俺は今、王城のバルコニーでリーリス王女とテーブルを挟み、対面して座っている。
理由はつい1時間前、王都巡りの続きで次は何処に行こうかと皆が楽しく話している時にオードス家の付き人が来て「リーリス王女様から食事のお誘いですがよければいかがですか?」と言われ、俺は承諾しオードス家の家に来ていた。
少し同年代と食事をしながらお話したいのだとか。
他の皆は折角の王都だから他にも回りたいらしく出掛けてる。
和真に関しては「アクアがまた変な事をやらかしかねない」と言って仕方なく同行するといった形だ。
レイシャとめぐみんを誘ったが拒否し、シノアは王都巡りをしたいようで、俺は王都に来たのは2回目だから俺のみでリーリス王女と食事をしようと考えた訳だ。
「今日はお忙しい中、こちらへお越し頂き、ありがとうございます」
「どうも」
素っ気ない感じの挨拶だけど大丈夫だよね・・・?
「本日は折角の来客ということでオルガニックティーとレブルのソテーを御用意しました」
王女の言葉の後に執事が肉の乗った皿やスープ、ライスのセットと紅茶を置く。
その時に聞いたんだが、オルガニックティーに使われる茶葉は年に1度、それに少量しか採れないらしく大変貴重なんだとか・・・
そしてこのレブルといった肉、日本でいう高級な牛肉のようなものらしくA3ランクで100gで1万エリス超えというね・・・ヤバ・・・
「どうぞ」
王女に促され、ナイフで肉を切り、食べてみる。
「・・・おぉ」
さすがA3ランクというべきか?焼き方はレアでマジで美味い。
「お口に合いましたか?」
俺が肯定すると王女は嬉しそうにした。
「では私も・・・」
王女もナイフとフォークを使って肉を食べ始める。
・・・本当に気品があるよな・・・
お互いに紅茶を1口飲み、フゥ・・・と息をする。
大方食べ終えて食器が下げられた。
「それでリュウヤさん。王都での生活はどうですか?」
「アクセルの街と比べてかなり快適だな。どれも質があっちよりは全然上だ」
ありがとうございます。とリーリス王女が微笑む。
「ですが私はまだ、この王都を、この国をよりよく発展出来ると思っているのです。そこで出来ればリュウヤさんにご相談をしたいのですが・・・」
宜しいでしょうか?と聞いてくる。
う~ん・・・これ以上を求めるか・・・
馬車を車にしたりとか・・・魔法を使わない施設・・・まぁ電気を使った施設とかは技術的に無理があるな・・・てか俺もあまり理解出来てないし、モーターも作れない・・・高校ではそこまで深く学ばなかったし・・・
簡単な事でもいいんです。と言われるもさすがに悩む・・・
知識や技術が元の国に比べて遅れている以上高望みは出来ない・・・いや、この世界には魔法がある・・・ならばそういった世界で出来るものもある筈だ。
そういったものを活用すれば暮らしも良くなっていく。
・・・というかこういったのって向こうから何かしらの方法で聞けば・・・ん?
向こうから聞く・・・か・・・・・・あ!あったわ日本にも!丁度いいのが!
「1つ思い浮かんだ」
「是非お聞かせください」
リーリス王女が興味深々に聞いてくる。
「目安箱だ」
「メヤスバコ?」
皆も覚えてるだろ?
江戸時代(1721年)に設置されたやつ。
簡単に言えば政治経済から日常の問題まで、町人などの要望や不満を人々に自由に書かさせたあれだよ。
俺が目安箱の説明を始めると近くにいたメイドに「すぐにメモを」と言って俺の言った事を書かせた。
「なるほど・・・つまりそのメヤスバコに王都に住んでる方達にどういった不満があるか、どういった事をしてほしいか書いて入れてもらうのですね?」
「まぁな」
ハァ・・・とリーリス王女が感心めいた溜息を付く。
「だとするとアリア姉様の行動はそれに匹敵しますね」
「確か、王城抜け出してるんだっけ?」
「はい。ですが姉様には姉様でこの国をより住みやすい国にしたいという考えがあるのを知ってるので私は王城を抜けても何も言わないんです」
姉思いな妹さんなことで・・・
だとするとアリアは歩く目安箱だったって訳だ・・・本人が聞いたら絶対に怒りそう・・・
でもそれほどお互いに信頼してんだよな・・・
「やはり、よい国にするには私達の考えではなく、実際に住んでる方達の声にも耳を傾ける必要があるのですね・・・」
貴重なご意見ありがとうございました。と深々と頭を下げた。
「そういえばリーリスはチェスが得意なのは知ってるけど、アリアは何か得意なのってあるの?」
「弓矢ですね。お姉様は500m~1km先の的に正確に射止める事が出来るんですよ」
うえっ!?そんな遠くの的にも当たんの!?
「まぁ霊弓を用いての話ですけどね」
「霊弓?」
リーリスが言うにはアリアは【霊弓】と呼ばれる光の弓の持ち主で特定の詠唱をすれば相手を無力化して、魔力を吸収・分散させられる事が出来る【
だが消費魔力も酷くて1日に1発が限度なのだとか。
何処ぞの爆裂魔法を極めた紅魔族みたいだな。
「恐らく今は稽古中ですのでせっかくですから家の庭を見て回った後にお姉様の稽古を御覧になりますか?」と王女が言って案内しようとした時だった。
ドオオオオォォォォォオオオオン!!!!!!!!
地面が揺れ、バランスを崩す。
かなり大きな揺れだった。
ドアの向こうで待機していた執事達が駆け寄って俺達を抱え起こした。
「地震か・・・?ビビった・・・」
「リュウヤさん・・・あれは・・・一体・・・?」
「?」
王女が遠くにある煙の立ち込めたエリスの銅像を見つめて俺に聞いてくる。
俺もその銅像を【千里眼】を使って詳しく見てみた。
・・・嘘だろ・・・いくらなんでも早すぎる・・・!
でも【スサノオ】を使えるようにしておいて正解だった。
そう、そこには【魔法生成機】に【終わりのセラフ】を組み込んだ張本人─────
邪神ウェイルスがそこにいた─────
◇◆◇◆◇◆
俺達が様子を見ていると声が聞こえた。
《世界中にいる人間様、初めまして。私はウェイルス。新たにこの世界を支配する神でございます。私の考えるよりよい世界になる為にこの王都には拠点になって頂き、貴方方は邪魔なので私の作り上げた魔法の実験台になってもらうおつもりです。ですが、ただ単に拠点を作るのではつまらない為、ちょっとしたゲームを施しました。タイムリミットは今日の日の入りとさせて頂きましょう。抵抗はなさって構いません・・・ですが・・・》
ウェイルスが軽く右手を天に掲げると青空が真っ黒な雲が現れ、そこから1本の黒い雷が落ちた。
その雷は1件の家を直撃し爆発する。
《これが私の作り上げた魔法です。機嫌を削げばこのようになる事をお忘れなく》
ウェイルスはそう言ってその場に立っていた。
・・・行くしかねぇな・・・
俺は街の奴らを避難させろと王女に言って【転移】を使ってウェイルスの元へ行った。
◇◆◇◆◇◆
「早速来ましたか」
ウェイルスと対面する。
「・・・一応テメェの目的を聞いておこうと思ってな」
「なんと、これは嬉しいばかりですね・・・ならば教えて差し上げましょう。私が求むのは世界の崩落です」
「世界の・・・崩落・・・?」
「そうです。最初は人間を魔物に変え、殺し合わせます。次に魔物で同じ事を、そして最後にはこの世界を均衡を壊して崩落の完了となります。私と貴方の【終わりのセラフ】。それがこの目的には重要なのですよ・・・まぁ今回は拠点を作る事が目的なので崩落するのはこの王都だけですがね」
拠点作りの為に大勢の関係無い奴を巻き込むつもりか!
俺は咄嗟に【銃剣製】で第二世代型神機を作り、ウェイルスに斬り掛かる。
だがウェイルスは簡単に躱して蹴りを繰り出してくる。
俺は装甲を展開して防御して距離を取った。
今こいつは自分と俺の【終わりのセラフ】が重要と言った・・・だとすると─────
「【終わりのセラフ】とお前がそのスイッチでどちらかが消えれば崩落は防げる訳だ」
「そこに気付くとは・・・アージェストの時もそうでしたが貴方の頭には驚かされますね」
「お前に褒められても嬉しくねぇがな・・・」
「つれませんねぇ・・・」
こいつは崩落のタイムリミットは日の入りと言った。
ならそれまでに【終わりのセラフ】を破壊、若しくはこいつを倒すか封印すればそれは防げる筈だ。
俺はウェイルスを倒す為に惜しげも無くあのシステムを使う事にした。
「【スサノオ】起動!!!!」
俺の身体に靄が絡み付き、武装が装備される。
「素晴らしい!【スサノオ】を使えるまでになっているとは!」
俺はウェイルスの褒め言葉を無視して殴り掛かる。
だがそれは第三者の手によって防がれる。
「アメルダ・・・」
「アルカンレティア以来ね?」
くそっ・・・2対1か・・・不利過ぎるな・・・
「アメルダ、もう十分です。貴女の役目は終わりました」
「・・・え?」
ウェイルスの突然の発言に動揺を隠せないアメルダ。
「嘘・・・だよね?・・・ウェイルス?」
・・・何だ?仲間割れ・・・の様には見えない。
「嘘?ハハッまさか・・・言ったでしょう?貴女はもう用済みなのです。もういらない存在なのですよ」
アメルダの顔が悲しみで歪み始める。
「だって・・・!言ったじゃん!貴女の力が必要だって・・・!」
「確かに言いましたよ?ですが私の欲しかったのは貴女の負の感情が必要だったのですよ・・・そして・・・」
ウェイルスがドス黒い光を放つ水晶を天に掲げる。
「そして遂にその時は来た!!!!」
その言葉と同時に水晶は砕け、黒い雲へ吸い込まれていった。
そして始まった─────
「ぎゃぁぁぁぁああああ!!!!」
悲鳴が聞こえた。
あの黒い雲から黒い雷が1人の人に落ちるのが分かった。
無関係の奴を殺しやがった!?
俺はスラスターで飛行し、落雷に遭った人を見る。
心配して周りの人が様子を見ている。
「お・・・おい・・・アンタ無事か?」
落雷に遭った人からドス黒いオーラが現れ、のそりと起き上がる。
待て・・・様子がおかしい・・・
ドス黒いオーラを纏った人は他の人に噛み付いた。
「ぎゃぁぁぁぁああああ!!!!」
噛まれた人はのたうつも少しづつ大人しくなる。
そしてその人からもドス黒いオーラ現れた。
これには映画でも見覚えはある。
謎のウイルスによって人間が感染症に侵され、一気に広まるやつだ・・・!!!!
これって・・・まさか・・・!!!!
「感染爆発か!!!!」
「ご名答。先程も申しましたが拠点作りの為の崩落が成功した後、世界中にこの黒い雲を展開して魔物が住みやすい、よりよい世界にしようか思ったのです。素晴らしいでしょう?この雷、今回は実験なので30分毎に5本、建物や人を見境なく襲うよう、優しくしております・・・ですが日没と同時に何本もの雷が降り注がれる設定をしました。本番では最初から何本も打ち出されます。恐らくその光景は素晴らしいでしょう・・・」
「・・・・・・クソ狂人が」
横にいたアメルダがへたりと座り込む。
「あぁ、アメルダ。貴女には感謝しておりますよ。ここまで水晶を黒くして頂いたのですからね・・・ですが、先程も言った通り貴女は用済み・・・いらなくなってしまいました」
「なんで・・・なんでよ・・・私は・・・」
ウェイルスがスウッと浮かび上がる。
「それでは世界の崩落の拠点完成まで・・・」
ウェイルスの右手にドス黒いオーラが現れ、ウェイルスはアメルダを見てる。
その際だが展開状態だった【スサノオ】に魔法情報が流れ込んできた。
【魔法名:滅却の一撃
魔法内容:黒い霧を対象の内部に入れつつ、周りも囲い、内側、外側から同時に破壊する】
アメルダを殺す気だ!!!!
「御機嫌よう」
「チィッ・・・!!!!」
俺はスラスターを全力で吹かしてアメルダ抱き抱えて戦線離脱した。
ドォン!!!!と音がしてそちらを見る。
アメルダのいた場所は綺麗な円を描いて抉れていた。
◇◆◇◆◇◆
アメルダと地上に降り立ち、【スサノオ】を解除する。
「竜弥!」
和真が向こうから皆と走ってきた。
「和真達も無事だったか」
「まぁな・・・ってそいつ・・・確か・・・」
和真がアメルダを見た。
「理由は後だ。とにかく今は宿に戻ろう」
俺の提案に皆は頷き、宿へと戻った。
◇◆◇◆◇◆
宿に戻って俺達は和真の部屋で現状を確かめ合っていた。
アメルダは俺の借りてる部屋に閉じこもってる。
外では黒い雲は徐々に広がり、雷が時たま地上に落ち、大きな音が響いていた。
「つまりウェイルスの野郎は最終的に世界の崩落を狙ってると・・・」
「そう・・・今回は拠点作りで標的はこの王都だけみたいだけどそれの世界崩落の完遂には【魔法生成機】にある【終わりのセラフ】と奴自身が重要だったって訳だ・・・」
そしてそのタイムリミットは今日の日の入り。
皆の顔に焦りが見える。
アクアが何かに気付いたみたいで「竜弥、私、和真を除いた皆はちょっと席を外してもらえる?」
アクアの頼みに疑問を感じたが俺とアクア、和真を除くパーティメンバーが和真の部屋を出た。
「さてと・・・もう出てきていいわよ」
「は?」
アクアがそう言った途端にアクアの横が光出し、エリスが現れた。
「「エリス!?」」
てかなんでアクアの奴、エリスが来ること分かってたんだ!?
「やはりバレてましたか・・・」
「まぁ神聖な力を感じたからね」
そういう事ね・・・
「事情は見てました。なので私も協力させて下さい」
和真、アクア、俺、エリスによる内密な作戦会議が始まった。
「んじゃまず・・・どうやって封印、若しくは倒すかだけど・・・」
「やっぱり【スサノオ】を使うのは必然だな・・・」
俺はそう言いながら【魔法生成機】をテーブルに置く。
これの【終わりのセラフ】・・・これさえどうにか出来ればな・・・
「そういえばこの時期の日の入りって大体何時辺り?」
「確か・・・午後の7時辺りかと・・・」
午後の7時・・・今から6時間と25分後か・・・
「まぁ【終わりのセラフ】を壊すのは無理だと仮定して、ウェイルスをどうにかするしか方法は無いですね・・・」
皆で相談を始めるもいい案が浮かばない。
「1つさ・・・思ったんだけど・・・」
和真に提案があるようだ。
「何かいい案が思いついたか?」
「いい案とは言えない・・・でもウェイルスを封印しつつ、【終わりのセラフ】を打ち消す唯一の方法はこれしか無いと思う・・・」
和真がそれの説明を始める。
そしてその内容に部屋に残った俺達は驚く事しか出来なかった。
だがその時、バン!とドアが乱暴に開かれる。
めぐみんだった。
その後にもフィーリィを除くパーティメンバーがいた。
めぐみんは歩いて来てテーブルに置いてあった【魔法生成機】を取り上げた。
「さっきの話・・・聞こえてました・・・」
ヤバ・・・聞こえてた・・・
「また・・・リュウヤは危険な目に遭うんですか・・・?」
「ちょっと待て!一旦落ちつい・・・」
めぐみんは和真の静止を聞かずに【魔法生成機】を持ったまま、走って部屋を出ていってしまった。
「わ・・・悪ぃ・・・」
「いや・・・気にすんな・・・」
レイシャが俺に近付く。
「めぐみんの気持ちも分からなくは無いわ・・・まぁ私は貴方が無事に帰ってくれば何も文句は無いから」
レイシャはポンと肩を叩き、部屋を後にした。
その時にフィーリィが焦った表情をして部屋に入ってきた。
「・・・どうした?」
「あ・・・アメルダさんが・・・アメルダさんが部屋からいなくなってます!!!!」
は!?嘘だろ!?
和真が「ウェイルスを倒しに行ったかもしれない!」と予想してる。
いや十中八九そうだろう・・・
「俺、アメルダを連れ戻したらめぐみんと話してくる・・・エリス、さっきの件は頼んだ」
「・・・分かりました」
またこうなんのか・・・まぁ、分からなくは無いけどさ・・・
俺はアメルダを追う為に外に出た。
外は壊滅的だった。
感染者が未感染者を襲い、未感染者が感染者になる。
被害はまだ少ないが既に街は至る所から煙が立ち込め、感染者で溢れていた。
「くそっ・・・どこのバイオハザードだよ!!!!」
俺は喰われないように建物の屋上に上がってアメルダを探した。
◇◆◇◆◇◆
「見つけた!」
捜索から10分掛かって屋上でしゃがみこんでいるアメルダを見つけた。
「おい」
アメルダがビクッとして俺を見る。
それ以上近付いたら殺す・・・目はそう言っていた。
「何・・・?」
私に関わるな・・・アメルダの声にはそんな感情が籠っていた。
「何してんだよ」
「・・・アンタには関係ないでしょ・・・」
俺と顔を合わせようとしない。
「真正面からやり合っても勝てねぇぞ」
「・・・」
俺の言葉を無視する。
「俺達は今、ウェイルスに立ち向かう方法を考え「ほっといてって言ってるの!!!!」」
アメルダの魔法が俺の頬を掠め、頬が切れて血が伝う。
「何!?可哀想に見えるから優しい言葉を掛けて善人気取り!?さぞかし心地いいでしょうね!!!!私みたいな惨めな思いしてないんでしょ!?周りから好かれてチヤホヤされて温室育ちでいいわよね!?いいからほっといてよ!!!!」
アメルダはしゃがみ込み、遂に涙を流してしまう。
「ほっといてよ・・・私のせいで・・・こんな事に・・・」
「アメルダ・・・」
俺が慰めようと手を差し伸べてもパシッ!と手を払い除ける。
「私はただ・・・力を認めて欲しかっただけなのに・・・受け入れて欲しかったのに・・・こんな事・・・望んじゃいなかったのに・・・」
自分でも分かっていたんだ・・・ウィズと自分にあった力量の差を・・・現実として受け入れる事が出来なかった・・・
劣等感─────
それがアメルダを内側から蝕んだ・・・
だが俺はアメルダを立たせる。
「・・・何?」
「アメルダ・・・交渉だ」
「は?」
「手を組もう。ウェイルスを倒す為に・・・そして成功したら─────」
あまりこんな方法使いたくなかったけど・・・仕方ないから言ってしまった・・・
「─────俺を殺してみろ」
「は?何言って・・・」
「お前が以前、言った通り俺は勇者候補・・・みたいなものでな・・・俺が死んだらお前が言った勇者候補以上の高貴な存在っていうことになってお前の慕っている魔王とかから有能な部下として見られるかもしれねぇぞ?」
アメルダはポカンとしてる。
だがニヤッと笑みを浮かべる。
「へぇ・・・いいの?プライドやアンタの身体自体もかなりズタボロにして殺してやれるけど?」
「・・・やれるもんならやってみろ」
アメルダは俺の目を見る。
その目は本気の目だ。
「・・・いいわ・・・乗ってあげる・・・」
「交渉成立だ」
俺はこうして一時的だがアメルダを味方にした。
王都崩落まで残り7時間・・・
ようやく元凶の登場です。
そして和真が【終わりのセラフ】の唯一の消し方を思い付きました。
まぁ、私が言わせたんですがね。
これが吉と出るか凶と出るか・・・
そしてアメルダはウェイルスに利用されていただけでしたが、一時的に仲間にしてウェイルスと挑みます。
感想、誤字脱字報告お待ちしております。