カルデア特異点遠征隊   作:紅葉餅

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不幸体質なのだろうか

「うぅ〜...やっとついた...ここが、カルデアか...」

「はい、ここがこれからマスターが着任することになる人理継続保障機関フィニス・カルデアです。」

 

吹雪の中を歩いていると山の中にあるとは思えない建物がうっすらと見えてきた。建物は大きな扉のある施設とその横にドーム状の施設に分かれていて、どちらも自然とは似合わない金属光沢を放っていた。

 

「山の中にあるとは思えない建物ですね。」

「魔術と機械の融合がこのカルデアの特徴なので建物もそれに合わせ独特なものになっていますからね。ちなみにカルデアは正面の建物が本館で、隣のドーム状の建物はカルデア特異点遠征隊の基地となっております。」

 

建物をよく見るとドーム状の方が比較的最近に建てられたようで汚れが少なく、また本館よりも建物に使われている建材は硬そうな気がした。

 

「この扉から入れば良いんですか?」

「はい。本官は基地の方の扉からしか入館が許可されていないので、

ここで案内は終了となります。吹雪の中お疲れ様でした。」

「はい!こちらこそありがとうございました。」

 

立香はマックスに頭をさげると荷物を受け取り、扉に方に走って行った。

 

(彼女は民間から選抜された。いわば数合わせだが、魔術師から選抜されたマスター達よりは使えそうだ。部下達にも困っていたら積極的に助けるように言っておくか。しかし、子供を戦場に送るのは、人理のためとはいえ、嫌なものだ。)

 

マックスは暗くなった気分を変えるために目を閉じ深呼吸をし、スッキリした頭の中にこれからすべきことをリストアップしながら基地へと歩いて行った。

 

 

 

立香side

 

「見た目は怖いけど、優しい人だったな〜お父さんみたいだったな〜」

 

独り言を言いながら吹雪の中を大きな扉に向かった。扉には魔除けの紋章がいくつも刻まれていて。この建物の異様さを際立てていた。

 

「不思議な紋章がいっぱい。ドアノブもインターフォンも見当たらないしどうやってはいるのかな?隊長さんも吹雪のせいで何処にいるのか分からないし...」

 

ペタペタと扉を触っていると、頭上から電子ボイスが聞こえ

 

『――塩基配列……ヒトゲノムと確認。――霊器属性……善性・中立と確認。ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。ここは人理継続保障機関カルデア。指紋認証、声帯認証、遺伝子認証クリア。魔術回路の測定……完了しました。登録名と一致します。あなたを霊長類の一員として認めます』

 

電子ボイスが終わるとうっすらと紋章が光った

 

「指紋認証でも触ったのかな?なんでもいいや!やっとあったかいところに行けるよ。」

 

立香は建物に入り、毛布をかぶりながら暖かいココアを飲んでいる自分を想像し思わずにやけた。しかし、その妄想はすぐに打ち壊されることになる。

 

『申し訳ございません。入館手続きには後180秒ほど必要です。その間、模擬戦闘をお楽しみください。――レギュレーション:シニア。契約サーヴァント、セイバー、ランサー、アーチャー。今回の戦闘は記録に残すようなことは一切致しません。どうぞ、ご自由に戦闘をお楽しみください。――召喚システム・フェイト起動。この180秒間、マスターとしての善き経験ができますよう』

 

「えっ...ちょっと待ってこんな所に立ってたら凍死しちゃうよ!

あと、戦闘ってなに!聞いてないよ隊長さん!」

 

さっきまでは歩いていたので体が温まり寒さはさほど気にならなかったが、扉の前で立っているとなると体はすぐに冷えてしまう。ここで、体を動かすという発想がないのは、やはり日本人ゆえ、待つときは大人しくしていると小さな頃から教わってきたからだろう。

 

 

 

マックスside

 

「そう言えば...」

 

頭の中でリストアップしていると自分の説明漏れに気づいた。

 

「仮想空間で戦闘することになる可能性があることを伝えるのを忘れていたな。まあ、仮想空間にいれば凍死することは無くなるしいいだろう。戦闘に関しては...彼女なら上手くやるだろう。」

 

自身に言い訳をしていると、基地の入り口にたどり着いた。本館とは異なり基地の扉は小さく、紋章などは刻まれておらず無骨な作りになっている。

マックスは首から複雑な紋章の刻まれたドッグタグを取り出すと脇の機械に近づけ扉を開いた。扉に先には、タブレット端末を操作している隊員が待っていた。

 

「隊長お疲れ様です。コートをお持ちします。今、全マスターの到着を確認しました。」

「そうかご苦労。これからブリーフィングを始める。カルデアの警備に当たっているもの以外、全員をブリーフィングルームに集めろ。」

「了解しました。」

「ブリーフィングで、全マスターの情報の開示とこれからの始まる局長の演説での手順の確認行う。自身のタブレット端末を持ってくるように言っといてくれ。」

「はい、そのように各員に伝達します。」

 

隊員はマックスに敬礼すると、伝達ために基地の放送室に向かって行った。マックスは隊員の後ろ姿を眺めながら

 

「これからは今までの訓練とは違い、特異点での実戦になるのか変わりは多くあるとはいえ、どれほどの隊員が傷つくことになるのか...」

 

とため息を吐いた。

 

「いかんな、さっきから余計な事ばかり考えてしまう。そうだ、我々は人理のための雑兵だ。マスターとサーヴァントのために露払いをする雑兵だ。任務のために、人理のために散るのなら本望だ。」

 

マックスは自分に言い聞かせるように何度も呟きながらブリーフィングルームへと歩いて行った。

 




マスターの素質が無いとコフィンを使えないのですが、遠征隊がコフィンを使えるのはとある裏技を使うからです。

そのためのちょっとした伏線を置いたのですが、初めて書くのでちゃんと伏線として働いているのか不安になってます。

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