってるんです!」

 

 と小鳥に促されて、ガイたちは戸惑いつつも彼女の後に続いて事務室へと降りていった。

 

 

 

 そしてガイたちは、小鳥から見せられたネットニュース、その掲載画像に思わず息を呑んだ。

 

「こ、これは……!」

「プロデューサーさん、これは一体何なんですか……!?」

「うー……何かすっごいのが来てますぅ……!」

 

 亜美たちと同じく事務所に残っていた春香とやよいが、『それ』について問うた。

 画像は、様々な国の天文望遠鏡が撮影した写真であった。宇宙の果てから、外惑星を取り込みながら……『ブラックホール』が地球に接近しつつある! そうとしか言えない光景であった!

 

「ネットどころか、世界中がこの異常な天体に大パニックです。プロデューサーさん、これのことを知ってますか……?」

 

 ゴクリと固唾を呑みながらうなずいたガイが、その正体を口にする。

 

「こいつは、間違いない……! 俺も噂でしか聞いたことのない、化け物の中の化け物級……グランスフィアだッ! こんなとんでもねぇのが現れるとはな……」

「ぐ、グランスフィア……!」

「かつてダイナさんが、半ば差し違える形で倒したっていう『生きた惑星』だ。そうか、さっきの怪獣はこいつの尖兵だったんだな」

 

 高木がグランスフィアについて、ガイに問いかける。

 

「グランスフィアがこのまま地球に接近してきたら、一体どうなるのかね?」

「……グランスフィアの目的は、宇宙のあらゆる生命体を自らと同化させること。だがそれは、個々の命の自由意思を奪ってしまうということです」

「それってつまり……?」

 

 小鳥が聞き返すと、ガイは極めて険しい面持ちで言い切った。

 

「人間は二度と、夢や希望を持つことが出来なくなります。もちろん、アイドルをやることも!」

「そ、そんな……!!」

 

 それは春香たちにとって、何物よりも耐え難い未来であった。

 

「宇宙人たちが片っ端からこの星を去ってったのは、グランスフィアの接近を予見したからだったのか……?」

「ともかく、そんなことをさせる訳にはいかないよ君ぃ!」

「そうだよ兄ちゃんっ!」

 

 真美と亜美が強くガイに訴えかける。

 

「夢も希望もない真っ暗な世界なんて、真美絶対ヤだよ!」

「ヒーローはこんな時にこそ、世界に希望を見せなくっちゃ!」

「私も、アイドルが続けられない……歌のない世界になんてさせられません!」

 

 春香もやよいも語る。皆気持ちは一緒であった。

 

「全くだ。地球の防衛力じゃ、グランスフィアを止めることは出来ない。こんな時こそ俺たちの出番だッ!」

「はいっ! 765プロ、ファイトですね!!」

 

 アイドルたちがガイに応じ、春香と真美がグランスフィアの危機に立ち向かうこととなる。

 

「真美、はるるん、兄ちゃん! 頑張ってねっ!」

「地球の未来をお願いしますー!」

「みんな、よろしく頼んだよ」

「必ず無事に帰ってきて下さい!」

 

 亜美、やよい、高木、小鳥の応援を受けながら、ガイと春香、真美が窓辺に立ってフュージョンアップを行う態勢となる。

 しかしその寸前、ガイがふとつぶやいた。

 

「しかし、全ての命と同化しようとするグランスフィアか……。あの男のことを思い出すな……」

「プロデューサーさん?」「兄ちゃん?」

「ああいや、こっちのことだ。何でもない。それより行くぜ!」

 

 ガイがオーブリングを取り出すと、春香がウルトラマンの、真美がネクサスのカードを握った。

 

「ウルトラマンさん!」

[ウルトラマン!]『ヘアッ!』

「ネクサス兄ちゃん!」

[ウルトラマンネクサス!]『シェアッ!』

「絆の力、お借りしますッ!」

[ウルトラマンオーブ! スペシウムシュトローム!!]

 

 三人は融合してウルトラマンオーブ・スペシウムシュトロームとなり、光となって大空高くに飛び上がった。

 

「シェアッ!」

 

 スペシウムシュトロームは宙を自在に飛翔する戦士。その能力によってあっという間に大気圏を抜け、宇宙に飛び出して猛スピードでグランスフィアに向かっていく。

 そしてオーブはすぐに、闇を纏って星の輝きを奪いながら迫りつつあるグランスフィアの姿を視界に収めた。

 

『あいつだ!』

『「す、すっごい大きさ……。生きた惑星って言うだけあるね……」』

 

 グランスフィアの、目測では到底測りきれない常識外のサイズに、天真爛漫な真美も思わず震え上がった。光の巨人ウルトラマンオーブですら、グランスフィアと比べれば微生物レベルなのだ。

 

『「だけど、ここから先には絶対に通さないよ!」』

 

 それでも春香たちの戦意はくじけない。少しも速度を緩めることなく、グランスフィアへと立ち向かっていく。

 しかしグランスフィアもオーブを障害と見なしたのか、雷撃を飛ばして攻撃してくる!

 

「ウワアァァッ!」

『「わああぁぁぁぁぁっ!」』

 

 惑星クラスの生物の攻撃ともなると威力と規模も尋常ではなく、オーブは雷撃の連発によって嵐の中の小舟のように押し流される。

 

『「うあうあー! これじゃ近づくことも出来ないよー!」』

 

 宇宙の暴風によって散々に振り回されるオーブの中で、真美が悲鳴を発する。やはりウルトラマンオーブといえども、惑星を相手取ることは無謀なのか?

 しかしオーブにも手がない訳ではなかった!

 

『こうなったらとっておきの切り札だッ!』

 

 オーブがそう言って春香と真美に渡したのは、ベリアルとダイナのカード。

 

『「兄ちゃん、これは……!」』

『パワーがあり過ぎて、とても地上じゃ使えない組み合わせだ! こいつで目に物見せてやろうぜ!』

 

 春香と真美はうなずき合って、オーブリングを握り締めた。

 

『「ダイナ兄ちゃん!」』

[ウルトラマンダイナ!]『デヤッ!』

 

 真美がカードをリングに通すと、ウルトラマンダイナ・ミラクルタイプのビジョンが真美の隣に現れる。

 

『「ベリアルさん!」』

[ウルトラマンベリアル!]『ヘェアッ!』

 

 春香が呼び出したのはベリアルのビジョン。そしてリングのトリガーが引かれる。

 

『凄まじい奴、頼みますッ!』

[フュージョンアップ!]

 

 真美と春香、ダイナとベリアルのビジョンがオーブと融合し、オーブは新たな姿にフュージョンアップ!

 

『ジュワッ!』『ヘェア……!』

[ウルトラマンオーブ! サンダーミラクル!!]

 

 宇宙牢獄を突き破り、淡い緑色の光と闇の渦巻きから、青くマッシブな姿となったオーブが飛び出していく!

 

(♪Fighting Theme-miracle-)

 

『俺たちはオーブ! 闇の力を、奇跡の光に!!』

 

 オーブ・サンダーミラクルはグランスフィア目掛けての突撃を再開。全身から溢れ出る莫大なパワーによる進撃は、最早止まることを知らない。繰り出される雷撃もその身一つで弾き返す。

 揺るぎない肉体強度と超能力を両立したサンダーミラクルは、破壊力に関してはオーブの全形態でも頭一つ二つは飛び抜けているのだ!

 

『「すっごーい! 全然痛くないよー!」』

 

 思わず歓声を上げる真美。黒春香はぐんぐんと視界に大きくなっていくグランスフィアに向かって言い放った。

 

『「あんたは重量オーバーよ! お引き取り願うわよっ!」』

『このまま突撃だッ!』

 

 オーブは全身をエネルギーのバリアで包み、光の速度でグランスフィアに突進!

 

「「『サンダーミラクルアタック!!!」」』

 

 オーブの全身全霊の突撃が恐るべきレベルの衝撃を生み出し、惑星サイズのグランスフィアをも震わせた!

 そしてグランスフィアの纏う重力場が揺らぎ、バランスが崩れて大きく乱れていく。

 

『離脱だッ!』

『「ええ!」「うんっ!」』

 

 攻撃に成功したオーブは180度転身し、全速力でグランスフィアから離れていった。直後に、グランスフィアは自身の重力によって押し潰されていき、黒い煙となってバラバラになっていった。

 

『「やったぁぁーっ! 大・成・こーうっ!」』

『「ダイエットしてから地球に来るべきだったわね!」』

 

 真美が大いに喜び、黒春香は皮肉を飛ばした。三人はグランスフィアの崩壊を見届けていたが……。

 積乱雲のような黒い煙の中から、闇の塊が飛び出して地球へと飛んでいく!

 

『何ッ!?』

 

 予想外の事態に、オーブは対応することが出来なかった。闇の塊を目で追うのが精一杯だった。

 

『な、何だあれは? スフィアじゃなかったぞ?』

『「プロデューサーさん、ともかく追いかけましょう! 何だか嫌な予感がするわ!」』

『ああ!』

 

 唖然としていたオーブだったが、春香の呼びかけで我に返る。

 

『「ウルトラマンさん!」』『ヘアッ!』

『「ティガ兄ちゃん!」』『ヂャッ!』

[光の力、お借りしますッ!]『ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!!』

 

 オーブはスペシウムゼペリオンに変身して、謎の闇の塊が向かって言った地球へと最高速度で引き返していった。

 


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