リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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第五話 もう一人

「…成る程、分かったわ。そちらの要求を受け入れるわ」

 

ふぅ、これで一先ず第一段階が終了したな。

 

プレシア・テスタロッサとの会談はこれで終了。内容としては、

 

・アリシア・テスタロッサの蘇生を行う代わりにプロジェクトFATEのデータを渡す。

 

・こちらの用事を聞く。

 

これが主な取引内容だな。

 

用事は後々話すとして早速アリシアの蘇生を開始するか。

 

本来なら幻魔化させてプレシアの監視に、と思ったがプレシアは不治の病を患っており遅かれ早かれ死ぬことがわかっているので普通に蘇生させることにするか。

 

「それじゃあ早速蘇生の方を行いたいと思う。先程も言ったとおりアリシア・テスタロッサの蘇生は俺の基地で行うが立ち会いは拒否させてもらう。その代わり完全に蘇生させることを約束しよう」

 

「分かっているわ。早くしてちょうだい」

 

フフフ、流石のプレシア・テスタロッサも少し落ち着かない様子だな。それも仕方ないか。漸く娘が蘇るのだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここよ」

 

プレシアに案内された部屋には確かにアリシア・テスタロッサの遺体がポットに入っていた。

 

「よし、運び出せ」

 

俺は部下に命じる。因みにプレシア・テスタロッサには幻魔のことや俺のことはほとんど教えていない。よって今俺に付き従っている部下は幻魔化した人間だ。

 

「気を付けて運んでよね」

 

「分かっている。此方としてもアリシア・テスタロッサを傷つけてそちらの機嫌を損ねたくない」

 

なんたってプロジェクトFATEのデータはアリシア・テスタロッサの蘇生の後になったからな。俺としては問題ないが。

 

そんなとき廊下の影から二つの人物が顔をだし俺は驚愕した。その人物は、

 

「…母さん?」

 

今だ幼いフェイト・テスタロッサに、

 

「…」

 

フェイト・テスタロッサに似た幼い少女がいたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はエルシア・テスタロッサ。元は何処にでもいる普通の学生だったけど気が付いたら死んでいて神様が二つまで特典を選んでいいといったので私は原作のフェイトがあまりにも不遇と思ったから、

 

・フェイト・テスタロッサと双子

・フェイト・テスタロッサと同等の魔力

 

この二つを選んだわ。そして原作通りに私達はプロジェクトFATEで産み出された。

 

用紙を確認してみると双子らしく髪も目も一緒。フェイトが黒のリボンでツインテール、私が赤のリボンでポニーテールにしなければ見分けがつかないほどだ。

 

原作通りにリニスに私達は魔法を学びデバイスも貰えた。だけどプレシアは私たちを娘としては見ていないようだ。フェイトはそれを悲しんでいるけど私は原作を知っているため対して気にならない。むしろどうやって原作を代えていこうか悩んでいた。

 

そんなときこの時の庭園に侵入者が現れた。私は原作でそんなものはないと思っていたけど原作前のことはあまり知らないためさして気にもとめなかった。きっと機械兵団が追い払うでしょう、と思う程度だった。

 

だけど侵入者は私の予想を裏切りどんどん奥に進んでプレシアの部屋にはいっていった。私は大きな戦闘が起こると思っていたけどそんなことは起こらずプレシアはそのまま出掛けることを私たちに言ってどこかに出掛けてしまった。

 

その間はフェイトやフェイトの使い魔のアルフ、私の使い魔のサーニャと訓練に励んでいた。因みにサーニャはキツネの使い魔よ。

 

暫くしてプレシアが帰ってきたためフェイトと一緒にプレシアの後を追ったわ。

 

「ここよ」

 

「よし、運び出せ」

 

プレシアの声と男の人の声が階段の下から聞こえてくる。もしかしてここって…。

 

「気を付けて運んでよね」

 

「分かっている。此方としてもアリシア・テスタロッサを傷つけてそちらの機嫌を損ねたくない」

 

!?今アリシアって!?

 

そう思っているとポットを運んでくる数人の男とプレシアに二十代くらいの男性が出てきた。

 

男は廊下の影からうかがっている私たちに気付いて目を見開いた。

 

「母さん?」

 

フェイトはプレシアに呼び掛けるが、

 

「何をしているの?早く部屋に戻りなさい」

 

きつい口調で言うとそのまま歩いていった。目を見開いた男もプレシアに続いて歩いていく。

 

…あの男の人ってもしかしなくても転生者?

 


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