「寒い!痛い!見えない!なんでこんなところにあるの!?」
少女は性別も忘れそう叫んだ。吹雪の中あるかされれば、性別関係なく誰だって文句を言うだろう
「申し訳ありません!我々には秘匿義務があるので!後少しです頑張ってください!」
少女を吹雪から守るように歩く、大柄な男は吹雪に負けないように大声で答えた。
「 カルデアのすごい技術で乗り物ぐらい作れないの!」
「秘匿のためです!」
「秘匿の前に凍死しちゃうよ!」
こんなことになる数時間前
「やっとついた〜座りっぱなしで背中バキバキだよ。まったく...」
高い雪山の麓、人気の少ない農村には似合わない格好をした日本人少女がいた。少女は周りを見渡した後、制服のスカートの裾を引っ張りながら
「この制服も胸を強調してるし、まともな職場じゃないかも...」
と今更後悔していた。少女は日本にいた頃によくテレビで流れていたブラック企業というフレーズが頭によぎった。
「迎えの人もいないし...家のためとはいえ、高い給料だけで選んだのがいけなかったのかな...」
膝を抱えて、今更ながら自分の浅はかさを嘆いた。少女は故郷から人気の少ない雪山の麓に来ているので、本当に今更である。
地面に向かってそんなことをつぶやいていると、いつの間にか背後に男が立っていた。
「カルデアは人理のためなのできつい業務となりますが、職場環境の良さは保証します。あと、制服は機関の主計科と技術開発部部長の趣味です。」
「うひゃあ!」
少女は飛び上がり、後ろを振り向き固まった。
背後には、ぶあつい防寒具に身を包み、独特の模様が刻まれた銃を持った大柄な男が立っていた。
「うひぃ...お金は持ってないですぅ...ぐすっ...でも、乱暴しないでぇ」
銃を持った人がいきなり現れれば、うっかり命乞いをしてしまうだろう。特に少女は平和な日本にいたのだ。するなというのが無理な話だ。
「落ち着いてください。あなたは藤丸立香さんですか?」
「そうです。だから命だけは...」
「だから落ち着いてください。私は、マックス・アベルと言います。あなたを道案内人です。」
そこまで言うと立香の顔にようやく余裕が生まれた。
「驚かさないでください!死んじゃうかと思ったじゃないですか!」
「すいません。道のど真ん中でうずくまっていたので声をかけたのですが...」
立香は自分の先程までの様子を思い浮かべ何も言えなくなった。立香が同じ光景を見たら男のように話しかけることすらしないだろう。
「改めまして、人理継続保障機関フィニス・カルデア、特異点遠征隊部隊長マックス・アベルです。あなたを迎えに来ました。」
「えっと...わ、私は藤丸立香です。今日からお願いします!」
「こちらこそお願いします。では、さっそくカルデアに行きましょう。」
マックスは立香の荷物を担ぐと山に向かって歩き出した。立香はマックスに並び質問することにした。
「ちょと聞いてもいいですか?」
「はい、本官に答えられることでなら。」
「えっと、じゃあなんで隊長さんがここに?」
「マスターの身を守るためです。局員が選抜した候補の中から局長がマスターを決めます。決めたあとは身の安全のために警備隊長を兼任している本官と技術開発部部長にしか知らされません。なので、マスターかどうか判別できる本官が案内人となりました。」
「隊長さんなのに大変なのですね。」
「人理のためですので。」
「その人理って何ですか?」
「それは直接局長が話されるのでそれをお聞きください。」
そう言うとマックスは口を閉じた。少し気まずくなり立香は、周りを見渡したふと思いつき聞くことにした
「ふと思ったことなんですが」
「何でしょうか?」
「さっきからずっと歩いてんですけど乗り物とかは...」
「ありません。」
「えっ...」
「秘匿のためです。」
「でも、あの山吹雪いているように見えるんですが...」
「そうですね。」
「天候が安定するまで、まったりは...」
「局長の演説まで時間がないので無理ですね。」
立香から再び笑顔が消えた。
「じゃあ...」
「本官が全力でお助けします。」
(やっぱりブラック企業なんじゃ...)
と後悔することになった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
グダ子がカルデアにきた理由がよくわからないので、ここでは彼女は貧乏な家のために高い給料に誘われてきたことにしました。グダ子の心の強さは貧乏で鍛えられたとしたら説明がつくし、いいよね!
初めて書く小説なので、改善点があればどんどん指摘してください。
でもなるべく優しく教えてください。心は折れにくいのですが、くるものがあるので