タイトルが下手なのはご了承。これでも2時間かけて考えたんです。(^-^;
八幡はチュートリアル終了後、すぐに次の街シャムシールへとむかった。ここに長く留まっていても経験値やコルがすぐに枯渇するからだ。
(それにあそこでは第1層最強の曲刀が手に入るからな。曲刀使いとしては行かない理由がない)
彼はβテスト時の情報に加え、エギルに連れられてずっとフィールドに居たお陰で、レベル的にも充分次の街を目指すことができた。
--シャムシール--
「ふぅ、やっとついたな」
始まりの街を出てから5日後、彼はようやく次の街、シャムシールに到着した。
本来始まりの街からシャムシールはゆっくり歩いても半日かかるかどうかの距離だ。
それをわざわざ5日もかけて移動したのはレベリングとコル稼ぎの為だ。
第1層最強の曲刀が手に入るクエストとは、大型モンスターを討伐する。というもので、6人パーティーを組むなら2、3レベルで充分なのだが、彼はソロなので、死なない為にはレベリングが必須なのだ。
また、彼はサブ武器が投剣なので、投剣の補充の為にコルも必須となってくる。
そのため、普通に移動するだけの数倍の時間をかけてここまで来たのだ。
「さて、せっかく着いたんだ。早速一狩り行こうぜ!」
辺りに人がいないことを確認してから、某モンスターハントゲームのフレーズを口にしながら、投剣の補充の為に武器屋へと足を運んだ。
--会長の館--
彼は今、クエストフラグを立てる為にこの街の鉱山の管理をしている商業組合の会長の館に来ていた。
この街--シャムシールは本来街の中心に位置する大きな鉱山による地下資源によって主な収入を得ていた。
しかし、しばらく前から強力な大型モンスターが坑道を占拠している為採掘に行けず、街は財政難に陥っている。
というのがこの街の設定である。
そして今受けようとしているクエストというのが、そのモンスターの討伐で彼の目当てのクエストである。
「またせてすまないね」
しばらく応接室のような部屋で待機していると、部屋の扉が開いて会長が顔をだした。
一般的なプレイヤーなら「気にしないでください」など社交辞令を述べるのだろうが、実際かなり待たされたわけだし、クエスト開始に影響はないので特に何も言わない。
「さて、本題に入りましょう。君の身なりを見るに恐らく私が出した高札に応じてくれたお方ですかな?」
しばらく間を置くと会長が話し始める。が、彼は殆ど話を聞いていない。無視だ。
βテストから何か変更点がある可能性があるため、完全に聞き流しているわけではないが、話の8割は聞いていない。
因みに会長の話には最後まで何も答えなくてもクエストは始められるのでオール無返答だ。
今の質問も現実世界なら答えないと話は進まないが、というか怒られるが、ここはよく出来ているとはいえ所詮ゲームだ。
こちらの返答が長くなれば話を遮って続きを話す。ということはしないだろうし、相手の話に合わせて多少話を合わせることはできるだろう。
しかし、本来用意されたシナリオから大きく異なる話など、できよう筈がない。これはβテストでも確認ずみだ。
案の定しばらく待っていたら続きを話し始めた。
「そうですか。この度はわざわざご足労いただきありがとうございます」
そうですか。って俺なんにも言ってねえじゃん。と、一応心の中で突っ込んでおく。
「では、本題に入りましょう。高札をみていただいたのなら用件はもうご存知だと思いますが、私の依頼は坑道を占拠する怪物、ケンタウルスの討伐です。見事奴を退治していただいた暁には、我が家に代々伝わる伝説の宝刀、ヴェンシェントシミターを差し上げましょう」
「次にモンスターについての説明です……」
モンスターについての説明を受けたが、大体、いや、全くβテストの時と同じだった。
要約すると敵は下半身が馬上半身が人間の半身半獣で、名前から大体の想像はつくだろう。
まぁ、一言で言うとそのまんまなのである。ゲームや漫画の敵キャラとしてよく登場するモンスター、ケンタウルス、使用武器も弓なので全く捻りがない、せめて名前ぐらいは捻りを入れろよと開発に文句を言いたくなる敵だ。
唯一一般的なケンタウルスとの違いは、上半身が裸ではなく大きなコートをはおっているというところだ。HPがレッドゾーンに達すると、コートで隠していた曲刀を装備する。
通常、曲刀より弓の方が強そうに感じるのだが、実は違う。このゲームはソードアートオンラインというタイトルの通り、剣で戦うゲームだ。
プレイヤーには剣しか武器はなく、唯一遠距離攻撃が出来るのは投剣だけだが、威力は低く、遠くの敵に当てるにはプレイヤーの腕に左右されるという扱いづらいものだ。
そして敵キャラであってもそれは変わらない。勿論中には剣以外のものを武器とする者もいるのだが、それらには全てソードスキルがない。
このゲームはフルダイブ技術によって自由に動ける分通常攻撃でも充分敵を倒せるのだが、やはりソードスキルは破格だ。
PVPならまた話は変わってくるだろうが、対モンスターにおいてソードスキルはダメージリソースとして非常に大きなウエイトを持つ。
それは敵も同じだ。従って、いくら遠距離攻撃が出来るとはいえ、このゲームの中では弓は剣に劣るのだ。
それに加えて、対八幡ではそれはさらに如実に現れる、いくら一撃一撃が弱いとはいえ、何回もくらえばそのダメージ量は馬鹿にならない。そのため、このゲームでは矢の速度はある程度の敏捷があればよけれる速さに設定されている。そのため敏捷極振りの八幡にはまず矢はあたらないのだ。
とまぁ、この敵は八幡にとってかなりのボーナスモンスターなのである。
ボス戦中もステータスやアルゴリズムに変化があるのでは?と危惧したものの全て杞憂だった。
結果、八幡は殆どダメージを受けることなくクエストをクリアした。
「ふぅ、報酬のヴェンシェントシミターももらったし、あとは宿でゴロゴロするだけだな」
難無くクエストを終え、街に帰還した八幡はすぐさま宿へと向かった。
戦闘シーンがないのは時間がなくて省いたわけではありません。