街が夕焼けに染まる中、変身を遂げたオーブはひねりをつけた大ジャンプからの高速の飛び蹴りによって、タルデに先制攻撃を仕掛けた。
『ぐわぁッ!』
オーブの鋭いキックをまともに食らったタルデが張り倒される。着地したオーブは振り返ってタルデへ見得を切った。
『光と共に、闇を切り裂く!!』
避難しているあずさと小鳥、そしてジャグラーがオーブの姿を見上げる。
「プロデューサーさんっ!」
「千早ちゃん、貴音ちゃん、お願いね……!」
一方でタルデは起き上がると、オーブを忌々しくにらみつけた。
『えぇい……おのれ、ウルトラマンオーブ……! 許さんッ!!』
両腕のラウンドランチャーを回転させて、弾丸を乱射! 対するオーブはトサカに手をやり、剣を召喚する。
「「『バーチカルスラッガー!!!」」』
同時に剣を高速回転させることで飛んでくる弾丸を弾き、そのまま前進。タルデとの距離を詰める。
「デュアァッ!」
間合いに踏み込んだところで盾にしていたバーチカルスラッガーを攻撃に転じた。オーブの斬撃をタルデはランチャーで防御。
「ゼェェイッ!」
斬撃と回し蹴りを組み合わせた連撃を仕掛けるオーブだが、タルデも防御と回避を使い分けてオーブの攻撃を防ぐ。そして隙を見てランチャーを発射。
「セェイッ!」
迫り来る弾丸をオーブは横に飛び込むことでかわした。それを追って撃ち続けるタルデだが、オーブはタルデの周囲を水平に飛びながら額のランプよりレーザーを放射する。
「「『パンチレーザーショット!!!」」』
オーブに銃撃を仕掛けていて反応が遅れたタルデは直撃をもらった。
『おわぁッ!』
吹っ飛ばされて倒れるタルデだが、ダウンはしない。すぐに立ち上がってオーブの振るうバーチカルスラッガーにランチャーで張り合う。
オーブと互角に戦うタルデに、千早と貴音が歯を食いしばる。
『「なかなかやるわね……!」』
『「しかし、勝負はまだこれからです!」』
オーブの奮闘の様子を小鳥たちは固唾を呑んで見守っている。
「頑張って、みんな……!」
しかしその時、あずさがふと空の一角に目を移して気がついた。
「小鳥さん、あれ!」
「どうしたんですか、あずささん?」
小鳥があずさの見ている先に目をやると――赤い円盤が密かにオーブの背後に回り込んでいるのが見えた。メトロン星人の円盤だ!
「あっ! 危ない、オーブ!!」
タルデの弾丸の雨を弾き返していたオーブは小鳥の警告に気づいたがもう遅く、円盤は高速軌道でオーブの背後を取った。
そしてがら空きのオーブの背面に怪光線を浴びせる!
『「きゃあああああっ!」』
『「くぅぅぅっ! 背後からとは卑怯な……!」』
攻撃を食らったことでスラッガーを回す手も止まり、タルデの弾丸がオーブに襲い掛かる!
「グワアアアァァァァァァッ!!」
前後からの挟み撃ちに、流石のオーブも絶叫を発した!
「プロデューサーさぁんっ!!」
爆発の中に呑まれていくオーブに思わず叫ぶ小鳥とあずさ。
だがオーブはまだ負けてはいなかった!
『「プロデューサー、真の姿にっ!」』
千早が貴音の持つオーブリングに、オーブオリジンのカードを通したのだ!
[覚醒せよ! オーブオリジン!!]
カードをオーブカリバーに変え、柄のリングを回してトリガーを引くことでオーブはオリジンへと再変身する!
その際に発せられた閃光のエネルギーによって攻撃を吹き飛ばし、タルデの目をくらませた。
『うわぁッ!』
体勢を立て直したオーブがオーブカリバーを掲げて、堂々と決め台詞を発した。
『銀河の光が、我らを呼ぶ!!』
タルデは顔を上げて、改めてオーブを憎々しげにねめつけた。
『姿を変えても無駄だぁッ!』
攻撃を再開するタルデと円盤。しかしオーブはバリアとカリバーを盾にして、両方の攻撃を防いだ。
「セアッ!」
そしてバリアを飛ばしてタルデにぶつけることでひるませ、その隙に円盤に斬撃を飛ばした。背後からタルデが飛びかかってくるが、そちらにも振り向きざまに斬撃を飛ばすことで返り討ちにする。
『うおぉッ!』
相手方の行動を封じ込んだところで、千早たちはカリバーのリングを回して風の象形文字を点灯させた。
「「『オーブウィンドカリバー!!!」」』
オーブカリバーで大きく円を描くと、オーブを中心に凄まじい暴風が巻き起こる!
『何ッ!?』
オーブの起こす竜巻がタルデの身体を持ち上げ、はるか高空に投げ飛ばしていく。更に円盤も巻き上げられ、竜巻の中でタルデと激突!
『おわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
円盤の破砕による大爆発の中にタルデの姿が消えた。
「やったわっ!」
小鳥たちはぐっとガッツポーズを取ったが、貴音は爆発を見上げてハッと顔を強張らせた。
『「まだですっ!」』
『ぬおおおおおおおおおおおッ!』
次の瞬間に爆発の業火からタルデが飛び出して、オーブにバンバンバンバンッ! と弾丸の嵐を降り注がせた! 復讐に燃える男の、灼熱の責め苦を物ともしない恐るべき執念だ!
だがオーブも動じてはいなかった。千早と貴音がカリバーをオーブリングに差し込んでエネルギーをチャージさせる。
[解き放て! オーブの力!!]
カリバーで大きく円を描くと、フルチャージしたエネルギーを光線にしてタルデへと繰り出した!
「「『オーブスプリームカリバー!!!」」』
刀身より発せられた必殺の光線が、空中のタルデに突き刺さった!
『ぐわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
撃ち落とされ、地面に叩きつけられるタルデ。今度こそ致命傷を負っていた。
それでも最後の力を振り絞って立ち上がると、背後の今まさに山の向こうに沈もうとしている夕陽を見やり、声を絞り出す。
『何と美しい……。この夕焼けが、闇に呑まれてしまうのか……』
辞世の句を残して、背後に倒れ込んだタルデが、爆散。生き残りがここに倒れ、惑星侵略連合は真に壊滅の最後を迎えたのであった。
「シュワッチ!」
オーブは空に飛び上がって去っていく。それを見送った小鳥がつぶやく。
「ありがとう、プロデューサーさん……」
「――俺からも礼を言うぜ、ガイ」
小鳥の後方で、にやりとほくそ笑んでいるジャグラーが頭上に手を掲げる。
その手の中に蛇心剣が降ってきて、ジャグラーがその柄を握り締めた。
「!?」
振り向いてそれを目の当たりにした小鳥とあずさが驚愕した。ジャグラーは小鳥の顔を見返して告げる。
「そうだ、お前にも感謝しないとな」
「どういうこと……?」
「俺をかばえば当然、復讐に燃えるメトロンはお前にも銃を向ける。そうすれば、ガイは必ず助けに来る。そして、俺の想定した通りに戦ってくれた訳だ」
嗤いながら蛇心剣の切っ先を小鳥に向けるジャグラー。その言動にあずさが目を見開いた。
「小鳥さんを利用してたんですか……!?」
「ハァーハッハッ! 名演技だったろ?」
膝を叩いて爆笑するジャグラー。
「光に見放された男の身の上話を聞かせれば、お前みたいな女はイチコロさ。俺を必死でかばう姿は傑作だったぜ……!」
「あなた……っ!」
小鳥を嘲笑うジャグラーに、流石のあずさも怒り心頭する。
――しかし、小鳥自身があずさを制して、ジャグラーに向かって言った。
「本当に、全部が嘘だったの……?」
「……何?」
いぶかしげに振り向いたジャグラーに、小鳥は真剣に呼びかける。
「あたしは子供の頃に成りたかったものに成れなかった……。だけど、今も夢を追い求める気持ちがある。……あなたにも同じように、手にしたかったものをあきらめ切れない気持ちがあるんじゃないの……?」
語る小鳥を見つめるジャグラーの目が細められる。
「だって、あの時のあなたの顔は……!」
言いかけた小鳥の喉元へと、刃の切っ先が向けられた。あずさは反射的に小鳥を引き寄せる。
「いい気になって知った風な口を聞くな。……まぁいい。お陰でこの剣も取り返すことが出来た。言うことなしだ」
ジャグラーは小鳥のハンカチを取り出すと、それを彼女の足元に落とす。
「せめてもの礼だ。これは返しておくぜ。じゃあな」
それを最後に、ジャグラーは踵を返してあっという間にこの場から消えていった。
その後に小鳥が、寂しげな顔でハンカチを拾うと、ガイたちが駆けつけてくる。
「小鳥嬢、あずさ、ご無事でしたか!?」
「……あの男はどこへ行ったんですか!?」
「また逃げられちまったみたいだな……」
ガイのひと言に、千早がギリッと歯ぎしりした。
「今度こそビートル隊に突き出してやろうと思ってたのに……」
「……小鳥嬢、あずさ、何かあったのですか?」
貴音が、小鳥たちの様子がおかしいことに気がついて尋ねかけたが、小鳥がやや動揺しながらも首を振った。
「な、何でもないわ。気にしないで。ね?」
「はぁ……。何事もないのでしたら、それで構いませんが」
小鳥の反応に不思議がりながらも追及をやめる貴音。そこに場を仕切るようにガイが口を開いた。
「とにかく事務所に帰りましょう。律子が待ってるはずです」すっかり遅くなってしまった」
このひと言に小鳥が慌てる。
「そ、そうだった! 早くやらなくちゃいけない仕事があったんだった! みんな、急いで戻るわよぉ!」
「あっ、待って下さい音無さん!」
大急ぎで駆け出す小鳥を慌てて追いかけていく千早たち。最後尾を行くガイは、ふと夕焼け空を見上げて、タルデの最期の言葉を思い出した。
『この夕焼けが、闇に呑まれてしまうのか……』
ガイは口を閉ざし、しばしその意味を思案していた。
「……」
――夕陽が完全に沈み、夜の帳が下りた街の中で、ジャグラーが蛇心剣を鞘から抜いて手にしていた。
その刀身が、何かに呼応するように怪しい闇の輝きを明滅させる。
「……」
それを確かめたジャグラーは、ニヤァと口の端を不気味に吊り上げる。
「この星の奥底に……まだ闇の力が眠っていたとは……」
愉悦を帯びながら蛇心剣の刃を指でなぞり、次いで肩を揺らしながら笑い出す。
「うふッ……はははは……ア――――――ハハハハッハッハッハッハハハハッ!! アハハハハハハハハハッ!! ア――――――ッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
ジャグラーの高笑いは、いつまでもいつまでも、夜の闇に響き続けていた……。
『765プロのウルトラヒーロー大研究!』
美希「ミキだよ。今回紹介するのは、本場ハリウッドで制作されたウルトラマン、ウルトラマンパワードなの!」
美希「パワードはシリーズで唯一アメリカで制作された実写ドラマの『ウルトラマンパワード』の主人公なの。オーストラリアで制作の『グレート』が好評だったから企画されたんだって。撮影はハリウッドだけどキャラクターデザインや脚本は日本で作られたものを、ハリウッド側が改訂して使用されたんだって」
美希「登場する怪獣は全部『ウルトラマン』に登場したののリデザインなんだけど、リメイクという訳じゃなくてシナリオはオリジナルだよ。流石ハリウッドだけあって着ぐるみのレベルは日本より高くて、内部に冷却水を循環させるパイプを入れてアクターさんの負担を減らす技術も使用されてたみたいなの」
美希「でもアメリカは日本より表現規制が厳しいから、肝心のアクションはちょっと迫力不足なの。視聴率もあんまり高くなくて、結局海外でのシリーズ化は実現しなかったんだけど、パワードも立派なウルトラ戦士の一人! 『ウルトラ銀河伝説』で版権上難しかった再登場も果たしたんだよ」
ガイ「そして今回のアイマス曲は『BANG×BANG』だ!」
ガイ「シリーズ初の男性キャラの楽曲のみになるCD『Jupiter』収録の天ヶ瀬冬馬のソロ曲だ。彼のキャラクター性がそのまま歌詞になったかのような歌詞が特徴的だぞ」
美希「この作品には登場してないけどね、天ヶ崎竜馬たちは」
ガイ「名前間違ってるぜ。公式ネタだけど」
美希「それじゃ次回もよろしくなの♪」
菊地真です! 恐ろしい宇宙怪獣ベムスター出現! 引き分けに持ち込みますが、プロデューサーは次も律子と美希のタッグで行くと主張! ある意味一番性格が反対の二人だけど、大丈夫なのかな……?
次回『勇者のSTAR』。真のブレスターナイトの降臨だ!