俺ガイル×SAO ~仮想世界に生きる孤高の侍~   作:棒々鶏

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第7話 決戦前夜 後編

--side キリト--

 

「私が全て倒すから。あなたは何もしなくていいわ」

 

 アスナはキリトと合流早々そう宣言した。

 

「それじゃあ危険だ。わざわざ死ぬ確率を高める必要はないだろ?俺が前衛をするから君は後衛に回ってくれ。それが一番安全だ」

 

 が、納得できるはずがない。キリトは生き残る為に、今ここに居るのだから。避けれる危険は避けるべきだ。

 それにキリトは忘れることが出来なかった。あの日、始まりの街で見捨ててしまったあの男のことを……

 もう誰も見捨てたくない。せめて…自分の手の届く相手

ぐらいは守り抜く!

 それがキリトの戦う理由だった。

 

「嫌よ。私は別に生きる為に戦うわけじゃないもの」

 

 だが、アスナは違った。

 彼女が恐れているのは肉体的な死ではない。精神的な死だ。

 彼女は屈する訳にはいかなかった。1万人もの人間を

閉じ込め、既に2000人もの人間を殺しているこのゲームに。 

 たとえ今この場で命を落としたとしても何の悔いもない。最後まで戦って命を落としたのならそれは十分なこの世界に対する対抗だと、彼女はそう考えていた。

 自分が自分でいる為、それが彼女の戦う理由だった。

 

「じゃあどうして、君は戦うんだ。」

 

 二人は等しく己の信念の為に戦っていた。しかしその信念は大きく異なっていた。

 片や己の命を守る為、片や己の志を守る為。 

 その違いはあまりにも大きすぎた。キリトの考えはアスナにとって理解しがたいものであったし、アスナの考えもキリトにとってまたそうであった。

 

「私が、私でいるためよ」

 

 (わからない。理解できない。死んでしまったら、元も子もないじゃないか)

 キリトにとってその言葉は何の意味も持たない。彼は何としても現実世界に戻らなければならなかった。

 自分が自分でいる。それは彼にとって生き抜くことだった。死んでしまっては何の意味もない。

 彼は悩み、敵の元へと進む彼女を止めることが出来なかった。

 

 

--side アスナ--

 キリトに対してアスナはさっきのやり取りで、全くと言っていいほど動揺していなかった。

 彼女にとって何があろうと自分の考えは揺るぎないものであった為だ。

 話が終わると彼女はすぐさま敵の殲滅へと向かった。

 

「まずは左の2体を倒してから右の1体を倒せば終わりね」

 

 彼女はそう呟きながら自分の腰からレイピアを取り出す。

 まずは先制攻撃の為に細剣の初期ソードスキル「リニアー」を発動する。ヒット。殆ど無い硬直時間を置き、敵から距離をとる。

 こちらに気付いたルインコボルドトルーパーは攻撃して来るものの、あまり早い攻撃ではない。しっかり敵を見ていれば余裕を持って回避出来る速度だ。

 彼女は攻撃を回避するとそのまま弱点目掛けて通常攻撃を放った。

 彼女の攻撃がヒットした瞬間、背後からもう1体のトルーパーによる攻撃を受ける。1体に集中しすぎたようだ。

(さて、どうしようかしら…2体同時に相手をするよりは、距離をとって1対1に持ち込んだ方がよさそうね)

 彼女はそう考え、先に攻撃を当てた方の敵のヘイトをきらさないように注意しつつ、もう1体から距離をとる。

 ある程度離れると先ほど同様また敵の攻撃を回避し、弱点に突きを放つ。相手のHPがイエローになったところでソードスキル「カドラプルペイン」を放ち、ガラス片へと変える。 

 

「あと2体ね…この調子ならすぐに終わるわ」

 

 彼女はそう呟きながら残りの敵の元へ向かう。

 

 

--side キリト--

 

「凄い…早すぎて剣先が見えない。なんて剣技だ」

 

 キリトはアスナが戦う姿をみて、思わず呆気に取られてしまった。

 彼女の剣技はあまりにも速く、滑らかで、その美しいと言わざるをえないその姿に。  

 気付いた時にはもう敵はいなかった。

 あまりの感動に、キリト先ほどの葛藤すら忘れて帰ってくるアスナに声をかけた。

 

「凄い剣技だったな。速すぎて剣先が見えなかったよ」

 

「そう。ありがとう」

 

 彼女淡泊な返事を返すとすぐに八幡の元へと向かった。

 

 

 

「どう?これでも何か言うことがある?」

 

 アスナは少し離れたところにいた八幡のところに行くと、かなり高圧的に話し掛けた。

 

「そうだな。言いたいことがあるからまずはキリトをよんできてくれないか?」

 

 アスナは自信満々だったが、八幡は満足ではなかったようだ。

 問題点を教える為、キリトも合流させようとの考えだったのだが、

 

「何よ。自分で呼べばいいじゃない。私に命令しないで」

 

 彼女は気に入らなかったらしくそう返した。

 

「わかった。命令して済まなかったな」

 

 八幡は話を長引かせても面倒なので意外にも素直に謝り、キリトをよんだ。

 

「キリト。少し来てくれないか。話したいことがある」

 

「わかった。すぐに行くよ」

 

 キリトはそう言うとすぐさまこっちに向かって駆け出した。

 

 

 

「全員揃ったな。じゃあ明日の為にアドバイスするからしっかり聞いておいてくれ」

 

 2人が揃うと八幡は話し始めた。

 

「まずは2人に共通することだが、ソードスキルをシステムに委ねすぎだ。アスナはある程度ブースト出来ているがもっと早くできる。キリトはかなり悪いな。お前は多分STR型だろうからそこまで問題ないかもしれないが、遅くて得をすることはない。後でやり方を教えるからもっと速く剣を振れるようにしておけ」

 

「次は…キリトから言おう。まず戦いが荒過ぎる。今はレベル差が大きいからSTRが高ければゴリ押し出来るが、ボス線となればそうはいかない。しっかり弱点を狙って一撃一撃の威力をあげるんだ」

 

「次は…いややはり今はこれだけでいい。ひとまず今はその二つの事を念頭において戦うようにしてくれ。そうすればソロでもある程度は戦えるはずだ」

 

「次はアスナだな。まずはキリトとは違う意味で戦いが荒過ぎる。ソードスキルを連発するから何度か硬直中に攻撃が当たりかけていたし何よりオーバーキルしすぎだ」

 

「次に注意力が足りなさすぎる。1対多の戦いになった時にどれか1体に気を取られすぎて、他の敵をしっかり見れていない。現に最初に攻撃食らってたしな。しっかり周りをみながら戦うようにした方がいい」

 

「以上だ。今からソードスキルのブーストのやり方を教えるが何かあるか?」

 

 アスナがどう見ても何か言いたそうだったのでそう尋ねたのだが、

 

「特に何もないわ(ぞ)」

 

 そう返されたのでさっさと説明して帰ることにする。

 

「そうか。じゃあ説明するぞ。速く帰りたいからしっかり聞いてくれ」

 

 八幡は装備を片手剣に変えながらそう言った。

 

「細剣は持ってないからむりだが片手剣なら持っているからそれで説明するぞ。まずはこれが何もせずにただ発動しただけのシャープネイルだ」

 

 八幡はそういいながら片手剣の初期ソードスキル「シャープネイル」を放つ。これは右切り払いからこ左切り払い最後に振り下ろしの三連撃だ。八幡はそれを約3秒かけて発動し終える。

 

「で、これが速度をブーストしたシャープネイル」

 

 八幡はそういいながら1秒にも満たない速度で剣を振り終える。

 

「コツは一振り一振り集中して、手や腰の動きの無駄をなくすことだ。どんなに速くしても威力は変わらないから少しでも速く打てるように練習したほうがいい」

 

「キリトはすぐに上達を感じられるだろうが、アスナは元からある程度ブースト出来ているからな。そこまで変化を感じられないかもしれないが、一応練習しておいた方がいいぞ」

 

 八幡はそういいながらそそくさと帰路に着く。

 残された二人は呆気に取られて何も言えなかった。




 ん~文章を書くのは難しいですね(>_<)
 拙い文章ですが、読んで頂けて嬉しいです。本当にありがとうございます。
 あと次話からプーさんのアドバイスによりもう少し長くしていくつもりです。それに伴って週一更新出来なくなるかもですが温かい目で見守ってください。お願いします。

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