リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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なんかかけたので投稿します


第十六話 慈悲無き蹂躙・2

 「よし!ここを曲がれば駆動炉につくぞ!」

 

 襲い掛かって来るゾンビを倒しながらアイギスは駆動炉への道を突き進んでいた。途中部下が一人死んでしまったが残りはまだピンピンしておりアイギスに続いてゾンビを後方から倒している。

 

 そんな頼もしい部下の奮闘を感じながらアイギスは先ほどから感じる不安を募らせていた。

 

 それは駆動炉を守る部下との連絡が数分前から取れなくなっている事にあった。いくら通信を送ってもノイズしか返ってしか来ない。いくつか響いていた部下の雄たけびや悲鳴、戦闘音等も全くしなくなっている事も不安に拍車をかけていた。

 

 -もしかしたら自分たち以外は全滅したのかもしれない-

 

 そんな不安を感じながらも大丈夫、まだ生きていると自身の心を励ましていた。そうでないと心が折れそうになるから。

 

 そして無事に駆動炉に到着したアイギスは道をふさぐようにたむろするゾンビに特大の砲撃魔法を喰らわせた。通路を飲み込むその砲撃によりゾンビは一体残らず灰燼に帰した。

 

 邪魔な存在が居なくなった通路を後ろの部下を置いて疾走するアイギスは血だらけ(・・・・)の駆動炉を目にして絶望した。

 

 駆動炉には数名の部下が守っていた。しかし、そのどれもが矢を体に受けて絶命していた。バリアジャケットを貫通させる矢に部下たちは混乱したのだろう。通路に背を向けて倒れている死体もあり恐慌状態に陥っていたことを思わせた。

 

 「なんで……っ!?」

 

 深い絶望に陥るアイギスの胸に矢が二本突き刺さる。バリアジャケットを貫通しアイギスの肺に当たったそれは急速に力を奪っていく。毒でも塗ってあったのか、と薄れゆく意識の中で把握したアイギスは最後のあがきとばかりに矢が飛んできた方向を見る。そこには金髪と黒髪の少女が居りアイギスの事を見下ろしていた。

 

 「ふふふ……」

 

 「ははは……」

 

 この場において場違いとも言える少女の笑い声を聞きながらアイギスは二度と覚めぬ睡魔に襲われそのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「任務完了ですわね」

 

 「楽勝だったな」

 

 死亡した局員、アイギスを見下ろす二人の少女、二コラとキアラはそう言って自らの武器である特殊加工のされたボウガンをしまう。既にアイギスの部下はゾンビと幻魔によって全滅しておりこの艦は完全に掌握されていた。

 

 「あとはゾンビと幻魔に任せて私たちは報告に行きましょう」

 

 「そうだな。あたし(・・・)の活躍を報告しないといけないからな」

 

 「あらあら、何をおっしゃいますの?わたくし(・・・・)の活躍によって返り討ちにしたと報告しなければいけませんのよ?」

 

 「「……」」

 

 二人の間に見えない火花が散る。自らの主人であるハクアに絶対の忠誠を誓う二人は拾われた当初から一緒に行動しているが両者の関係は最悪と言ってよく任務では抜群の連携を度々見せるがハクアがいないところや任務外ではこうして張り合うように口論や睨みあいが行われていた。

 

 

 「ハクア様に今回の功績を称えてもらい見事近くで働けるようになるのよ。キアラは黙っていて頂戴」

 

 「あ”あ”!?何寝ぼけた事言ってんだ!今回はあたしの活躍で殺したんだろうが!」

 

 「何をおっしゃっていますの?わ・た・く・しの活躍あってこそでしょ?」

 

 「んだと!」

 

 「何ですの!」

 

 「「……」」

 

 二人はそのまま睨み合いを続けた。そしてこの後更に口論が行われるのだが口論が終わるころには艦の処理を終えて全ての死体を運び終えた後だった。

 

 直ぐに報告をしなかった二人は功績と罰則で相殺されハクアの命令で養殖場を中心とした監視員を続ける事となるのだった。

 

 そんな事もあったが管理局の養殖場の襲撃はこうして完膚なきまでに返り討ちに遭い管理局にいるハクアのお友達(・・・)はハクアに本来不必要な借りを作る事となった。

 




今回は戦場のヴァルキュリア4のニコラ・グレフとキアラ・ロジーノを登場させました。最初見た時は14くらいかと思っていたけど20歳って表記があってとてもびっくりしたな~

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