『光の者よ……』
「玉響姫!?」
『大きな災いが、起きようとしています』
『よみがえれ! 魔王獣の頂点に立つ大魔王獣ッ!!』
『星の命を食い尽くす大魔王獣、マガオロチだぁッ!!』
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「な、何なのあいつ!? 魔王獣とは比べものになんない強さじゃんっ!!」
「オーブが、敗れた……」
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
――オーブを下して周囲一面を破壊し尽くしたマガオロチは、不意にその場にうずくまり、足元の神木をへし折って地に伏せた。
マガオロチが動きを止めてからビートル隊が現場に到着し、マガオロチ周囲を完全に封鎖して徹底した監視を始めた。
――その包囲網の外から、律子と亜美真美が物陰に身を潜めながらカメラを回す。
「……うずくまってる怪獣は、いずれ動きます。またいつ暴れ出すか分からない怪獣に怯え、東京から逃げ出す人が続出してます! これ見てる兄ちゃん姉ちゃんたちは大丈夫!?」
現在の状況をリポートする真美の一方で、亜美は律子に首を向けて尋ねる。
「律っちゃん、どうしてマガオロチは動かなくなったの? やっぱ、オーブの攻撃がちょっとは効いてたのかな?」
「いいえ……恐らくさっきの戦いでエネルギーを消費したから、一時的に休息を取ってるだけよ。またいつ活動を再開するものか……」
答えながら、律子はアンテナと銃とモニターを掛け合わせたような装置をマガオロチに向けていた。
「律っちゃん、それは?」
「怪獣の能力研究のために新しく作った生体反応分析機よ。相手に直接触れなくてもバイタルや脳波の状態が分かる優れものよ」
亜美と真美が見ている中、律子はモニターに表示された情報をひと目見てつぶやいた。
「……やばいわね」
「使う前から壊れたの?」
「これだったら壊れてる方がまだマシだわ……」
モニター内のマガオロチの生体情報を示すレーダーは大きく波打っている。
「バイタルも脳波も活性化してるのよ!」
「って言うと?」
「もう今すぐにでも動き出してもおかしくないってことよ!」
「えぇーっ!?」
亜美と真美の絶叫がハモった。
その頃、他のアイドルたちは現場で倒れ伏していたガイ、やよい、真の三人を救助して、事務所に連れ帰っていた。伊織が受話器を耳に当てていた小鳥に尋ねる。
「……どうだった? 小鳥」
小鳥は残念そうに振り返った。
「駄目だわ……。どこの病院も負傷者で溢れ返ってて、これ以上の受け入れは無理だって……」
「そう……。せめて、やよいと真だけでも病院で診てもらいたかったんだけど……」
痛ましい表情でうつむく伊織。オーブが受けたダメージは深刻であり、やよいと真にもフィードバックされて意識不明の状態が続いているのだった。アイドルがこんなに重い被害を受けるのは初めてであり、皆の心に暗い影を差していた。
「真ちゃん……やよいちゃん……。うぅ、ひどい……ひどいよ、こんな……」
雪歩が目を覚まさない真とやよいの顔を見つめ、ポロポロと涙をこぼした。その傍らでは、春香がうつむきながら口を開く。
「うん……ひどいよ、こんなこと……。感謝際ライブももうすぐなのに、みんなにこんなことをして……」
そして絞り出すように、震える声でひと言言い放った。
「許せないっ……!」
「……春香ちゃん……?」
何だか様子が普段と異なる春香に、雪歩は思わず振り向いた。
「それで、社長は?」
「とても事務所に戻れないって……。怪獣の被害のせいで、交通網は完全に麻痺しちゃってるし……」
伊織と小鳥が話している中で、ガイのまぶたが痙攣して目がゆっくり開かれた。
「うッ……ここは……」
「プロデューサーが目を覚ましたわっ!」
看病していた千早の呼びかけで、アイドルたちは一斉にガイの周りに押し寄せた。
「俺は、どうなって……そうか……」
先ほどのことを思い返したガイは現状を呑み込み、春香たちに頭を下げた。
「みんな、ありがとう……」
「いえ、そんな……」
次いでガイの視線は、まだ横たわったままのやよいと真に向く。
「やよい! 真ッ! くそぉッ……!」
跳ね起きようとするガイをあずさと小鳥が慌てて押しとどめた。
「だ、駄目ですよプロデューサーさん! まだ安静にしてなくちゃ……!」
「今までで一番ひどい怪我だったんですよ!?」
「大丈夫です……! うッ……!」
それでも立ち上がろうとするガイだったが、全身に激痛が走って硬直した。
「だから言ったじゃないですか……! もう少し休んでないと……!」
「すいません……」
「私、何か消化にいいもの作りますね……!」
あずさたちがガイを寝かす中、給湯室へ行く春香だが、そこでは繪里子がお茶を啜っていた。
「せっかく春香に会いに来たのに、大変なことになっちゃったわ……」
「……ママ、早くどこか安全なところに避難して。ここにもいつ怪獣が来るか……」
「あなたは?」
「私はここに残るよ……」
と答えた春香に、繪里子は駄々をこねる。
「どうしてよぉ~!? こんな物騒なところにいないで、ママと一緒に帰りましょうよ。もう無理矢理結婚させようとしないからぁ」
それに春香は、次のように告げた。
「私には……まだやれることがあるから」
「やれること?」
「それに、この765プロは私の夢を叶えてくれる場所なの。私、こんなに夢中になれることなんて他にない……! どうしても、この場所を守りたいの……! だから、お願い……!」
春香の一生懸命な眼差しを、正面から受け止める繪里子。
――その時、事務所に律子と亜美真美の三人が駆け込んできて、律子が一番に呼びかけた。
「みんな、玉響姫を捜すわよっ!」
「えっ!?」
「ど、どういうこと?」
呆気にとられた伊織が聞き返すと、律子は早口で理由を説明する。
「マガオロチはもうすぐ目覚めるわ! 早くどうにかする方法を見つけないと! マガオロチを封印した玉響姫の古墳を調べれば、何か掴めるかもしれないわ! そういうことだから急いで!」
「もう車の準備は出来てるよー!」
「みんな、早く早くー!」
律子たちは伊織や雪歩、千早を引っ張って急かす。
「あずささんと小鳥さんはやよいたちを診ててあげて下さい」
「は、はい……!」
「よーしっ! それじゃあ行きましょうっ!」
そこに話を聞きつけた繪里子がノリノリで加わってきたので、律子たちは思わず唖然とした。春香は繪里子に飛びついて止めようとする。
「ママ、何言ってるの!? 危ないよ!」
「そっちこそ危ないことするんじゃないの。娘が危険なところに行くのに、お母さんが同伴しちゃいけないなんて馬鹿な話はないでしょう?」
繪里子は春香を言いくるめ、更に告げた。
「それにね、私も知りたくなったの。このプロダクションの何が、そんなにあなたを夢中にさせるのかって」
「ママ……」
「それじゃー出発よ! 急ぐんでしょ?」
「は、はい!」
どうしてか繪里子が先頭に立って皆を引っ張っていき、アイドルたち一行は階段を駆け下りていく。その最中に律子が千早に問いかけた。
「ところで美希と響と貴音はどうしちゃったの?」
「それがまだ戻ってなくて……」
「もうっ! こんな時にどこへ行っちゃったのかしら、あの三人!」
一行をハラハラとしながら見送ったあずさと小鳥だが、その時にガイが腰を浮かしたので慌てて振り返った。
「プロデューサーさん! だから寝てなくちゃ駄目ですよ!」
「そういう訳にはいかないんですッ!」
「今また怪獣に挑んでも、やられるだけです!」
「そうじゃありませんッ!」
説得する小鳥にガイは言い返した。
「先輩方の力が……ウルトラフュージョンカードを入れたホルダーがなくなってるんですッ!!」
「えぇぇっ!?」
流石にあずさと小鳥も驚愕した。カードがなければ……ガイはオーブになることが出来ない!
「どっかに落としたんですか!?」
「そんなはずないです! きっとあいつだ……!」
ガイはギリリ……と奥歯を軋ませた。
「ジャグラーの奴が盗っていきやがったんだッ!」
春香たちが再び入らずの森へと向かっている一方で、美希と響、貴音はすっかり廃墟と化した街の中、膝を突きながら辺りを探し回っていた。
「ねぇ美希、やっぱり一度事務所に戻った方がいいんじゃないか? きっとみんな心配してるぞ……」
「それに、本当に見たのですか? 一向に見つかりませんが……」
「いいから一緒に探して! 確かに、この辺りに落ちてったの……!」
戸惑う響と貴音をピシャリとはねのけて、美希は一心不乱に周囲に目を走らせる。
するとその末に、瓦礫の陰で一瞬ピカリと光るものを発見した。
「あった!」
美希はすぐにそこへ駆け寄り、手を伸ばして光を放つものを手に取った。彼女の側へ駆け寄る響と貴音。
「見つかったのか!?」
「間違いないのですか?」
「間違いないの! ほらっ!」
美希が二人に見せたのは――胸と肩に突起状の勲章が並ぶウルトラ戦士の絵柄のカードだった。
「マガオロチを封印してたカードに違いないの! これがあれば……!」
美希はカードを握り締めたまま、事務所の方向へ走り出す。その後を響と貴音が追いかけていった。
入らずの森に到着した春香たちは直ちに森に入り、玉響姫の姿を求めて森の中を捜索していた。
「玉響姫ー! どうか出てきて下さーい!」
「お願ーい! 助けてー!」
「玉響姫さまー! 真美たちを助けてよぉ~!」
雪歩、亜美、真美が懸命に森中に呼びかけるが、反応はない。首をひねる春香。
「おかしいなぁ……。前に助けてくれた時は、確かこの辺だったのに……」
「反応が全くないわ……。どうしてこんな時に姿を消してるのかしら……」
律子の持つレーダーも無反応で、一行は困り果てていた。
「玉響姫、どうかもう一度姿を見せて――わぁっ!?」
どんがらがっしゃーん!
春香が石碑につまずいてスッ転んだ。
「もう、春香ったらまたやって。飽きないわね」
「べ、別にわざとやってる訳じゃ……」
「あっ、見て!」
千早が、春香のつまずいた石碑を指し示した。
「石碑が粉々になってるわ!」
「えぇ!? ほんとだ!」
千早の言う通り、石碑は砕け散ってバラバラになっていた。破片は辺りに転がっている。
「きっとマガオロチに壊されたんだわ。もしかして、このせいで出てこられないんじゃ……」
「だったら破片を全部集めて、復元してみましょうよ!」
「いいねそれ! すぐやろう!」
伊織の提案に亜美が賛同し、一同は協力して破片を集めて石碑を元の形に組み合わせていく。……が、そんな中で春香がふと繪里子を見やった。
「ママ、何してるの?」
繪里子は彼女たちを手伝いもせず、その場に腰を落として何かを土の中に埋めていた。
「何って、お花の種を撒いてるのよ」
「お花?」
「うん。一徹君連れて買い物してる時に、珍しいお花の種を見つけたの。すっごい綺麗なお花が咲くのよぉ」
「でも、今そんなことしてる場合じゃないよね!?」
突っ込む春香だが、繪里子は構わずに雪歩へ振り向いた。
「ねぇあなた、お水持ってきてよ」
「え? お水?」
「表の公園に水道があったでしょ? さぁ、ダッシュ!」
「は、はいぃ!」
「あっ、雪歩!」
お人好しの雪歩は言われるままに走っていった。呼び止めるのが間に合わなかった春香は繪里子に文句をつける。
「ママいい加減にしてよぉ! のんきにお花植えるために来たんじゃないんだって!」
「そんなにカリカリしないの。ほら、あなたも手伝って。はい」
「だから……」
種を手渡した春香に、繪里子はひと言告げた。
「大地は、命を待ってるのよ」
「え? 命を……?」
「どんなに破壊されても大地はあきらめないの。いつだって、新しい命を育てようって、待ち構えてるの。……あなたもお母さんになったら、このこと分かるようになるわ」
母の言葉に、春香は思わず口を閉ざして手の中の種を見つめた。
一方で千早たちは石碑の破片を一箇所に集めていた。律子が石碑に分析機をかざす。
「この石碑には磁気反応があるわ! 何らかのエネルギーを持ってるに違いない!」
「やっぱり石碑が要なのね!」
「すぐ直そうよ!」
伊織や真美らが張り切って石碑の破片を合わせているところに、雪歩が如雨露を持って戻ってきた。
「お水持ってきましたぁ!」
「はいありがとっ!」
「ちょっと雪歩! 遊んでないで手伝いさないよっ!」
「ち、ちょっと待ってよぉ~!」
伊織に急かされて小走りで石碑の復元に加わる雪歩。そんな中でも、繪里子は種を土の中に植えていた。
マガオロチがいつ行動を再開するか不明瞭な中、ガイはあずさたちの制止を振り切って一人、ジャグラーの行方を捜して街の中を徘徊していた。と、陸橋に差し掛かったところで、
「探し物は……これですか?」
ジャグラーが、ガイから盗んだカードホルダーを片手に待ち受けていた。
ガイは厳めしい面で、ジャグラーの手首を掴む。
「返せッ……!」
二人は言葉もなく格闘になるが……負傷が癒え切っていないガイでは歯が立たず、側の手すりに叩きつけられた。
「ぐぅぅッ! はぁッ……はぁッ……」
「……お前かっこわりぃな」
ジャグラーは冷めた視線で、うずくまったガイを見下す。
「お前ホントかっこわりぃからさ……せめて自分の負けを認めて、俺の勝ちを称えろ。そしたらお前の大事なアイドルたちだけは助けてやっから」
「……ふざけんなッ……!」
心にもない発言に、怒りに打ち震えながら立ち上がるガイを、ジャグラーは嘲笑。
「ハッハッハッハッ! 負け犬の遠吠えって奴か?」
その背後で、遂にマガオロチが起き上がって活動を再開した!
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「始まった……!」
ガイはマガオロチの威容を見上げ、息を呑む――。
春香たちは全部の破片を組み合わせて、石碑の復元を完了した。
「出来たぁーっ!」
喜びに沸く春香たちだったが……特に何も起きなかった。
「ちょっと! 何も出てこないじゃないっ! これどういうこと!?」
「言い出したのいおりんじゃん!?」
伊織に真美が突っ込んでいると、律子のタブレットの画面にマガオロチの活動再開のニュースが飛び込んできた。
「あっちが復活してるじゃないの! しかもこっち来るし!」
「す、すぐ逃げましょう!」
「玉響姫はどうするのぉ!?」
「命の方が大事よっ!」
伊織や雪歩らが慌てふためいている一方で、春香は繪里子へ呼びかける。
「ママ、みんなと一緒に逃げて! ここにいたら危ないっ!」
「やだ。怪獣こっちに来るの?」
「そうなの! だから早く……!」
「じゃあちょっと待ってね。お水あげたら最後だから」
繪里子はマイペースに、植えた種に如雨露の水を浴びせる。
「もうそんな悠長な……!」
もどかしい春香だったが……水を浴びた種が、光とともに発芽したので仲間ともども面食らった。
「早っ!!」
「いくら何でも早すぎるでしょ! 今植えたとこじゃない!」
律子が叫んでいると、芽から生じている光の中から――玉響姫の幽体が現れたのだった。
「た、玉響姫!!」
「こっちが正解だったんだ……!」
更に玉響姫を中心に光が広がっていき、律子たちの視界がまばゆい輝きで覆われる。
「うわまぶしっ!」
玉響姫の光はそのまま上昇していき、彼女たちの元からいずこかへと飛び去っていった。
「行っちゃった……」
「きっと、マガオロチを止めに……!」
言いかけた千早が、ふと辺りに目を走らせて気がついた。
「ちょっと待って……。春香、どこ行っちゃったの……?」
「えっ……。あれ、いない!?」
気がつけば、玉響姫とともに春香の姿までが忽然と消えていた。唖然とする律子と雪歩。
「まさか、玉響姫が連れてっちゃった!?」
「でもどうして春香ちゃんを……?」
「あらら……あの子人気者なのねぇ」
繪里子がとぼけたことをつぶやいた時、律子のケータイに着信。響からであった。
『律子! プロデューサーそっちにいない!? 自分たちさっき事務所に戻ったんだけど、すれ違いになっちゃって! 美希は捜しに行くってまた飛び出してっちゃったし……』
「いないわ! って言うかあんたたちがどこで何してたのよずっと!」
律子が問い返すと、響はこのように返答した。
『マガオロチを封印してたカードを見つけたのっ!』
「えぇぇ!?」
当の春香は、律子の推測通り、まだ玉響姫の光の中にいた。
「玉響姫……どうして私を……?」
自分と向かい合っている玉響姫に春香が問いかけると、玉響姫は言った。
『あなたに、これを渡します』
玉響姫から、一枚のカードを受け取る春香。絵柄に目を落とした春香は、思わず息を呑んだ。
「これは……!?」
『マガオロチの封印を破った、闇の覇者の力です』
漆黒のウルトラマンのカード……。それから指に伝わる異様な波動を感じて、春香は内心震える。
そんな彼女に告げる玉響姫。
『光あるところに闇もまたあり。光が強いほど、闇も色濃くなります。ひと際強い光の意志を受け継ぐあなたなら、その力を扱うことが出来ます』
「私が……!」
『でも気をつけて。闇を覗き込む者を、闇もまた見ています。強すぎる力は、災いをもたらすこともあります……。どうか、闇に呑まれないよう……』
玉響姫の警告を最後に光の空間は薄れていき――春香は廃墟の街の真ん中に降り立った。
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「くぅッ……!」
進撃を再開したマガオロチの進行先に回り込むガイ。しかし、ジャグラーには結局逃げられてしまいカードは取り戻せずじまい。
とそこに、美希が駆けつけてくる。
「ハニー!」
「美希!?」
「ハニーならきっとこっちに来るだろうと思って……!」
美希はすぐに、先ほど発見したカードをガイに差し出す。
「これっ!」
「これは、ゾフィーさんの力! 見つけてきてくれたのか……!」
「このカードだったら、きっとマガオロチにも負けないのっ!」
期待する美希だったが、ガイは苦渋を噛み締める。
「すまないが……フュージョンアップできないんだ! 他のカードを全てジャグラーに盗られちまった……!」
「えぇっ!?」
「一枚だけじゃ、変身は不可能だ……! どうすれば……」
悩み苦しむガイと美希の元へ、春香も駆けてきた。
「プロデューサーさーんっ!」
「春香!! お前までどうしてここに……!」
「玉響姫が送ってくれたんです! それにこれも……!」
春香が差し出したカードに、ガイもまた目を見張った。
「ベリアル……!」
「これでフュージョンアップできますか……?」
「……ああ! やろうッ!」
一瞬迷ったものの、決心をつけたガイの呼びかけに美希と春香はうなずき、フュージョンアップの準備に移った。
マガオロチは少しずつこちらへ迫ってきている。それに立ち向かうため、三人はオーブリングとカードを構えた!