THE ULTRAM@STER ORB   作:焼き鮭

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地図にないカフェのイマージュ(A)

 

『地球へ攻撃を開始しましょう! ド派手に行きやしょうぜ!』

『ぐああぁぁ――――ッ!』

『俺たちが人間に侵略されるとは、どういう訳だ!』

『ぐわぁぁぁぁッ!!』

『地球人は本当に愚かだなぁ!』

『ぎゃあああああああああッ!!』

『これで引き下がる惑星侵略連合ではないぞ!』

『ぐわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

『やっぱ、本物すげぇや……』

 

 

 

『地図にないカフェのイマージュ』

 

 

 

「ちょっとすいません! ちょっと開けて下さい!」

 

 ビートル隊が封鎖しているとある現場に、渋川が野次馬の人垣をかき分けて立ち入った。それを一人の隊員が迎える。

 

「ご苦労様です」

「おい、例のアレか」

 

 渋川の目の前、封鎖区域の真ん中には、何か大きなものが地上に墜落して出来た地面のえぐれた跡がまざまざと残っていた。隊員が調査結果を報告する。

 

「放置された人工衛星に何かが衝突して、その破片が落下したんでしょうね」

「また宇宙ゴミかぁ。今月入って何件目だよ?」

 

 疲れたように息を吐く渋川に、隊員は推測を述べた。

 

「最近レーダーに急増している、謎の飛行物体と衝突したのではないかと」

「UFOが、次々と地球から飛び去ってるみたいだな。だが来るのならまだしも、去っていくってのは解せない話だぜ……」

 

 訝しむ渋川の元に、隊員の一人がトレーを持ってきた。

 

「実は、落下物の中に少し、気になるものがありまして」

「何?」

 

 トレーには黒い豆が乗っかっていた。隊員はそれを渋川の手の平の上に乗せ、渋川が匂いを嗅ぐ。

 

「……コーヒー豆?」

「それが、地球には存在しない植物なんです」

 

 そんなものが何故現場に落ちていたのか。ますます怪しむ渋川に、隊員は続けてトレーの上のものを見せる。

 

「それと、これなんですが……」

 

 隊員が手に持ったものは、黒い五芒星の模様が描かれた布の切れ端であった……。

 

 

 

「えっ……カフェ★ブラックスター……?」

「はい、そうなんです!!」

 

 765プロ事務所を訪問した愛、絵理、涼の876プロアイドル三人組の言葉を、真がオウム返しに唱えた。

 

「病みつきになるコーヒーで巷で有名なんですが、それ以上に不思議なお店なんです」

「これが、実際に行ったって人のブログです……」

 

 絵理が見せたタブレットに表示されたブログには、『カフェ★ブラックスター』なる店の情報と、コースターの写真が載せられていた。

 コースターの裏面には『大田区黒星町一丁目零番地』という住所が記載されているが……。

 

「でも、この住所は実在しません。地図にないカフェ……」

「一度行ったという報告はいくつもあるんですが、みんなもう一度行きたくても、二度とたどり着けないと言うんです。何故か場所を忘れてしまうそうで……」

 

 絵理、涼が順々に説明する。それに真や居合わせている響、亜美真美が耳を傾けている。

 

「でもコーヒーの味は抜群で、そのまま帰ってこなかった人がいるなんて噂まであるくらいです」

「時空を超えたカフェなんて話も……?」

「それであたしたち、今度の番組の企画でこのカフェを取り上げることになったんですが、何か知らないでしょうか!? いくつもの不思議を追ってる765プロの皆さんなら、きっと何か掴んでるんじゃないかと思って来たんですが!!」

 

 と問いかける愛だが……真たちは変に目を泳がせるばかりだった。

 

「さ、さぁ~……知らないなぁ~……」

「う、うん。自分たち、そんな話初耳だぞ」

「どーせそんなのガセネタに決まってるっしょー……ねぇ真美?」

「う、うんうん! 探したってがっかりするオチが待ってるだけだよー」

 

 愛たちは、そんな彼女たちの様子に首をひねった。

 

「む~? 何だか反応おかしくないですか?」

「口調がたどたどしい……?」

「如何にもなネタなのに、頭から否定するなんてらしくないですよ」

「そ、そそ、そんなことないよ? ボクたち大体こんな感じさ!」

 

 乾いた笑いを上げる真。愛たちはますます訝しがったが、あまり深くは考えなかった。

 

「まぁ知らないならそれでいいです。自分たちで調べますから!! それじゃ、お邪魔しましたー!!」

 

 愛たち三人はペコリと会釈して、765プロ事務所を後にする。……それから、真たちはひそひそと言葉を交わした。

 

「どうする……?」

「どうするったって……」

「まぁ見つけられないとは思うけどさー……」

「もしものこともあるし、一応兄ちゃんに連絡しといた方がいいんじゃない?」

 

 真美の発案により、四人はガイへと電話を掛けたのだった。

 

 

 

 765プロ事務所を発った愛たち三人は、ブラックスターなるカフェを求めて街の中をうろうろと探し回っていた。タブレットを操作している絵理が言う。

 

「ネット情報をつなぎ合わせたら、この辺りなのは間違いない……?」

「でも絵理さん、ここさっきも通りましたよ?」

 

 三人は先ほどから、同じ場所をうろうろ行ったり来たりしているだけであった。

 

「やっぱり黒星町なんて住所、どこにもありません。大体、地図にない場所をどうやって見つけたらいいんでしょうか?」

 

 と愛が疑問を口にすると、涼がやおら背負っていたリュックを下ろした。

 

「こうなったら、秘密兵器を使うか……」

「秘密兵器!? 涼さんそんなの持ってきてたんですか!?」

 

 愛がたちまち興奮した。

 そして涼が取り出したのは、バイザーゴーグル型の機械だった。それを自分の顔に掛ける。

 

「これは律子姉ちゃんが昔作ったスペクトルバイザーだよ。これを掛ければ、人間の目には見えない光線を視覚で捉えることが出来るんだ」

「わっ!? よく分からないですけど、涼さんの従姉妹のお姉さんすごいです!!」

「用意がいい?」

「こういうのが必要になるんじゃないかと思って、借りてきたんだ。……ホントはこっそり持ち出してきたんだけど」

 

 何はともあれ、三人は捜索を再開。スペクトルバイザーを掛けている涼が左右に立ち並ぶ家屋を一軒ずつ確かめていく。

 

「絵面だけ見ると、如何にもな不審人物……」

「この際気にしないことにしましょう!! それで涼さん、何か見つかりましたか?」

 

 愛が聞いたまさにその時、涼は一軒の建物の前で立ち止まった。

 

「あった……! ここだッ!」

「えッ!? でもここ、空き家ですよ?」

「間違いないよ! ほら見て」

 

 涼が愛にバイザーを掛けさせて、その目で確かめさせた。

 肉眼だと何もない軒先が、バイザー越しだと洒脱なカフェの入り口になっていた。

 

「ほんとだ!! 黒星町一丁目零番地、カフェブラックスター、オープン……開いてます!! 入ってみましょう!!」

 

 愛の興奮は最高潮となって促したが、絵理が二の足を踏んだ。

 

「ここまで来て何だけど……迂闊に入って、大丈夫……?」

「えっ? 何でですか?」

「だって……普通じゃ見えないカフェなんて、どう考えてもおかしいし……」

 

 危険を警戒する絵理だったが、愛が説得する。

 

「だいじょぶですよ!! 何事もなく帰ってきたっていう人はたくさんいるんですし、危ないことが起きることはないはずです」

「そうかなぁ……」

「何にせよ、この目で見ないことには何も分かりません!! お邪魔しまーす!!」

 

 痺れを切らした愛がカフェの扉を開いて中に入っていき、絵理たちもやむなくその後に続いた。

 カフェのカウンターは地下にあり、愛たち三人は階段を下りてその場所を発見した。レンガ造りの壁に囲まれたカウンター内では禿頭の中年男性がグラスを磨いていて、テーブル席には若い女性とスーツ姿の老紳士が別々に座っている。女性は愛たちに奇異の目を向けてきた。客はその二人だけのようだ。

 

「随分お客さん少ないね……」

「見えないお店なんですし、限られた人しか来られないんですよ、きっと」

「あのぉ……ここ、カフェ・ブラックスターですよね?」

 

 涼が店長と思しき中年男性に尋ねかけると、中年男性はグラスを棚に並べながら答えた。

 

「店の名前を気にするなんて、珍しい客だねぇ。子供ばかりでこんな場末のカフェに来るなんて」

 

 愛たちは先客の二人に恐る恐る会釈しながらカウンター席に座った。店長はそんな三人に問いかける。

 

「君たちも最後の船に乗るのかい?」

「え? 最後の船……?」

 

 何のことかさっぱり分からず、ぽかんとする愛たち。すると店長の方が疑問の目を彼女たちに向けた。

 

「君たち……」

「はい?」

「……いや、人違いだ。気にしないで下さい」

 

 いささか奇妙に思いながらも、愛たちはメニューを開く。……が、書いてあるのは「ブラック珈琲」の一つだけだった。

 

「一種類だけ……!」

「しかも1230円も! お小遣い足りるかなぁ……」

「でも注文しなかったら冷やかしになっちゃいますよ。ブラックコーヒー三つで!! あたしはミルク多めでお願いします!!」

「かしこまりました」

 

 店長がコーヒーを淹れる間に、涼が質問を投げかけた。

 

「あの……黒星町って地図にありませんよね?」

 

 しかし店長からは質問を返される。

 

「それは妙な話ですね。ここは黒星町じゃないんですか?」

「いえ、表はそうなってましたけど……」

 

 言葉に詰まる涼に代わって愛が尋ねる。

 

「ここに来た人は二度とたどり着けないそうなんですけど、どうしてそうなるのか店長さんは分かりますか?」

 

 だがこれも要領の得ない回答しか返ってこなかった。

 

「さぁ……リピーターの客を捕まえるのは苦労すると言いますからねぇ。それより、コーヒー冷めますよ」

「は、はい。いただきます」

 

 そろって出されたコーヒーを啜った三人は――一様に驚愕した。

 

「美味しい!! これすっごく美味しいですよ!!」

「うん……! 口当たりも良くて、すごく飲みやすい……!」

「こんなに美味しいコーヒーは初めてだよ! 店長、一体どこの豆を使ってるんですか!?」

 

 涼が思わず問いかけたが、店長は口ごもった。

 

「悪いけれど、それは企業秘密でしてね」

「あッ、そ、そうでしたか……」

 

 若干気まずくなる涼。一方で、ふと横の壁に目をやった絵理は、この店に来た客の写真と感想が貼られたメッセージボードを見つけた。

 

「あの写真は、ここの常連さんですか?」

「ええ、まぁ……」

「あれ!?」

 

 すると愛が、ボードの中の一枚の写真に目を留めた。

 

「馬場さんだ!! ここに来てたんですか!?」

「ああ、彼は戦友です。昔は相当なワルだったが、今はすっかり人が変わりました」

 

 久しぶりに馬場の姿を確認できて、愛は少し嬉しそうであった。

 

「もしかして、店長もやんちゃしてたり?」

 

 絵理がからかい半分に尋ねたのだが、店長は肯定する。

 

「ええ。昔は大きな夢を思い描いていて、何度も何度も挑戦したもんです。でも今じゃ、美味しいコーヒーを一生懸命煎るだけの、カフェの親父です」

 

 その言葉に、愛が悲しげに目尻を下げた。

 

「夢を叶えられなかったんですか……?」

「恥ずかしながら……。私の夢には立ちはだかるライバルがいたんですが、それがまた獅子のように強い人でしてねぇ……。挑んでは負け、挑んでは負けで、すっかり打ちのめされてしまったんですよ」

「大変だったんですね……」

 

 競争の激しいアイドル業界に身を置く者としては、他人事ではない。店長に同情する愛たちだったが、ふと涼が聞いた。

 

「ちなみに、店長の夢って何だったんですか?」

 

 店長はしばし間を置いてから――絞り出すように答えた。

 

「地球侵略……!」

 

 ――愛たちは、コーヒーカップ片手に固まった。

 

「……ブラックジョークですよ」

「な、何だそっかぁ」

「あはははは……」

 

 乾いた笑いを上げる三人だが、愛がぼそりとつぶやく。

 

「でも、あたしだったら夢はあきらめられないです」

 

 そんな愛に、店長は諭すように言った。

 

「あきらめられない夢なんてありませんよ。お若い身では、実感が湧かないかもしれませんがね」

「……そうでしょうか……」

 

 眉間に皺を刻む愛だったが、そこに涼が呼びかけた。

 

「愛ちゃん、絵理ちゃん、あれ……」

 

 涼が指差した先には、赤いテルテル坊主のような人形がひっそりとたたずんでいた。

 

「……? あんなのあった……?」

「何かかわいいです!!」

 

 近寄って人形を観察する絵理と愛。絵理は店長へ振り返る。

 

「店長、これは……?」

「ああ、お守りみたいなものですよ。昔は大勢仲間がいたんですが、今じゃそいつだけになってしまって」

 

 答えた店長は、涼がリュックの中をまさぐっているのに気がついた。

 

「何やってるんです?」

「今動いた気がしたんです。確か生体分析機もこの中に……!」

「お客さんッ!」

 

 急に店長が怒鳴ったので、涼たちは思わずビクリと手を止めた。

 

「閉店のお時間です」

「え? でもこんな半端な時間……」

「すいませんね! 店の決まりでして!」

「でもまだ聞きたいことが……取材の許可も……!」

「ありがとうございました!」

 

 食い下がろうとした涼たちだったが、店長から半ば強制的に追い出されてしまった。

 ――それと入れ替わるように店の奥からやって来てカウンター席に座ったのは……。

 

「まさかとは思ったが、ホントにたどり着くとはな」

「様子見に来といて良かったね」

「おっちゃーん、亜美たちにもコーヒー!」

 

 真、響、亜美真美を連れたガイであった。店長はコーヒーを淹れ始めながらガイたちに聞き返す。

 

「あなたたちのお知り合いでしたか」

「アイドルの後輩なんだ」

 

 響が答えると、真が店長に頼み込んだ。

 

「店長、あの子たちを許してあげて。悪気があってここの秘密を暴こうとしてたんじゃないんだよ」

「そうですか。じゃああなたたちに免じましょう」

 

 店長がガイたちにコーヒーを差し出しながら、常連客の写真のボードを見やった。

 

「地球人でも、あなたたち765プロは特別だ。あなたたちが度々ここに来てくれたお陰で、この小さなカフェも一時は賑わったもんです。お客さんの中にも、最初はひどく敵視してたのに、すっかりと魅了された人がチラホラ」

 

 ボードに写っている写真の人たちは――皆宇宙人の姿に変わっていた。

 そしてその中の隠されていた写真には、春香や貴音らと一緒に写っているファイヤー星人やグロテス星人というものもあった。

 

「宇宙デビューの話も何度も持ちかけられてたでしょう。受けなくて、本当によかったんですか? 地球人の誰も到達したことのない広大な世界に羽ばたけるチャンスだったんですよ」

 

 店長に聞かれた真たちは苦笑を浮かべた。

 

「気持ちは嬉しかったけど……ボクたちにはこの地球のファンがいるから」

「うん。ファンのみんなに勝手に、どっかへ行っちゃうなんて出来ないぞ」

 

 響の後ろでは、ハム蔵が赤いテルテル坊主と戯れていた。――テルテル坊主は明らかに自力で動いていた。

 

「そうですか……。まぁ人の道はそれぞれですが、順調なのは羨ましくもありますな」

 

 苦笑いした店長に、ガイが真剣みを帯びながら問いかけた。

 

「ところで店長……最近あいつを見かけなかったか?」

 

 そのひと言に、真たちの表情が強張った。

 

「あいつ? ……ジャグラーなら来てませんよ。まだ戦り合ってるんですか?」

「噂を聞いてるんだ」

「あんたらは、光と闇。永遠に分かり合うことなんて、ありませんよ」

 

 と言われたガイは、何も言わずにコーヒーを飲み干し、席を立った。

 

「待ちな!」

 

 その瞬間、それまでずっと我関せずという態度を取っていた女性がガイの前に立ちはだかり、掲げた人差し指に電撃を溜めた。

 

「お前は……」

 

 女性の顔に目を細めるガイ。真たちも立ち上がってガイの傍らに張りつき、今にも攻撃してきそうな女性をにらんだが――。

 

「喧嘩なら外でお願いしますよ。店の中で、正義だの悪だのとやらないのがルールです」

 

 店長が一触即発のこの場を制した。

 

「……!」

 

 女性は電撃を消すものの、ガイへの憎々しげな視線は途絶えない。――すると、老紳士が席に腰掛けたまま女性を諭した。

 

「およしなさい、お嬢さん」

「エドガーさん……」

「私たちの世界にも道理はあります。相手の健闘を称えこそすれ、恨むのはお門違いですよ」

 

 老紳士の言葉で、女性はしぶしぶとガイに道を譲った。一方で老紳士は、今度はガイの方へこう告げた。

 

「先日はウチの若いのがご迷惑をお掛けしました。代わりにお詫び申し上げます」

「いや、それには及ばねぇさ」

 

 老紳士に断ったガイは、五人分の勘定をテーブルに置いて階段に向かっていく。

 

「ごちそうさん」

「ごちそーさまー!」

「帰るぞハム蔵ー」

「ぢゅいッ!」

 

 響がハム蔵を回収し、亜美真美がテルテル坊主をポンポンと軽く叩いて、一行は店を後にしていった。

 ――地球人が一人もいなくなってから、女性は宇宙人の顔を晒した。

 

『ようやくうるさい奴らが全員帰ったわね』

 

 ピット星人ミュー。ウルトラマンオーブ抹殺を狙ってEXエレキングをけしかけたことがあった。

 

「時々、人間が紛れ込むんで困ったもんですよ」

『ですが、郷に入ったのなら郷に従うべきです。ある程度は受け入れないと、地球でお店を開くなんて出来ませんよ』

 

 エドガーと呼ばれた老紳士は、ゼットン星人の顔になっていた。

 今更ながら、『カフェ★ブラックスター』はただのカフェなどではない。宇宙人が切り盛りする、地球に潜む宇宙人たちの憩いの場なのだ。

 しかしそれも――今日限りのことであった。

 


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