第一話 新たなプロローグ
…あれからどのくらいの月日が流れたのだろう。
大陸統一は成し遂げた。アルテミラ皇国も滅びた。幻魔とゾンビは順調に増えている。
そして、大陸を覆う結界を張り人が近づいてこれないようにした。
結界のせいで太陽は黒い雲に覆われ一日中日が注さない世界となった。
俺の幻魔化も終えた。これで原作まで生きることができる。
…俺ってなんのためにここにいるんだ?最近はそんなことばかり考えている。やる気が起きない。
そうだ。久しぶりに寝よう。幻魔となってからは睡眠を必要としないからな。心を入れ換えるためにも。
「やぁ、お久しぶり!元気にしてた!?」
…え?
「いや~、まさか君がここまでやるとは思わなかったよ。あ、別に攻めてる訳じゃないよ?むしろ誉めてるんだから!」
…何であなたがここにいるのですか?神様…。
「え?そりゃぁ用事があってね」
「君には伝えていなかったね転生させる本当の理由」
…単純に神様がミスって殺したんじゃないのですか?
「何言ってるの?そんなへまするわけ無いじゃん」
…そうですか。
「話を戻すね。転生させた理由は単純に二つ!一つは間引きのため!」
…間引き、ですか?
「そう!人間はどの世界にも増えているからね。そのくせ何処も世界を滅ぼせる技術を作ってばっかり!損なんじゃ星が壊れちゃうよ!」
…どの世界もおなじなのですね。
「だから君のような人を送って人間の間引きを自発的に起こさせたの!」
…どういうことですか?
「君には素質があったの。外道となれる素質。鬼畜になれる素質。そして、狂気に染まれる素質。どれも間引きのためには必要なもの」
…それを見つけた神様は俺を殺したと?
「その通り!だから色々サービスをしたんだよ?」
…そうですか…。わかりました。
「おやおや?怒らないの?」
…はい、もう前世の事なんて殆ど覚えていませんし。
「若干自棄になってるね。…まぁいいや!で、もう一つの理由は単純!私が楽しむため!」
「ぶっちゃけここ暇なのよ。私が力を使って人間を滅ぼしてもいいんだけどそれだとつまらないじゃない?だから人間の間引きついでに私が楽しむためにあなた達を転生させたの!」
…わかりました。
「やっぱり何も反応しないね。つまらないなぁ」
…あなたとは似たようなところがあるので。
「そっか、それもそうだね!じゃ、これからも頑張ってね!自棄になってる暇なんて無いよ?君は見てて飽きないからこれからも頑張ってね!私は何があっても君のみかただから!」
…ならば神様を飽きさせないように頑張らないと行けませんね。
「お?ようやく戻ってきたかな?そんな君には一つのプレゼントを!戻ったらベルテルミーニ王国の元王城に行くといいよ。そこには君が望む人がいるから」
…!?それってまさか…。
「神様に不可能はないのよ!無機物からの精製や死者蘇生なんて簡単なものだもん!」
…ありがとうございます。
「それじゃ、戻すね!妹さんによろしくね!」
…はい!
意識が戻った俺は急いでベルテルミーニ王国の元王城に走る。
何処にいるかは聞かなかったが何となく分かる。最後に一緒に遊んだあの部屋。
扉を勢いよく開ける。しかし、幻魔化した俺は人間よりも力が強いため扉は簡単に壊れてしまった。
しかし、そんなことは関係ない。俺は部屋をくまなく見渡す。
…いた。窓を覗いて外の景色を見ており顔は見えないが分かる。俺が最も会いたかった妹。
「ミーナ!」
俺は妹の名を呼ぶ。その声で気づいたのか妹はこちらを向く。そして、俺が見たかった笑顔がそこにあった。
「お久しぶりです。お兄様」