カルデア特異点遠征隊   作:紅葉餅

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拳銃の設定を後半で説明します。この拳銃くらいしかサーヴァントに対してダメージを与えられるような実績を持っていないんですよね。他にもAK47など考えたのですが、あれはどっちかというとコピー品の方が実績がありますからね。


歴史を生んだ銃口

新しく現れたフードを被った男に全ての視線が集まった。機械を背負った隊員が右手足を失いながらも新しく現れた男にセンサーを向けると、失血で青白かった隊員の顔がさらに青くなる。

 

「隊長...タイプAです。サーヴァントです...」

 

立香とオルガマリーは遠征隊を壊滅させたサーヴァントが二体も目の前にいることに絶望した。傷付いた隊員は立香とオルガマリーに覆い被さり少しでも盾になろうとし、無事な隊員は銃を握りしめながらも自分がどこに手榴弾をつけているか確認していた。

絶望する人間達を他所にキャスターを睨んでいた黒いサーヴァントが口を開いた。

 

「貴様、キャスター...ナゼ、漂流者ノ、肩ヲモツ。」

 

キャスターは黒いサーヴァントびゴミを見るような冷たい目を向ける。

 

「テメエらよりマシだからに決まってんだろ。あと、気持ち悪い魂を持つ連中が、血なまぐさい武器を振り回してんのが気になったしな。」

 

キャスターは冷たい目を遠征隊の方に向けた。キャスターは銃を向けてくる遠征隊を見た後、マシュのそばに寄っていった。

マシュはキャスターを追い払おうと盾を振り回したが、疲労で直線的になっている攻撃をキャスターは簡単に避けた後、マシュの肩を笑顔で掴み、黒いサーヴァントに見せつけるように言う

 

「見どころのあるガキは嫌いじゃないんでね。」

「ナラバ裏切リノ代償ヲ払ッテ貰オウ。」

 

マシュは攻撃されると目をぎゅっと瞑っていたが、後ろから聞こえた優しい声に驚き後ろを向く。振り向くとキャスターと目があった。

 

「そら、構えな嬢ちゃん。腕前じゃあアンタはヤツに負けてねえ。気張れば番狂わせもあるかもだ。」

 

マシュは困惑したが、キャスターは味方なのだろうと思い、黒いサーヴァントの方に向き直り、構える。

 

「は......はい、頑張ります!」

「マシュ殿お待ちください。これを。」

 

マックスは持っていた拳銃を手渡した。マシュは拳銃を持った瞬間に、粘液に包まれた腕に掴まれた気がした。

 

「うっ...これは、一体?」

 

マシュは拳銃を落としそうになったが、気持ち悪い感触に耐えて構えた。

 

「よしな嬢ちゃん。クラスに合わない装備は弱くなるだけだ。しまっとけ。」

 

マシュは少し迷ったが、サーヴァントとして経験が長いであろうキャスターのいうことを聞くことにした。

 

「無視スルナァァァァ‼︎」

「槍の専門家なんでね。当たらんよ。」

 

キャスターの飄々とした態度に黒いサーヴァントが切り掛かる。キャスターは槍がどこにくるか分かっているかのように最小限の動きで避け続け、槍を杖で逸らすと杖から火を出した。火は槍を伝ってサーヴァントを燃やす。燃えて苦しむサーヴァントに追い打ちをかけるように遠征隊は、効かないことは分かっているが少しでもマシュが回復する時間を稼ごうと弾丸を撃ち込む。

 

「そこにいる嬢ちゃんがマスターか?」

 

遠征隊の死体の下から這い出してきた立香にキャスターは声をかける。立香の返事には力を感じなかった。

 

「は...はい、そうです。私がしっかりしないからまた...遠征隊の人達が...」

 

立香は死んだ遠征隊の手を握りしめながら涙を流していた。キャスターは立香の前に屈むと

 

「嬢ちゃんあれが見えるか?」

 

キャスターが指をさした方を見ると遠征隊が雄叫びをあげながら、必死でサーヴァントに撃ち込んでいるのが見えた。マズルフラッシュで遠征隊の頭に後光が差しているように見え、地獄のような場所にも関わらず天使のように見えた。

 

「あの連中は人の道を外れ濁った魂を持つが、嬢ちゃんを守っている今は光り輝いている。嬢ちゃんは立って戦わなきゃいけない、稼いだ時間を無駄にしてはいけない。指示をアンタに任せたいができるか?」

 

立香がサーヴァントの方を見ると火はだんだん小さくなっているようで、火の間から憎悪に塗れた目が見えた。立香は再び足が竦んだが、自分の膝の上で死んでいる隊員を見ると震えがやんだ。立香は膝の上の血に塗れた隊員の手を強く握り締め覚悟を決めた。

 

「分かりました。出来ます。仇を取ります。」

「オレはキャスターのサーヴァント。故あってヤツらと敵対中でね。敵の敵は味方ってワケじゃないが、今は信頼してもらっていい。さあ、あのサーヴァントを一緒に倒そう。」

「はい‼︎」

 

キャスターは立香の前に立つと杖を構えた。立香の堂々とした立ち姿を見たマシュも一瞬驚いたが、立香の強い意志を感じ心強くなった。

 

「戦闘開始します!」

「武装完了...行きます、先輩!」

「たまには知的に行きますか」

 

立香が本来のマスターの役目を果たす決意を固めたこと祝うように、令呪が紅に輝く。立香が構えると同時にサーヴァントの火が消えた

 

「拙僧ニ矢弾ハ効カヌ!ソレガ拙僧ノ偉業!」

「キャスターは射撃準備、遠征隊は射線を開けて!」

 

立香の声にただ足止めのために統率もなくひたすら乱射していた遠征隊は、立香を脳とした一つの生き物になった。

 

「燃えろっ!」

 

キャスターが火を放つと、射線上にいた隊員は当たる直前に左右に避ける。サーヴァントは隊員の背後からいきなり現れた火を避けずに再び燃やされる。顔を燃やされ、よろめくサーヴァントにマシュは殴りかかるが、サーヴァントは槍を使い棒高跳びのように飛び上がって避けた。

 

「撃ち落として!」

 

立香の声に遠征隊は反応し、背負っていたAT4を構えるとビルに撃ち込んだ。弾頭はビルに当たり爆発し、爆風は飛び上がり空中にいたサーヴァントを横から殴りつける。

 

「グウッ...マダダッ!」

 

地面に転がったサーヴァントにマシュは盾をギロチンのように振り落としたが、サーヴァントは両手を顔の横に付き飛び上がるよに立ち上がることで回避する。

遠征隊はサーヴァントに撃ち込むが、風車のように回された槍に全て弾き飛ばされる。遠征隊はAT4を撃ち込むが、サーヴァントは避けると弾頭を掴み遠征隊に投げつけた。

 

「盾構え!」

 

遠征隊は盾を構えることで弾頭を防ぐ。サーヴァントは遠征隊の視線が盾で防がれたことを利用し一気に近づいた。

 

「人間ガ英霊ノ戦イノ邪魔ヲスルナ。」

 

サーヴァントは盾ごと遠征隊を両断しようとしたが、切りつける直前に盾が倒れた。

 

「今のオレは知的だからな。」

 

盾の裏には遠征隊は居らず、代わりにキャスターがいた。キャスターの杖には炎が溜め込まれている。

 

「オノレ、人間ガー!」

 

サーヴァントは避けきれずにキャスターの炎に包まれた。暫く火を消そうと転げ回っていたが、最後には動かなくなり黒い粉と虹色の結晶を残し消えていった。

 

「反応消滅。我々の勝利です。」

 

機械を背負った隊員の一言に、遠征隊は涌き上がり立香を抱き上げた。

 

「勝ったぞマスター殿!」

「誰も死ななかった!マスター殿のおかげだ!」

「マスター万歳!カルデア万歳!人類万歳!」

「仲間の仇だ!」

 

立香を抱え喜ぶ遠征隊を見ていたキャスターにマシュが近づいていった。

 

「あ、あの...ありがとう、ございます。危ないところを助けていただいて...」

 

頭を下げてお礼を言うマシュにキャスターはニカッとわらい

 

「おう、お疲れさん。この程度貸しにもならねえ、気にすんな。それよりも、自分の身体の心配だな。ケツの当たり、アサシンの野郎にしつこく狙われたんだろ。」

「ひゃん...!」

 

キャスターはマシュのお尻を触って笑った。キャスターはしばらくして笑いが止み、周りを見ると遠征隊に囲まれていた。

 

「全隊員へ、センサーに新たな反応。タイプA、サーヴァントのキャスターだ。殺せ。」

 

キャスターは殺気立っている遠征隊を見て引きつった。

 

「なんか、さっきよりヤル気出してない。」

「気のせいだセクハラオヤジ。座に送り返してやる。」

 

キャスターは今にもぶっ放しそうな遠征隊に囲まれ、どうしようか悩んでいると遠征隊の背後から声が聞こえた。

 

「落ち着け、一応大事なサーヴァントの戦力だ。銃を下せ。」

 

肋骨が肺に刺さり呼吸困難で気絶していたマックスが立っていた。

 

「隊長さん、大丈夫ですか⁉︎」

 

立香はマックスに近づき、先ほどまで凹んでいた胸をさすった。立香は胸に異常な凹みや傷がないことに安心して息を吐いた。他の隊員も切り取られた腕や足が繋がっていで、手足に具合を確かめていた。

 

「よかった。治ったんですか?」

 

先ほどまで、死にかけていたマックスが元気に歩いていることに立香は疑問が湧いた。

 

「ええ、キャスター殿が我々にルーンを使って治療を施してくれました。」

 

立香はキャスターの方を見ると、恥ずかしそうに頰を搔いていた。

 

「変な悪霊かと思ったら、嬢ちゃんたちをきちんと守っていた兵だったからな。まあ、最初の悪口の謝罪ってことだ。」

 

マックスはキャスターに近づき握手をした。

 

「治療と協力を感謝する。本官はカルデア特異点遠征隊部隊長マックス・アベルだ。」

「気にするな、お前たちの戦う心に惹かれただけだ。俺のことはキャスターって呼んでくれ。真名の方は、聖杯のルール上教えられないからな。」

「やはり、聖杯が...ああ、そう言えば、キャスター殿...(次にうちのもんに触ったら殺す。必ず殺す。)」

 

マックスはキャスターの耳元で小さく囁いた。最後の一言が聞こえなかった立香はマックスとキャスターが喧嘩せずに仲良く握手していると思い安心していた。立香がはあることに気づきマックスに聞いた。

 

「隊長さん、隊長さん。」

「何でしょう、マスター殿。」

「所長はどうしました?」

 

マックス達はオルガマリーが居ないことに気づき,遠征隊の山に死体の方に急いで向かった。死体をどかすと気絶して、目を回していた所長がいた。所長の姿に微妙な空気になった。

 

『よかったようやく繋がった!いきなり通信回路が乱れたから心配したよ〜...あれ、誰?』

 

所長の次はロマンが現れ、ますます微妙な空気になった。

 

「ロマン、キャスター殿にカルデアのことを説明してやれ。」

 

マックスは空気を変えるために、とりあえずロマンにカルデアのことを説明させた。

 

 

 

 

『以上が、カルデアと遠征隊の事情です。』

「なるほどな、そういうことか。お前らいいやつじゃん。」

 

キャスターは遠征隊の説明を聞き、改めて遠征隊を優れた兵と見直していた。

 

「じゃあ俺の方も、説明しよう。」

 

キャスターがこの冬木のことを説明しようとした時に、目覚めたオルガマリーがマックスの服を引っ張った。

 

「...ねえ、マックス...」

「おお、所長殿。お目覚めで、事態は収まりました。」

「そのようね...それより、お願いがあるの...」

「何でしょうか?」

 

オルガマリーは俯いて顔が見えなかったが、髪の間から真っ赤になった耳が見えていた。マックスはお願いと言われて、普段の命令とは雰囲気が違うことに首をかしげていた。

 

「き...コ...ナ...て」

「所長殿もう一度お願いします。小さくて聞き取れませんでした。」

 

オルガマリーは蚊の鳴くような声でボソボソと言っていたので、マックスの強化された聴覚でも聞き取れなかった。

 

「きが...テナ...て」

「申し訳ありませが、所長殿もう一度お願いします。できれば大きな声で。」

 

オルガマリーはマックスの服をぎゅっと掴むと、ばっと顔を上げた。オルガマリーはリンゴと間違えるほど真っ赤な顔で涙目であった。オルガマリーの顔にマックスたじろいだ。オルガマリーは暫く震えていると大きな声で叫んだ。

 

「着替えのコンテナを教えて!」

 

マックスは察して、冗談だろと言う顔になった。オルガマリーはますます赤くなって湯気を上げ始めた。

 

「早く教えて!」

 

マックスは道の端に投げ捨ててあった、コンテナを漁り着替えを見つけるとオルガマリーに渡した。オルガマリーは引ったくる様に着替えの袋を受け取ると、ビルの陰に隠れた。

 

「まずったなぁ...やはり俺には分からんよ、女の心は。」

 

マックスは心を理解しない自分を責める様に揺らめく炎を眺めながら頭を掻いていた。

着替えたオルガマリーは暫くの間、照れ隠しでマックスの脛を蹴っていた。立香とマシュは何のことだと首をかしげていたが、キャスターはニヤニヤしていた。

 

 

 

 

いろいろあったが、キャスターからの説明を聞き現状を整理していた。

 

「やはり聖杯か...どうするか?」

『回収するしかないよ。どうにかセイバーを倒さないとね。』

「召喚サークルに戻り、装備を整える必要があるな。」

『分かった。準備しとくよ、後でリストを送って。』

 

マシュは装備のことで思い出し、腰に差していた拳銃をマックスに渡した。

 

「マックスさん、お返しします。」

「ありがとうございます。何か異変はありませんでしたか?」

「何かに腕を掴まれた気がしました。」

 

キャスターは拳銃を見ると眉を顰めた。

 

「やっぱり尋常じゃない、量の血を吸ってやがるな。」

 

キャスターには銃口からどす黒い血がたれている様に見えてた。

 

「すごい呪いね。」

 

マックスの横に立っていたオルガマリーが拳銃に触れた。触れたのを見てマックスは驚きオルガマリーを抱えたが既にオルガマリーの意識は遠のいていた。

 

「所長殿!」

 

オルガマリーは触った銃に行きずり込まれるような感覚と共に意識を失った。

 

 

 

 

目を覚ますと荒野に立っていた。大地は凸凹に耕され、木々は燃やされ炭になって、ところどころに有刺鉄線の残骸などが転がっていた。

 

「ここは...」

 

オルガマリーが周りを見渡したが荒野が続くだけで何もない。

 

「私はあの銃を触って、それで...」

 

オルガマリーが状況を整理していると後ろから怒号が聞こえてきた。

 

「なっ何⁉︎」

 

オルガマリーが振り向くと地平線からの砂埃が迫ってきていた。オルガマリーが目を凝らして見ていると、砂埃の中に何百万もの人がいた。

 

「...何が起こってるの?」

 

だんだん近づいてきて、人々がどんな格好をしているか見えてきた。

 

「あれは...」

 

迫ってくる人々は全員が銃を持ち、軍服を着ていた。ある者はツノのついた鉄帽を、別の者は底の深い皿の様な鉄帽をかぶっていた。オルガマリーは逃げようとしたが、足が動かった。オルガマリーが足を見ると、血に濡れた何本もの腕に掴まれていた。

必死にもがいたが振りほどくことができず、ついに人の波が目の前に迫ってきた。オルガマリーは人に飲み込まれる直前に目をつぶったが、衝撃が来なかった。

 

「何なのよ...」

 

オルガマリーが目を開けると今度はオープンカーに乗っていた。周りには旗を振り、歓声をあげる人々が立っていた。

 

「もしかして...そしたら、この後に起こるのは...」

 

オルガマリーが現状を理解し次に起こることが分かった。群衆の方を見ると、丁度人ごみの中から男が出てきた。男が顔を上げるとオルガマリーは息を飲んだ

 

「マックス...?」

 

男はマックスであったが、感情のない無表情でオルガマリーを見ていた。マックスの顔が憎悪に歪むとオルガマリーに拳銃を向ける。

 

「マックス止めて!」

 

オルガマリーは撃たれた。

 

 

 

 

 

「うわァァァァ!」

 

オルガマリーは撃たれた衝撃で目を覚ました。

 

「所長殿!」

 

オルガマリーはマックスに抱えられていた。急いで胸に手を当てたが、血は出ていなかった。オルガマリーは安心して息を吐くと、目の前のマックスを見て怒鳴った。

 

「あれは何!説明しなさい!」

「しかし、これは遠征隊の機密に関わることで...」

「今すぐに言いなさい!命令です!」

「...わかりました。」

 

マックスは拳銃を見せた。拳銃は見るからに古い自動拳銃で、魔術的な紋章が刻まれていて「死」を放っていた。

 

「これは、パリ警視庁から盗んできた拳銃を魔術的に改造した物です。型番はFN ブローニングM1910。とある事件を起こした拳銃です。」

 

オルガマリーは銃を忌々しそうに見ながらつぶやいた。

 

「サラエボ事件」

「ええ、そうです。」

 

立香は学校でも習った重大事件が出てきたことに驚いた。

 

「待ってください。それってもしかして。」

「第一次世界大戦の原因となったオースリア=ハンガリー帝国の皇太子を暗殺した事件です。この拳銃は暗殺に使われた本物の拳銃です。」

 

オルガマリーは自身がいた荒野は第一次世界大戦のどこかの戦場で、あそこにいた人々は第一次世界大戦の戦死者だと気づいていた。

 

「第一次世界大戦の死者は軍民合わせて約3700万人。この拳銃は第一次世界大戦を起こし、3700万人を殺した実績を持つ。圧倒的な死を生んだこの拳銃は、魔術的な加工により相手に死をもたらす魔弾を放つ銃となりました。」

 

マシュは先ほどのアサシン戦でサーヴァントの腕が掠ったところから壊死を始めたことに理由がわかった。

 

「サーヴァントにすら死をもたらす魔弾を放つ拳銃は、遠征隊の切り札の一つです。」

「全く、変な物を作って...それどうするの。他所にばれたら大騒ぎよ。」

「サーヴァントと戦うには他の器では、実績が足りなかったのですよ。他にもポーランドに一番最初に踏み込んだ戦車、戦艦アリゾナを沈めた航空機と言う案もありましたが、これらはとうの昔にスクラップにされていてもうありませんでした。」

「少しは私に報告しなさい。で、何で私はあんな幻覚を見たの?マックスも出てきたし。」

「所長殿は現在、霊的な干渉を受けやすくなっているからですね。銃の中の残留思念にた魂を引っ張られたのでしょう。本官が幻覚に出てきたのはこの銃の現在の持ち主だからだと思われます。」

「は〜、全く特異点に来るんじゃんかった。」

 

マックスは何かに気付いていオルガマリーを安心したように見ていた。オルガマリーはマックスを睨み

 

「マックス他に何かに危険な兵器を隠していないでしょうね。」

「...ありませんよ。」

 

オルガマリーはマックスを疑うようにしばらくみていたが

 

「そういうことにしてあげる。」

 

と言いマックスから離れ立香の方に歩いて行った。マックスはその背中を眺めた後、部下の死体からドッグタグを回収に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

遠征隊の基地の奥深くに鼓動する物体があった。その物体の表面には蔦のように、実体のない血管が走っていた。物体は厚さ数メートルの壁と何重もの結界に覆われている。部屋の隅に置いてある机の上にボロボロの書類があった。表紙には一部読めない所があるが「L___T ___KE」と書かれていた。

この物体がその脅威を再び世界に示すのは、数か月後、物体が生まれた国でである。




オルガマリーが見た光景は固有結界などではありません。よくホラー映画にある演出の幽霊に掴まれると幽霊の過去を見ると同じものです。最後の物体が登場するのは第5特異点ですね。今回はラスボスのチラ見せみたいなものです。

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