リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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これにて第一章完結です。これで作品が終わりな訳ではないです。


最終話 一つの終わり

~白董サイド~

俺はアルテミラ皇国のスパイである。

 

アルテミラ皇国で使われている技術を使い一年でアルテミラ皇国に対する絶対的忠義と大量の知識に武術を仕込まれて各国に数名送り出された。

 

俺は潜入したベルテルミーニ王国では運よく第一王子ハクア・ベルテルミーニの教育係となることが出来た。

 

しかし、この子供はおかしかった。

 

八歳の時に化け物を指揮しているのを見て問い詰めた結果そういう能力を持っていたらしい。

 

その後はハクアに従順になりつつハクアの信頼を得ていった。

 

ある時ベルテルミーニ王国が泊と戦争をすると聞いたときはこの国は終わったと思ったがハクアの非人道的な実験で産み出された化け物によって壊滅させられていたのを見たときは驚いた。

 

その後はクーデターがきっかけで再び戦争になると泊に対してクーデターを起こさせ泊を滅ぼしたときは何か手を打たねばとアルテミラ皇国に報告した。

 

その後はアルテミラ皇国がベルテルミーニ王国に侵攻するからちょうどいいタイミングで王城を乗っとれという指示が来た。

 

俺はハクアが出陣してからしばらくしてから近くに潜んでいたアルテミラ皇国兵と内応したベルテルミーニ王国兵を率いて重臣達を全員殺してハクアの妹であるミーナ・ベルテルミーニを捕らえた。

 

ミーナは最初は何故こんなことをするのか分かっていなかったが日頃の溺愛ぷりを見ていればミーナの無残な死体を見せれば錯乱すると予想していた。

 

二十年近く共にいたためハクアの行動は読めている。後は確実に成功させるのみだ。

 

しかし、それすらも失敗した。俺の知らない地下研究所の出入り口が存在したようだ。

 

しかし、俺はこの時楽観していた。ハクアが最も大切にしていた妹を殺したにも関わらず俺は生き残れると思っていた。

 

ハクアは化け物をあくまで人間の平和のために使っていた。そして、その化け物が表に出ないようにしていた。ここで化け物を使えば表に出ることは間違いないのだ。

 

だが、違った。化け物は知られても問題ないような勢いで殺していた。そこでふと外を見ればフラフラとした人間の集団が王城を中心に四方八方に向かっていくのが見えた。

 

この瞬間俺は理解した。既にハクアは化け物を隠す気はないと。そして、人間の平和のためではない、恐らく化け物を中心とした世界を作ろうとしていると。

 

そこへ俺のいる部屋にも化け物が迫っていた。生憎ここは塔の上。窓から逃げることはできない。だが、ただで死ぬつもりはない。せめて一矢でも報いるまでだ。

 

それがアルテミラ皇国に忠義を誓うものの役目だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白董が何でクーデターを起こしたのか。

 

そんなものはもう知ることはできない。

 

先程白董の遺体が届けられた。俺はそれを見て特に思うことはなくスピリットの餌にした。裏切り者にふさわしい結末だ。

 

幻魔界を造る報はガッセナール公国にも伝えてある。既にまとまった人数は避難させてある。

 

俺ははっきり言って人間を滅ぼす気はない。幻魔やゾンビは人間から生まれている。人間は一定数必要だ。

 

しかし、人間に豊かな暮らしはさせない。ただ、狩られる者として惨めに、世界に絶望しながら生きてもらう。人間はよほどのことがない限り自ら命をたつことはない。そこを見極めてギリギリのラインを保つ。これからはそういう時代が来るのだ。

 

それと引き返してきていたベルテルミーニ王国軍はゾンビ数名によって壊滅した。いや、数名に噛まれた兵士がゾンビになりそこから増えていったのだ。ゾンビは増え続けるだろう。ある程度人間を残しておけば問題ない。

 

将軍は…無事のようだな。後で迎えにいくとするか。

 

さて、これで一歩前進した。後は俺の強化と大陸全てを幻魔とゾンビで埋め尽くすだけだ。

 

大陸統一は、近い。

 


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