リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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第三話 他大陸侵攻作戦~殲滅~

他大陸侵攻作戦は思いの外うまく進んでいる。

 

最初に侵攻した大陸はアフリカ大陸並みの大きさを持ち十を越える国家が乱立していたが半月ほどで半数の国が滅亡し、残り半数も既に満身創痍の状況であった。先陣をきるグレゴールが侵攻する度に人間を駆逐しているため侵攻した地域では人間がほとんどいなくなり大陸の人口の半分がこの世からいなくなっていた。

 

「敵はどうやら次の戦いで決着をつけるようです」

 

第一軍団を率いるグレゴールが大陸の国の情勢について報告してくる。

 

「残った十の国合わせて20万弱の軍勢はガダル平原に集合しています」

 

ガダル平原とはこちらが命名した平原で丁度残った人間の国の領域と俺が支配する領域の間にある。人間の間では何度も窮地に陥る度にここで勝利を納めてきたらしい。もっとも、それでも負けるとは思わんが。

 

第一軍団、第二軍団共に機械化が済んでおり中世程度の技術の人間の国に負けるはずがなかった。

 

「ならばこちらも兵をガダル平原に向かわせろ。今の我らなら人間一人残らず殲滅できるだろう。我らには時間は沢山あるがまだまだ侵攻予定の大陸があるのだ。初戦であるこの大陸に時間をかける必要はない」

 

実際この世界は本当にミッドチルダがある世界なのか疑いたくなるほどにでかく大陸が沢山ある。これじゃあ不便だ。大陸同士くっ付けるか?

 

「ならばここはわたしめにお任せください。直ぐに殲滅してみせましょう」

 

と、ここでグレゴールが自薦してくる。グレゴールなら言うと思っていたし任せられる。

 

「お待ちください!ここはワシにお任せください!」

 

そこへ待ったをギルガリオはかけた。そんなギルガリオをグレゴールは睨む。

 

「貴様、ギルガリオ。しゃしゃり出るな」

 

「ふん!この大陸を支配しつつあるとはいえ少し調子に乗りすぎてはないか?ワシならこの大陸をもっと簡単に支配下に置くことが出来るぞ。第一殲滅などしなくても支配下に置くのだから…」

 

おいおい、誰も人間を支配下に置くとはいってないぞ?俺がしたいのは人間による国及び国のようにまとまった存在、町や村を作ることをさせないことだ。例えるならドラクエビルダーズの世界観に似ている。人間は生かさず緩く殺す。こんな感じだ。

 

だと言うのにギルガリオは理解していないな。人間上がりとはいえここまで物わかりが可笑しいとは。

 

グレゴールも同じ意見なのかかなり眉を潜めている。

 

そうしている間にもギルガリオは喋る。

 

「陛下、いくらなんでも殲滅等しては後の政治に支障を来しますぞ。そのせいで本国は物資が滞り人々に活気はなく仕方なく幻魔等と言う化け物にならなくてはいけなくて…グァ!?」

 

…気づけば俺はギルガリオの首を絞めていた。

 

「へ、陛下!?何を!?」

 

「…ギルガリオ。貴様は使えると思っていたがどうやら見込み違いだったようだ」

 

俺はそのまま片手でギルガリオの首を握り潰した。ギルガリオは頭と胴体に別れて地面に落ちた。

 

「…グレゴール」

 

「はっ!」

 

「直ぐに奴等を殲滅しろ。情けはかけるな。確実に殺せ」

 

「直ちに取りかかります」

 

グレゴールはそう言って殲滅の準備にかかった。

 

「…まさかこんなところで気分を害することになるとは」

 

「お前さんもそんなことがあるんだな」

 

イェーガーがそんなことを言ってくる。

 

「貴様は俺をなんだと思っているのだ。俺とて喜怒哀楽は持っている。ただの幻魔と一緒にするな」

 

「そりゃぁ、お前さんは幻魔の親玉だし一緒にしてはいないさ。ただ、そんなところを見たことはないんでね」

 

「…ふん」

 

やがて幻魔軍による殲滅作戦が開始され人間側からは阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。その勢いを保ったままグレゴールは国の方も攻めて僅か二日で滅亡させた。

 

こうして他大陸侵攻作戦の初戦は終わったのであった。

 


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