さて、大陸統一の壁となりそうなのはアルテミラ皇国ぐらいとなったが俺はまだ動かない。
泊が滅亡したことで領地が増えた。元々泊の領地では麻薬を流行らせていたためその余波も残っていた。最も、アルテミラ皇国でもやるつもりでいるが。
しかし、これはあくまでベルテルミーニ王国の国王である俺は動かないと言うだけだ。
本来の俺は暗躍して動くことにする。
まずタナトス改を用いてゾンビ兵士でアルテミラ皇国を急襲する。これはあくまで時間稼ぎだな。この時間を用いて幻魔を組織化し、ゾンビ兵士で倒しきれないところを潰していく。
それでも倒せない場合はスピリットを使って焼き払う。そして最後にゾンビ兵士、幻魔を回収した後にベルテルミーニ王国軍で攻め混み領有するという計画だ。
だが、暫くはこの計画の実行は出来そうにないな。単純な話でゾンビ兵士すら足りていないのだ。
まあ、領地の開発でもしながら気長に待つとするか。そのうちアルテミラ皇国の方から何か行動を起こしてくるだろうから。
「アルテミラ皇国軍国境を越えて進軍中!まっすぐこちらに向かってきています」
その方が入ったのは翌日の昼過ぎであった。
日課である妹のミーナと遊んでいたところに兵士が入ってきてこの報を伝えたのだ。
「…アルテミラ皇国から何か来ていないか?」
「はっ!それが国境を超える前に使者が来て『大陸の平和を乱すベルテルミーニ王国及びガッセナール公国に正義の鉄槌を下す!』といって戻ったそうです。その後直ぐにアルテミラ皇国軍が侵攻してきました」
おいおい、まさかアルテミラ皇国から仕掛けてくるとは思わなかったな。こうなってしまったら俺も出し惜しみしている場合じゃないな。
「直ぐに重臣達をよべ。それと各地域毎に合流して抵抗するように伝えろ」
「はっ!」
兵士は返事をして部屋を後にする。俺は不安そうに見てくるミーナに向かって安心させるように言う。
「大丈夫だ。ミーナはここにいてくれ。なに、直ぐに方がつくさ」
「はい…。にいさま、御武運をお祈りしています」
そう言うミーナの頭を撫でて決意する。やはりミーナは可愛い。自慢の妹の為にも倒さなくてはな。
取り合えず謁見の間へ向かう。そこには兵士から聞いたのか重臣達がすでに集まっていた。
「話は聞いていると思うが一応伝えておく。先程アルテミラ皇国軍が国境を越えて侵攻してきていると連絡があった」
「陛下!何故アルテミラ皇国は此方に侵攻を?」
「恐らく泊を滅ぼしたと言う理由で攻めてきたと思われる。だが、こちらも負けるわけにはいかない」
そう言って俺は将軍の方を向く。
「今回は俺も行く。将軍、兵の指揮は任せた」
「お任せください」
この将軍は優秀だからな。他の重臣達も皆優秀だからな。本当に俺は恵まれた環境にいるな。
「…今回はベルテルミーニ王国総力をあげた戦いとなるだろう。皆心してかかるように」
「「「「「はっ!」」」」」
俺は出兵の準備のために地下研究所に来ていた。
「ギルデンスタン、幻魔の方はどうなっておる?」
「はっ、刀足軽300、弓足軽200、後数名の中級幻魔といったところですな。これ以上はさすがに難しいですな」
「分かった。幻魔は難しいそうだな。今回はゾンビ兵士のみ連れていくか。ギルデンスタン、ここは任せたぞ」
「ネズミ一匹の侵入も許しませんよ」
「白董は王城の守りについてくれ。ミーナを頼んだぞ」
「かしこまりました一命にかけて守り抜きます」
これで守りは問題ないだろう。しかし、何で弟のクーデターの時のような胸騒ぎがするんだ?嫌な予感がめっちゃするな。
だが、今はアルテミラ皇国軍を退けることが先決か。待ってろよ。人の領地踏み荒らしておいてただで帰れると思うなよ!