リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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第十話 呆気ない鎮圧

無事に地下研究所に逃げ込んだ俺は指令室に行きそこにあるモニターを見た。因みにこの指令室は龍が如くのサイの河原の部屋をイメージして作っています。

 

モニターには王城の重要な場所を中心に写っている。このモニターを写しているのは小型サイズのカメラ型の幻魔だ。カメラのレンズの回りに肉がついて虫のような羽と足がある。足は何処にでもくっつくため安定して映すことができている。更にこっちから指令を送ることもできる。

 

「…成る程、これでは外には出ることはできないな」

 

モニターのさきには要所を抑える弟側の兵士が映っていた。しかし、弟は一体この兵を何処から連れてきたのやら。

 

「…父やミーナは地下牢に閉じ込められているな」

 

別のモニターにはベルテルミーニ王国の重臣達や父、妹のミーナが閉じ込められている地下牢が映っていた。しかし、俺にとってはこれは好都合だ。

 

弟側の兵士は王城のみいるようで城下町のモニターには人の異変も感じられなかった。

 

そこで様々な所に潜ませている幻魔を一斉に行動させる。俺はいずれミーナを除き王国の重臣達を幻魔や研究の実験台にするつもりだった。そのために様々な所に潜ませていたのだがこのような形で使うことになろうとは。

 

モニターには行動し始めた幻魔の姿が映っていた。因みにこの幻魔は鬼武者に登場した三つ目をモチーフに作ってある。腕には鋭い鍵づめ、鷹のようによく見える目、そして確実に成功させる脳、俺の現在で作成できる技術で作った最高傑作だ。これからは【アサシン】と呼ぶとするか。暗殺特化型だし。

 

まだ弟側の兵士や弟は気付いていないのか呆気なくアサシンに切り殺されていく。その時に音を出さないようにして回りに見えないように殺していくのはさすがとしか言いようがないな。

 

そして、切り殺された兵士を発見した他の兵士によって伝わっていくがその頃には半数以上の兵士が殺されていた。

 

更にやつらの絶望は続く。

 

切り殺された兵士のそばにいた兵士が死んだはずの兵士に噛みつかれていたのだ。

 

アサシンの鉤爪にはタナトス改が含まれておりそれで殺された兵士は俺に忠実なゾンビ兵士となるのだ。このゾンビ兵士の特徴として頭部を大きく損傷しない限り絶対に死なないことと大人数人分の力。噛みつけばその場で兵士を増やすことも出来る。更に死んでいるため補給や休憩が必要ない。そのため永遠に歩き続けることが出来るのだ。まさに無敵の軍隊と呼べるだろう。但し、その移動力はゾンビのためすごく遅いのが欠点だが。これは追撃では使えないな。その辺は馬でも使うかそれに特化した量産型幻魔を開発するかだな。その辺は追々やっていくとしよう。

 

そんなことを考えているうちに弟側の兵士は弟を守る数人しか残らなくなっていた。そしてその回りを囲む元弟側の兵士だったゾンビ兵士。何も知らない弟からみれば裏切られたと思うだろうな。現に何か弟は怒鳴り散らしているが残念ながらカメラには音を拾うことはできないため怒りの形相しか拝むことができなかった。

 

「恨むなよサクヤ。恨むならクーデターを起こした自分か俺を殺せなかったお前の腕を恨め」

 

そして俺はゾンビ兵士に殲滅を言い渡す。ゾンビ兵士は弟やそれを守る兵士に群がり持っている槍や剣で切ったり突き刺していく。

 

カメラには泣き叫ぶ弟の姿が映っていたが本当に声を聞けなくて残念だ。

 

「俺を殺そうとしたお前を実験台に使う気にはなれないからな。原型をとどめないまでとはいかないが顔さえ無事なら大丈夫だな」

 

首から上はクーデターを鎮圧した証しとして使わせてもらおう。そうなれば俺への人望も少しは上がるだろう。

 

そう考えている間も弟の体は無惨に肉塊に変わっていくのであった。

 


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