リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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第七話 原作開始

「…漸く原作か」

 

そう呟く俺の前にあるモニターにはジュエルシードが護送されている次元航行艦が写っていた。

 

今日から原作が始まる。そう思うとこれまでの月日は長く思える。実際長いが。

 

「次元航行艦は俺が落とすとするか。ガルガント」

 

「はっ!」

 

「幻魔を率いてこの艦の船員を皆殺しにしろ。決して逃がすんじゃないぞ」

 

「了解しました」

 

ガルガントはそれだけ言うと直ぐに次元航行艦に向かっていった。

 

「次にプレシア・テスタロッサに連絡をするか」

 

プレシアへの連絡は直ぐについた。

 

「何かしら?」

 

「用事が出来た。フェイト・テスタロッサを貸してもらう」

 

「分かったわ。直ぐに送るわ。場所は何時もの所に?」

 

「ああ。頼む」

 

後はガルガントが皆殺しにするのを待つのみか。暇だし幻魔の状況を聞くか。

 

「幻魔界はどうなっている?」

 

幻魔界とは俺が滅ぼした三つの惑星のひとつを改良して邪気で溢れる世界にしたのだ。勿論次元の狭間に移動済みだ。

 

「現在進行形で増え続けています。そのうち食料が無くなるかと」

 

俺の問いに秘書は淡々と答える。こいつは俺が作った秘書型の造魔だ。かなり高性能に作られている。職務に忠実だしな。

 

で幻魔界の様子は秘書の言う通りか。これは深刻な問題だな。幻魔は人間を食べる。ベルテルミーニ大陸では勝手にふえてくれたが新しい幻魔界は人間を滅ぼしてから作ったため食料が手に入らなかった。幻魔の習性上俺を裏切ることはないがいざというときに制御が聞かなくなる可能性もある。それに俺はミーナの作る普通の料理のお陰かそれほど強くはないが人間にたいして食欲がわくときがある。友人に頼んで不必要な管理局員を手配してもらうか?あいつらも粛清できて俺らも生きのいい人間が手にはいる。考えておくか。

 

「イェーガーの様子はどうだ?」

 

「八神はやて及びその双子八神紗香が常連になったと報告が来ています」

 

イェーガーには未だに古本屋を営業してもらっている。八神はやて対策だったがうまくいったみたいだな。お陰で八神はやての双子の情報を入手できた。

 

八神紗香。八神はやてと同じく9歳。八神はやてと違い下半身不随な訳ではなく健康な体を持つ。姉妹仲は良好で八神はやてと同じく読書が好き。原作組とは違い普通の小学校に通っている。転生者の可能性大。

 

これだけ分かれば対処も可能だな。高町なのはと違いお前らには監視を強化させて貰うぞ。それに転生者でも原作知識を持っているか否かで変わってくる。持っていれば何かしらのアクションを起こすだろうが違っていれば前世の記憶を持つ子供と変わらない。それに特典についても調べないと。

 

「陛下、ガルガント殿より通信が入っております」

 

今後の事について考えていると秘書が話してきた。ガルガントがか?まだ命令をくだしてから数分しかたっていないぞ?なにかトラブルでもあったか?

 

「どうしたガルガント?」

 

「人間を皆殺しにしました」

 

マジか!?随分早いな。

 

「わかった。その艦の中で厳重に保管されているものはあるか?」

 

「少し待ってください。…」

 

通信の向こう側からなにかを壊す音が聞こえてくる。暫くするとガルガントが報告する。

 

「ありました。ひし形の小さな宝石のようなものが21個程」

 

「それを持ってこい。決して壊すなよ?」

 

「了解しました」

 

通信をそこで切って考える。ジュエルシードは俺がてきとうに海鳴市にばら蒔く。神社に一つ、月村すずか邸の庭に一つ、後は海に六つ置く以外は適当でいいか。後は勝手に淫獣がやってくれるだろう。

 


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