この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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ちょいと訳あって今回はかなり短め。
この小説も終盤に近付いて来ました。


崩落へのカウントダウン

誰もいない所に1人で来た。

 

「【念話】」

 

地下財宝を探した時にも使った魔法。

説明すると遠くにいる人と大気の魔力を介して話せる魔法だ。

その【念話】である人物と接触を試みる。

 

「あ~もしもし~?聞こえるか?」

『えっ!?リュウヤさん!?何処にいるんですか!?』

 

聞き覚えのある声がした。

ウィズだ。

 

「あ~まぁその王都だ。まぁこの魔法の事は後で話すとして・・・ウィズ、ちょっと話したい事があってな」

 

俺は王都でこれから起こることを話した。

 

「という訳だ」

『そう・・・ですか・・・』

「まぁ伝えようとしただけだからこれで切るぞ?じゃあな」

『あっ!待って下さい!』

「?どうした?」

『1つお願いがあります』

 

ウィズが俺にとある事を頼んできた。

俺は承諾しウィズとの交信を切ってパーティメンバーの元へ向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

午後18時50分。

王都崩落まで残り10分になっていた。

黒い雲は既に王都の9割を占めている。

 

「あ~!も~!エリスのやつ何やってんのよ~!」

「落ち着けって・・・焦ってても何も変わらねぇよ・・・」

 

俺達は今、王都にある時計塔の真下にいた。

この時計塔が今回の重要ポイントとなる。

 

「リュウヤ!」

 

声を掛けられて振り向くとそこにはディーのパーティメンバーがいた。

 

「なんかヤベェ事になってるからお前らも早く逃げた方が・・・!」

「そうしたいのは山々なんだけどちょっとその前にやる事があってな・・・」

「・・・そうか・・・気ィ付けろよ!」

 

ディー達はそう言って何処かへと避難しに行った。

それと同時にある人物が反対側から来た。

エリスだ。

 

「持って来ました!」

 

エリスがそう言って和真に神器を渡す。

エリスが持って来たのは十字架の真ん中に赤い宝石と線が付いたナックルガードだ。

これが今回のウェイルス封印に必要な物だ。

 

「即席で作ったので耐久性に関しては保証は出来ません・・・」

 

使い捨ての神器って訳ね・・・

これを使えるのは魔力がカンストしているアクアのみ。

準備は整った。

 

「じゃあ皆・・・」

 

俺はパーティメンバーを見る。

皆心配そうに俺を見ていた。

めぐみんが歩いて来て俺を見る。

 

「リュウヤ」

「めぐみん・・・」

 

今にも泣きそうな目で俺を見る。

 

「約束・・・守ってくださいね?」

「・・・分かってる」

 

俺はめぐみんの頭を軽く撫でてから背を向けた。

 

「行ってくる」

 

俺がそう言って行こうとしたらすれ違いざまに和真がボソッと告げる。

 

「死ぬなよ」

「そっちこそ」

 

俺が行こうとした時だった。

 

「どこへ行かれるのです?」

 

全員が振り向く。

そこにはアリアとリーリスがいた。

 

「あの女神像にいる奴が今回の元凶でね・・・そいつを今から倒しに行く」

 

他の者に任せてよいのでは?とリーリスが言うけどそれをする訳にはいかない。

 

「俺達がやるしかねぇんだよ・・・2人も危険だから王都を離れた方がいい」

 

俺は忠告したが王族がここを離れる訳にはいかないとの事で離れる事はせず、俺達と様子を見ると言った。

俺は頷いて町並みに向かった。

そこにある人を待たせていた。

アメルダだ。

 

「待たせたな」

「えぇかなり待ったわ」

 

アメルダが俺を睨む。

 

「私は一時的にアンタの味方をしてるだけ・・・終わったらアンタが戦線に復帰出来ない程ズタズタに殺してあげる」

「・・・好きにしろ」

 

お互いに悪態をついて銅像へ向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

女神像の王冠部分に降り立つ。

 

「漸く来ましたか・・・」

 

俺とアメルダはウェイルスの前に立った。

 

「まさか貴女までそちらに付くとは・・・約立たずの分際で」

 

ウェイルスの言葉にアメルダの顔が怒りで歪む。

 

「ウェイルス・・・私は・・・アンタを潰してやる!!!!」

 

アメルダが覚悟を決めて魔法を使った。

 

「【闇の魔法(マギア・エレベア)】!!!!」

 

アメルダが真っ白な魔力に包まれる。

そして強化されたアメルダはウェイルスに殴り掛かった。

よく見るとアメルダの身体の1部がおかしくなっている。

【闇の魔法】の影響か・・・?

 

「ハッ!そんなチンケな魔法で私を凌げるとでも!?」

「黙れ!!!!アンタにはこれで十分だ!!!!」

 

アメルダが必死に戦っている。

だったら俺も死に物狂いで足掻くしかねぇだろ!

 

「【スサノオ】・・・起動!!!!!!!!」

 

【魔法生成機】から湧き出た黒い魔力が収束され、俺の身体に巻き付き、武装として具現化される。

俺はウェイルスに飛び掛かって殴り飛ばす。

 

「何邪魔してんの!?アンタは黙って引っ込んでてよ!」

「ふざけんな!!!!お前1人で勝てると思ってんのかよ!!!!」

 

敵を目の前にして喧嘩とは随分と落ち着いてるなとは思ってる。

 

「ハッ、雑魚どもの喧嘩は見るに耐えんな」

 

俺とアメルダはお互いにイラッとして足を踏み締め、拳を握り締める。

 

「お前は────!!!!」

「少し────!!!!」

「なっ・・・!」

 

ウェイルスが咄嗟に腕をクロスしてガードの体制を取る。

 

「「黙ってろおおおぉぉぉぉおおおお!!!!!!!!」」

 

ウェイルスは俺とアメルダの拳で吹き飛んで王冠の壁に激突し、砂埃が上がった。

お互いに一旦、魔法を解く。

10%は消費したか・・・

横ではアメルダの身体に異変が起き、眼球は黒く、瞳は黄色く、顔には痣のようなものが浮かび上がっていた。

 

「アメルダ・・・おま・・・」

「ほっといて・・・けど・・・あと3回位使ったら正真正銘の人外になって死ぬ事すら出来ないかもね・・・」

「なっ・・・!?」

 

アメルダは少し自虐気味に言っていた。

【闇の魔法】ってのはそこまで危険な魔法なのかよ!?

 

「クハハハハ!!!!!!!!」

 

砂埃の中からウェイルスが現れる。

 

「素晴らしい・・・貴方達は本当に素晴らしい・・・!!!!私をここまで怒らせるのだからな!!!!いいでしょう・・・ならば私も・・・」

 

ウェイルスの周りで金色の魔力が吹き出して乱れ、俺達は軽く吹き飛ばされ、尻餅を付いた。

 

「全力で行かせてもらうとしよう!!!!」

 

ウェイルスが金色の魔力を纏う。

そしてウェイルスの髪が金色に染まった。

嘘だろ・・・!!!!

まぁこんなに力を余して・・・!?

 

「私のせいだ・・・」

 

アメルダがそう呟く。

 

「私が・・・認められたいと思ったから・・・あいつに・・・力を・・・」

 

アメルダは座り込んでほぼ諦めていた。

でも・・・!!!!

俺はアメルダを立たせる。

 

「アメルダ・・・諦めんのか?」

「・・・」

 

アメルダは悔しそうに顔を背ける。

 

「お前はそのままでいいのか?」

「そのままでいい・・・?そんなの嫌に決まってんでしょ!!!!でも・・・!」

「だったら必死に足掻け!!!!」

 

恐らくアメルダは自分の無力さを嘆いている状態だ。

 

「アメルダ・・・俺はウィズからお前との過去を聞いた」

 

その言葉にアメルダがビクッと反応する。

 

「それで?無様とでも言いた────」

「そんなんじゃない!」

 

違う・・・俺が言いたいのはそんな言葉じゃない。

俺が思ったのはただ単にこいつは近付こうと必死だったという事。

結局は才能の差でこいつは潰されてしまった。

でもこいつは諦められ切れずに自分の力を認められたくて道を外れ、そこをウェイルスに付け込まれてしまった────────

ただそれだけだ。

 

「アメルダ・・・人は・・・光に進んで1歩でも進む限り・・・その人の魂が真に敗北する事は断じて無い」

「は・・・?何言って・・・?」

「お前はこのままでいいのか?自分を利用した奴を見返したいと・・・正面からぶっ潰してぇと思わねぇのか!!!!!!!!」

「ぶっ飛ばしたいに決まってるでしょ!!!!少しでもいい!あいつを見返したいわよ!!!!」

 

そう言ったアメルダの目にはまだ戦う意思が残っている。

 

「なら征くぞ。手始めに・・・王都を救うんだ!」

 

俺の言った事にアメルダは固まるが、すぐに視線を逸らして手を跳ね除ける。

 

「お前いい加減に!「潰すんでしょ?」・・・?」

 

アメルダが不敵な笑みを浮かべる。

 

「ならアンタとあいつを潰して誰が1番強いか確かめるまでよ・・・!!!!」

「・・・へっ・・・言うじゃねぇか・・・!」

 

2人揃ってウェイルスの所へ歩いていく。

 

「来い!!!!」

「【闇の魔法】!!!!」

「【スサノオ】起動!!!!」

 

王都の命運が掛かった決戦が始まった。

 

王都崩落まで・・・残り5分──────




竜弥にクラウスの名言言わせたかった。
そして漸くウェイルスとの最終決戦が始まりますが、うん、ネタが分かる人は次がどんな展開は分かる筈。

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