俺ガイル×SAO ~仮想世界に生きる孤高の侍~   作:棒々鶏

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お正月記念!二日連続投稿、明日も投稿するつもりですので、出来たら三日連続投稿です!


第5話 つつがなく会議は踊り、ボス攻略は始まりを告げる 後編

「おぉ」

 

 彼は帰ろうとしたが、突然声を上げたガチムチの黒人に思わず呆気に取られてしまった。

 話の切りだし方から暴力沙汰にはならないだろうとは思うが、やはり気になってしまう。

(それになんか雰囲気が似てるんだよな…誰かはわからんが)

 

「な、なんや」

 

 先ほどまでは威張りちらしていたキバオウも流石にビビってしまっている。

 何とか虚勢を張ってはいるものの、怖がっているのは誰の目からみても明らかだ。八割方本人も気付いているだろう。

 だがその男はそんなことは関係ないとばかりに話し始める。

 

「俺の名前はエギルだ。」

 

(エギル?いや、たまたま名前が同じだっただけだろう)

 八幡は彼の名前を聞き、このゲームを始めて最初に出会った少女、エギルを思い出す。

 が、その風貌と喋り方から別人だと判断する。

 エギルの方も名前を言うとすぐに続きを話し始めた。

 

「あんたの言いたいことはつまり、元βテスターが面倒を見なかったせいでビギナーが沢山死んだ。その責任をとって謝罪、賠償しろということだな?」

 

「せ、せや」

 

「このガイドブック、あんたも持ってるだろ?道具屋で無料配布しているからな」

 

 エギルは自分の懐からガイドブックを取り出す。

 

「もろたで。それがなんやっちゅうねん」

 

 この調子で話が進めば少しはまともなボス攻略会議が出来るだろう。そう考えた八幡はもう少しこの場に残ることにした。

 

「気付かなかったのか?このガイドブックを作り、配布していたのは元βテスター達だ。情報は誰でも手に入れられたんだ。だが、それでも沢山の人が死んだ。その失敗をふまえて俺達がどう動くか。それがこの場で議論されると、俺はそう思ったんだがな」

 

「チッ」

 

 キバオウは何も言い返すことが出来ず、悪態をつきながら近くの椅子に座る。

 ディアベルもキバオウが座るのを見届けると、自分の話を再開する。

 

「よし、じゃあ再開していいかな?ボスの情報だが、例のガイドブックの最新版が先ほど公開された。ボスの名前はイルファングザコボルドロード、そしてルインコボルドセンチネルという取り巻きがいて、ボスのHPゲージを1本削るたびに3体リポップする」

 

「ボスの装備は斧とバックラー、4本あるHPバーが残り1本になると、装備を斧から曲刀カテゴリのタルワールに持ち替え、攻撃パターンも変わる。とのことだ」

 

(βテスト時と同じ情報か。βテスト時からの変更点については何か考慮しているのだろうか?)

 彼は少し心配になったが特に何も言わない。

 人数こそ理想数より少ないものの、やる気は十分だ。そこにあえて水をさす必要はないと、そう考えた。

 

「攻略会議は以上だ。最後にアイテム分配についてだ。金は全員で自動均等割り。経験値はモンスターを倒したパーティーのもの。アイテムはゲットした人の物とする。異存はないかな?」

 

 ディアベルは全員に問いかける。至って一般的なルールな為、誰も文句は言わない。

 

「よし、明日は朝10時に迷宮区前に集合する。では解散!」

 無言を肯定と判断したディアベルは明日の予定を確認し、解散を告げる。 

 

「ふぅ、少し心配にはなったが滞りなく会議はすすんだな。一応明日の為にパーティーメンバーと話しておくか」

 

 八幡はあまり乗り気ではないものの、明日不手際があると困るので、近くに座っている喋りやすそうな黒髪の少年の方に声をかけた。

 

「よぉキリト、明日の為に軽く打ち合わせしておかないか?」

 

 自分の眼がここでも腐っていることに気付いた八幡は引かれるのではと少し心配だったが、最初に話しかけたときも自覚がなかっただけでこの眼だったことに気付き、あまり心配はなくなった。

 

「あぁ。確かにそれはしておいた方がいいな。アスナも一緒にどうだ?」

 

(この2人は見たときから一緒にいたが、知り合いなのか)

 あまり人と喋りたがらなそうなこの少女に平然と喋りかけた様子から、八幡はそう推測した。が、

 

「ねぇあなた。どうして私の名前を知ってるの?」

 

 どうやらこの少女--アスナはキリトと初対面のようだ。それに加えてアスナはこのゲームについての知識も殆ど内容だった。

 

「パーティーを組んだら名前がわかるんだよ。自分のHPバーの下に俺とこいつの2人分、追加されているだろ?で、そのバーの上に小さく名前があるはずだよ。ほら、だいたいこのあたりに」

 

 キリトはそう言いながら彼女の自分の名前が表示されているであろう辺りを指指した。

 

「ってことは貴方の名前はハチマン?」

 

「いや、違うよ。俺の名前は「ハチマンだと!?」」

 

 キリトが間違いを訂正しようとすると、丁度隣を通ろうとしたエギルが怖い顔でこちらを向く。

 八幡もキリトもあまりの恐怖に声が出ない。真っ先に声を出したのはアスナだった。

 

「あなたはさっきキバオウさんを諌めていたエギルさんよね?どうかしたの?ハチマンさんならこの人よ」

 

 アスナはキリトの言葉が聞こえていなかったらしく、キリトを指しながらそう言った。

 

「あんたが、ハチマンさんなのか?」

 

 エギルはキリトに向かってそう尋ねる。

 

「い、いえ俺は「何にも覚えてねぇよな。違うからなハチマンさん。もし俺と同じ名前の娘がいてもそれは断じて俺じゃないからな!」」

  

 エギルはキリトの肩を掴んでブンブン前後に振りながらそう叫ぶ。

(マジかよ……あいつがあのエギルかよぉぉ)

 一方八幡は全てを理解して少しショックを受けていた。もう自白しているようなものなのだが、どうやらあのガチムチなおっさんはあの少女だったようだ。

(そうか、常に何かを警戒していると思ったらネカマだとバレないように気を張ってたのか)

 あの少女の不審な行動の理由もわかったし、そろそろキリトがかわいそうなので助け船をだすことにする。

 

「エギルさん。そいつじゃなくて俺が八幡ですよ。あとあなたの言いたいことは理解しましたのでもう大丈夫ですよ。別にいいふらしたりしませんので」

 

 俺がそう言うと落ち着いたエギルはこっちに向かってくると、

 

「お礼も言わずに去ってしまってすまないな。言い訳ってわけじゃないが理由は察してくれ。本当にすまない」

 

 そう言って去っていった。




 あぁ、文才が欲しい。俺にもっとうまい文章を書く力があれば……
 誤字脱字、おかしな文法などあればご報告下さい。すぐに修正いたしますので、よろしくお願いします!

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