俺ガイル×SAO ~仮想世界に生きる孤高の侍~   作:棒々鶏

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 時間ができたので連続投稿できました。読み返すと八幡が性格悪く感じてしまう……俺にもっと文章力があれば……
 


第2話 こうして比企谷八幡のデスゲーム攻略は始まりを告げる

 この世界での比企谷八幡--hachimanは腐った眼とアホ毛以外は現実世界の顔と殆ど同じ顔なのだが、その2つがないだけで相当のイケメンになった。本人的にはその2つはチャームポイント(笑)なのでそのままにしたかったのだが顔を設定するときにどうしてもそのパーツだけが見つからなかったのだ。

(まぁいいか。どうせソロだし見た目なんて関係ないしな)

 それが彼の見解だったのだが、その考えは開始早々覆された。

 ゲーム開始後、すぐに彼はβテスト時に見つけた裏通りの武器屋を目指して駆け出した。

 

(あの店はよかったな。序盤にしては強い武器がおいてあるし、何より裏通りだから人が少ない。ぼっちの俺には嬉しい配慮だ)

 と、考えながら走っていると、

 

「あ、あのー。すいません。ちょっといいですか?」

 

 声をかけてきたのは黒髪の小柄な少女で、何かを警戒しているかのようなのが、人間観察に優れた八幡には見て取れた。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

 少し不安要素はあったものの、こちらに危害を加える気はなさそうだし、そもそも女の子に助けを求められたら断れないだろうと思ったので、彼は気怠そうな雰囲気をださないように努めつつ、彼女に返事をした。

 

「あの、その迷いのない走り、あなたβテスターですか?」

 

 そうだと答えるべきだろうか?肯定すると面倒な事になりそうだったが、否定すると後でもっと面倒な事になりそうなので肯定することにした。

(まぁ、いざとなれば適当な理由をつけてバックレればいいだろう)

 と思いながら

 

「そうだが、よくわかったな」

 

 笑顔で頷いた。すると彼女は妙に嬉しそうになり、

 

「では、もしよければですが序盤のコツなどを教えていただいてもいいですか?」

 

 失敗した。これは面倒な奴だ。

 この雰囲気で否定はできないし、ぼっちの俺が他人にレクチャーなんて難易度が高すぎる。しかも相手は女の子だ。

 だが仕方ない。もうこの流れで断ることはできないし、こんなところで会ったのも何かの縁だ。少しぐらいは相手をしてやろう。

 と、なかなか冷たいことを考えながら彼は

 

「いいぞ」

 

頷いた。 

 

 

 

 

 

--フィールド--

「いいぞ。そこでソードスキルを弱点に打ち込むんだ」

 

「はい!」

 

「大分上手くなったな。そろそろひとりでも「hachimanさん。次はもう少し強いモンスターと戦ってもいいですか?」」

 

 こいつ、段々遠慮がなくなってきやがったな…また俺の言葉を遮って、いや、こいつは俺が解散しようとしているのに気付いてるな。多分。

 

「いいぞ」

 

 

 もういい。なるようになれだ。俺の座右の銘も『押してだめなら諦めろ』だしな。

 そう自分に言い聞かせながらしばらく前に遭遇した女の子--エギルにひっぱられていろいろなクエストやモンスターを狩っていた。

 気がついたらレベルももう3まで上がっていたぐらいだ。

 

「ありがとうございます」ニコッ

 

 

 

 

--数十分後--

「今日はありがとうございました。もう落ちないといけなのでこの辺りで解散でいいですか?」

 

 (やっと解放される。長かったなー。小町、お兄ちゃん頑張ったよ!)

 

「あぁ、こちらこそ。俺はもう少しここにいるよ。またな」

 

 またな。か…現実では決して口にしない社交辞令だな。まぁ、もう会うことはないだろうがな。

 

「あれ?」

 

 彼が感傷に浸っていると、突然彼女が素っ頓狂な声をあげた。

 

「どうしたんだ?」

 

 気になって尋ねてみると、

 

「おかしいな。ログアウトボタンがなくなっているんですよ。ハチマンさんはどうですか?」

 

 とのことだ。ログアウトボタンが消える?そんな不具合は起こりうるはずがない、いや、起こってはならない。

 

「ログアウトボタンが消えるなんてないと思うぞ。まあ、もしそんな不具合があれば、アーガスはただではいられないな」

 

 冗談めかして言ったものの、彼は心中穏やかではなかった。そんなことが、起こりうるはずがない。そう思いながら彼は自分のシステムウィンドウを開いた。

 ログアウトボタンが、ない。

 どういうことだ?バグか?いや、βテストも行ったのだ。しばらくたってからならまだしも、正式サービス開始初日からこんな大きなバグが起こるはずがない。なら何故、本来あるはずのログアウトボタンがないんだ?何か理由があるのか?もしそうならそれはなんだ?

 彼が考えに没頭していると、突然2人の男女を青い光が包んだ。

 

 

 

 

「強制転移か?どうやらかなり多くのプレイヤーがあつめられたようだな」

 

 青い光が消えると彼らは始まりの街へと戻っていた。辺りを見渡すと一面人、人、人、ここに全プレイヤーが集められたのでは?と思うほどに多くの人が、そこにはいた。

 何が起きたのかと周囲を観察していた俺は、青い空の一部に浮かぶ赤い《warning》の文字が、瞬く間に広がっていくのを見た。

 声を出す間もなくその赤い表示は空を埋め尽くし、その場にいる全てのプレイヤーがその異変に気付いた。

 さらにそこから血のような液体がながれだし、赤いローブに身を包み、赤いフードを被った人らしき物へと変化した。

 それは空中で浮遊していて、フードの中には本来あるはずの顔がない。それを見て八幡が呆気にとられていると、その赤ローブは、 大広場の1万人近くはいるだろうプレイヤーたちを睥睨すると大仰な仕草で語りだした。

 

「プレイヤー諸君、私の世界へようこそ」

 

 混乱の渦だった大広場は、話が始まった途端水を打ったように静まりかえった。

 

「私の名前は茅場晶彦。現在、この世界をコントロール出来る唯一の人間だ」

 

 茅場晶彦。彼はナーブキアの基本設計を作りVRゲームの技術を大きく進歩させた人物で、このゲームの製作者でもある。

 本当にあの赤ローブが茅場なのだとすれば恐らく彼の言うことは本当だろう。

 

「プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気づいていると思う。しかしこれはゲームの不具合ではない。繰り返す。これはゲームの不具合ではなく、ソードアートオンライン本来の仕様である。……諸君はこのゲームから自発的にログアウトすることは出来ない」

 

 何故だ?何故そんなことをする必要がある?いや、考える必要はないだろう。恐らくすぐに、彼はその答えを話すだろう。狂人の考えなど考えてもわからないものだ。

 

「また、外部からのナーヴギアの停止、または解除による強制ログアウトもありえない。もしそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる」

 

 生命活動を停止させる。その言葉が雰囲気に飲まれて静かになっていたプレイヤー達の動揺を誘い、辺りはざわめき始めた。

 

「しかし残念ながら、警告を無視してナーヴギアの解除を試みた例が少なからず存在し、既に213名のプレイヤーがこのソードアートオンラインの世界から、そして現実世界からも退場している」

 

 彼はそう言い放ちながら自らの周りに大きなウィンドウを出現させた。 

 その画面にはニュース番組が流れており、ナーブキアによって人が死んだという事実を、その場にいる全てのプレイヤーへと突き付けた。

 

「 様々なメディアが繰り返しこの事実を報道したことを鑑み、これ以上ナーヴギアの強制解除による被害者が出る可能性は低くなった。諸君らは安心してゲーム攻略に専念してほしい 」

 

 そう淡々と告げる茅場に到頭たえられなかったのか、プレイヤー達が抗議の声を上げはじめた。

 しかしそんなことをしたところで、奴は話をやめないだろう。案の定、彼はすぐに続きを話し始めた。

 

「諸君らがこの世界から解放される方法はただ1つ。この始まりの街の存在するアインクラッド第1層から第100層までの迷宮を踏破し、その頂点に存在するボスを撃破してこのゲームをクリアすることだけだ」

 

「100層、だと…βテスト時では8層までしか上がれなかったというのに」

 

 俺は思わずそう呟いたが、同様に感じたものがいたのだろう。どこからか、

 

「 第100層……?ふざけるな!βテストじゃマトモに上がれなかったって話なんだろ!? 」

 

 と叫ぶ声が聞こえてきた。もちろんその叫びも茅場の耳には届かない。

 

「しかし、充分留意して頂きたい。今後、このゲームにおいていかなる蘇生手段も機能しない。プレイヤーのHPが0になった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時にーー諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される。

『これは“ゲーム”であっても“遊び”ではない』」

 

「それでは最後に、私からプレイヤー諸君に対するささやかなプレゼントだ。各自アイテムストレージを確認してほしい」

 

 言われた通り俺は自分のアイテムストレージを確認する。

 

「手鏡?」

 

 なんなんだこのアイテムは?名前からして武器や防具の類ではないだろう。なら装飾品か?いや、手鏡を持ちながら戦闘なんて格好がつかないし、そもそも手鏡のスキルなどさっぱり想像できない。自分の身なりを整える為に使う。というのもありえないだろうし使い道がさっぱりわからない。

 まぁ奴の言葉を聞くに恐らくこの場にいるプレイヤー全員に配布されたのだろう。周りのプレイヤーの様子をみてから使おう。何か嫌な予感がする。

 すると、八幡は急に青い光につつまれた。

(また強制転移か?)

 八幡はまたどこかへ転移させられるのかと危惧していたが何も起きなかった。否、すぐに何がおきたのか理解できた。プレイヤー達の姿が変わっているのだ。所々で聞こえる

 

「あんた男だったの?」

 

「17って嘘かよ」

 

 という声から大体の予想はできた。

(プレイヤーが現実世界の姿に変えられた…いや、戻されたと言った方がいいか。恐らく顔は頭全体を覆うナーブキアの超高密度信号素子で、体格などは初期設定のキャリブレーションによってデータを得たのだろう)

 彼が今の状況を分析していると、再び茅場は話を続ける

 

「諸君らは今、何故?と思っているだろう。何故ソードアートオンライン及びナーブキア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのかと。私の目的は既に達成せしめられている。この世界を造りだし観賞する為にのみ、私はソードアートオンラインを作った。そして今、全ては達成せしめられた。

以上をもって、ソードアートオンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君、健闘を祈る」

 

 その言葉を最後に赤ローブは消滅した。

 

「エギルっ!」

 

 デスゲームが始まってしまった今、俺1人で全プレイヤーを支えることなどできるはずがない。しかし、このゲームが始まって初めて出会った女の子1人を助けるぐらいのことなら俺にもできる。そう思い、彼はすぐ隣に居たはずのエギルを探す。

 

「いない?」

 

 なぜだ。もしかしたらここへ転移したときに逸れてしまったのかもしれない。探すか?答えは否だ。そもそもこの人混みのなかで、少女1人を見つけることは困難だし、そこまでしてやる必要もない。

 冷たいようだが、俺が今最優先すべきは自分の命だ。  俺はそう考え、1人、次の街へ向けて歩を進めた。




 もう気付いている人もいるかも知れませんがエギルちゃんはオリキャラではありません。ただのネタです。4話迄には再登場させるつもりです。

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